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2024.03.14
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「歌の革命」という本を手にしたのです。
「歌の革命」とはバルト民衆による「バルトの道」とのことで、思った以上のスリリングなお話のようです・・・ということでチョイスしたのです。




高橋眞知子著、社会評論社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
1989年、ソ連邦からの独立を要求して、200万人のバルトの民衆が、武器をもたず、平和への祈りをささげ、歌いながら、国境を越えて人間の鎖でつなぐ600㎞の「バルトの道」を実現した。「歌の革命」と呼ばれる。オランダ在住の著名なフルート奏者が、リトアニアの独立運動にまつわる人びとを探訪して描く、「歌の革命」をめぐる物語。

<読む前の大使寸評>
「歌の革命」とはバルト民衆による「バルトの道」とのことで、思った以上のスリリングなお話のようです・・・ということでチョイスしたのです。

rakuten 歌の革命


「第2章 独立革命のリーダーとそのファミリー」のエピソードをひとつ、見てみましょう。
p136~138
<ふたつの伝説的な実話 その1>
 ソヴィエト海軍・潜水艦隊勤務、キャプテン補佐でリトアニア生まれのヨナス・ブレシュキースという人物がいた。
 漁業船の元乗組員だったが、のちサンクト・ペテルブルグで最も優れた教育レベルをもつソヴィエト海軍学校を卒業し、一等航海士から海軍大佐に昇格した。

 彼はある日、ソヴィエト戦艦で任務に就く。到着目的地であったタリンに向かう途中、コンパスの故障による航行の混迷を装ってスウェーデン方角へ潜水艦を誘導し、ついにゴットランド島への逃避に成功したというものだ。

 スウェーデン逃亡後、ソヴィエト政府はブレシュキースにメッセージを送った。「君が戻って来れば自由を保障する。君の過去は許される。こちらが君の祖国であり、生涯の自由が待っているところだ」。こんな嘘に騙されるものはいない。
 彼はスウェーデンから米国に政治移民として亡命し、CIAの諜報員として勤務した。

 私は改めてこの実話を想像してみることがある。船の様子、ブレシュキースが準備周到に作製した詳細な公海図、故障を装った羅針盤と舵取り、目的地の灯台の灯と最後に現れるスウェーデンのゴットランド島のごつごつした岩。1961年4月7日の早朝に起きた、これは奇跡の物語としかいいようがない。

 レジスタンスの塊で「自己の軸」を貫いた彼は[*我々の]驚異的なシンボルとなり語り継がれてきた。占領下で、禁じられた生活を送るリトアニアの人々の現状は、混沌としか呼びようのないものであった。
 人間とは哀れなものである。人々は自分たちが分からなくなっていた。「自己の軸」や「超越した展望」もなく、考える力さえ失っていた。その中で起きたこの珍事は政治的スリラーと呼ばれるにふさわしい、目から鱗の大事件である。本物の自由とは言葉だけでは絵に描いた餅に等しいということ、「極限の使命」を行動する、その重大な意味に気がついた人々。

 この実話を元にしたトム・クランシーの原作「The Hunt for Red October 1982年出版」は映画化された。名優ショーン・コネリーが演じ「Hunt for Red October」として世界に広まった。[*邦訳ではレッド・オクトーバーを追え]
 長い間、実話ではなくフィクション映画と信じられてきたのは、これも異例のことだが、ブレシュキースが30年のあいだ無言を貫いてきたためだった。

 分断された西と東の世界は、自由の世界と破壊された世界とにはっきり別れていた。にもかかわらず、鉄のカーテンを破る逃亡の成功は自由の獲得達成をさらに触発していくことになる。
 ブレシュキースの珍事が政治的スリラーとして、その後のレジスタンスに大きく影響したのは明らかである。

*この物語について、少し詳細にふれてみたいと思います。1948年のこと。J・ブレシュキースは13歳。家族もろともシベリア強制送還にあいます。人々は汽車に詰め込まれ、走り始めた汽車から子供達[兄弟の3人]を瞬時の機転で突き落としたのは父親でした。そこから始まるのはブレシュキースの命をかけた波乱の人生。その後サンクト・ペテルブルグの海軍学校に学び、一等航海士から海軍大佐に昇格したことも、彼の緻密な計画のもとに行われた行動ではなかったのかと思わせるようなストーリーです。
 彼には誰にも明かさぬ一途な夢がありました。それは自由になること。ソヴィエト体制から脱出すること。ソヴィエト船はクライペダを出港しました。任務目的地はエストニアのタリンです。コンパスの故障を装ってこれを方角異なるスウェーデンに導く、どうやってそんなことが可能だったのか。ついに遂げたゴットランド島への逃避、彼は26歳でした。KGBから30年間追われる身になりますが、彼を援助したのは米国のCIAでした。


ウーム 潜水艦のコンパスの故障を装ってソヴィエト体制から脱出するってか・・・事実は小説より奇なりではないか。

『歌の革命』1 :リトアニア初の飛行機設計士、空軍パイロット





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Last updated  2024.03.14 01:00:13
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