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白峰霄:白峰家の長女。三人の中で一番魔力が高い。吉良伝左衛門:ワーウルフ。素早さと爪、牙だけで戦うわけではない。須原登流:人造人間。パワーと耐久性だけで戦うわけではない。VAMPIREEYE66「相性」霄が蓮也が対峙している時、吉良と戦闘ロボット、須原と木戸は戦闘を開始していた。白いロボットは遠距離からの攻撃は掌からプラズマ弾を放ち、近距離は手の甲とつま先から飛び出す特殊合金ブレードで攻撃する。しかし吉良は何の苦もなくそれを全て回避する。「回避行動パターン予測の修正。攻撃モード変更」白いロボットは膝を逆関節に曲げ、腕を伸ばし四つん這いになる。両手両足の指から爪が伸びる。コンクリートの床をえぐりながら突進。「なるほど、私に合わせてその形態を取ったと。ですが私はロボットの相手などしている場合ではありません。吹雪お嬢様を探さなくてはならないのでね」吉良はロボットの流線型の頭を踏み台にして飛び上がる。3mほどの高さの棚の上に乗り棟全体を見渡す。建物の隅に詰所の扉を発見した。「あそこが怪しいですね…はっ!」白いロボットが突進してくる。攻撃が回避されるとマスク部が開口しそこからプラズマ弾が飛び出した。キラのスーツの裾を焦がす。「私としたことが戦闘中によそ見をするなど。お気に入りのスーツが…」白いロボットは棚の上にいる吉良目掛けプラズマ弾を連射、追いかけるように突進。天井が破壊され破片が落ちてくる。それを回避する吉良に合わせて突進、爪で攻撃を仕掛ける。吉良は流れるような動作で爪を躱し白いロボットの腕を掴んで捻り当て身を入れながら投げ捨てた。「手応えあり…です」白いロボットは鋼材の棚に叩きつけられる。吉良の当て身が炸裂した胸部の装甲はひしゃげている。「流石ロボット…並みの者なら心臓を破壊して停止しているところですが」「…システム再起動。メイン動力炉破損。機動力67%低下。使用可能武装4。戦闘続行可能。任務達成率38%に低下」その様子をモニターで見ている華月と黒谷。「吉良の奴、昔より技の切れが増しているようだな」「あのロボット…CAROMは一応吉良、須原、霄様の相手ができるように谷川と木戸に調整させたのですがね」「吉良の体術は人間で言うところの気を発する発勁の要領で魔力をぶつけるものだ。奴の魔力自体は昔とそれほど変わらんが魔力の扱いは上達したように見える」「なるほど、しかしCAROMは成長する戦闘ロボット。マニュアル操作での戦闘も学習致します」「ほう…で、お前が操るというのか?」「ええ。私は本来近接戦闘を好まないのですができないわけではありません、それを証明して見せましょう」「面白い、お前の近接戦闘など今まで我は殆ど見たことがないからな」黒谷ばバイザーを取り付ける。「動力炉が破損した状態で私の魔力を流してののマニュアル操作は…持って3分てところでしょう。3分でケリをつけて見せますよ」吉良の目の前でCAROMが停止する。「戦闘システム、マニュアルに移行。魔力過充填…機動力130%に上昇。警告、任務可能活動時間残り3分」CAROMの膝関節は元に戻り腕の長さは通常に。足を揃え両手を軽く広げ吉良を見据える。「…?雰囲気が変わりましたね」CAROMは静かに吉良に突進した。左右のブレはなく、動作の起こりもなく突進し吉良に中段突きを繰り出した。吉良は左の掌でCAROMの腕を払って受け流す。魔力を込めた当て身で流線型の頭部を狙う。「ぬっ!?」CAROMは当て身の腕を押し上げで躱し、右裏拳で吉良の顔面を狙う。吉良はわずかに身を反らしそれを回避、CAROMの左腕を取りにいく。対するCAROMは左腕を外側にひねって吉良の手を弾き、膝蹴りを繰り出す。咄嗟に両腕でガードした吉良は衝撃で2mほど後方に飛ばされる。「動きが変わった…」「月光剣!」黒谷が叫ぶとCAROMの左腕から青白いブレードが飛び出した。「月光剣発動」CAROMが水平に月光剣を降ると青白い光波が飛んだ。吉良はそれを回避、後方に積んであった鋼材が切り裂かれ爆発を起こした。―須原と木戸の戦いはお互い一歩も譲らない状態が続いてた。須原は人造人間である為2トン以上ある鋼材も軽々と振り回すことができる。それに対する木戸は体をくねらせて鋼材を回避。先を尖らせた鉄パイプで反撃する。須原の皮膚は弾丸をも通さないほどの強度を持つため木戸の攻撃は全て無効。須原の金属の竜巻めいた猛攻がついに木戸を捉える。「ヌン!」「しまっ…」矢の如く棟のコンクリート壁に叩きつけられる木戸。しかしそのまま跳ね返り空中回転し着地する。「あ~びっくりした。そういう攻撃は僕には効かないんだねぇ」「ム?」「君は聞いていた通りとんでもない力の持ち主だ。そして耐久力も鉄じゃ全く歯が立たないほどだ。僕は武闘派じゃないしあっちの白峰霄とか吉良伝左衛門とか相手にしたらあっという間にやられちゃうだろうねぇ。でも君には負ける気がしないねぇ」「オレはお前を斃ス!」「君がいくら強かろうがそれは無理なんだ、相性ってやつだよ。斎藤じゃなくて僕が君の相手に選ばれたのは理由があるんだねぇ。あっちも二人もそうさ」―刀に炎を宿し構えるライダースーツの木城蓮也。白峰霄はナイフ状の爪を伸ばして構える。刀を持つ蓮也に対し霄は間合いの点において圧倒的不利な状況。しかしそれは霄自身も十分理解している。「行くぞ霄、お前を半殺しにしておとなしくさせてやる!」「うううああああああっ!!」飛び込む霄、右手に炎を宿し蓮也の手前に炸裂させる。上がった火柱を水平斬りで払う蓮也、そこには霄の姿は無い。「!?」月面宙返りで宙を舞う霄、日頃体術を鍛え抜いている霄にとっては造作もない事。そのまま空中で炎球を放つ。バレーボール大の炎球が蓮也の背中に命中する。「チッ!」振り向きざまに刀を振り、三日月型の炎を飛ばす。霄はそれを木の葉の如く軽い動きで回避する。「思ってた以上に速いようだな」「この程度でついてこれないのなら貴方に勝ち目はない!」腕を振り炎を走らせる霄、蓮也も同じく刀を振って炎を走らせ衝突させる。そして間合いを詰める二人、刀を振る蓮也に対し霄はナイフ状の爪から炎を伸ばして対抗する。「ほう、炎と魔力のバランスを変え刀を弾くか」「はっ!!」鋭い刀の連撃を全て弾く霄。体を旋回させて飛び上がり際に逆サマーソルトで蓮也を狙う。踵から放たれた炎は蓮也の顎をかすめた。「流石だな、これまで相手にしてきた連中とは違う。全力で行くぞ…」蓮也の全身から魔力の揺らぎが立ち上る。「ハアアアアアアアア…」魔力の揺らぎは炎となり蓮也の全身を包み込む。「ハアッ!」一足飛びで間合いを詰め肉迫する蓮也、袈裟斬りで霄を切り裂く。「む?手応えがおかしい…」切り裂いた霄はもやとなって消える。その後ろに霄が立っていた。「こちらも全力で行く!」蓮也の右に回り込む霄、残像が残る。「何?」残像と霄本体から爪が振り下ろされ炎が飛ぶ。蓮也はそれを刀で弾く。「ハアッ!」炎で巨大化した刀でなぎ払い残像をかき消す。だが次々と霄の残像が現れ攻撃を仕掛けてくる。「何だこれは?分身か?」蓮也は次々と霄の残像を消していく。その度に死角から攻撃を受け、ライダースーツを焦がし肉を切り裂いていく。分身も攻撃を加えてくる。「ただの残像じゃないな…質量を持っている…」この分身はある日偶然霄が編み出したもの。須原とのスパーリング時に全身に高濃度の魔力を纏わせたまま攻撃と防御を両立させようと考え行った結果分身が現れた。「それなら全て消すまでだ!」蓮也は右手に刀、左手に河童・勝田波留夫の開発した魔力水圧銃を構える。弾丸の代わりに水を入れ、魔力に反応し様々な形状の弾丸が放てる。使用者の魔力の強さによって威力は変わる。蓮也は引き金を握り込み十連続で発射する。霄の残像は空中で軌道を変え回避、蓮也に襲い掛かる。「(何…更に速度が上がるだと!?)」霄は背中、足から炎を噴出し飛んでいる。背中の炎は翼めいた形状を、足の炎は猛禽類の爪を思わせる形、飛行機雲のように腰から伸びた炎は孔雀の尾羽を思わせる形をしている。「(まるで…鳳凰)」分身と同時に全方位から攻撃を仕掛ける霄。蓮也を覆っている炎のガードは徐々に削られていく。その様子をモニターで眺めている黒谷と華月。「勝負ありですかな。霄様が圧倒しております」「それはどうかな?復活してからも蓮也を鍛えていたのは我だ。このままでは終わらん」蓮也は猛攻を耐えながら感覚を研ぎ澄ましていく。「今!」左脇構えから刀身を跳ね上げる一撃『火の神流真空一文字』。相手の動きを読み体を寄せながらギリギリのところで切り抜ける死と隣り合わせの技。しかし決まれば確実に相手に大きなダメージを与えられる。「ああああああああっ…」霄の左腕肘から先が宙を舞う。バランスを崩し積まれた鋼材に激突する。「勝負あったな」「まだ…まだだ!私はまだ負けていない!!」「お前は無意識のうちに俺に手加減をしていた。仕留めるチャンスは何度もあったのに」「私の目的は…貴方を殺すことではない!!」「俺もお前を殺す気はない。だが、死ぬ寸前までは追い込んでやる」「ううううううううあああああああああっ!(私が強ければ源藤に負けることはなかった、蓮也さんがこうなることもなかった、私が強ければこんな戦い一瞬で終わらせて解決できた)」「お前の動きは既に見切った!」蓮也は霄の飛び込みを躱しながら4連撃を入れる。右腕、右足、左足を切断し脇腹を深く切り込んだ。「あああああああああああああああ…」両手両足を失った霄は地面を転がる。続く
Oct 18, 2015
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木城二郎:一晩経って傷は完全に治っていた白峰霄:警察署に行けなかったことを悔いている吉良伝左衛門:自由に動けない立場にもどかしさを感じている須原登流:霄を守ることが最優先事項VAMPIREEYE65「都メタル」―センジョーの所有する芸能事務所「はい、そこで奥寺は空中2回転!」ダンストレーナーの指示に従って空中前方2回転を決める奥寺舞子。トランポリンも助走もなしで人間がこの動きをするのは非常に困難。トップアスリートならまだしも通常のアイドルグループには不可能な動きであった。当然指導するトレーナーは人間ではない。「今日のレッスンはこれまで。明日は伏見桃山城公園でのミニライブもあるし解散!」奥寺舞子たちヴァルキリーのメンバー4人は更衣室に向かう。「明日のミニライブお客さん沢山来るかなぁ…」山根妃羅莉は髪留めを直しながらつぶやいた。「いつも通り数十人ってところでしょ。そもそも全然宣伝してないし」奥寺舞子はイヤリングをつけながら言った。「ライブは客を呼ぶ目的じゃないみたいですねぇ。ライブ映像を撮るのが目的みたいですけど…それだけじゃない気がしますなぁ」緋川燿子は貝殻製のネックレスをつけながら言った。「いやぁんなんだか闇の住人とか吸血鬼がいそうなところでばっかりお仕事!」髪をブラシでときながら野村萌絵が言った。「やっぱり萌絵もそう思う?昨日のこともあったし前からそういえば…って」「え?そうなの?偶然じゃなくて?」「山根さんは気づいたらへんかったん?気づいたところで私らはどないもしませんけど」「えー!?燿子さん…だってあたしら利用されてるじゃんそれって」「まぁまぁ…私らもこうやってあんじょうしてもらってるさかい。人間やのうて堂々と自分の正体明かして伸び伸びと人間社会での仕事もらえる見返りと思えば腹は立ちません」燿子の言葉に頷く舞子と萌絵。「妃羅莉はさぁ、鉄鼠としての記憶全然無いし当世としての闇の住人としての生き方がピンと来ないのかも。私とか燿子、萌絵は昔の記憶割とあるし好き勝手やってきて痛い目みたり後悔とかしてるからね」「私らは畏れられてこそなんだけど~存在をアピールできてなおかつ自分を開放できる環境があれば十分楽しいのよね~だから今のこの状態は割と満足かなってぇ~」「センジョーに闇の住人が沢山所属しているのも同じような考えかたを持ってる者が多いからでしょうなぁ。教会の方は執行人とやらにならん限り戦闘はすることないみたいですけど自由はほとんどありませんしなぁ」「あっちは人間が仕切ってるからそもそも合わないのよ」舞子の言葉に頷く燿子と萌絵。「ふーん…まぁみんなと一緒にいると楽しいしあたしも窮屈なの嫌だしこのままでいいかな。ちょっとくらい利用されてもまぁいいか~」「あ、美古都からメール入ってる」舞子は携帯電話を取り出す。「あれ?舞子のケータイについてるそのキャラクター何!?超カワイイんだけど!」妃羅莉がまじまじと見つめる。「カイコマンよ。いいでしょ?いろんなグッズ出てるし今度アニメにもなるのよ」「いいないいいなー!どこで買ったの?」「寺町通京極にあるキャラグッズショップよ。今から行く?美古都も合流して買い物するつもりだし」「では私と野村さんは食事当番の日なので食材の買い出しに行ってそれからマンションに戻りますね」「うん、お願い燿子、萌絵」―田口堂二郎の目の前に銀髪真紅の目状態の吹雪が立っていた。「吹雪さん!?でも…どうして??」「…昨夜色々あってわたしは戻って来れた。でも姉さんは…」吹雪は伏し目がちにそう言った。「ワリーワリー遅れちまった………って、吹雪ちゃん!?」速水恭一が入ってきた。「一体どうなってるんだ?説明してくれよ」「教えてくれ吹雪さん!」「ええ…」―前日の夜。二郎と恭一が白峰家の家から去った後、白峰霄、吉良伝左衛門、須原登流は改造ワゴン車に乗り込み警察署を目指した。黒い軍服風シャツにカーゴパンツの霄、スーツ姿の吉良と須原。「これで良かったのですね霄様」「ああ、教会の出方など待っていられんし、吸血鬼は夜こそ真価を発揮する。私は24時間も自分を抑えている自信も無い」「全力でサポート致します」「俺ガンバル」警察署の前の歩道に駐車する。吉良がリモコンを押すとワゴン車は街路樹の植え込みと同化する。霄たちは警察署の駐車場に入っていく。「吉良、吸血鬼と吹雪の匂いは?」「駐車場で消えてますね…ここから車に乗せられたようです。ですがタイヤの匂いをたどれば追跡できます」「よし」ワーウルフであるキラの嗅覚は犬に匹敵する。更に魔力の匂いまで嗅ぐことができる。吉良が走り、その後ろをワゴン車で追いかける。車の痕跡は南区にある大手企業『都メタル』に続いていた。「工場か…」「忍び込むしかありませんね」「リョウカイ」再びリモコンを押し今度はコンクリートブロックの塊に見た目を変えるワゴン車。「よし、ゲートの横にある壁から侵入する」三人は監視カメラに映らない所に移動する。霄は右手の指から鋭いナイフ状の爪を伸ばす。「まさか壁をくりぬいて入ってくるとは思わないだろう」コンクリートブロックの壁の上には赤外線センサーが取り付けてある。壁を越えようとするものには反応するが壁をくりぬいて侵入するものには反応しない。霄は爪で円を描いた。厚さ20センチのコンクリートブロックはまるでスポンジのようにくり抜かれた。「お見事です」「さ、行くぞ」匂いをたどりつつ警備ロボットをやり過ごし進んで行く三人。C棟と書かれた建物に入っていく。「ここに続いています」「アブナイ!!」突如三人の前にH型の巨大な鉄骨鋼材が飛んでくる。飛び出した須原がそれを受け止める。「ヌン!」投げ返す須原、H型鋼材はそのまま壁にも地面にも激突せず空中で停止した。「お見事だねぇ…ま、今ので殺す気はなかったんだけどね」照明がつく。三人の目の前にはYシャツ、スラックスに作業服を羽織った中年男性が立っていた。空中に浮かぶH型鋼材の上に立っていた。C棟は棚が並んでいる。資材置き場であった。「人の会社に無断侵入たぁダメだねぇ、通報しちゃうよ?」「吹雪をどこにやった!答えなければ通報する間もなく切り裂いてやる!!」霄の十指からナイフ状の爪が飛び出す。「おほー元気だねぇ。まずは自己紹介させてよ。僕は都メタルの代表取締役、木戸剛照。君は…白峰霄だね?そっちとそっちの男は小間使いかな?」「貴様、吸血鬼だな。ここで話合うつもりは無い、吹雪を渡してもらおうか。私はその他の事に応じるつもりもない」「ちょっと待ってよ~モノには順序があるんだって。僕の方にもあと二人いるんだから紹介させてよ。おーい出ておいで~」棚の影から現れたのは…二郎の兄、木城蓮也と白い人型ロボットであった。「蓮也さん!!」「久しぶりだな。お前はこっち側に来るべきなんだよ」蓮也は赤い鞘から刀を抜き放つ。「お前のおかげで俺は力を得た。そしてあと数日で血は完全に馴染む。お前はそれを阻止したいようだが方法は知っているな?」「…完全に馴染む前に私が蓮也さんの血を吸い吸血鬼の力を奪うこと」「そうだ。だが、お前の魔力の方が弱ければお前の体は耐え切れず死ぬ。俺の魔力は既に並の吸血鬼を超えている。力を使いこなせていないお前が俺を超えることができるのか?そんな博打を打つよりもこちら側に来て吸血鬼が快適に過ごせる町作りをしようじゃないか」「戯言を!弱らせて血を吸い奪えば良いだけの事!!貴方と戦う覚悟は既に出来ている!!」「フフフハハハハハ!良い!お前はいつも正しくひたむきで純粋だ!!それゆえに脆い!だがそれが美しい」「私の知っている蓮也さんはそんなふざけた事を言いはしない!元に戻してみせる!」白いロボットは吉良を見つめていた。「ターゲット確認。戦闘システム起動。排除開始」「私の相手はロボットですか…まぁやりすぎて後悔することも無いので良しとしますか」木戸はH型鋼材に乗ったまま空中で向きを変え須原に向かって突進する。「僕の相手をしてもらいましょうかな。人造人間くん」「オレはマケナイ!!」その様子を別室からモニターで眺めている者が三人。斎藤勇雷、黒谷ジークベルト、白峰華月。「やはり霄様は来ましたか。教会の連中は来ませんでしたね」黒谷が言った。「うむ」「木城紫蓮に白峰蔵人が居なければ近畿の教会など大したことは無いということですね。長門顕彰は強力な存在だが瞬発力がある方ではないですから」「これで霄を我らに引き込めるのだな黒谷よ?」「ここに霄様が来た時点で選択肢はもうありません。お任せを」一礼する黒谷。横に立つ斎藤は華月の言葉を待っている。「主よ。俺はどうすればよろしいのか」「邪魔な教会、鬼どもの始末を任せるつもりであったがここには現れなかった。警察署に戻り連中の動きに警戒せよ」「承知致しました」続く
Oct 11, 2015
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木城二郎:義手の変化に驚いている白峰霄:自身のあり方、身の回りに起きている事に強いストレスを感じているVAMPIREEYE64「失踪」二郎と恭一は白峰家の門の前に居た。教会を通じて連絡はしたものの直接吹雪のことを白峰家の者に伝えるために寄ることにした。「おい…ものすごく圧迫感あるな…純日本家屋って奴はよ」「ああ…それだけじゃない、結界が張られてるよ。塀を乗り越えて入ろうものならどうなることか」「マジかよ」「何か用ですか?」二郎と恭一の後ろから声がした。落ち着いた声からは威圧も感じられる。慌てて振り向く二人。そこにはメガネをかけた目鼻立ちの整った男が立っていた。「あ…あなたは」「センジョーで吹雪ちゃんの姉ちゃんと一緒にいた…」白峰家世話係兼護衛役のワーウルフ吉良伝左衛門であった。「木城二郎様に速水恭一様。白峰家に何かご用でも?」吹雪を連れずにどうして二人だけで白峰家に来たのかといった顔で二人を見る吉良。「実はお話が…」「そ、そうなんすよー」「成程。手短に説明してもらえますか?」門をくぐらせる気はさらさらないといった態度。「…吹雪さんが連れ去られた時の事をお話するために来ました」「…教会から連絡は受けております。詳しい話を聞かせてもらいましょう。こちらへ」吉良に連れられ門をくぐる二人。手入れされた日本庭園が二人の目に飛び込んでくる。引き戸を開け玄関に入り、磨かれた木製の廊下を進み客間に通された。「少しお待ちください」吉良はふすまを閉めて出ていく。残された二郎と恭一は客間を見渡した。「今時日本家屋ってすげぇな…変にハイテク家電も置かれてないしうまいこと隠してあるんだなぁ…」「あんまりキョロキョロすんなよ、遊びに来たんじゃないんだぞ」「珍しくてつい…」座布団に座る二人。二郎は正座、恭一は苦手だといい胡座で座った。少しするとふすまが空き吉良と白峰霄、須原登流が現れた。「よく来たな。堅苦しい挨拶は抜きにして早速話を聞かせてもらおうか」白峰霄はそう言った。表情は険しい。白峰霄を上座に続いて吉良、須原が腰を下ろす。二郎と恭一は偽の警察署であったことを全て三人に話した。「すみません!俺が未熟なばっかりに!!」「すんません!」頭をさげる二郎と恭一。「君たちが謝ることではない。吹雪より強い吸血鬼が相手であったのなら仕方のないこと…だから私は反対だったんだ。教会に入るなど」霄の言葉を聞き沈黙する二郎と恭一。「斎藤勇雷を探し吹雪様を救出しなければなりません。相手が警察となると警察を頼るわけにも行きません。人間の警察が吸血鬼の話など信じる訳ありません」吉良は落ち着いた口調で言い放った。「まずは偽警察署に向かって吹雪様が攫われた場所にいって魔力の残滓を探します。ごくわずかなものでも私の鼻なら感知できます」「今から向かおう。君たちは帰ってゆっくりと休むがいい、ご苦労だった」立ち上がる霄、吉良、須原。慌てて立ち上がる二郎と恭一。「あの俺たちにも何か手伝わせて欲しい…」「いや結構。今の君たちでは足手まといにしかならない」「そう…ですか」「何かあったら連絡する」玄関に向かう一行。二郎はそこで先日大型スーパー『ユーユー』であった人物の事を思い出した。「そうだ…霄さん、この前うスーパー・ユーユーで白峰家の人に会ったんだけど…その人も吹雪さんの捜索に参加するのかな?」「ん?妹の霞の事か?霞は吸血鬼騒動が終わるまでは碁盤の目町で寝泊りする事になっている。外出する時も一人で行動する事はない。鎌鼬の娘と夜雀の娘が一緒だ。母は碁盤の目町から出れない身だからね」「うーん…霄さんによく似てて…ちょっと年上っぽくて…」「??」「吹雪様が狙われたということは白峰家の人間が狙われている可能性が高いとお考えですか木城様?霄様は我々が必ずお守り致します。霞様も吹雪様が戻ってこられるまでは碁盤の目町を出ないようにお願いしますし、当主の雪名様は心配は無用ですし白峰家にこれ以上手は出させません」「白峰家には他に頼れる人とかいないのですか?教会の他で」「少し前までの白峰家なら我々の他にも居たのですが…旦那様とヨーロッパに向かった者が二人、雪名様についている水元来海…いずれも優秀な者たちです」「俺たちはナサケナイ…二度も敵にしてやられるナンテ…」吉良と須原は眉間にしわを寄せる。「お前たちはよくやってくれている。わたしたち姉妹がお前たちを振り回しているのだ…霞が一番賢い行動をとっているのかもしれない」霄が静かに言った。「うーん…」「どうした二郎君?気分でも悪いのか?」霄が首をかしげて聞いてきた。「あ、ちょっと考え事をしてて。えっと…霄さん吉良さん須原さん、白峰家の人はもう一人いるんじゃないですか?」それを聞いて霄、吉良、須原は顔を見合わせる。「なぜだ木城君?わたし、吹雪、霞、母の4人だけだが?母に姉妹はいない、親戚も存在しない」霄が言った。「確かにユーユーで会ったんですけどね…名前は確か…華月さん。白峰華月さんだ」「!?」「!!」「!?」驚く三人。「白峰華月…だと?ありえない」「………華月様」「カヅキさまはもうイナイ」「でも本当に…」二郎はユーユーでの異常なまでの義手の反応を忘れるはずもなかった。夢でも幻でもなく確かに体験したことであると記憶に刻み込まれている。「二郎君…冗談では無いな?本当にユーユーで白峰華月を名乗る者に出会ったのだな?」「ええ…誓って冗談じゃないです」二郎を真っ直ぐに見据える霄。「白峰華月は20年ほど前に死んでいる、私が生まれる前にだ」「そんな…」「幻覚じゃないだろうな!?」「幻覚ならあんなに義手は反応しないです、確かにそこにいましたよ」霄の肩に手を置く吉良。「霄様…木城様の言う事は本当でしょう。実は私はそうではないかと少し前から考えていました」「何…?」「ナンダト?」吉良は路地裏で白峰家の魔力の残滓を感じた時のことを思い出していた。「…そうか、母の言っていた通りの展開になっているのか。白峰華月の復活…恐らくは華月の腹心であった黒谷ジークベルトの仕業。奴は入念な下準備をして行動を起こし始めたのだろう…」霄は元教会の吸血鬼ハンター源藤高雅に襲われた時のことを思い出す。「あの時には既に黒谷は華月が復活した後のことを考え、吸血鬼の同志を揃えてた…京都の闇の住人を支配下に置き、教会を潰し母から白峰家当主の力を奪い取るつもりだろう」「源藤高雅の行方は依然として不明です。奴の匂いも忽然と消えています。用済みになったと黒谷に始末されたのではないかと」吉良は霄は襲われてから源藤高雅の行方を追っていた。「24の結界で守られている地下の碁盤の目町が絶対防御であるとは言い切れない。打ち破る算段が黒谷にはあるのだろうな」「………吹雪様を攫ったのが黒谷の手の者だとすれば…目的は…霄様では?」吉良はメガネを上げて静かに言った。「雪名様をおびき寄せる為に吹雪様を攫ったのではないかと」「それならば私にすれば良いものを!」興奮して声を上げる霄。鈴のように澄んだ声は殺気を帯びている。「やはり今日は…行くのをやめましょう霄様。黒谷の方から接触してくるはずです」「この私のやり場のない怒りはどうすればいい」「怒りを感じているのは私達も同じです、相手に踊らされないように一旦冷静になりましょう。雪名様にもこの事は報告します」吉良は霄の両肩に手を置き目を見据える。「霄さま、発散したいならオレ、相手する」須原が胸を叩いて言った。「…わかった今日は大人しくしていよう。木城君、速水君、わざわざ済まなかった。また明日連絡する」「はい…」白峰家を出る二郎と恭一。次の日田口堂に待ち合わせということで解散した。家に着くなり布団に倒れこむ二郎。「(白峰家を守れ…か)」漆黒の男の言葉を思い出す。「(義手から感じる強烈な意思…『どうして俺の右手にぴったり』なのか。吸血鬼の力を身に着けつつある…あの漆黒の男は吸血鬼なんじゃないか?)」教会で調べても義手のことは解らなかった。現在のテクノロジーでは不可能であると。白峰家当主・白峰雪名のお付き兼技術者の水元来海は『自分たちが目指しているもの』だとも言っていたことを思い出した。「こんな時に親父がいれば…」元々吹雪は二郎の父・紫蓮と組んでいた。教会の命令で紫蓮は東京に行くことになり、代わりに二郎と速水恭一が組むことになった。それは教会の幹部である長門顕彰の決定であった。二郎は身の回りの一連の事件の流れが何かによって仕組まれているように感じた。「(東京で事件が起きなければ吹雪さんはそのまま親父と組んでいただろうし吸血鬼にさらわれることもなかったかもしれない。吹雪さんの親父さんも吹雪さんが教会に入る少し前にヨーロッパに行くことになったらしいし…霄さんが元吸血鬼ハンターに襲われて兄貴が巻き込まれることもなかったかもしれない)」いつの間にか眠りについた二郎。翌日、携帯電話の音で目を覚ました。『よぉ二郎、起きたか?俺はこれから準備して昼前には田口堂に行くわ』「そうか、俺は亜珠香の病院に寄ってから行くよじゃあまた後でな」簡単な食事を済ませ身支度を整え家を出る二郎。自転車で病院に向かう。途中携帯電話にメールが入った。「ん?…母さんからか。何なに…今日は家に帰れそうだから何か食べたいものあったら教えて…か」二郎は自転車を止めメールを返信する。「大阪に行ってるんだよな…じゃあ豚まんかな」送信し終えポケットに携帯を入れたところでまたメールが入った。「ん?今度は親父か」『東京も闇の住人絡みで大変な事になっててな、まだ帰れそうに無い。蓮也の事が気になって仕方がない毎日だ。母さんにはバレてないだろうな?長門顕彰氏に任せてあるからお前は無茶するなよ?』「東京で何が起きてるんだ?…兄貴の事はこっちで何とかするしかないか」再び自転車を漕ぎだし病院に向かう二郎。病院に到着するといつもの看護師が小走りで二郎に近づいてきた。「木城二郎君、二ノ丸亜珠香さんの事なんだけど…」「亜珠香がどうかしたんですか!?」「いなくなったのよ…夜勤の見回りの時には確認できたんだけどね。義足もない状態で車椅子も置いてないのに一体どうやって…」「そんな…」亜珠香の病室に向かう二郎。そこには空のベッドだけがあった。続く
Oct 10, 2015
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木城二郎:吸血鬼に近づいているが…白峰吹雪:斎藤勇雷に敗れ気を失った。VAMPIREEYE63「実力差」「ひいいいいやああああっ!!」両手を広げ二郎に飛びかかる国井。十指から爪が伸び二郎を囲むように全方位の攻撃をしかけてくる。対する二郎はバックル刀を振り上げながら旋回、ひと振りで全ての爪を叩き折った。「ひああああ…そんな!私の爪があああ!!」後退る国井。溶解液を連続で飛ばすも全てサイドステップで回避する二郎。「(あのマネージャーさん、俺の動きを見て土蜘蛛みたいって言った?…奥寺の血を吸ってしまったからこんな動きができるのか?)」二郎の体に力がみなぎる。義手から黒いもやが現れ二郎の全身を包んでいきスーツと化す。再び右目は真紅に輝いていた。「(なんだ?義手が俺の全身を包んでいる?)」「ひゃっ!」体を沈め、バネのように大きく飛び上がる国井、そして腹を膨らませる。「溶解液を大量ににぶちまけるつもりか!」二郎はとっさに右手を伸ばした。何故そうしたかわからなかったが咄嗟に体が動いた。二郎の掌から白い蜘蛛糸が飛び出し国井の顔面を覆った。「これは奥寺の!?」「うぐううううう…」腹を膨らませたまま苦悶の表情を浮かべ着地する国井。顔面に張り付いた蜘蛛糸をはがしにかかる。「うおおおおっ!吐かせてたまるか!!」連続で蜘蛛糸を発射する二郎。国井を固めていく。「奥寺みたいにきれいにネット出したりロープみたいな糸出せないな…どうやるんだ」蜘蛛糸で簀巻きに固められる国井、身動きが取れず転倒する。「うぐううううう…!!」「これでもう動けないだろう…」「イヤアアアアアッ!!」二郎が安心した瞬間、吸血鬼斎藤勇雷が飛びかかって来た。電撃を帯びた竹刀型特殊警棒の突きが喉を狙う。「はっ!」横に身を躱し、片手を地面に付け側転。その状態からバックル刀を振り斎藤勇雷の脇を狙う。それを半歩下がって回避する斎藤勇雷。「その漆黒の鎧がお前に力を与えているのか?先程までとは違うその土蜘蛛めいた動きはなんだ?」バックル刀で突きを仕掛ける二郎、斎藤はバックル刀を弾き上げ正眼に構える。二郎は一歩下がり腰を低く落として下段に構える。「よくわからない…だけどこの力で吹雪さんを取り戻す!」蜘蛛糸を放つ二郎。斎藤の竹刀型特殊警棒の電撃が蜘蛛糸を弾く。二郎は蜘蛛糸を放ちながら左手でバックル刀を持ち袈裟斬りを仕掛ける。「イヤアアッ!」必要最小限の動きで蜘蛛糸を弾いた斎藤はそのまま二郎の左手を小手打ちする。「があああ…」重い衝撃と電撃が二郎の体を駆け巡る。黒いスーツがダメージの多くを吸収しているため二郎は意識を失わずに済んだ。「イヤッイヤッイヤーッ!!未熟!!その能力は使いこなせていない様子。付け焼刃でこの俺に勝てると思うなよ」小手、面、胴を撃ち込む斎藤。二郎の体は電撃の衝撃で後方に吹き飛び屍人をなぎ倒す。斎藤は蜘蛛糸で簀巻き状態の国井を解放し自らの血を国井の口に垂らした。「うひゃあああああふうううう!!ありがとうございます!ありがとうございます!!」「国井よ、お前はあの鬼女を撃退してみせよ」「任せてくださいいいいいっ!!」全身から電撃を放ちながら飛び上がる国井。真柴に迫る。「さて、俺は少年と牛鬼と土蜘蛛を相手にせねばな」ゆっくりと二郎に近づく斎藤。その前に奥寺舞子が立ちふさがった。「何やってんのよ木城君!」「奥…寺…」二郎は痛みに耐えながら体を起こす。「まずは土蜘蛛か。別に俺は牛鬼と同時でも構わんのだが?」「そう」奥寺舞子は指で糸を引く。奥寺舞子と野村萌絵に倒されていた屍人が立ち上がり一斉に斎藤に攻撃を仕掛ける。「イイイヤアアアアアッ!!」斎藤は電撃を帯びた竹刀型特殊警棒を360度振り屍人をなぎ払った。屍人は一気に数を減らし半分以下にまでなっていた。「なるほど、お前は知能の低い存在なら小蜘蛛で自在に操れるというわけか」「いいのかしら?そんなに余裕ぶってて」「なに?」「ぶっ飛べオラアア!!!」屍人をかき分け、髪で作ったスーツに身を包んだ野村萌絵が飛び出した。斎藤の顔面に右ストレートを叩き込む。「グッ…」「ぐふ…」斎藤は殴られながらも片手面で萌絵の頭部を打った。屋上を囲むフェンスに叩きつけられる斎藤、地面に伏す萌絵。ヘリポートの上。斎藤の血を受け、電撃の力を得た国井花子と真柴樹里の対決は早くも終わろうとしていた。「ひっひいいいいいいいいいいい…そんな!」踏み込む真柴、次の瞬間国井の体中に切り傷が現れ血が噴出する。国井はなすすべもなく仰向けにたおれる。「国井花子…これまでです。それから斎藤勇雷、貴方もです」真柴は斎藤を睨みつけて言った。「狂化してやったあの国井をここまで一方的に倒すとは。鬼女め…」斎藤はフェンスから体を起こし口に溜まった血を吐き捨て、ヘリポートに飛び上がり吹雪の腕を掴んだ。その後おもむろに空中に放り投げ屋上のフェンスの外に吹雪を投げ捨てた。「吹雪さん!!」二郎は手をかざし、フェンスの隙間から蜘蛛糸を飛ばしたが届かない。奥寺舞子は軽い身のこなしでフェンスを超え、身を乗り出して下を覗き見た。しかし吹雪の姿はどこにも無かった。「いないわ!」「そんな!!吹雪さんをどこにやった!!!」「言う必要は無い、安心しろ殺しはせん。移動させただけだ。これで任務完了だ」「うおおおおおおおっ!!」力を振り絞って立ちがる二郎。刀身に炎を纏わせて満身創痍の体で突進する。斎藤に軽くいなされ逆に後頭部に竹刀型特殊警棒を叩き込まれた。「未熟!」「が…」倒れこむ二郎。「木城君!」「ウグアアアアアア…」屍人パワースーツ軍団が屋上に押し寄せてくる。その数は100 を超えている。奥寺舞子と野村萌絵は迫る屍人を蹴散らしていく。「まだこんなにいるなんて!」「いやあん!多すぎ!!」「これほどの兵力をまだ残しているとは!」真柴も加わり屍人を蹴散らしていく。それを見届けた斎藤は吹雪を放り投げた側のフェンスに向かってゆっくりと歩き出す。「ま…て…」二郎の体を覆っていた義手から発生した黒いスーツはすでに消え、右目も元に戻っていた。軽かった体は鉛のように重くなり、手を伸ばしても蜘蛛糸はもう出ない。「少年、お前には再戦の機会を与えてやると言ったはずだ。だからこの場はあえて見逃してやる。己の実力の足りなさを悔い、精進するがいい」竹刀型特殊警棒を空に掲げる斎藤。強烈な光を放ち、辺りを包み込んでいく。光が消えたあと斎藤の姿も消えていた。二郎が目を覚ましたのは車の中だった。隣の座席には恭一がいる。「よ、目が覚めたか…」「恭一…ここは?」「芸能プロダクションのマネージャー真柴さんのワゴン車だよ。あれからもう半日も経ってるんだぜ」二郎は吹雪がさらわれたことを思い出した。「そうだ恭一!吹雪さんが!!」「ああ、奥寺に聞いた…俺達情けねえよな…女の子を守れない男なんてよ」「もっと強ければ…」「警察はもうあてにならないから一応教会に連絡入れといたぜ。すぐ対処するとか言ってたな」「そうか…」拳を握り締める二郎。恭一は窓から遠景を見つめている。すでに日は沈みかけている。二郎と恭一はそれ以上何も話さず外を見ていた。しばらくするとマネージャーの真柴と緋川燿子、奥寺舞子、野村萌絵、山根妃羅莉が現れた。ワゴン車に乗り込んでくる。「気がついたのね木城君。怪我してると思って病院に運ぼうとしたんだけど特に目立った外傷もないし速水君がついてるって言うからワゴン車で寝て貰ってたんだけど。まぁ念の為に病院には行っておいたほうがいいかもしれない」奥寺舞子は二郎の後ろの席に座る。「ありがとう。ところで皆でどこに行ってたんだ?」「仕事よ。そもそもその為に警察署に来たんだから。本物の警察署にいって皆で一日署長してきたわよ」「そうだったな。じゃあ俺たちは帰るよ皆さんありがとうございました」降りかける二郎、その様子を見て真柴が声をかける。「ついでですから自宅までお送りしますよ。遠慮なさらずに」「お言葉に甘えようぜ二郎。俺もクタクタだぜ」「あのそれなら寄ってもらいたい場所があるのですが。そこで下ろしてもらえますか?」ワゴン車は駐車場から出て交差点を右折する。続く
Oct 6, 2015
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木城二郎:新しい力に目覚めつつある奥寺舞子:軽い身のこなしに超感覚、蜘蛛糸を自在に操り麻痺毒、小蜘蛛も使役できる。VAMPIREEYE62「誘拐」「立ち上がったことは褒めてやろう、だがその体で何ができる?」「…吹雪さんをどうするつもりだ!」ゆっくりと歩を進める二郎。「主の命令に従って連れて行く。それだけだ」吸血鬼は吹雪を抱えたまま歩き出す。二郎は右目を真紅に輝かせ全身の痺れと激痛に耐えながらかろうじて歩いている状態。二郎の後ろで倒れている恭一意識を失っている。「その吸血鬼にも似た魔力…お前がどのような存在か分からんが興味が出てきた。再戦の機会をやろう、この場は見逃してやる」吸血鬼は吹雪を抱え廊下を進み角を曲がる。二郎は力を振り絞り歩を進めるが追いつけるはずもなく見失う。「くそおおおおおおおお!!」―警察署一階緋川燿子、奥寺舞子、野村萌絵、山根妃羅莉は合流していた。「真柴マネージャーさん見かけはりました?」「見なかったわね。萌絵と妃羅莉はどう?」「私も見なかった~」「どこいったんだろうね?」「上の階はまだ行ってなかったですねぇ、そういえば白峰吹雪さんらがいてはるはずですねぇ」緋川燿子は扇子を閉じて言った。「上の階から大きな魔力を感じるわ」奥寺舞子が言った。「え~まだ鬱陶しいのいるの?もうやだぁ~私疲れちゃった~」「あたしもお腹すいたよ~」野村萌絵と山根妃羅莉が言った。「大きな魔力が一つ…消えかけの魔力が一つ、小さな乱れている魔力が二つ…ですなぁ」「木城君達ねきっと。とりあえず皆2階に行こうよ」「はぁい」「ほーい」2階に上がる4人。廊下に倒れている二郎と恭一を見つけた。「あれは速水恭一さんと木城二郎さん」「木城君!」「やだぁ~吸血鬼の血なまぐさい魔力が残ってる~」「うわぁ…廊下めちゃくちゃになってるね」緋川燿子は恭一を抱き起こし、奥寺舞子は二郎を起こした。「大丈夫ですか?何がありました?」「あ…妖狐のおねえちゃんか。吸血鬼だよ…とんでもねー速さの…電撃使いの…」恭一は痺れの残る体を起こして言った。「木城君!どうしたのよ!?」「奥寺か…頼む…吹雪さんが吸血鬼にさらわれた…助けてくれ…」二郎の右目は戻っていた。体を震わせながら奥寺舞子の肩に手を乗せる。「ちょっと!なんで私があんな女を助けなきゃ…」「頼むよ…早くしないと吹雪さんが…」二郎は奥寺舞子の目をじっと見つめて言う。「…ただじゃ嫌よ。河原町に出来た新しいカフェのドーナツおごってよね」奥寺舞子は小さくため息をついて言った。「ああ、約束する」「燿子と萌絵と妃羅莉の分もよ?」「ああ…」「じゃあ交渉成立ね。木城君や白峰吹雪の為にやるんじゃなくてこれはビジネスだからね」奥寺舞子はそう言うと立ち上がって蜘蛛糸を放つ。二郎と恭一の傷口を塞いでいく。「応急処置だけど包帯より頑丈よ。24時間で消えるようにしとくから安心して」「ありがとな奥寺」「サンキュー奥寺」「さて…私と萌絵は吸血鬼を追うわよ。燿子と妃羅莉はここで木城君と速水君を見てて。この場は燿子がいればとりあえずは安心だし、妃羅莉は色々できるし」「いやぁん舞子ちゃん人使い荒い~…でも首謀者のクソ野郎を殴りたかったからOKよ~」「………木城君どうしたの?」二郎の異変に気づく奥寺舞子。息が荒く、右目は徐々に赤みを帯びていく。「ハァハァハァ…(なんだ?ものすごく喉が渇く…飲みたい…水じゃなく暖かい血が飲みたい!)」二郎は奥寺舞子の腕を掴んで引き寄せる。「え!?」そして口を開き手首に犬歯を突き立てた。「痛った!何、木城君!?」奥寺舞子は二郎を引き剥がす。「ああああああああああああああっ!!」二郎の体に熱い血が駆け巡る。体に力が湧いてくる。そして土蜘蛛の魔力が流れ込んできたのを感じた。「木城君…?」「あああ…俺はなんてことを…すまない、奥寺!本当にすまない!!」「ちょっと!ビックリしたわよ!こういうことやめてよねっ!!どうしたのよいきなり噛み付くなんて」「大丈夫か奥寺…」「このくらい直ぐに治るわよ。それよりどうして急に噛み付いたの?」「それは…」二郎は漆黒の男のことは伏せ、義手の影響だと考えられると奥寺舞子らに話した。「へぇ…まるで吸血鬼ね。あの女に吸血鬼にされたわけじゃないのね」「吹雪さんはそんな事しないよ」「あっそ」緋川燿子、山根妃羅莉、動けない恭一を残し、3階を目指す奥寺舞子と野村萌絵。3階への階段を目指して歩いていると後ろから二郎が追いかけてきた。「あれ?木城君どうしたのよ」「俺も一緒に行く、もう体は大丈夫なんだ。その…奥寺を噛んでしまってから急に体が楽になって…それに敵の事を教えておいたほうがいいと思ってね」奥寺舞子の血を取り入れた二郎の体の傷は既にふさがり消耗していた体力も戻っていた。二郎は二人に竹刀型特殊警棒を持った吸血鬼の男の事を話した。「電撃と剣術を使う相手…」「いやぁ~ん雷こわーい!…でも~負けたくないかな~」吸血鬼の魔力を辿り、3階から4階に上がる。そして更に上の屋上に。ヘリポートの前には吸血鬼、国井花子と呼ばれた女、地面に寝かされている吹雪の姿が見えた。「土蜘蛛に牛鬼か…山蜥蜴、砂撒き狸、元興寺を倒してきたか。それと先ほどの少年…」吸血鬼は竹刀型特殊警棒を正眼に構える。「ここで全員始末してもいいが白峰吹雪を連れ帰るのが任務なのでな。お前たちの相手はこの国井花子と屍人の連中に任せる」前に出る国井花子、屋上に上がってくるパワースーツの屍人達。二郎たちを取り囲む。「かかれ!」竹刀型特殊警棒を振り下ろし命令する吸血鬼。その時、屋上に設置された貯水タンクの影から何かが飛び出した。影は手刀を一閃、吸血鬼のヘルメットを切り裂いた。「浅かったか」現れた影は鋭い目つきをしたおかっぱ頭の長身の女性。茨木童子・真柴樹里。奥寺舞子たちのマネージャーであった。「マネージャー!」「真柴さん!!」吸血鬼の男のヘルメットが落ちる。その顔を見て真柴は呟く。「その顔…京都府警警部補・斎藤勇雷…ね。これで目的は達成しました。奥寺さん、野村さん、ここを出ましょう。『本物の警察署』では一日署長の到着を待ってますよ?」「ふん、鬼の手の者か…?俺の正体を突き止めたところでお前たちは何もできん。先日の熊童子のように一人一人始末していってやる」斎藤は焦る様子もなく平然と言い放ち、竹刀型特殊警棒を上段から真柴に振り下ろす。真柴はそれを『何か』で空中で弾き大きく後ろに飛び、ヘリポートから降りた。「マネージャー!!私たちはそこに倒れてる白峰吹雪を取り戻しに来たのよ!!木城君と約束したんだからそれまではここを離れないわよ」「そうなの~」奥寺舞子と野村萌絵は屍人らを相手にしながら言った。「…そうですか分かりました。では、早急に取り戻し一日署長の仕事に行きましょうか」「よそ見してんじゃないよ!ひゃふううう!!」傍にいた国井が爪を伸ばし真柴に襲い掛かる、真柴はその爪が体に届く前に『何か』で空中で弾き返す。「貴女は国井花子…八百比丘尼ですね。以前スカウトに伺った時に断られましたが吸血鬼側についていたとは」国井は真柴の繰り出した手刀を海老反りで回避。逆立ちの状態から舌を伸ばして足を狙う。真柴は片足を上げて避け、そのまま横蹴りで国井花子の脇腹を蹴った。「ぐぇっ…」もんどりうって転がる国井。「国井花子、貴女の相手は私じゃありませんよ」「な…に…!?」「吹雪さんを返せ!でやあああああっ!!」二郎がバックル刀を構えてヘリポートに迫る。国井は爪を伸ばし二郎を迎え撃つ。「はっ!」地面を蹴り空中回転捻りで5本の爪を全て回避する二郎。「(軽い、体がめちゃくちゃ軽い!それによく見えなかったあの爪の攻撃がはっきりと見える)」「ひゃひゃひゃううう!」溶解液を連続で吐き出す国井。二郎は側転宙返り、バック転で全て回避。「(何で急にこんなに俺の身体能力と知覚が上がったんだ?)」茨木童子・真柴はその動きを見て、「まるで土蜘蛛の動き…」とつぶやいた。続く
Oct 5, 2015
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小学生並みの工作力(涙)ですが諦めずに投げ出さずに進めています。
Oct 4, 2015
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