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2024.09.28
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『絵はがきの大日本帝国』という本を、手にしたのです。
「絵本」と言ったら言い過ぎになるが・・・とにかく画像が多くてビジュアルなので、興味深いのである♪




二松啓紀著、平凡社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
膨張を繰り返し、ついには崩壊に至った、大日本帝国とはいかなるものだったのか。外交や産業、民俗、拡大する版図、数々の戦争。世界的な絵はがき収集家ラップナウ夫妻による膨大なコレクションから厳選した390点の絵はがきを題材に、大日本帝国のイメージを読み解く。絵はがきを道標に、大日本帝国の盛衰を“場”と“時”の両面から追体験。

<読む前の大使寸評>
「絵本」と言ったら言い過ぎになるが・・・とにかく画像が多くてビジュアルなので、興味深いのである♪

rakuten 絵はがきの大日本帝国


「第二章 広がる帝国の版図」で韓国併合あたりを、見てみましょう。
p122~126
<韓国行啓から韓国併合>
 日露戦争に際して大韓帝国が中立を宣言していたにもかかわらず、日本軍は首都漢城を軍事占領してしまう。1904(明治37)年2月23日に日韓議定書を締結し、韓国の「独立」と「領土保全」を日本が保証する代わり、韓国内で軍事上必要となる拠点の使用を認めさせた。
 その後、第一次と第二次に渡る日韓協約を結んだ結果、日本は韓国を事実上の保護国とし、外交権を接収した。1905年12月21日には統監府を漢城に設置し、初代統監として伊藤博文が就任した。

 その後、追い詰められた韓国皇帝高宗は1907年6月、オランダのハーグで開催中だった万国平和会議に密使を送り、日本の不当性を訴えようとしたが、会議への参加は固く閉ざされた。高宗は日本側から厳しく追及されて退位に至る。7月24日、司法・行政権を含む内政権の掌握と韓国軍の解散を定めた第三次日韓協約(秘密覚書)が成立し、韓国は事実上、日本の植民地となった。
 明治以降、日本は朝鮮を絶対的な防衛圏と認識してきただけに、長年の懸案が解消した瞬間だった。一方の韓国から見れば、「国辱」にほかならず、瞬く間に義兵運動が広がった。

 初代総監の伊藤博文は日韓関係の改善を図ろうと、明治天皇と面会し、皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)の韓国行啓を願い出た。治安が懸念されたが、皇太子の韓国行啓が実現する。その記念絵はがき(図)では、日章旗と大極旗を背景に「大日本帝国皇太子殿下」(嘉仁親王)と「大韓国皇帝陛下」(二代皇帝純宗)の肖像を描く。嘉仁親王は10月16日に仁川に上陸し、伊藤や純宗らの出迎えを受けた後、17日から19日まで漢城に滞在し、皇室相互の親交に努めた。この時、嘉仁親王は当時10歳だった韓国皇太子李豤と親しくなり、朝鮮語を学ぶきっかけになったと伝えられる。

 裏面(図)を見ると、消印から投函は1907(明治40)年10月20日龍山(現在のソウル)、到着は10月24日、仙台だと分かる。「韓国統監府鉄道管理局」の職員が差し出した一枚だ。嘉仁親王韓国に到着して4日後の投函であり、一人の在韓日本人として「日韓親善」を願ったのかもしれない。結局のところ、皇太子の韓国行啓は日本による政治パフォーマンスの範囲を超えなかった。義兵運動は収まらず、かえって韓国側の反感を招いてしまう。

 その後、日本政府は韓国併合の準備を着々と進めていく。そんな最中、1909(明治42)年10月26日午前9時25分頃、伊藤博文が満洲のハルビン駅ホームに降りた時、突如として銃声が鳴り響いた。三発の弾丸が伊藤に命中し、午前10時頃に絶命した。
 狙撃した韓国人安重根はその場で逮捕された。日韓併合の方針に揺らぎはなかった。日本政府はロシアや英国、米国など欧米列強の了解を取りつけた後、日韓両国代表の調印を経て1910(明治43)年8月29日、韓国併合条約の発効に漕ぎ着けた。韓国の財政から内政、外交、軍事に至るまで一切の統治権を日本に委ねる内容だった。

 日本各地では「日韓合邦祝賀提灯行列」(図)のようにお祭り騒ぎが繰り広げられた。対外的には日韓双方が希望した「対等合併」だったと強調する。

 日本政府は韓国併合によって従来の大韓帝国政府と統監府を統合し、新たに朝鮮支配の最高機関として朝鮮総督府を設置した。朝鮮総督は天皇直隷で陸海軍大将から任命され、立法や司法、行政、軍事に渡って絶大な権限を握った。

 その朝鮮総督府が10月1日の始政を記念した絵はがき(二枚組)のうちの一枚「内地及び朝鮮の児童遊戯の図」(図)。一見すると、「日韓友好」を演出したように思える場面ながら、日本の露骨な強硬姿勢が表れている。

 紅白の花が咲く木の下、男女8人が仲良く手を繋ぎ、服装は洋服とチマ・チョゴリ、日朝双方の人びとを登場させる。ただし、中央の女の子は両手に日章旗を二本掲げる。韓国併合後なので大韓帝国の太極旗は描かれない。記念印の年号は韓国の「隆熙」ではなく「明治」であり、地名は「漢城」から日本式に改称した「京城」だ。まさに、この日この地で日本の統治が始まった事実を示す絵はがきだった。 


『絵はがきの大日本帝国』1 :奉天会戦と日本海海戦





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Last updated  2024.09.28 00:09:43
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