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2025.07.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『ロシアを決して信じるな』という新書を、手にしたのです。
ウクライナに侵攻して、今では圧倒的な物量の差を見せつけているロシアであるが、この世界の大迷惑で、日本の仮想敵でもあるロシアについて認識を深めようではないか・・・ということでチョイスしたのです。

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 中村逸郎著、新潮社 、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
北方領土は返ってこない。ロシア人は狡猾で、約束は禁物だー著者はこう語る。長年、かの国に渡り、多くの知己をもつ研究者にそこまで思わせるロシアとは、一体、どんな国なのか。誤作動で発射をまぬがれた核ミサイル。日常の出来事となった反体制者の暗殺。世界最悪の飲酒大国。悪魔への奇妙な共感。消えない「プーチン偽者」説。さもしい都市モスクワ…現地を旅し、不条理に絶望し、怒り、戸惑い、ときに嗤いつつ描く、新しいロシア論。

<読む前の大使寸評>
ウクライナに侵攻して、今では圧倒的な物量の差を見せつけているロシアであるが、この世界の大迷惑で、日本の仮想敵でもあるロシアについて認識を深めようではないか・・・ということでチョイスしたのです。

rakuten ロシアを決して信じるな



「序章 核ボタンはついに押されたのか?」に核戦争の危機(?)が語られているので、見てみましょう。
P10~15
<人類は滅亡の日を迎えていたのか>
 1995年1月25日、クレムリンでなにが起こっていたのか。
 真偽のほどを確認するために、2020年2月21日、資料を手にわたしはモスクワに飛んだ。新型コロナの幹線拡大で、日露間の定期航空便が運航停止に追い込まれたのは3月30日だったので、結果的にギリギリのタイミングで渡航できた。そして到着の翌日、2月22日午前11時過ぎのこと。

 モスクワ都心にあるホテルのロビーの片隅で、わたしはとても緊張しながら、ある人物の到着を待っていた。ロビーといっても、大勢の人たちが行き交ったり、大声で談笑したりする雰囲気ではなく、ソファーが六つほど置かれた小部屋という感じだ。わたしが選んだソファーは壁際の太い柱のそばで、ロビー脇の通路から死角に位置していた。

 1995年当時のロシアはエリツィン大統領の指揮下にあり、大統領補佐官として国家安全保障問題を担当していたのが、ユーリー・バトゥーリン氏だ。1949年6月生まれの70歳。いまでも多くの肩書きをもっている要人といえる。

<大統領補佐官の証言>
 わたしはバトゥーリン氏を、11時10分にホテル玄関口で出迎えた。外気温はマイナス3度、かれの厚手の外套から冷気が漂ってくる。かれは几帳面な性格らしく、荒い鼻息を立てながらも、遅刻したことをわたしにわびた。わたしは、わざわざホテルまで足を運んでもらったことに感謝の意を伝え、握手した。

 あらかじめ確保していたソファーに座り、肝心な話題へと入っていった。わたしが核バックに関する資料を手渡すと、バトゥーリン氏は眼鏡をはずして読みはじめる。わたしが横から説明を加えるのだが、耳に入らないようだ。読み終わったバトゥーリン氏はわたしのほうを振り向き、資料に記されているように深刻な危機に陥ったのは1995年1月25日午前9時過ぎで間違いないと証言した。そのうえで「この危機似ついて話すのははじめてのことだ」と小声で明かした。
 エリツィン氏が大統領を辞任したのは1999年12月31日。その危機的な状況は辞任の5年前の出来事だったのである。

 話を、重大な局面を迎えた1995年1月25日の出来事に移そう。
 その日は午前8時過ぎから、バトゥーリン氏はクレムリンの自分の執務室で勤務していた。エリツィン大統領は午前9時ごろから、モスクワの南南東370キロに位置するリーベック市内の工場を視察予定だった。バトゥーリン氏が出勤してから1時間半後の午前9時24分ごろ、以下の「緊急連絡」が入ったという。
「ノルウェーの方角から、ロシア、そしてモスクワに向けて核ミサイルが飛んできている。首都に着弾するのに20分もかからない」
 こうして「ノルウェー・インシデント」といわれる事態がはじまったという。

 バトゥーリン氏はさらに、ロシア国防省高官から追加の情報がもたらされたと証言する。
「『ミサイル防衛システムがノルウェー沖の上空で核ミサイルのような飛翔体を探知した。すぐに、状況の把握を開始・・・』というのです。アメリカからの核攻撃がはじまったのか、それとも誤認、または誤作動なのか・・・。すぐに結論を出さなければなりません。わたしたちは我が国に対する攻撃だと断定しました」

 ロシアのレーダーが捉えたさい、飛翔体は真上に上昇していたために、 ノルウェー沖で活動するアメリカの潜水艦から発射されたミサイルだと判断したようである。というのも他に、 ノルウェー周辺に戦略ミサイルが配備されたという警戒情報はなかったからである。もちろん飛翔体が潜水艦から発射されたミサイルで、本当にロシアを攻撃するものであるという「完全な確信」があったわけではないらしい。「だが、最悪の事態を想定した」とバトゥーリン氏は念を押す。
(中略)

 バトゥーリン氏の話が本当ならば、冒頭の資料と合致しない。資料には、核ボタンは押されたが、システムがうまく作動しなかったと記されていた。どちらが、事実なのだろううか。仮に故障していたならば、なんという間抜けなロシア。緊急事態に対処できないロシア。ロシアらしい大失態といえるが、そんなロシアに、世界は助けられたという皮肉。





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Last updated  2025.07.23 00:15:13
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