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2024.08.27
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カテゴリ: メディア
漫画連鎖というコトバに惹かれて購入した古書であるが・・・・
復刻して読んでみようと思ったのです。

*********************************************************
偶然、出くわした古書フェアで、定価890円のこの本が800円で売り出されていたのです。
ちょっと高いかとも思ったけど、今買わないと二度とお目にかからないだろうと焦ったわけでおました。
(家に帰って楽天を覗くと890円(税込み961円)の定価販売となっていて、古書値段は、やや高め設定というところか)



漫画

ダヴィンチ編集部編、メディアファクトリー、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
第1章 人気ランキングから広げるコミック連鎖反応/第2章 マンガおもしろ分析&マンガ家インタビューから広げるコミック連鎖反応/第3章 あの作家あの作品から広げるコミック連鎖反応

<大使寸評>
この本は「ダヴィンチ」96年7月号~98年3月号の掲載記事を主に編集されていて・・・
当時の大使は漫画をあまり読んでいなかった時期なので、やや浦島太郎の感を覚えたわけでおます。
(だいたい「ダヴィンチ」という雑誌があることを知らなかったけど)

でも、この本では松本大洋ロングインタビュー、浦沢直樹スペシャルインタビューなど載っていて、もろに大使のツボを突いています。

一億人の漫画連鎖

松本

大使の一押し記事ともいえる松本大洋ロングインタビューを見てみましょう。
p90~95
<我ら松本大洋族:アイカワタケシ>
大友克洋以降の最重要若手マンガ家の一人、松本大洋。高度に洗練された表現スタイルと、時に詩的、寓話的な語り口で敏感な若者たちに圧倒的な人気を誇る。それが今の時代の感性と共鳴していることは間違いないが、はたして作家本人はどんなパーソナリティーを持っているのだろうか。クールな作風からは窺い知れない作家の内面に、おっとり刀で迫ってみた。

 「松本大洋さんはインタビュー嫌いらしいよ」
 打ち合わせの席で担当編集者に、そう教えられた。一度はファクスインタビューにこぎつけたものの、これまでに2回、インタビューを断られたそうだ。写真嫌いであるともいう。ちょっと不安がよぎる。

 松本大洋といえば、「大友克洋以降」を代表する若手マンガ家の中でも、最重要作家の一人と目されている人物だ。もしかしたら、尊大でもったいぶったアーチスト気質の濃い人物なんじゃないか。あるいは、神経質で人間嫌いの世捨て人なのか。そんな不安と妄想は作品を通して読んでみると、ますます強くなった。

 作画スタイルは作品を追うごとに変化している。長篇と短篇では、テーマもテイストもまったく異なっている。高度に洗練された「絵」が印象に残る一方、作家の肉声はほとんど感じられない。あるいは、あえて肉声を押し殺しているような、そんな感じがした。
(中略)

<『花男』は、道行く人の頭をバットで殴りつけるアブナイ男の話だった?!>
Q:石川県に住んでいたという話ですが、こっちへ来たのはいつ頃ですか?

松本:東京で生まれてすぐ石川県に行って、今度は三重県に行って6年生まで、中学校は静岡で、高校で東京に帰って来たんです。親に放浪癖があったんで・・・・

Q:それは転勤とかじゃなくて?

松本:場所変えるのが好きなんですよね。

Q:それは、ちょっと『花男』の感覚があるんですか?

Q:あ、ありますね。うちの親はもう、なんかオカシイんですよ。「アダムス・ファミリー」みたいな感じで(笑)。『花男』っていうのは最初、花男っていう非常に変な男っていうのかな。要するにちょっとアブナイ、痛い人がいて(笑)、それがバットで道行く人の頭殴りつけたりする話だったんですけど、こんなもん連載できるわけないだろってことになって(笑)。

 俺が考えてくと、かなりカルティックになっちゃうんですよ。夢を目指す人間ていうのは、どれくらい醜いかっていう。そういうテーマで最初描いていたんですよ。夢って非常に美化されるじゃないですか。

 それで夢を見る男が、どれだけみっともなくて、うるさくて、やかましくって近所迷惑かっていうのを突き詰めてやるぜ、なんて思ってたんだけど、連載になったら全然違う話になっちゃった。それで良かったと思うんですけどねぇ。

『花男』の出発点は、夢の世界に生きる男の妄執が暴走するバイオレントな話だったのか。松本大洋という作家の資質は、じつは意外と歪んだ要素を含んでいるのかもしれない。他の作品についても聞いてみた。
Q:『鉄コン筋クリート』のシロとクロもそうですけど、二律背反する2つのものを並べますよね。『ピンポン』で言えばスマイルとペコとか。明と暗が対比するキャラクターを登場させるというか。

松本:『花男』やったときに味をしめたんですよね。これはかなり広い部分を網羅していると思って。俺は悪役を出さないですから、価値基準があまりにも一定だとコワイものができあがるじゃないですか。

 それと全然価値基準が違う二人が仲良かったりするのって、非常に俺の好きな雰囲気なんですよね。それを、もうちょっと徹底させてみたいと思ったのが『鉄コン~』で・・・。まぁ結局、二人とも似た者同士になっちゃったんですけど。もっと正反対でも良かったんですよね。
(中略)

 インタビューに臨む前に一方的に感じていた不安は、やはり妄想だった(当たり前)。松本大洋は、痩せて小柄の、とてもシャイな人だった。小田急ロマンスカーに乗って江ノ島まで帰る時間ギリギリまで、こちらのとりとめのない質問にも、言語を選びながら丁寧に答えてくれた。そしてその言語の裏に、作品ではストレートに表出しない、「時代の気分」とは正反対の「まっとうな反骨精神」を感じた。ジミ・ヘンの話は最後まで出なかった。


折りしもメディアでは、相模原殺傷事件で大騒ぎであるが・・・
松本の発した「夢を目指す人間ていうのは、どれくらい醜いか」という言葉が、坑道のカナリヤのように聞えるのです。


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■2016.07.31XML
一億人の漫画連鎖
https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/201607310000/





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