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2013.01.12
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カテゴリ: 歴史
<大漢族主義の陥穽について>
図書館で借りた「世界の民族地図」を読んでいるのだが・・・・
この本を借りた主なわけは、中国の少数民族問題、言い替えれば大漢族主義を究明することにあったわけですね。(大使はしつこいのである)
昨今では尖閣諸島沖で領空侵犯も目に余るようで、口だけで大漢族主義を批判している場合ではないのですが。

で、報道、書籍、ネット論調から大漢族主義の陥穽について集めてみました。
・チベット族の焼身自殺防止のため
・世界の民族地図
・大東亜共栄圏論の出来の悪いコピー
・北アイルランド紛争について



<チベット族の焼身自殺防止のため>
焼身

青海省では、焼身自殺を現場で防いだ人に、黄南チベット自治州政府から20万元(約280万円)の報奨金が出るそうです。・・・・人道的というよりは、金で鎮静化をはかるところが、いかにも漢族ですね。

12/29 テレビは没収、衛星受信機器は破壊、チベット族の焼身自殺防止のため300の寺院から―青海省 より
 12月27日、米華字メディア・多維新聞によると、中国・青海省人民政府はチベット族による政府に対する抗議の焼身自殺を阻止するため、軍による警戒を強化するだけでなく、同省黄南チベット族自治州にある300の仏教寺院が所有するテレビを没収し、使用されていた衛星放送受信機器を破壊したという。
 (1エントリー文字数制約により省略)





【世界の民族地図】
世界
高崎通浩著、作品社、1994年刊

<「MARC」データベースより>
現代世界は、野放図に噴出する民族的エネルギーに覆われている。人種、民族、語族、宗教…これらの複雑な民族問題を一冊に集約した。 1997年刊の改訂版有り。

<読む前の大使寸評>
これ1冊で、世界の民族問題とか、紛争、テロ活動がわかる優れものです。
個人的にはチベット、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、北アイルランド、バスク、パレスティナ、朝鮮半島に関心があるんですが。

Amazon 世界の民族地図




<「大漢族主義」と「地方民族主義」>p306
 大躍進期(1958-62)以降は、「民族融合」論が唱えられ、漢族が唱えられ、漢族が少数民族居住地に大量に移住し、漢族への同化策が推進された。漢族の大量移民が最も精力的に展開されたのは、新疆ウイグル自治区に対してである。表に見られる通り、1955年当時、新疆の総人口487万人のうち30万人を占めるに過ぎなかった漢族は、82年には、500万人を越え、人口比で40.2%に達している。
 27年間で470万人以上の漢族がこの地へ移住(あるいは出生)したことになる。この間、新疆ウイグル自治区で人口比70%を超す多数派住民であったウイグル族は、もはや過半数を占める住民ではなくなっているのである。
 1958年から59年にかけて新疆ウイグル自治区で昂揚した少数民族運動は、中央政府より「東トルキスタン共和国」の分離・独立をはかる「地方民族主義」として断罪され、多くの少数民族指導者が党を除名され、あるいは公職を追われた。この運動の背景には、漢族の大量進出に対するウイグル族側の危機感があったと思われる。また、進出してきた漢族による、生産資源の組織的開発や農地の管理強化に対するウイグル系住民の反漢ナショナリズムがあったことが容易に想像される。
 以上述べてきたように中国の民族政策の展開は、各地で少数民族側の不満を醸成し、「地方民族主義」的傾向を生み出す一方、民族政策に孕まれる「大漢族主義」的傾向が、中ソ対立以降のソ連などから批判を浴びてきた。
 また、文化大革命期には、民族政策は階級闘争のなかに解消され、結果的に中国の少数民族は災厄の10年を送ることになる。すなわち<民族問題がまだ解決されないのは、民族に反動勢力が残存しているからであり、その解決は、階級闘争によってのみなされ得る>とされ、結果的には少数民族の伝統的文化の破壊、急激な漢民族同化策が進められ、少数民族住民の多くが迫害され、殺害されることになるのである。
 1976年の「四人組」の打倒、77年のトウ小平の復権を経て、70年代末からの「四つの現代化」路線の確定のなかで、中国の民族政策にも転機が訪れ、少数民族地区経済の回復・発展がはかられている。

<少数民族の置かれた状況>p306~308
 この項の冒頭で触れたように、中国の少数民族は漢族との比で圧倒的に少数派であること、また「大分散・小集居」状況であること等に加えて、彼らの居住地は、いずれも経済的後進地域であることが、問題をさらに困難なものにしている。
(1エントリー文字数制約により省略)





<大東亜共栄圏論の出来の悪いコピー>
中国共産党は、文化大革命というイデオロギー偏重を見直して大漢族主義にたちかえった。
そして、この先祖がえりのような変化も、少数民族にとっては、なんら改善をもたらすことはなかった。

チャイナ・ウォッチャー平野聡さんは「大漢族主義は、大東亜共栄圏論の出来の悪いコピーに過ぎない」と鋭く指摘しています。

中国が中国である限り 真の民主はありえない(後編) より

<極点に達する漢人と少数民族>
 しかし中国の国家統一問題は、単に台湾のみを対象としたものではない。中華人民共和国の圧政に長年来あえぎ、現状への問題意識を表明するだけで「国外勢力の影響を受けた分裂主義分子」として厳しく弾圧され続けている内陸アジアの少数民族をめぐる問題でもある。
中華人民共和国がもし本当に「統一された多民族国家」であるのならば、その一部分で始められた民主的な地方自治の試み=烏坎モデル(?)は速やかに全国へと広げられるべきであり、当然の前提として政治的な意見表明の自由も認められるべきであろう。しかしそのようなことになれば、少数民族が即座に中国からの独立を求めることになるのは、2008年以後のチベット問題、09年夏のウルムチ事件、そして11年の内モンゴル抗議運動など、漢人と少数民族対立が極点に達している状況からして余りにも明らかである。

 では、漢人社会には自由で民主的な自治を認め、少数民族には一切それを認めず、相変わらず森厳たる軍事力や警察力で抑圧を続け、少数民族地域の経済的利益を漢人(及び中国語を母語とするムスリムの回族)資本がほしいままにするのであれば、それは中国が激しく憎む日本帝国主義の植民地支配と同じようなものに過ぎないだろう。いやそもそも、 「漢族は56の兄弟民族からなる祖国大家庭における最も先進的な存在であり、漢族がおくれた少数民族を発展の道に導くことは中国の特色ある社会主義の先進性のあらわれ」なる言説が何らの躊躇いもなく横行すること自体、この国家を国家たらしめるものは大漢族主義そのものであり、大東亜共栄圏論の出来の悪いコピーに過ぎない。したがって、既に明白に漢人優位となっている国家において、さらに「祖国中華」への忠誠心の度合いに応じて政治的権利の付与に差をつけるとすれば、それは改めて明白に「少数民族は能力と忠誠心の両面で劣っているので二等・三等国民に過ぎない」と宣言するようなものである。そのあかつきには、さらに少数民族の怒りを激発することになろう。

<このままでは少数民族との大混乱は避けられない>
(1エントリー文字数制約により省略)

<中国人に突き付けられる究極の選択肢>
 かくして、中国の人々には究極の選択肢が待ち受けていることになる。

 中国における真の自由と民主の実現と国際的な尊敬を望むのであれば、「大漢族主義」の矛盾が根深い現状では少数民族の独立論は抑えられない以上、中国地図が今のかたちであることを諦めなければならない。これは中国近現代史における中国ナショナリズムと少数民族の不幸な関係の絶対的帰結である。

 中国の巨大な領域と、漢人主導の共産党が「おくれた」少数民族を多数従えて「正しい」発展に導いていることを誇りに思い、「偉大な祖国」への忠誠を覚えるナショナリストであり続けるのであれば、それらの価値に比べて自らの自由と民主などは全く大したことはないと諦めなければならない。

それではもう一つの選択肢として「大漢族主義」を捨て、完全に各民族が平等な社会をつくれば良いではないか? しかしそれは、漢族優位の価値観と不可分な近代中国ナショナリズムと抵触する。

 そもそも漢字文化を共有しない少数民族にとって、「中国」という文字が発する価値自体が不明である以上、「漢字文明の偉大さや先進性」なるものとともに立ち現れ自らを圧迫する「中国」に従う理由などない。モンゴルやチベットが清に従っていたのは、満洲人皇帝が草原世界共通の信仰であるチベット仏教のパトロンであったからであり、東トルキスタンのトルコ系ムスリムが清の領域に組み込まれたのは、この地を支配していたモンゴル系の王国ジュンガルが清に滅ぼされ、満洲人皇帝はイスラーム信仰を認めたからである。 だからこそ辛亥革命による清の崩壊以後モンゴルは独立に走り、チベットや東トルキスタンも独立しようとして失敗したのである。 辛亥革命が近現代中国の一大慶事であるなどという議論は、清から受け継いだ領域の安定的維持という立場からすれば著しい誤謬であり、むしろ昨年の辛亥革命100周年は清の崩壊による領域不安定化100周年として記憶されるべきある。

<中国問題は日本問題でもある>
(1エントリー文字数制約により省略)





<北アイルランド紛争について>
「世界の民族地図」を読んだ後に 北アイルランド紛争について として、読書感想を書いたので・・・・
今回のエントリーは読書感想(その2)とも言えるのです。

ここで、はたと考えるのであるが・・・
アイルランドと新疆ウイグルとの違いは何だったのだろう?
容貌については、ウイグル族と漢族の違いは1目瞭然であるが・・・アイリッシュとアングロ・サクソン族の場合、日本人では判別できませんね。
現在の状況は・・・
曲がりなりにも、アイルランドが独立できたのは、アングロ・サクソン族との戦いが人口数で拮抗していたので、辛うじて得た独立だったのかもしれないのです。


ラビア・カーディルさんが抗議して止まないのも、分かる気がします。
なお、内モンゴル人の見解は 辛亥革命って に表れています。







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Last updated  2013.01.13 22:16:09
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