“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2006.07.24
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繁盛店のためのビデオセミナー(毎月繁盛店を映像でレポートします)、カフェのようなメニューブック、映像で集客する看板「呼び込み名人」、フラッシュでなく映像つきのホームページ、印象に残るショップカード、地域密着のポスティングチラシ、


大久保一彦 のゴルフ場経営誌連載ホールアウト記念、全原稿連続アップ!8回目

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「一見客を取り込む手法からの脱却」


<リード>
最近ダイエーの創業者中内功氏の死去のニュースがテレビで大々的に取り上げられていた。日本はどんな商売も「もはや戦後ではない」の後に訪れた市場の成長、拡大期があった。その時期は次々に新しいお客様が訪れる時期。店も次々に新規客が訪れた。しかし、バブルが崩壊して久しい今日、もはや、市場は成長しない。日増しに、競争が増し、新規客など訪れなくなっているのだ。今日は、一見客を取り込む手法からの脱却についてお話したい。


<本文>
 人間が生まれてから死ぬまでの間、いろいろなことがあり、常に変化し続けるように、どんな商売にもライフサイクルがあります。最初、商売として産声をあげたときには、確かなものもなく、将来の先も見えません。しかし、だんだんそれが形になり、注目されるようになりますと急速に発展します。例えば、“牛角”という焼肉チェーンがあります。突然飲食業界に彗星のようにあらわれ、10年足らずの間に急速に発展し、株式上場を果たしました。ここ数年前まで、多かった飲食ベンチャーと言う集団です。しかし、ずっと続きそうに見えるこれらの企業の発展も必ず、終わりが来ます。そして、それは、突然、考えもしないことから行き詰ります。例えば、焼肉業界で言えば、BSEによる米国からの輸入禁止が引き金となりました。増えすぎた、焼肉の店は、お客様の外食のいっぱいあるひとつの選択肢となってしまったのです。
この話は、焼肉に限ったことではありません。ゴルフ場のレストランですら同じです。ゴルフ場は、ゴルフ場の外にあるまわりの飲食店の影響を受け続けています。なぜならば、ゴルフ場の外へ出た瞬間に、ゴルフ場で食べたものがいかに、良かったか、悪かった無意識のうちに感じるからです。もし、リピーター中心のゴルフ場顧客が、そのように思ったならゴルフ場で食事するのを我慢して外で食事しようと思うでしょう。ゴルフ場の外では、常に競争が激化し、飲食店が進化し続け、過酷な競争、淘汰が起こっているのです。来たお客様を絶対逃さない経営、すなわち、本当の顧客作りがゴルフ場のレストランでも求めるようになりました。それを、私は、敢えて、“新規客主体にとりこむ営業からの脱却”と言っています。

 成長、拡大期の特徴は、みんなが新規客を取り込みました。新規客を取り込むというのは、市場が伸びている時期だからこそできることで、市場が伸びているからこそそうすべき選択肢なんですが、市場さえ伸びていれば、集客が容易ですから、新規客を取り込むことはそんなに難しくはありません。利用動機を増やしてあげて、感情に訴えかけ、「入りたいなぁ」とお客様に思わせれば世の中の流行りにのっているので、お客様が自然にやってきて、結果、売上が増大します。
しかし、新規客の取り込みは突然できなくなります。今、ゴルフ場の外ではこの現象で多くの外食チェーンが苦悩しています。なかなか前年比を突然クリアーできなくなり、下降のリズムに入っていきます。この楽な成長拡大期に慣れきってしまって、市場が成熟すると、いとも簡単に店はだめになってしまうのです。生き延びるに必死な外食は何でもします。ですから、隔絶された空間のゴルフ場のレストランもなんらかの影響を受けています。


よくこの時期にアンケートを行いますが、アンケートはお客様の不満を無くすためには有効ですが、あまり意味がありません。なぜなら、アンケートは不満を減らすという方法だからです。確かに、あとでふれますように常連客のニーズを汲み取ることは重要になりますが、アンケートをとるということそのものは「常連客にまた来たい」と思わせるものを作り出す手段ではないのです。
よく、アンケートをして「ゴルフ場のレストランのメニューは高すぎる」という話を聞きます。これは、そんな一面を浮き彫りにしているでしょう。お客様は、値段が高いと思っているのではなく、提供されている商品の対価として高いと思っているだけなのです。
どんな利用動機のプレーヤーが来場しているゴルフ場でどんな利用動機でレストランを利用しているかを考えてからメニューの価格を考えないといけないのです。ゴルフ場がどんな位置づけにあるのかによって、お客様の求めるレストラン像は異なるからです。

どうしたら、お客様に「また来たい」と思ってもらえるか・・一般論として、そこで食べるしかないという状況以外は、お客様は初めて来店して、次の来店をする確率が50%にも満たないと言います。さらに、三度目の来店となると、さらに50%にも満たないのです。つまり、新規客のほとんどは来なくなるのです。
ゴルフ場は、ゴルフ場に来ている限り、昼食はとらざるを得ません。だから、「ゴルフ場の食事は高い」という声になるのです。
ゴルフ場のレストランに求められること・・それは、真の常連客を作ることなのです。今まで、やってきたのは巷では、新客を取り込むやりかたです。このやりかたを脱却して、真のファン作りに着手しないといけないのです。

 お客様をくり返し来店させる方法、これは、商売の永遠のテーマですが、客層概念を持つことがまず大切です。自分のゴルフ場に来場する人はどういう人なのか?自分のレストランへ訪れる人はどんな人なのか?自分のゴルフ場やレストランへ訪れる人は普段どんなものを食べ、どんなことに喜びを感じるのか?
実は、これが、俗に言う“お客様の立場になって考える“であり、客層概念を持つということになります。”お客様の立場になって考える“というのは、お客様という一人の個、経済的境遇、世の中の立場、その人の経験、ゴルフに対する思い・・・
そのひとり、ひとりのお客様の立場になりきり、その人だったら、どうすれば、自分のレストランに絶対訪れるようになるのかを考えないといけないのです。

そして脱一見客の取り組みの根底は、お客様があなたの固定客になるということではなく、あなたのレストランがお客様ひとり、ひとりの固定店にならないといけないことにあります。固定店になるのに大切なこと。それが、今回のメッセージです。それはゴルフに行って、そこのレストラン、あるいは料理・メニューの印象が強く残るにはどうしたらよいか考えることです。





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Last updated  2006.08.14 14:55:55
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