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木城二郎:二郎の選択は吉と出るか凶と出るかVAMPIREEYE69「解決策」「君一人でどうにかできる問題ではないと思いますけど?」来海は眼鏡の奥の鋭い眼光で二郎を見据える。「そうかもしれない。でもこのままじゃ全面的に争うしかなくなる。その時にとんでもない敵が現れたらどうするんです?共倒れになってしまうのでは?何よりこんな…家族同士で争うなんて…」二郎は黒い男の言葉から想像できる事を口に出してみた。「今現在一番京都を混乱に陥れてるのは華月ら吸血鬼です。それに対処するのが最優先だと思いますけど?これを放っておいて他のことなど出来はしませんよ」「だからこそ俺だけが動く意味はあるのではないでしょうか?華月さんが復活したと知れば教会もいろいろと動かなければならいでしょうし闇の住人絡みの事件もあるでしょうし。その前にやってみてもいいのでは?」「うーん…そうですね…教会の任務とは関係なく君が『偶然白峰華月と会い話をした』事があっても誰も何も言えないね。それで何か解決の糸口が掴めれば儲けものかも」「ええ」「危険よ二郎君!!」吹雪が叫んだ。「多分大丈夫だよ…殺されたりとかないと思う。ちゃんと話をすれば聞いてくれそうだし」「だいたいどうやって会いにいくの?」「警察署に行けばいいんだ。斎藤勇雷が警察官だって分かってるし」「取り合ってもらえないわ」「大丈夫、あてはあるんだ…メールを使うんだよ」二郎は奥寺舞子が使っていた暗示メールのことを言った。「ちょっと駄目な方法かもしれないけどそれを一般人の警察官に使えば斎藤勇雷に会うことができる」「斎藤に殺されるわ!」「そうかな…話し合いには応じそうな気はするけど」「じゃああたしが一緒にいくよ」霞が手を挙げた。「何言ってるの!?霞がそんな事をする必要なんて…わたしが行くわ」「おねえちゃん、その斎藤って人電撃使うんでしょ?じゃああたしの出番だよ。あたしの魔力特性も電撃だし」「でも…」「あたしね、今超やる気になってるの。霄ちゃんも連れてかれたし何もしないでじっとなんてしてられないんだ」霞の髪が緑銀に変わっていく。「再生力も姉妹の中で一番だしそうそう簡単にやられないよ。あたしは霄ちゃんみたいに速くないし、おねえちゃんみたいに器用じゃないけど」「お母さんからも霞を止めて!」吹雪は雪名を見る。雪名は意外にも微笑んでいた。「大丈夫よ吹雪。お話しにいくだけでしょ?それに霞の気持ちすごくわかるの。じっとしていられなくて今すぐここを飛び出したいのよ私も。もし、霞にも何かあったらもう我慢できないわ。馬鹿な吸血鬼連中潰しに行くわ」「あ…ごめんさいお母さん…お母さんも耐えてたの忘れて…」「いいのよ吹雪、貴女が謝ることじゃないわ。原因は馬鹿な母と黒谷なんだから。後気になることといえば…吉良が戦闘したロボットね。見た訳じゃないから違うかもしれないけど…来海、CAROMの画像出せる?」「少々お待ちください」来海はタブレットを操作し白い猫科の耳を生やしたような流線型の人型ロボットの画像を表示させる。「吹雪、あなたが見たのはこれ?」「ええ、それよお母さん」「これは教会が密かに開発していた対闇の住人用アンドロイドなのよ。パワースーツが発達しても生身の人間では危険な斥候や調査、制圧を目的としたものね。そしてこれは私を研究した結果生まれた物」雪名の言葉に頷く来海。「以前木城二郎君の義手を見せてもらって驚いたのはこのCAROMの技術をさらに超えた物だったからですよ。しかも白峰家ではなく君自身が媒介になっている。ありえない。しかしそのおかげでCAROMは完成に至った。黒谷たちが持っているということはどこからか盗まれたか…あるいはデータを抜き出されたか」来海は以前取った二郎のデータを表示させる。「データの持ち出しはチェックしていますしサーバーはオフラインです。盗まれた機体もありません…考えられるとすれば全てCAROMのデータを記憶して再現したというくらいしか…」「黒谷サイドにスパイがいるということね」「そう考えられます。今のところ全てこちらがしてやられてる状態ですね。葛野や長門が木城紫蓮様や蔵人様を京都から遠ざけたり小賢しい事をしてくれちゃってるから」「流石に今回の事で焦るでしょうね。そうすれば私も来海もある程度自由に動けるようになるはず。その前に二郎さんに頑張ってもらわなきゃ」雪名は二郎に向かって微笑む。二郎はその顔を見て一瞬で固まった。「………」横から視線を感じ我に返る二郎。吹雪が細めで見ていた。「お母さんの事見すぎ」「え!?そ、そんなつもりじゃ」その横では恭一が嬉しそうにしていた。―奥寺舞子のマンション翌日行われるヴァルキリーのミニライブのリハーサルを終えたメンバーは周防美古都と合流し買い物を終え奥寺舞子の所有するマンションに帰ってきていた。「お客さん…100人位は来るかなぁ?」山根妃羅莉が言った。「さぁ…告知してないしセンジョーのさくらがほとんどじゃない??」奥寺舞子はカイコマンのキーホルダーを回しながら言った。「まぁまぁPVの撮影が本来の目的やさかい」緋川燿子は朱色の手鏡を見ながら言った。「今回の衣装ちょっと胸きつ~い!甲冑イメージわかるけど~」野村萌絵は甲冑モチーフのビキニアーマー衣装の携帯画像を見ながら言った。「あんたと妃羅莉のは露出高くて動きやすいと思うけど…燿子なんてぽっくり下駄に着物よ?ミニスカ浴衣の私はまだマシだけど…あ、木城君からメール」舞子の周りに集まる。燿子、萌絵、妃羅莉そして美古都。「え~っとどれどれ~…『吹雪さんは帰ってきたから大丈夫。愛してるぜ舞子』」萌絵がふざけながら言った。「はああああああああっ!?どこにそんな事書いてあるのよ!!それに何覗き込んでるのよ!!燿子まで!!『吹雪さんは帰ってきたから大丈夫。頼みたいことがあるんだけど』でしょうが!!」舞子は飛び上がり天井から蜘蛛糸でぶら下がる。「『あの時使った催眠メール使いたいんだ。教えてくれないか?』ふ~ん…あのデータまだあったかな…何に使うか知らないけどまぁどうでも良いかな」舞子は『これよ。多分まだ使える』と圧縮フォルダを添付して二郎に返信した。「舞子様!!どういう関係なんです!!この男とは!!」飛びつく美古都。「ああもうっ!くっつかないでってば美古都!前も言ったけど『様』やめなさいよ。木城君はただのクラスメイトだってば。別に普段交流ないわよ」「そうですか…もやもやしますけど信じます!!」舞子はぶら下がった糸から降り軽く横宙返りで飛び、リビングのソファに座る。「何をやろうとしてるんでしょうね?」「さぁ?別にどうでもいいわよ」「気にならないんですか?」「どうせ教会の任務か何かだろうし」カイコマンのキーホルダーをいじりながら舞子は言った。「奥寺さん、ところで警察署で会った吸血鬼らの居場所は分かりそうですか?」燿子がそういうと舞子は頷いた。「流石は奥寺さんやわ。安々と逃がすとは思えませんでしたし」「それでも途中で糸切られたけどね。で、その糸がどこで切れたかというと…伏見桃山城近くのマンションの前よ」「あらあら…明日のライブ会場の近くやないですか。ちょうど良いと言うか、ついてるといいますか」「珍しく燿子がやる気を出してるなんてね。じゃ、ライブの後にって事でいいわね?」「おや、そんな風に見えましたか?まぁそうですねぇ…京都の街に邪魔な連中やさかい出て行ってもらいたいと思うてますよやりましょ」燿子のその言葉に舞子、萌絵、妃羅莉は顔を見合わせる。「センジョー側も別に何も言ってこないし好きにしていいって事でしょ」「教会の邪魔が入らなければもっといいのにね~」「やってやろうね!フットサルの試合よりドキドキする!」それを聞いていた美古都。「わ、私も参加しますよ!ライブ終わったらご一緒させてください!吸血鬼は私も少なからず恨みがあります、十字槍で蹴散らしてやりますよ!」美古都の言葉に四人は頷いた。―伏見桃山城付近にあるマンション白峰華月はゴシック調に揃えられた部屋でドレスを着せられていた。黒谷の手によって。「我の身に着ける物全てお前が用意しているが、冬華の物もお前が用意するのか?」「そのつもりですが?」「そうか。ところで、霄はどうしておる?」「両手両足を繋げた後大暴れしました」「ふっふっふ…分かった、では我が行こう」華月は装飾の施された椅子から立ち上がり黒谷の手を取る。黒谷は黒い渦を発生させ華月と共に中に飛び込んだ。飛び込ん先は扉も窓も無く、天井壁床全てが白い正立方体の部屋だった。その中央にあるベッドに霄は膝を抱えて座っていた。「そう睨むな。我が何者かいうまでもないな霄よ」「白峰華月…」「呼び捨てとはな。まぁ良い、お祖母さんなどと呼ばれてもいい気はしないのでな」「私をこんなところに連れてきたのは何が目的だ!!」霄は魔力を高め華月に殺気をぶつける。「お前を育てる為だ。白峰家の当主を継ぐのはお前しかいない。今のままでは当主の力を使いこなすことはできないどころか吸血鬼としても成長できぬ。だから我がお前を迎えたのだ。わざわざこんな方法をとったのは本気の力を見たかったのでな」「貴女は既に死んだ存在だ!それに当主はお母さん、貴女ではない、学ぶことなどない!」「ふっふっふ…それはどうかな?」続く
Nov 17, 2015
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白峰雪名:物静かで優しいが突然感情を爆発させることもある木城二郎:常に銀髪となった吹雪に驚いているVAMPIREEYE68「分岐点」―田口堂。「自宅で目を覚ましたわたしは全てを吉良と須原から聞いた…」銀髪の吹雪は静かにそう言った。「白峰華月が強大な相手であろうとわたしは引くつもりは無い。二郎君、恭一君、わたしと一緒にお母さんに会いに来て。白峰華月を一度は滅ぼしたお母さんに話を聞きに行くの」「吹雪さん…」「吹雪ちゃん…」「白峰華月が祖母であろうと、姉さんを傷つけたあの人を許さない。お母さんの考えを真っ向から否定し人間との共存を拒み支配することしか考えていない。白峰華月を復活させ大勢の人を殺し続ける黒谷もその仲間も許さない」―碁盤の目町中央の塔。「いつ来てもここの地下都市は慣れないな…なんかよぅ…セットつーか生活感があんまりないっていうか」エレベーターの中で速水恭一はつぶやいた。「用事もなくブラブラしてる人がいないのも関係してるのかな?碁盤の目町ってみんな何かしらの仕事についてるみたいだし」「そうね」吹雪は一言だけそう呟いた。エレベーターを降りた三人を待っていたのは白峰家世話係の一人であり教会の技術者である半魚人(マーマン)・水元来海と吹雪の妹白峰霞であった。「や、来たね。吹雪ちゃんの報告を聞いて教会はてんやわんやの大騒ぎよ。雪名様にはまだ聞かせてないからよろしくね。止められるのは実の子の吹雪ちゃんだけだし」「来海…」水元来海はメガネのズレを直し吹雪の肩に手を置いた。「…霄ちゃん大丈夫だよね?だってお祖母ちゃんが連れて行ったんでしょ?あったことないけど孫に酷いことしないよね?」「霞…あなたは絶対に白峰華月に関わったらダメ。今のままで無事に居てくれることが家族みんなの願いなのだから」銀髪のままの吹雪を見つめる霞に対し吹雪は少しだけ微笑んで言った。「じゃ、行きますか」来海についていく一同。絨毯の敷かれた廊下を進み引き戸を開け一段上がった畳の部屋に入る。ふすまをあけて進んで行くと二郎の義手が共鳴しだした。「これは…ユーユーで華月さんと会った時と同じような強さの反応だ…」7枚目のふすまを開けると座布団に座った銀髪の白い着物の女性が見えた。白峰家現当主、白峰雪名。「あ…」「うぉ…めちゃくちゃキレイな人じゃねえか…吹雪ちゃんのお母さん」「お母さん…」吹雪の姿を見た雪名ゆっくりと立ち上がり瞬時に歩を進め吹雪の目の前に立つ。「なにかあったのね吹雪、霞。落ち着いていられない空気を感じるわ」二郎は見た目からくる雪名のイメージを早速崩された。穏やかで慎ましく柔らかい人だと見た瞬間は思っていた。だが、立ち上がってから吹雪の前に肉薄した時の凍てつくような魔力の流れを感じすぐに改めた。「お客さんの前で私ったら…どうぞ楽にしてくださいな。私が白峰雪名でよろしくお願いします」頭を深々と下げる雪名。その所作に見とれる二郎と恭一。「(華月さんはジリジリと焼かれるような感じだったけど雪名さんは凍りつきそうな感じの魔力だ…吹雪さんに似ている)」「あら~?男子二人、雪名様が色っぽいからってジロジロ見ちゃダメですよ。実際エロボディですけど」場の空気を変えようとしたのか来海が冗談めかして言った。「そ、そんな目で見てませんよ!」「本人目の前でそんな発言ヤバくないっすか…」来海は気にする様子もなく、雪名は笑顔を浮かべているが吹雪は二人を少し軽蔑した目で見ている。霞はどうしていいか分からずキョロキョロと目を動かしていた。「さて、じっくりと話を聞きましょ」畳に座る一同。吹雪が事の顛末を話した。「…そうやっぱり。こうなったらもう教会は私を碁盤の目町にとどめておけないかも」白峰華月に対抗し得るのは自分であり、当主の力を狙っているのであれば餌にもするだろうと雪名は言った。「お父さんの力は借りれないの?」霞が言った。雪名の夫であり霄、吹雪、霞の父である蔵人は現在ヨーロッパの任務で日本を離れている。教会の実力者10人に入る実力を持っている。「…ヨーロッパでも大変なことが起きているのです」来海が言った。「白峰華月が復活したと思われる少し前に、イギリスで強大な吸血鬼が現れ『アーサー・ペンドラゴン』を名乗ったそうです。すぐさま吸血鬼専門チームが結集され蔵人様もそこに。今もアーサーはまだ退治できていない状態です」「アーサーってあの円卓の騎士のアーサー王!?なんで吸血鬼に?」二郎が声を上げた。「アーサー・ペンドラゴン本人かどうか確実な証拠はありませんが強力な剣と鞘を持っているとの報告があります。他にも複数円卓の騎士を名乗る吸血鬼や屍人、ホムンクルスが現れています。そしてマーリンを名乗る人物がそれらの背後にいるとか」「…似ているわねこっちの状況と。黒谷とマーリン、白峰華月とアーサー…配下の吸血鬼に円卓の騎士…」雪名が言った。「黒谷は西洋出身の吸血鬼。20年ほど前に白峰華月が滅ぼされたのち彼はイギリスに行っていたのでは?そこでマーリン、もしくはそれに関係する者たちから吸血鬼死者復活の術を学んだとか?」来海はメガネを触りながら全員の顔を見ながら言った。「そうなんだ…お父さんの力は借りれないね」「俺の親父も東京で大変な事件を追っていると言ってたよ」二郎は霞を見ていった。「木城紫蓮様は…現在東京都で起きている同時多発怪人化事件を追っていますね。教会の最高幹部であり最強の陰陽師の葛野忍様と共に」「ちょちょ、ちょっと待ってくれ来海さん。頭が整理できねーよ。イギリスだの東京だのの話は今関係あるんすか?」恭一が頭をかきながらいった。「まぁ…関係なくもないですが、ここにいる全員がどうこうできる問題ではありませんでしたね。話を戻しましょう、白峰華月と黒谷ジークベルトの事ですね」来海は軽く咳払いをした。「白峰華月は闇の住人に対しての最高戦力であったわけですよ。教会に属していないものの白峰家は昔からそういった闇の住人絡みの事件を解決してきたのです。白峰華月はあまりにも強力だったために教会は恐れ始めたんですね」「…海外の映画でそういうのあったね。『ハイパーマン』がまさにそれ。強すぎたために疎まれて人間が封印しようとするって話」「速水君の言う通り。教会は白峰華月をどうにかして制御するか始末したいと考えるようになった。しかし教会は白峰家を滅ぼすつもりはなく、当主の力を手に入れたかった」「そこで娘の私に目をつけたの」雪名が言った。「扱いにくい華月よりも次の当主、もしくは当主の力を手に入れれば良いと。その話を持ってきたのがあの方…雪名様の夫になる蔵人様。通い続けるうちに二人は惹かれあうようになりやがて一緒になることを誓い合いました。蔵人様は雪名様を守る為に教会に掛け合いました」「それでどうなったんです?」「それで!?」二郎と恭一は目を開いて言った。「当主を雪名様に継がせればいい。そうすれば華月は無用の存在だと教会は言いました。そんな折、白面金毛九尾が復活したとの情報が入りました。国が滅びるほどの力を持った存在の復活に教会は華月をぶつける事にしました。七日七晩の死闘の末、白面金毛は弱りついに封印することに成功しました。流石の華月といえど力をほとんど使い果たし満身創痍の状態でした。そこに葛野忍、大天狗の長門顕彰、木城紫蓮様が華月に金縛りの術を仕掛け、雪名様が白峰家伝来の刀で華月の心臓を突き刺し、吸血鬼ハンターの蔵人様が華月の魔力を封じ再生を停止させました。雪名様は当主の力を華月から奪い取ることに成功し、華月は灰になりその灰は復活を防ぐために雪名様が吸収されました。刀は木城紫蓮様が受け取りご自身の蔵に封印されました」「とても辛い決断だったわ。肉親を裏切りこの手にかけるなんて…」「白峰家の未来の為に雪名様は辛い判断を下された。世話係一同も納得したことです。黒谷を除いては」「黒谷はちょうどその頃イギリスに用事があって居なかった。いれば華月を封印することはできなかったかもしれないです」話を聞いていた二郎は黒い男の言葉を思い出していた。『白峰家を守れ』「(華月さんを滅ぼしたことが正しかったのか?そんな事をされるほど悪い人には見えなかった…ちゃんと話合えば解決できたのではないのか?)」「あの、華月さんを滅ぼさなければならないといけないと判断したのは誰なんですか?」二郎は来海に言った。「恐らくは教会の最高幹部、葛野忍と長門顕彰ね」「誰も反対しなかったんですか?」「蔵人様と木城紫蓮様は反対だったんですよ。でもそうするしかなかった。そうしなければ白峰家は教会に敵と認識されるところだったのですから」「じゃあ…華月さんは今、俺の親父や吹雪さんのお父さんの蔵人さん、葛野忍、長門顕彰を恨んでるってことかもしれないんですね?」「そうね…でもそれは黒谷の方が強く思っているでしょう」「どうすれば…良い解決ができるんですかね」「うーん…いっそのこと日本の教会をぶっ潰して白峰家が支配すればいいんじゃないかなーとか思ってますよ私は。ま、そんなことできないですけどね」「来海、わたしはそうするつもり」吹雪は言い放った。「お父さんを、紫蓮さんを、お母さんを利用している教会はわたしが変える」「吹雪さん…」「おねえちゃん…」「姉さんは全て背負い込もうとしていた。自分が犠牲になれば良いと考えていた。繊細な姉さんにそんなことはさせられない、優しい霞にもさせたくない。だからわたしがやるしかない。教会で誰にも文句を言わせない存在になってわたしがお母さんを解放する。その為には闇の住人をいくらでも狩る。どうせ彼らはいつか復活する存在なのだから」「駄目よ吹雪。お母さんとお父さんを少しは頼りにしなさい」「………」その時二郎の頭に声が響いた。『決断を誤るな。ここが分岐点となるだろう』「(クソ…どうすればいいんだよ!いつも突然現れて言いたいこと言いやがって!!)」「雪名さん、吹雪さん、霞ちゃん…俺、華月さんに会って話をするよ」「え!?」続く
Nov 8, 2015
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白峰華月:日々力を増している。黒谷ジークベルト:西洋の吸血鬼。華月が全て。VAMPIREEYE67「冬華」黒谷が操るCAROMが青白い月光剣で吉良を切りつける。吉良は月光剣を躱し魔力発勁をCAROMに叩き込む吉良。ボディはひしゃげコンクリートの壁に叩きつけられる。『破損率60%、機動力70%低下。警告、活動停止まで1分…』CAROMを操る黒谷は舌打ちをする。「チッ…CAROMが吉良の動きについていけません。やはり万全の状態でなければ奴には…」「黒谷、CAROMが壊れてると困るか?」華月はモニターを見つめながら言った。「メインAIのバックアップはとってありますし戦闘データは随時サーバーにアップしているので問題ありません。なのでこの機体が破損しようとも平気です」「そうか、では我にCAROMの操縦を代われ。興味を惹かれた」「しかし…CAROMはあと1分ほどで停止してしまいます」「よい、こうして話している時間も無駄だ代われ」「承知致しました」黒谷からバイザーを取り上げ到着する華月。脳内にCAROMのマニュアルが流れてくる。「ほう…」立ち上がるCAROM。『Vシステム起動』CAROMの目が眩い赤光を発する。全身から血液を思わせる赤黒いオーラを立ち上らせる。「華月様それは…まだ未完成のVシステム」「よいではないか実戦テストだ。我ならリスク無しで操れる」CAROMの両手から月光剣が伸びる。VシステムとはCAROMのAIと操縦者を同期するもの。CAROMの体内には吸血鬼化した人工血液が流れていて魔力も同期するため操縦者の能力もある程度再現して使える。リスクとしてCAROMに取り込まれる可能性もある。「この魔力は…!?」吉良はCAROMの斬撃を大きく飛んで回避する。「(遊んでやるぞ吉良。我の不束娘である雪名の下僕よ)」月光剣二刀流で連続攻撃を仕掛けるCAROM。6連続目の斬撃で光波を飛ばし回避した吉良を左脚蹴りで追撃する。左脚のカカトからはブースターのように魔力が噴射されている。「グハ…」CAROMの蹴りが命中した吉良の腹部からロケットのように魔力が噴射、ドリルめいて高速回転し吉良の腹を抉っていく。「グウウウ…これはまさか…」吉良は自らの体に魔力発勁を打ち込んで噴射するドリル魔力を打ち消した。吉良はカウンターに適した構えに変える。CAROMは両足から魔力を噴射して吉良に突進する。肉迫する寸前で飛び上がり空中回転捻り、背中にまたもドリル魔力を撃ち込む。「グアアア…(馬鹿な、速すぎる。この私がフェイントにかかるなんて…いやこれは動きが読まれている?)」吉良は全身の神経を引き裂かれるような痛みに耐えながら振り向き、CAROMに魔力発勁を両手で撃ち込む。しかし魔力発勁はCAROMに浸透せず掌で爆発した。「(フフフフ…無駄だぞ吉良。その技を誰が教えたと思っている?雪名にできることは我もできるのだぞ?)」「この戦闘ロボット…何だ…なぜ急に白峰家の…」吉良はスーツの内側から刃のついたトンファーを取り出し構える。「(ほう…瞬時に戦闘スタイルを変えてきたか。)」『動力炉限界値を突破。シャットダウンまで後10秒』「(1分も持たなんだか。だがあと10秒で決着をつけてやる)」吉良はトンファーを伐採機を思わせる高速回転、CAROMに接近。それをCAROMは月光剣で受け止めた。吉良はすかさずサマーソルトキックで魔力発勁を撃ち込む。しかし、魔力発勁は炸裂せずCAROMの顎は砕けなかった。CAROMは体を捻りソバットを放つ。吉良はそれを足でガードする。「グヌウウウウウ…」ガードした足から魔力が噴出しまたもドリルめいて回転する。吉良は激痛に耐えながらトンファーをCAROMの頭部に叩き込む。「(無駄だ!)」トンファーはまるでブレーキをかけたように頭部に命中したところで停止する。衝撃も音もせずに頭部に触れたところで停止している。「(これで終わりだ!)」掌打を吉良の顎に叩き込むCAROM。衝撃で回転し資材棚に叩きつけられる。「シャットダウン」CAROMは停止。「…トンファーの衝撃まで…伝わらないとはやはり…」「ははははははっ!!良い、良いぞ!!我の力を少しでも再現できるとは!!黒谷、お前も見せつけてやれば良かったものを!!」華月はCAROMのバイザーを外し子供のようにはしゃいだ。「私の能力とCAROMは相性が悪いようで…この国の吸血鬼である華月様の方が向いているのでしょう」「こいつは学習するのであろう?では、我の動き、能力も覚えるのか?」「流石に華月様の能力は再現はできませんが学習して得た情報を元にCAROMは能力を発現するでしょう。月光剣も私のダーク・スレイヤーの情報から発現したものですし」「良いぞ!気に入った。あの不束娘の雪名とは大違いだ。こやつの名前はCAROMのままなのか?」「CAROMというのは機体名でして、CAROMごとにAI存在し個性があります。この機体のAIは華月様が好きに名づけてくださって結構です」「そうか!ならば…冬華(とうか)と名付ける!」「おお…おおなんと華月様のお名前から一文字…ではこのAIは冬華と呼びましょう」「こやつは言葉を話せるようになるのか?外装は変えれるのか?」「はい、学習していきます。外装も華月様の好みに仕上げさせます」「黒谷、お前は良いのか?冬華に望むものはないのか?」「恐縮です…許されるのであればこの冬華のAIを載せた機体を限りなく人型に近づけ、そして華月様に少し似せていただきたく思います。それと名前の追加も」「んん??」「冬華に『白峰』の苗字をお付けいただけないでしょうか?」「………ふっふっふ。なるほどな、そういうことか。我とお前は吸血鬼同士、どうあがいても子はできまい。その代わりを冬華にしようというのか。我とお前とで冬華を育てていくというのか。良いだろう、今日からこやつは『白峰冬華』だ」「ありがたき幸せ」「それならば…お前のことはジークと呼ばねばならぬな。冬華の前で苗字で呼ぶのはおかしかろう」「おお…おおおおお…ついに私は…理想の存在と共に生きられだけでなく、共に育てられるまでに…」涙を流す黒谷ジークベルト。「それはそれとしてだ。霄はこちらに連れて帰らねばならぬ事を忘れるな」「もちろんですとも」須原の拳のラッシュが木戸を襲う。資材棚、H型鋼、壁を粉砕していくが木戸に体にはダメージは無い。「駄目駄目、僕の体にはそういうの効かないんだってば」木戸は蛇のように地面を這い須原の体み巻きついていく。まるで関節がないゴム人形のように。「ヌウウウウウ……」「僕は体の硬さと魔力を流した無機物の硬さを変えることができるんだ。だからほらこんなこともできるんだねぇ」木戸は体を伸ばし散らばった5mほどのH型鋼に倒れこみ須原の体に巻きつけていく。「いくら君が力が強くても鋼鉄を曲げる事ができてもダイヤモンド並みに強化した鋼材に簀巻きにされちゃあ動けないでしょ?」「ヌガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」「僕は君を倒すことはできないがこうやって無力化することはできるんだよ」須原は人工ボディの筋繊維が軋むほど全力で振りほどこうとするが鋼材は少しも動かなかった。華月が操るCAROM(冬華)によって意識を失いかけている吉良。その吉良と須原の体が凍りついた。棟の一番奥にある足場に両手足を失った霄が髪を掴まれて蓮也によって掲げ上げられているのが見えたからである。「霄…様…」「ウガアアアアアアアアアッ!!!!」霄を掲げる蓮也は無表情で黙っている。その横に漆黒の渦が発生した。そこから現れたのは白峰華月と黒谷ジークベルト。「しばらくぶりだな、吉良、須原。霄は頂いていくぞ、あの不束娘の元に置くより我と一緒に来た方がこやつのためにもなる。代わりに吹雪は返してやろう」「やはり華月…様…それに黒谷…」「カカカ…華月…サマ…」華月は羽毛のように軽く飛び降りる。「霄はもらっていくぞ。反対はするまいな?我に逆らうという事がどう言う事なのか解っているだろう?吉良よ」華月は瞬時に吉良の前に詰めしゃがみこむ。「私の主は…雪名様です…」吉良は全身に鳥肌が立つのを感じた。のどと鼻が乾いていく。「ほう…言うではないか。我の目をみてもう一度言えるか?」「わ…たしの…主は…せつ…な…様です…」「大した忠犬ぶりよ。その雪名に霄の護衛を命じられ遵守しようとしておるのだな。良いだろう。では次は…須原」須原の前まで飛ぶ華月。「ウウウアアアア…」「心配するな、霄は守ってやる。お前はあの家を守っておれば良い」「シカシ…」「しかし?我の言うことが信用できないのか?」「承知致しまシタ…華月様…」「それで良い、お前は白峰家を敵から守る者。お前の敵は我か?」「イイエ…」華月は須原から離れ黒谷を見る。黒谷は黒い渦を出現させそこから意識を失った吹雪を取り出した。「吹雪は返してやる。雪名の色に染まりきった吹雪は我はいらぬ。いずれ当主の力は取り戻しに行くと伝えておけ吉良、須原」「末妹の霞様はいかがなされますか…」黒谷がつぶやいた。「霞は今はまだ良い。縛らず放っておくのが吉というもの。我の母に良く似ておるのだ」それを聞いた吉良は違和感を覚えた。華月は実際に霄、吹雪、霞と会ったことはない。だが口ぶりは何年も共に過ごし理解しているかのよう。「吉良よ、なぜ我が霄、吹雪、霞の事を知っているのか理解できないようだな?簡単な事だ。血の記憶を辿ったまで。吹雪の血からな」「まさか…以前の貴女にはそのような能力は無かったはずです…」「その通りだ。以前までの我ならばこの力は持ち合わせてなかった。これは『白峰蓉花』のもの。お前が戦ったCAROMに流れる人工血液の素は蓉花の物だからな。蓮也の持つ刀の柄から蓉花の情報を得たのだ」「そんなまさか…!貴女が復活出来た事に何か関係が!?」「種明かしはせんよ。だがこれからは面白い事になっていく、期待しておれ」続く
Nov 5, 2015
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