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スペイン カタルーニャ州 独立反対の大規模デモスペインのカタルーニャ州で議会による一方的な独立宣言が可決されたことを受けて、中心都市のバルセロナでは独立に反対する人たちによる大規模なデモが行われ、市民の間でも分断が表面化しています。スペイン北東部のバルセロナでは29日、州議会による一方的な独立宣言に抗議する人たちが中心部に繰り出し、大規模なデモを行いました。デモには警察の発表でおよそ30万人が参加し、スペインの国旗を掲げながら「カタルーニャはスペインの一部だ」などと訴えて、スペイン人の誇りを表す歌を歌い街を練り歩きました。参加した女性は「カタルーニャはスペインと一体だと訴えるために参加した。政府による自治権の停止はやむをえない措置だ」と話していました。独立問題をめぐっては、スペイン政府が、一方的な独立宣言を主導したとしてプチデモン州首相を解任するなど、直接統治に乗り出しているのに対して、プチデモン氏の地元、ジローナなどでは、市民が独立を後押ししてスペイン政府に徹底抗戦する構えを見せています。一方で、経済への長期的な影響を懸念する市民も多く、有力紙エルムンドが29日に伝えた最新の世論調査では、州議会で独立賛成派の政党を支持すると答えた人が42.5%、独立反対派の政党を支持する人は43.4%と、真っ二つに割れています。この日のデモで、カタルーニャ州の市民の間でも分断が表面化した形で、事態は深刻さを増しています。---カタルーニャの独立をめぐる騒動については以前にも記事を書いたことがありますが、その後一時は州首相が独立宣言凍結という妥協策に動いたものの、中央政府のラホイ首相の弾圧策への反発からか、州政府は独立宣言を発し、これに対してラホイはカタルーニャの自治権剥奪、自治政府全閣僚とカタルーニャ自治州警察の警視総監を罷免という挙に出ています。引用記事には独立反対派のデモに30万人が参加とありますが、少し前には独立賛成派も40万人以上を集めるデモを行っています。賛否一切無視して、純然たる可能性の問題として、カタルーニャの独立が実現するか否かを予測するなら、「今回は」間違いなく失敗するでしょう。独立の賛否を問う住民投票は、賛成が9割に達したものの、独立反対派は反対票を投じることよりもボイコットを選んだので、投票率は4割台の低率でした。もっとも、棄権=独立反対、ではないので(たんなる無関心層も多いだろうし、独立賛成でもやむをえぬ理由で棄権した人はいるでしょう)、独立賛成派が反対派より優勢なのは確かですが、圧倒的な差ではないこともまた確かです。スペインの全国政党は左右問わずおおむねカタルーニャ独立には反対です。中でもラホイ首相の国民党(PP)以上に強硬なカタルーニャ独立反対派として、中道右派の新興政党シウダダーノスがあります。このシウダダーノスは現在では全国政党ですが、元々はカタルーニャの地域政党として出発しています。党幹部も大体カタルーニャ出身。独立を熱望するカタルーニャ人が数多くいる一方で、もっとも強硬な独立反対派もまたカタルーニャ人、という状況からも「カタルーニャが一丸となって独立賛成」ではないことは歴然としています。こういう、国家体制を根底からひっくり返すような大変革は、既存の政治体制から総攻撃を受けるのは明らかなので、それに抗して目的を達するには、民意の圧倒的な支持が必要です。ギリギリの優勢程度の民意の支持だと難しい。ラホイの暴挙に対して全カタルーニャを挙げての抵抗があればともかく、カタルーニャ人自身が賛否で割れている状況では、まず勝ち目はないでしょう。また、その程度の支持で独立宣言まで走ってしまった自治政府側の判断も甘かったと言えるでしょう。ただし、ラホイの強硬策は短期的にはカタルーニャの独立を阻むでしょうが、長期的にはこの強硬策は高くつくのではないか、と思います。フランコ体制から生まれ変わった中道右派政党というPPの表向きの外見とは裏腹に、一皮向けば中身はフランコ時代と同じではないか、ということを、よりによってフランコ時代に徹底的な弾圧にさらされたカタルーニャで見せ付けたことは、独立派を一層かたくなな態度に仕向ける可能性があります。互いに退くに退けない状態で、泥沼化の可能性が高くなってしまいます。加えて、以前にも書いたように、カタルーニャは経済的にはスペインの中ではもっとも豊かな地域です。それでも、経済的にスペインから独立してやっていけるのか、という危惧は、心情的には独立に賛成の人にもあるだろうと思います。しかし、スペインは巨額の対外債務を抱えている国でもあります。ギリシャと並び、スペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドは欧州の重債務国とされています。つまり、スペインがギリシャのような財政破綻に至る可能性は少なからずあるのです。万が一にもそうなった場合は、むしろ「スペインの一部であり続けるほうがカタルーニャの経済にはマイナス」ということになります。そうなってしまった場合、独立を押しとどめることはほぼ不可能になるでしょう。いずれにしても、ここしばらくカタルーニャをめぐる動きから目が放せないようです。
2017.10.30
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実は、先週の台風のさなかのことになるのですかが、新しい望遠レンズを買ってしまいました。それがタイトルの、SIGMA100-400mmF5-6.3DG OS HSMというレンズです。新しいといっても中古なのですが、まだ、今年になってから発売された新製品なので、新品同然です。それがこちらです。デカイくて重いです。重さが1160gもあります。値段は65000円弱でした。カメラ本体(EOS kissX7i)が580gなので、合計1.7~1.8kgにもなります。それでも、上位機種の150-600mmは重さが1.9kg(カメラとの合計では2.5kgくらい)もあるので、それよりは軽い、ということになるようです。で、さっそく撮影してみました。400mmでピクセル等倍です。F6.3 ISO320 1/640秒同じく400mm F10 ISO1000 1/640秒400mm F16 ISO2000 1/500秒私の持っている三脚は、3000円くらいの安くて軽量のなものなので、このでかいレンズを取り付けると、揺れてしまいます。2秒のセルフタイマーを設定しても、2秒では揺れが収まらないのは困りました。それでも、倒れたりお辞儀をしたりはしませんでしたが。そして、ふと思いついたことがあります。手元にKENKO製の1.4倍のテレコンバーダー「テレプラスHD1.4X DGX」があります。これと組み合わせたら、果たしてどうなるでしょうか。KENKOのテレコンは、「キヤノン純正レンズおよびトキナーレンズに対応しております。それ以外のレンズには対応していません。」と注意書きがあります。当然シグマ製のレンズには使えないと思い、ダメもとでためしにシャッターを切ってみたら・・・・・・あらびっくり。撮影できるではないですか。しかもオートフォーカスが使えます。ただし開放でF9からというとても暗いレンズになり、開放ではかなりボケボケです。F9 ISO1000 1/1000秒F18 ISO3200 1/800秒です。このくらい絞ると、そんなにボケた写真ではなくなります。ためしに、今まで使っていたEF-S55-250mmF4-5.6IS STMと近い焦点距離で撮り比べてみました。EF-S55-250mmF4-5.6IS STM 250mmで撮影 F10 ISO320 1/320秒EF-S55-250mm+テレプラスHD1.4X DGX 249mmで撮影 F13 ISO500 1/400秒SIGMA100-400mmF5-6.3 251mmで撮影 F10 ISO320 1/320秒SIGMA100-400mmF5-6.3+テレプラスHD1.4X DGX 240mmで撮影 F13 ISO320 1/640秒ズームの途中でぴったり250mmに合わせるのは難しいため、微妙に違う焦点距離になってしまいました。こうやって見ると、シグマの100-400mm+テレコンは、やはり他の組み合わせよりちょっとボケている気がします。が、それにしても560mmという大望遠レンズが、重さ約1.3kgで実現しました。で、鳥の写真も撮ってみました。例によって三番瀬です。すべて400mmテレコンなしでの撮影です。ミヤコドリの団体様が到着。ミヤコドリ。ミヤコドリハマシギも大群でいました。シロチドリ。以前、「メダイチドリかシロチドリか」と悩んだ写真がありましたが、これはシロチドリであることが一目瞭然。つまり、前の写真はメダイチドリでしょうね。シロチドリ。首の後ろの白い部分がこんなにはっきりしているのですね。これもシロチドリミヤコドリとハマシギの群れ。それにしても、撮影して思ったのは、やっぱり重い、ということ。手持ちでの撮影は、腕が疲れるし、カメラを完全に静止させるのは難しいです。(私は、脚力はあるけど腕力はないのです)だから、一脚があったほうが撮影しやすそうです。400mmでもこんなに重いのでは、600mmなんて私にとっては論外です。
2017.10.28
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なぜ炎上しているのか 山尾氏辛勝と無効票1万超愛知県選挙管理委員会に23日早朝から抗議や問い合わせが殺到し、24日夕も電話が鳴りやまない異常事態となっている。無所属の山尾志桜里氏が自民党候補に辛勝した衆院選愛知7区の開票結果を巡り「1万票を超える無効票は異常」「陰謀では」「警察に通報した」とネット上で炎上しているのだ。「当選は不正」と見出しで断じるウェブメディアも現れた。騒動の背景に何があるのか。山尾氏は自民党の鈴木淳司氏に834票の小差で勝利。無効票は1万1291票だった。愛知県選管は23日午前1時半ごろ、確定結果を公表した。疑問の声は直後に出始め、ネット掲示板、ツイッターなどで「怪しい」「対立候補の有効票を不当に無効化したのでは」など再集計を求める意見が次々に登場。「開票作業のバイト、国籍条項ないんでしょ?」と無関係な外国人差別をあおる内容もあった。愛知県選管には午前6時ごろから真偽の確認や「やり直せ!」という抗議の電話が殺到。24日も続く。選管は「各陣営の立会人の監視の下で開票した。不正はありえない」としている。そもそも、無効票は「異常に多かった」と言えるのか。愛知7区の投票総数に無効票が占める率は4.23%で、前回2014年衆院選小選挙区の全国平均3.29%より高い。だが、今回の小選挙区選挙で東京12区は9.71%。東京14、16、17区も5%を超えた。14年衆院選の大阪3区では15.25%が無効票だった。小選挙区で支持する候補がいないと白紙投票が増える傾向にあるとされる。総務省選挙部によると14年衆院選で小選挙区選挙の無効票は全国で約180万票あり、その半分強の約100万票が白紙だった。なぜ炎上しているのか。大阪国際大准教授の谷口真由美さん(国際人権法)は二つの理由を挙げる。「最近、右派や左派に限らず不正選挙と騒ぎがちです。自分と似た考えの意見ばかり目に入るSNS時代。自分に見える世界がすべてと思い込み、『あんなに嫌われてる候補が当選するのは不正に違いない』と短絡的に考える人が増えました」さらに、ほかならぬ山尾氏だったことが炎上理由とみる。「安倍晋三首相と真っ向から対決した、しかも女性。不倫疑惑報道もあった。でもそれは本来、他人には関係ない。議員は公務の中身で評価すべきで、男性なら同じ激しさでたたかれないはず。男と対等にやり合う女を引きずり降ろしたい『オッサン社会』のいやらしさが垣間見えます」 ---ネトウヨどもが、山尾当選という不都合な真実をまえに吹き上がっている-と、言いたいところですが、まことに残念ながら、「不正選挙!」というありもしない「疑惑」に吹き上がるのはネトウヨの専売特許ではないのが現実です。10月20日、当ブログで「期日前投票に行こう!」という記事をアップしましたが、その中で私は「投票用紙の書き換えが」などと叫ぶ陰謀論者について批判しました。あれは別に、今回の騒動を予測してのことではありません。とあるSNSの、護憲を訴えるグループ内で、投票所備え付けの鉛筆で書くと、消して書き換えられるから、マジックかボールペンで書こう、とか、開票所で使われるOCR(読み取り機)のメーカーが安倍の手先だとか、愚にもつかない陰謀論を叫ぶ連中が何人もいるものだから、呆れてあのような記事を書いたのです。護憲を訴えるグループだから、書いているのは当然リベラル派です。私は、一応左派のはしくれに位置する(もはや左翼崩れですが)人間ですから、あまり「仲間」の批判はしたくはないけれど、それにも限度があります。残念なことですが、明らかに根拠薄弱な陰謀論を簡単に信じてしまう人が少なからずいる、という現実に右も左も関係ないようです。今の日本で、開票における大規模な不正など、あり得ません。先の記事にも若干触れましたが、投票所には各候補、政党から推薦を受けた投票立会人が目を光らせているのです。彼らは、ただ漫然と開票作業を監視しているだけではありません。疑問票の取り扱いは、各立会人の意見を聞くのです。互いに、「その疑問票は1票でも、自陣営の票に」、と思っている立会人が確認したうえでの無効票です。その上で、各候補の票、あるいは無効票と確定した票の束も、100票とか200票単位に結束したものを、全部立会人が確認して認印を押しています。A候補の票の束に無効票やB候補の票が混入しいたら、当然対立候補陣営の立会人がそれと気付く。(そんな事例も過去にはあったようです)。開票立会人の定員は10名ですが、今回現職議員を擁して選挙戦に臨んだ政党はそれに満たない数ですから、当然全党から立会人は出ているはずです。加えて、マスコミやその選挙区の住民は開票作業を参観人席から観察することができます。この状態で、開票における不正、それも何十票、何百票なんて単位の不正ができるはずがないのです。今回、山尾はわずか800票差で当選しています。国政選挙なので、これは大変な僅差なのですが、それでも800票差です。そんな数の票を不正に隠したり書き換えたりして、それが立会人にも参観人にも、まして他の開票事務従事者にも、誰にも気づかれないなんて、集団催眠にでもかからなければあり得ないことなのです。ただし、不正はなくてもミスはあります。少し前に、確か香川県で開票中に白票を選管職員が数票隠して刑事事件になった、という出来事がありました。これは、投票総数より有効投票数の方が多くなってしまったため、それを隠蔽しようと、多い数だけ白票を隠してしまった、というものだったと記憶しています。バカなことをしたものですが、操作したのが白票だったので、選挙結果には影響ありませんでした。投票総数より有効投票の方が多い、あり得ないようですが、時々起こるミスです。理由は2種類あると思われます。1つは、投票券を渡した際に、誤って選挙人名簿(今はほとんどパソコン管理)に投票済みのチェックを入れ忘れてしまうこと、もう1つは選挙人名簿に載っていない人(未成年者、転入後3ヶ月経っていない人、転出後3ヶ月以上経ってしまった人など)に投票用紙を渡してしまうこと、です。あってはならないことですが、投票所が大混雑で投票待ちの行列が長くのびて、となると、どうしてもそういう間違いが起こるのです。残念ながら人間は神ではないので、無謬ではありません。そういったミスを別にすると、不正は絶対にないーとまでは断定できません。票が投票箱の中に入って以降の不正は、ほぼないのは既に説明したとおりですが、それ以前についてはそうとも断言できません。最近はあまり話を聞かなくなりましたが、少し前までは、田舎では選挙の度に買収が問題になったものです。これは立派な不正です。また、発展途上国では、二重投票を防ぐために、投票済みの人には数日間消えない塗料などを塗る例がありますが、日本ではそれは行っていません。そのため、他人の投票所入場券を譲渡される(最悪の場合は盗む)ことで、二重投票は不可能ではありません。おそらく、そういう例は皆無ではないだろうと思います。その他、不正とは違いますが、記載台の構造が、後方から盗み見がしやすい、つまり投票の秘密が侵害されやすいこと、特に最高裁の国民審査は、✖️をつけたかどうかが誰にでもわかってしまうこと(諸外国では記載台にカーテンを設けて目隠ししている例も多い)、そもそも一票の格差や小選挙区制など選挙制度自体が公正とは言いがたいことなど、問題点は多々あります。が、それはそれとして、投票した後の投票用紙がすり替えられるとか書き換えられるとか、そういった類の不正なるものは、妄想の産物でしかない、ということは、声を大にしていっておかなくてはなりません。
2017.10.26
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自民の大勝、小選挙区制が後押し 得票率は48%自民党は289選挙区で2672万票を獲得し、得票率は48%だったが、議席では75%を占める218議席を獲得した。1議席を争う小選挙区制度では、第1党が得票率に比べて獲得議席数の比率が大きくなる傾向がある。今回も自民党の大勝を後押しした格好だ。小選挙区では、希望の党と立憲民主党がそれぞれ18議席獲得した。得票数では希望が1144万票(得票率21%)に対し、立憲は485万票(同9%)。希望は候補者が多かったうえ、接戦の末に敗れたケースも相次いだことから、得票の割に議席が伸びなかったようだ。一方、政党名で投票する比例区(全176議席)は、自民が1854万票で得票率は33%。66議席を得た。立憲も1107万票を集め、得票率は20%で37議席。希望は966万票にとどまり、得票率17%で32議席だった。ただ、投票しなかった人を含む全有権者に占める自民の絶対得票率は、小選挙区で25%、比例区で17%。自民に票を投じた人は選挙区で4人に1人、比例区で6人に1人だったが、結果として全465議席の6割を占めたことになる。---衆院選が終わりました。結果は周知のとおりです。解散当日の9月28日の投稿のコメント欄で、私は「民進党から希望の党入りを拒まれる議員が20~30人いると見られているそうですが、それに共産、社民を合計しても、小選挙区で10、比例区で40、合計50議席に届いたら、奇跡と思います。」と書いたのですが、なんと、立憲民主党は54議席を獲得し、私が当初考えていたリベラル派全体での「奇跡」ラインに単独で到達してしまいました。これに共産党12議席、社民党2議席を足して68議席。無所属で当選した22名のほとんどは野党(非与党)系で、かつ前原、野田、弦葉、鷲尾などを除く大半が立憲民主党に近い立場なので、立憲民主・共産・社民などリベラル系グループ全体としては、80議席前後に達しそうです。これは正直言ってうれしい誤算でした。ただ、立憲民主党と共産党・社民党はかなりの候補者調整を行ったものの、調整の付かなかった選挙区もありました。Wikipediaの記述によると、「全289の小選挙区のうち、249選挙区で統一候補が成立した」とのことで、逆に言うと40選挙区では統一候補が成立しなかったわけです。中でも候補者調整の付かない選挙区が多かったのは東京。全25区のうち両党の競合した選挙区が9区もありました。調整できた16選挙区の内訳は、立憲民主党7選挙区、共産党8選挙区、社民党1選挙区でした。残る9選挙区で何故調整がつかなかったのかは分かりませんが、まったく私の想像で言うと、共産党が一方的に候補者を取り下げるばかりで、共産党側が候補を取り下げられない選挙区では立憲民主党が譲らなかったのではないか、という気がします。立憲民主党が譲ったのは、元々自党の立候補者がいなかった選挙区だけなのではないでしょうか。この推測が正しいとすれば、今回の野党共闘は共産党の一方的な犠牲の下で成り立ったものということになります。ただし、競合した9選挙区で、共産党の得票が立憲民主党を上回った選挙区はひとつもありません。それどころか、候補者調整のできた選挙区も含めて、共産党の得票が希望の党を上回った選挙区すら、東京では一つもなかったのです(希望の党が候補を立てなかった東京12区を除く)。したがって、共産党側が一方的に譲る以外には、勝利の見込みはなかったことも確かなのです。問題は次の選挙です。今回は、立憲民主党は急遽の結党だったことに加えて、民進党の支持母体である連合から「立憲民主党から立候補するなら支援しない」という強烈な圧力がかかったことから、立憲民主党からの小選挙区への立候補は63選挙区しかありませんでした。それ以外の選挙区の大半は共産党が統一候補になりましたが、次の選挙ではおそらくそうはなりません。立憲民主党の小選挙区への立候補者は激増するでしょうから、候補者調整は難しさを増します。共産党にとっては厳しい判断でしょうが、共産党が退く以外にリベラル派の勝機はありません。根本的には、小選挙区制という選挙制度が致命的な害悪をもたらしている、と言うしかありません。小選挙区制の問題点は、過去に何回となく指摘していますが、冒頭の引用記事にあるように、第1党になりさえすれば、得票率よりはるかに多くの議席を占有できてしまうこと、死票率、つまり落選する候補者に投じられる票がものすごく多くなるという致命的な欠点があります。比例代表との並立制と重複立候補という多少の緩和策はありますが、それではこの欠点は補いきれるものではありません。小選挙区制の問題点は投票率にも如実に現れています。中選挙区制で争われた最後の衆院選であった1993年の衆院選は、当時としては戦後最低の67.26%でした。その「低投票率」が「政治改革」なるものへの理由付けの一つにもなったのですが、皮肉なことに、小選挙区制になって以降、この投票率を超えたのは、2005年郵政解散と2009年の民主党大勝の2回だけです。それも、投票率7割には届いていません。中選挙区制時代には19回中14回の総選挙で投票率が7割を超えていたのですが。今回も、台風の影響はあったにせよ、史上最低だった前回衆院選をわずかに上回るだけの低投票率です。そういう意味では、小選挙区制という最悪の選挙制度を変えることも、リベラル派陣営の統一政策にしてほしいものです。が、このひどい選挙制度を改正するためには(他の政策課題もそうですが)、残念ながらそのひどい選挙制度の下で過半数を制しなければならない、という現実は動かし難いものです。今は、この選挙制度の下で勝つための最善の策を講じるしかないだろうと思います。
2017.10.24
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今日は衆院選の投票日です。全国的に悪天候ですが、皆さん投票は済んでいますでしょうか。何党に投票してください、とは言いませんが、必ず投票には行くようにお願いします。百田尚樹「俺たちはワーキングプアだ。貧困だ!」と、ネットカフェに寝泊まりしている若者が言う。 しかし、世界のどこに、スマホをいじりながら漫画を読み、ネットカフェに寝泊まりしている貧困層がいるのだ。---百田の暴言は今に始まったことではないけれど、何も知らない人間がよくこんなことをほざくよなあと思います。百田の言い分は、マリー・アントワネットの(その発言は事実無根だという話もありますが)「パンがなければケーキを食べればよいのに」につうじるものを感じてしまいます。ネットカフェは、確かに安アパートに比べると高くつく場合があります(料金はピンキリでしょうが)。しかし、それでも手持金がないと、ネットカフェに泊まるしかなくなるのです。何故なら、アパートの契約には敷金礼金不動産屋の手数料などがかかるからです。ひとたび住みはじめても、2年に1回更新料がかかります。これらの費用を割り返して家賃に繰り入れても、ネットカフェが安アパートより高くつくかどうかはケースバイケースですが、仮にトータルでは安アパートの方が安くついたとしても、自転車操業状態のワーキングプアには初期費用が払えないのです。私個人はスマホを持っていません。家にパソコンがあり、モバイル環境ではガラケーとモバイルルータ+タブレットを使っているから。だけど、それは私が多少は余裕のある生活をしているからです。ギリギリの限界で住む家もない人がパソコンとカラケーを別々には持ち歩けない。しかしスマホがなくなったら今の時代に求職活動もできません。むしろ、安定した職についていれば、スマホもガラケーもなくても仕事に支障がない場合もありますが、不安定雇用であればあるほど、そうはいかないのです。なお、スマホについてもアパートと同様の傾向があります。格安SIMの方が大手キャリアより確実に安価ですが、格安SIMは自前で端末を用意しなければならないしため、やはり初期費用がかかります。また、ある程度面倒な設定も自分で行わなければならない場合も多いのです。その初期費用が払えない、格安SIMを自分で設定する知識、能力がない、などの理由で格安SIMを利用できない、そもそも格安SIMという知識自体もない、という人はまれではありません。人はパンのみで生きるにあらず。スマホが唯一の社会との接点という状態の人からスマホを取り上げたら、もう人間としての社会生活は送れないに等しいのです。もちろん、スマホしか社会との接点がない、というのはとっても残念なことです。でも、それが貧困というものです。貧困とは、必ずしも絶対的にお金がない、ということだけを意味するのではないのです。社会との接点を多く持っている人であればあるほど、一時的に苦境に陥ったとしても助けを求める手段を数多く持っているものです。しかし、社会との接点が少ない人ほど、苦境から脱する術がない。そういう人からスマホという最後の砦を取り上げれば、文字どおり路上生活か生活保護しか選択肢がなくなります。そして、スマホがない限りそこから抜け出す術はほとんどありません。スマホを取り上げて、社会との接点など完全に奪い去って、二度と仕事などしないでよろしい、一生生活保護で食べさせておくべきだ、というのなら、スマホを取り上げればよろしいでしょうが、それは結局社会的損失がより大きくなる選択としか思えません。
2017.10.22
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台風21号、月曜日に首都圏直撃の恐れ台風21号は大型で強い台風に発達しながらフィリピンの東を北上しています。最新の予報円によると、台風21号はさらに発達し、非常に強い勢力で、土曜日~日曜日にかけて大東島地方を中心とした沖縄や奄美地方に近付く見込みです。台風の中心付近が通ると予想される大東島地方では、最大瞬間風速が60m以上に達する恐れもあると思われ、暴風には特に厳重な警戒が必要です。さらに予報円の真ん中を予想通りのタイミングで進むと、月曜日の朝には西日本の南海上に達し、その後、月曜日の夕方から夜にかけて東海から関東に接近し、上陸する恐れもあります。 ---連日連日、飽きもせず雨が降り続いておりますが、その挙句に台風が接近だそうです。なんでこんな時期に台風が、と思うけど、自然現象だから仕方がありません。投票日に直撃の可能性は低いですが、悪天候は予想されます。立憲民主党はかなり頑張っているようですが、しかし選挙結果は投票率に大きく左右されるでしょう。その投票率は、悪天候だと下がる可能性があります。みなさん、どんなに悪天候でも、投票には行きましょう。いや、悪天候が予想されるからこそ、期日前投票をどんどん利用しましょう。期日前投票に理由はいりません。遊びだろうが旅行だろうが何でもOK。私は、投票日前に死んでも遺志が残るように、毎回期日前投票しています。今回もわたしも相棒もすでに投票済です。残念ながら、これから投票日までのあいだも、よい天気は期待できないものの、多少は雨の上がっている時間はあるでしょう。今日も明日も、期日前投票は8時まで可能です。そして、またぞろ一部で「投票用紙の書き換えが」などと叫ぶ陰謀論者がおりますが、そういうことはありえません。投票用紙には投票所に備え付けの鉛筆で書く、それで何の問題もありません。というより、そうすべきです。が、どうしても信用できないというなら、少なくとも水性のボールペンは絶対避けるべきです。投票日まで雨が予想される中、水性ペンで書いた投票用紙が万が一雨に濡れたら、書いた文字は消えてしまいます。判読不能な投票用紙は無効票です。油性のペンなら問題ありませんが、そんな面倒なことにエネルギーを使うのは馬鹿馬鹿しい限りです。どうしても不正が心配だというのであれば、そんなくだらないことではなく、開票を見学すればよいのです。その選挙区の住民であれば誰でも、参観人席から開票を見学することができます。投票用紙にボールペンで書いて、不正から守れる(笑)票は自分の一票だけですが、開票を監視すれば、何万票、何十万票を不正から守ることができます。ただし、開票所は体育館など、だだっ広い場所で、見学者は参観席より中に入ることはできませんから、本気で監視するつもりなら、双眼鏡などを持っていくべきでしょうね。
2017.10.20
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百里基地 F4戦闘機から出火 乗員2人脱出し無事 茨城18日午前、航空自衛隊百里基地で、飛行訓練のため滑走路に入ろうとしたF4戦闘機から出火し、自衛隊の消防車が間もなく消し止めた。乗員2人は機外に脱出し無事だった。空自が詳しい原因を調べている。 空自によると、F4は百里基地の所属。離陸のために誘導路から滑走路に入る手前で左脚部が破損し、何らかの理由で出火したとみられる。(以下略)---人的被害がなかったのは不幸中の幸いですが、このところ、在日米軍、自衛隊の航空機事故が立て続けです。米海兵隊CH53の事故については当ブログでも取り上げましたが、一昨日は航空自衛隊のUH60J救難ヘリが浜松沖で消息を絶ち、おそらくは4人の乗員の生存は絶望的と思われます。それに引き続いての事故。UH60の事故原因はまだ皆目分かりませんが、このF4の事故は、誘導路の移動中に突然の左脚破損と出火、パイロットのミスとは考えにくく、整備ミスまたは部品の劣化が原因ということになろうかと思います。F4-EJ戦闘機は、とてつもなく古い飛行機です。米軍における初飛行は1958年、つまりもう60年近く前のことです。かのゼロ戦の初飛行が1939年ですから、それから19年しか経っていません。ゼロ戦の初飛行から59年後といえば1998年ですが、その頃ゼロ戦やその同世代の戦闘機(F4FとかP40とか、スピットファイアとかBf109とか)が現役機として運用されているなんてことは絶対ありえなかったことを考えると、1950年代頃までの飛行機の発展がいかに急速で、それ以降は発展が鈍化したのだ、ということが分かります。空自のF4導入は米軍よりだいぶ遅く1971年ですが、それでももう46年も前だし、問題の機体がいつ製造されたのかは知りませんが、日本での生産終了は1981年ですから、少なくとも36年以上は飛び続けているわけです。もちろん、改修、補修を重ねてはいるでしょうが、それにしても現役の飛行機としてはそろそろ限界ではないでしょうか。今回の事故も、たまたま誘導路を低速移動中だったからこの程度ですが、離陸滑走中や着陸中に脚がポッキリ、だったら、もっと大変なことになっていたかもしれません。空中でも、戦闘機特有の激しい機動を行ったら、はたしてどうなっちゃうのか、バラバラになったりしないだろうか、なんて危惧せざるをえないでしょう。少なくとも事故原因がはっきりするまでは飛行は控えてほしいし、そのまま退役、ということだって、あり得るのではないかと思います。
2017.10.19
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維新候補の長谷川豊氏「警察の呼び出しはデマ!」⇒夕刊紙が報道!「60kmを92kmで走っただけ」維新の会から候補者として出馬している長谷川豊氏が道路交通法違反騒然で炎上中です。キッカケはネット上に投稿された警察の呼び出し資料で、そこには維新の会から出馬していた長谷川豊候補の名前が記載されていました。この指摘を受けて長谷川豊氏はツイッター上に「ツイッター上のデマによると僕は警察に呼び出されてるそうです。呆れてモノも言えません。とりあえず、今朝も元気に活動中です!」とのコメントを投稿し、事実関係をほぼ全面否定しています。ただ、ネット上に投稿されている呼び出し画像は住所レベルで一致しており、長谷川氏の過激な発言と合わせて大炎上。しかも、その後に夕刊紙も取り上げて、記者から質問を受けた長谷川豊氏は「60km規制区間であることを知らずに92kmで走ってしまい、覆面パトカーに止められたのですが、他の車はもっと速い速度で通り過ぎていく。僕だけ捕まるのはおかしい」などと発言していました。あくまでも自分の言い分を聞かせるための聴取会だとして、長谷川氏は夕刊紙の中でも「呼び出しじゃあないです!」と反論しています。---昨年、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」などとブログに書いて、全番組を降板させられたフリーアナウンサーの長谷川豊が、維新の会から衆院選に出馬、という記事は少し前に読んだ記憶がありましたが、そのことはすっかり記憶から抜け落ちていました。が、こんな騒ぎから、その名を思い出すことになってしまいました。スピード違反で免停ということ自体は(警察からの呼び出しは免停、免許取り消し相当の違反に限られるようです)、一般人なら「運が悪かったねえ」という程度の話です。政治家という仕事、あるいはそれを目指して選挙に出る立場だと、そうも言っていられないところです。でも、どうしたって否定しようのない歴然たる事実が露見してしまったのは、長谷川にとっては不運でしょうが、仕方のないことです。自ら進んで公表はしないまでも、指摘されてしまったら「不徳の致すところで交通違反を犯しました。二度と繰り返さないよう肝に銘じます」くらい言っておけば、批判は浴びるにしても、それほどおおごとにはならなかったでしょう。長谷川のような、とんでもない政治的見識の持ち主であっても、スピード違反程度のことで非難しようとは私は思いません(それ以外に非難すべき点が彼には山ほどある)。ところが、彼は否定しようのない動かぬ証拠を突きつけられたにもかかわらず、なんとそれを「デマ」だと叫んでいるのです。しかし、実際にはスピード違反を犯したことを取材に対して認めています。では、何が「デマ」なのかと思ったら、「あくまでも自分の言い分を聞かせるための聴取会」だから「呼び出しじゃあない」のだそうです。いやはや、それ、「俺様理論」でしかありませんから。要するに、社会的にはまったく通用しない論理、ということです。「他の車はもっと速い速度で通り過ぎていく。僕だけ捕まるのはおかしい」とも言っているそうです。まあ、よく聞く話ではありますが、そもそも交通違反の取締りというのはそういうものです。今更そんなことを言ったってはじまらない。まあ、そこでしおらしく反省の言が述べられるような人だったら、そもそもあのような暴言で出演していた全番組を降板するような事態は招かなかったでしょうけどね。このような人物といえども、選挙に出るのは自由ですが、わたしは少なくとも、もしこの選挙区の有権者だとしたら絶対に票は入れません。このような候補者を擁立する維新の会も、まあよほど候補者がいないのでしょう。もちろん、わたしは、仮に長谷川を擁立していなかったとしても、維新の会に票など絶対に入れないですけどね。
2017.10.17
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東浩紀氏「衆院選は積極的棄権を」 呼びかけの意図は?新しい政党が次々に生まれた今回の衆院選。だが、有権者の中には、この時期に選挙が行われることへの疑問や、選択肢がないといった不満もくすぶる。自らの意思をどう表現するのか。新しい形を模索する動きもある。「こんな選挙は意味がない!『積極的棄権』の声を聞いてほしい!」インターネットの署名サイトで9月末、こんな呼びかけが始まった。今回の衆院選を「大義がなく、解散権の乱用」「民意を反映できる選択肢がない」と批判。最終的に投票に行くか、棄権するかは個々の判断だが、こうした声を署名によって可視化しようという運動だ。署名は衆院選後に国会議員に届ける。呼びかけ人で、出版社「ゲンロン」を経営する思想家の東浩紀さんは「メディアも選挙という『お祭り』に巻き込まれ、政局報道で盛り上がり、ポピュリズムを生むだけ。そんなに無理して投票すべきなのか」と語る。自身が投票に行くかは「当日まで考える」という。東さんは「資本家と労働者といったわかりやすい階層があった時代は、選挙でそれぞれの主張を戦わせることが社会の融合につながった。今は各自が求めるものは複雑なのに、選挙ではワンイシューで『友か敵か』の選択を迫られ、市民が分断されている」とも指摘する。署名活動には「民主主義の否定だ」といった批判も多いが、約5千人が賛同した。(以下略)---意図そのものは、理解できないこともありません。解散権は首相の専権事項、などという言い草で党利党略最優先の解散をほしいままにすることがよいとは、私も思いません。が、それでも解散がされてしまったのです。どんなにくだらない選挙であったとしても、その勝者が議員に当選し、その議員の多数派による首班指名で首相が決まり、日本の進路を決めていくのです。「積極的棄権」の意図は、政治の現状に対する不満の意思表示なのでしょうが、現実には棄権は政治に対する白紙委任にしかなりません。どんなに低投票率であっても、「勝てば官軍」なのです。近年、投票率の低下が顕著ですが、それでも国政選挙で投票率が5割を切ったのは1995年の参院選1回だけです。が、地方選ではもっと低い投票率の記録がゴロゴロあります。最低記録は1979年京都市長選で、なんと2割をきっているそうです。それでも、あまりの低投票率に恥じ入って市長が当選辞退、なんてことは、起こったためしがありません。堂々と市長の任期を勤め上げるのです。首相だって同じでしょう。したがって、棄権とは選挙後の与党(相対的な勝敗は分かりませんが、選挙後も自民党が与党であることは確実です)を助ける行為、与党に票を投じるのに等しい行為だと言わざるを得ません。自民党がよいから、自民党に引き続き政権を握り続けてほしいから棄権する、というならよいですが、そうでないならば、自公政権、あるいは安倍政権に何らかの不満があるのであれば、その不満を発露する手段としては、棄権という手段は絶対にとるべきではないと私は思います。さいわいにも、私にとっては消去法ではなく積極的に「選びたい」と思える選択肢が存在したので、実は早くも期日前投票を済ませてしまいました。
2017.10.15
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映画「エルネスト」今年は、ゲバラがボリビアで戦死してちょうど50年の年です。その機に公開された、エルネスト・チェ・ゲバラと、その下で戦った日系人の話-という程度しか予備知識なく、映画を見に行きました。まさか、主演のオダギリジョーに、ひと言も日本語の台詞がなく、スペイン語の台詞しかないとは予想もしていませんでしたが。そのスペイン語が、上手い。オダギリジョーって、こんなにスペイン語が達者なの?と思ったら、この映画のために猛特訓したのだそうで。脱帽です。それでも、ネイティブではない、日本人の喋るスペイン語だな、とは思いますけどね。ただ、スペイン語は、文法は日本人にとって非常に難しいけど、発音はかなり日本語に近いので、日本語のカタカナ読みでそのままスペイン語を喋ると、かなりネイティブに近いスペイン語になる、というメリットがあります。ゲバラとともに戦った日系人がいたことは知っていましたが、その名前は知りませんでした。まして、「エルネスト」という自分の名を彼にコードネームとして与えた、というのははじめて知りました。同じ医学を学んだ者同士の親近感があったのでしょうか。手元にある「チェ・ゲバラ伝」(三好徹・原書房)にはフレディについて、「唯一の日系ゲリラ隊員フレディ・マイムラ~マイムラは舞村か米村か不明であるが」と言及されていますが、実際の名は、フレディ・マエムラ(前村)・ウルタードです。しかも、そのオダギリが「ベニの浜辺で」(フレディの生まれ故郷であるボリビア・ベニ県の代表的なご当地ソング)を歌うとか、エンディングで秋元さん率いる「アナタ・ボリビア」の演奏する同曲が流れる、なんて予想もしていませんでした。ここが一番びっくりした。さて、その映画は、冒頭ゲバラの来日、そして広島訪問のシーンから始まっています。ゲバラがキューバ革命政権の特使として来日したのは、前掲「チェ・ゲバラ伝」によればキューバ革命から半年あまりの1959年7月15日、日本だけを訪れたのではなく、アジア・アフリカ・ユーゴスラビアを歴訪したなかの1国としてです。映画の中では、日本側で「たかが少佐」的な受けとられかたをしていたような描写がありますが、実際のところは、キューバの日本大使から藤山外相宛公電で「極左的色彩を有する革命家(本人は否定している)であるが、首相の信頼は厚い」と記述されていたそうなので、日本側でもキューバの重要人物であることは把握していたようです。そのゲバラが日本で会談したのは、7月16日都庁に東都知事を表敬訪問、17日藤山愛一郎外相、続いて牛場信彦外務省経済局長、同じ日に東京のキューバ大使館で行われたパーティーで米国のマッカーサー駐日大使と立ち話、22日池田隼人通産相、その後関西に移動する途中で富士山に登り(ただし、列車の時間の関係で9合目で断念したとのこと)、23日愛知県でトヨタの工場を見学。このときゲバラ一行を案内したのは、前掲書によれば「特殊潜航艇で真珠湾を攻撃した戦歴の持ち主」の「KS氏」とのこと。真珠湾九軍神の唯一の生存者にして太平洋戦争の最初の捕虜となった酒巻和男元少尉を指していることは明らかです。Wikipediaの記事に寄れば、酒巻は確かに戦後トヨタに勤務しています。その午後は三菱重工で飛行機製造現場視察、24日久保田鉄鋼堺工場、丸紅・鐘紡(現カネボウ)を視察して、翌25日、神戸の川崎造船のドックを視察したあと、東京に引き返す予定のところ突如として広島に向かったそうです。映画では夜行列車で広島に向かった描写になっていますが、前掲書によると大阪から全日空機で岩国に飛んでいます。前日に、「他のすべての日程を犠牲にしても原爆慰霊碑に献花したい」と言い出したとあります。原爆資料館の中で案内の広島県職員に対して、英語で「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹は立たないのか」と言ったそうです。この辺りの描写は、その発言がスペイン語ではなく英語だった点も含めて、映画の描写と完全に一致しています。翌26日朝10時発の列車で帰阪(これも映画では帰りの列車として寝台特急である「あさかぜ」の名を口にしていたので、ちょっと食い違っています)、更に大阪から飛行機で東京に戻ると、翌27日、午後5時に外務省を訪れ牛場経済局長と砂糖の輸出について交渉(日本滞在中、牛場との交渉は3度に及んでいます)した後、午後11時15分の便で次の訪問国インドネシアへ離日します。使節団は首相(岸信介)との会談も希望していましたが、岸はちょうどヨーロッパ歴訪中だったため、これは実現しませんでした。ここから分かるのは、日本滞在中、広島での献花を除くと、「革命家ゲバラ」の顔はまったく姿を潜めており、ただひたすらに「キューバ新政権の経済閣僚」としての交渉の役割に徹していたことが分かります。結局、その2年後にゲバラはキューバの工業大臣に就任しています。しかし、やっぱり経済閣僚は彼にとって柄ではなかったのでしょう。在任4年で辞任して、カストロへの「別れの手紙」とともにキューバを離れ、ボリビアに潜入して戦ったものの、キューバ革命の成功を再び繰り返すことはできず、1967年10月9日、非業の死を遂げます。
2017.10.14
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集落騒然、あわや大惨事 高江の米軍ヘリ炎上 何度も爆発音 「もう少しで死んでいた」11日夕方、沖縄本島北部の米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江で米海兵隊のCH53大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故。地元の住民が日ごろ抱いていた不安が現実となり、衝撃が広がった。昨年12月の名護市安部に米軍輸送機オスプレイが墜落し1年もたたないうちに、再び事故が起こった。「もう少しで死んでいた」「ボンボンと何回も燃えた」。東村高江の住民は声を震わせながら言った。満天の星空が広がる集落上空にはヘリコプターが飛び交い、救急車とパトカーのサイレン音が響いた。現場周辺には、消防や警察、米軍車両が行き来し、赤色灯とライトに照らされ、現場付近は油が燃える臭いが充満し、人口約130人の小さな集落は騒然となった。11日午後5時半ごろ、炎上現場から200mほど離れたところに住む女性が庭の草刈りをしている時だった。~牧草地から黒煙が上がり、赤々と炎が燃えているのが見えた。黒煙の中からはヘリの前方部分が見えた。爆発音が上がると同時に2、3回大きな火柱が上がった。(以下略)---またも、沖縄で米軍ヘリの事故です。当初報道では「墜落」とされていましたが、米軍が「いや、緊急着陸だ」と言いはじめると、途端に各マスコミも追随して「墜落」から、不時着とか炎上とかと表現を変えています。まあ、どういう表現かはたいした問題ではなく、とにかく事故であることは歴然としています。ただ、これが墜落ではなく不時着だとしたら、何でわざわざ高江の集落に不時着したのか、ということが問題となります。高江というのは、引用記事にあるように人口130人の狭くて小さな集落で、その周囲はぐるりと米軍北部訓練場が取り囲んでいます。この状態で、どうして、狭い狭い高江の集落に「不時着」する必要があるのか。大いに疑問です。前提条件として考えなければならないのは、米軍機は自国内の基地では禁止されている住宅地上空の超低空飛行を、日本では平気で行っている、という点です。日本国内でも、基地内の米軍住宅上空では決して低空飛行をしないけれど、基地の外の住宅地では低空飛行をする、というのが実態だといわれます。今回の事故機がどのようなコース、高度を飛行していたのかは分かりませんが、目と鼻の先にある北部訓練場のヘリパッドまでたどりつくことが「できなかった」のだとすると、人家があるにもかかわらず、それほど低空を飛行していたということなのだろうと思います。更に問題なのは、ヘリパッドまでたどりつくことが「できなかった」のではなく、意図的にヘリパッドへの着陸を避けた場合です。それはつまり、炎上するヘリコプターでヘリパッドを壊したくないから基地の外に不時着しよう、つまりヘリパッドは燃やしたくないが日本人の土地なら燃やしてよい、という意識があったということになるからです。はたしてどちらだったのでしょうか。どちらだとしても、沖縄(日本)に対する差別的な意識の産物であることに違いはありません。
2017.10.13
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10月8日、朝6時半から深夜12時過ぎまで福島の川俣まで演奏しに行ってきたというのに、翌9日は朝から個人練習、そして午後は船橋三番瀬海浜公園まで鳥の写真を撮りに行ってきました。この日は最大干潮時間が午後1時すぎだったのですが、この時間には間に合わず、2時少し前に到着しました。オオソリハシシギ。オオソリハシシギ。それにしても、でかいくちばしです。多分シロチドリ。でも、メダイチドリかも。首に白い輪が背中まで一蹴しているのがシロチドリなのだそうです。だから、シロチドリだと思うけど、ネットで検索すると、シロチドリの白い輪はもうちょっと幅広くはっきりしているような気もするのです。果たして・・・・・・。ハマシギメダイチドリ、だと思うけど・・・・・・。やっぱりシロチドリかなあ。光の加減やら、首を伸ばした時とすぼめた時で感じが変わるので、正直私にはハッキリとは区別できません。ハマシギ。チュウシャクシギと、その周囲はミヤコドリ。チュウシャクシギは、1羽だけでいました。他に仲間はいないのでしょうか。ミヤコドリ。私が子どもの頃は、東京近辺では滅多に見られない幻の鳥でしたが、だんだん渡来数が増えて、今では冬の東京湾では当たり前の鳥に。9月に初めて見た時は10羽くらいでしたが、その後どんどん北から渡ってきたのでしょう。この日は100羽以上はいました。この後、半分くらいが一斉に飛んでしまったのですが、残りの半分も、何と私がくしゃみをした瞬間に、全部飛んじゃいました(涙)周囲にいた他のバードウォッチャーの皆さん、ごめんなさい。まあ、ミヤコドリもチュウシャクシギも、すぐ戻ってきましたけど。オオソリハシシギとウミネコ。チュウシャクシギ。盛んに鳴いていました。シギの仲間は、澄んだ声で結構きれいな鳴き声です。左はソリハシシギ、右はオオソリハシシギ。ハマシギ。それにしても、前日は12時過ぎに帰宅して、寝たのが2時半、それなのに、この日も1日出歩いて、しかも三番瀬は、駅から片道2km以上あるのです。バスもあるけど、使ったことがない。往復+干潟を歩き回るので、5kmくらいは歩いているでしょう。さすがに疲れました。
2017.10.11
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10月7日からコスキン音楽祭 川俣日本最大級の中南米音楽祭「コスキン・エン・ハポン2017」は10月7日から3日間、川俣町中央公民館をメイン会場に開かれる。国内外から181団体が出演し、陽気な音楽で町を盛り上げる。(以下略)---少し前にも告知しましたが、この音楽祭に参加してきました。全国から181団体だそうですが、私の参加しているグループはその181団体の中には入っていません。3箇所のサブステージだけで演奏して、本ステージには出ていないからです。福島駅。自宅を6時半に出て、福島駅には9時少し前に到着しました。福島駅のバスターミナルに、すでに「コスキン会場行」という案内が出ています。会場の川俣中央公民館には10時前に到着しました。この時間は、まだそれほど人は集まっていませんでした。ステージはこんな感じです。20年前から(多分、もっと前から)セッティングはほとんど変わっていません。さっそく練習開始。なにやら、テーブルの上に気を散らす飲み物が置いてあるような・・・・・。でも、私は演奏が終わるまで我慢。(飲んでいるメンバーもいましたが)で、1時半から「羽山の森美術館」のサブステージで演奏。バタバタしていて、演奏の録画はしましたが、写真は自分ではまったく撮っておりません。川俣には美術館もあるのか、と思ったら、どうやら統廃合になった学校の校舎を流用したようです。演奏の様子は「森の小鳥」さんが撮影してくれました。動画は、セットした場所が悪くて全員が写っていませんが、↓の写真は全員が写っています。1曲目を演奏しているときの写真です。3曲目です。続いて、「道の駅川俣」へ移動して、こちらのサブステージで2時半から演奏です。道の駅川俣特設ステージ。先ほどの「羽山の森美術館」はPAなしでしたが、こちらはマイクありです。さあ、やっとお酒タイムになったぞ。トラピチェというのは、アルゼンチン・ワインの銘柄で、我が家の近所の酒屋でも手に入ります。私が買うのは白ばかりですが。乾杯!!演奏楽しかったねえ。日中は暑かったのですが、日が落ちたら寒くなってきました。屋台の料理がおいしい。さて、しかし、実はあともう1回演奏があったのでした。もう飲んじゃったけど。それに、メンバー7人のうち1人は、用事があってすでに帰路についています。絹蔵のサブステージ。去年演奏した場所です。3箇所演奏した中で、音響は、ここが一番よかったのでした。演奏の出来も、一番よかったかもしれません。で、肝心の演奏です。日本の「ZABADAK」というグループをフォルクローレの楽器でコピーする、というコンセプトのグループなのですが、今回用意した10曲の中で1曲だけ、ZABADAKの曲ではない、フォルクローレの曲があります。それがこの「テスタッチョの市場」ZABADAKのカバー曲を4曲。最初の曲が羽山の森美術館、次の2曲が道の駅川俣、最後の曲は絹蔵での演奏です。音楽祭自体は3日間ですが、私は他にも色々用事があり、とても3日間は参加できないので、日帰りの強行軍でした。朝6時半に家を出て現地着が10時、帰りは8時半に現地を出て、帰宅は12時を回っていました。さすがにヘトヘト。今回管楽器ケース一式に加えてフルートと、マンドリン(付随して譜面台やら録音録画機材やら)も持ったら、デジタル一眼レフまではもてず、コンデジとiPad miniでの撮影となりました。さて、来年は行けるでしょうか。
2017.10.09
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スペイン、カタルーニャ負傷者に謝罪 双方に歩み寄りの兆しスペイン中央政府は6日、同国北東部カタルーニャ自治州で強行された独立をめぐる住民投票の最中に警官隊によって負傷させられた人々に対し、初めて謝罪した。カタルーニャ独立問題をめぐり、双方から危機終結に向けた歩み寄りの兆しが出ている。カタルーニャ自治州政府は住民投票の結果を受けて独立を宣言する構えを示しているが、スペインのラホイ首相はこれを阻止すると明言し、調停を求める声も一蹴していた。この問題は欧州の不安定化を招く恐れもある政治対立に発展しつつあるが、6日になって、双方に身を引く用意がある可能性を示す兆しが、初めて見え始めた。カタルーニャ自治州を激しく批判してきた中央政府は、住民投票で負傷者が出たことは遺憾だとし、危機を収束させるための措置として、同自治州での地方選挙の実施を提案した。一方、カタルーニャのプチデモン州首相に近い同州政府閣僚のビラ氏も、ラジオ局Rac1に対し、中央政府によるさらなる締め付けを避けるために「停戦」を検討することも可能だと述べた。しかしスペインの経済界と中央政府はカタルーニャ自治州に対し経済的な圧力をかけ続けており、これまで同州を拠点としていたエネルギー企業ガス・ナトゥラルやサバデル銀行、カイシャバンクといった大企業が法人登記を州外に移転する方針を発表した。同州自治政府の指導者の一部は、9日の州議会本会議での独立宣言採択を期待しているが、州首相府報道官によるとプチデモン州首相は議会出席を延期し、時間を稼いで緊張緩和に努める姿勢を見せた。同氏が議会でどのような発言を行う予定だったかは不明だ。---日本の政治情勢も緊迫していますが、スペインの政治情勢も緊迫しています。カタルニアの独立そのものについては、なかなか一筋縄ではいかない問題をはらんでいます。カタルニアは歴史的に見て、政治的にはスペイン中央政府から弾圧されていたけれど、経済的にはスペインの中ではもっとも豊かな地域です。だから、独立してもやっていける、というより、俺たちが払った税金が南のアンダルシアなどの貧しい地域に使われるのはごめんだ-的な金持ちの論理がなくはない。だから、スペインのほかの地域や中南米から出稼ぎに来ている人たちは独立運動に対して冷淡、という側面もあるようです。いくら経済的にはスペインの最先進地域と言っても、独立して経済的にやっていけるのか、という問題はついて回るでしょう。加盟各国内部の分離独立問題を恐れるEUは、カタルニアが独立してもEUに加盟させないかも知れません。ただし、経済的な面で見ると、スペインは莫大な対外債務を抱えており、ギリシャのような経済危機が発生したときに、一蓮托生でカタルニアまでひっくり返るのはたまらない、ということもまた、カタルニア独立運動の盛り上がりの一因としてあるでしょう。各政党の賛否を見ると、カタロニアの地域政党は当然独立賛成(急進的、穏健的の差はあります)。全国政党では、新興左派政党のPODEMOSと、旧来の共産党を中心とする統一左翼連合(IU)は、独立への賛否は不明確ながら独立投票は支持、保守派の国民党(PP)と、自称中道左派、実態は中道右派の新興政党シウダダノスは独立投票反対。社会労働党(PSOE)も、党中央は独立反対ですが、カタロニア支部に相当するカタルニア社会党からは造反があるようです。独立投票は3年前にも行われているのですが、今回は州首相が、独立が多数を取れば独立宣言を発すると言っていることから、緊迫した動きになっています。投票自体は、独立賛成が9割を占めたようですが、投票率は43%といいます。独立反対派は反対票を投じるのではなく棄権を選んだようです。この問題を知るには、現在のニュースを読むだけでは不十分で、過去の歴史的経緯も知る必要があります。スコットランドや沖縄がそうであったように、カタルニアももともとは独立国でした。おおよそ10世紀頃に実質的な独立国としてもカタルニア君主国が成立し、1492年コロンブスが米大陸に到達したその年、カスティーリャ王国と合同しています。(1492年というのはスペインにとっては歴史の転換点となる年で、まず8世紀頃からイベリア半島に侵入したイスラム教徒による国土支配を完全に駆逐した年であり、その余勢をかってポルトガル王国以外の現在のスペインの領域の諸王国が合併したのもこの年であり、また中南米の植民地支配の端緒となったコロンブスの新大陸「発見」もこの年でした)その後もカタルニアは独自の言語(カタルニア語)と法律をもつ実質的な半独立国として続いていったものの、その自治権は次第に浸食されて行きます。そのカタルニアが決定的に、完膚なきまでに自治権を奪われたのが、1930年代のスペイン内戦によってです。PSOEや共産党、無政府主義者などを中心とする人民戦線政府(共和政府)に対して、ナチスドイツとイタリアのファシストに支援されたフランコ将軍が反乱を起こし、約3年の激しい内戦の後、人民戦線は敗北し、フランコの独裁政権が成立しました。この内戦の際、人民戦線側を熱烈に支持したのが、カタロニアとバスク、それに南部のアンダルシアでした。カタルニアとバスクが人民戦線を支持したのは、自治権拡大への期待からです。そのため、内戦に勝った後のフランコによるカタロニアとバスクへの報復は熾烈を極めます。カタルニアの自治権は完全に剥奪され、カタルニア語も弾圧されます。カタロニア語を口にしてよいのは家の中だけ、公務員が職場でカタロニア語を口にしたら解雇、というほどのすさまじい弾圧だったのです。フランコの死後、カタルニアの自治権は次第に回復され、特にカタルニア語の地位は著しく回復しました。現在ではカタルニア語、ガリシア語(ほぼポルトガル語)、バスク語は、スペイン語と並んでスペインの公用語と位置付けられていますが、このような歴史的経緯があるため、フランコ時代に学校教育を受けた人たち(現在では50代以上)は、カタルニア語で会話は出来るけれど読み書きは出来ない例が多いといいます。(なお、カタルニアでも学校教育でスペイン語は教えているので、カタルニアでもスペイン語はまったく問題なく通用します-という話を聞いています。行ったことはないですけど)とはいえ、フランコ時代の弾圧の記憶は、カタルニアの歴史に深く刻まれています。で、そのフランコ時代の独裁政党ファランヘ党が衣替えをしてできたのが国民党(PP)であり、現在のラホイ首相はそのPPの出身です。つまり、フランコ派の後継政党がカタルニアに対する血の弾圧を再びやった、ということになるわけです。このことは、カタルニアの独立意識を刺激することはあっても、沈静化にはまったくつながらないでしょう。フランコ死後、穏健保守党化したように見せかけていたPPの本性は、やっぱりフランコと同じじゃないか、と思った人は多いのではないかと思われます。したがって、警官隊を派遣して投票箱を押収して投票を阻止しようとしたやり方は、まったくの悪手としか思えません。
2017.10.07
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<衆院選>立憲民主党、50人超擁立へ民進党の枝野幸男代表代行が衆院選に向けて結成した新党「立憲民主党」は3日、総務相あての設立届を東京都選管に提出し、受理された。毎日新聞の取材では、枝野氏や長妻昭元厚生労働相ら民進党の前衆院議員14人のほか、元職11人、新人23人が既に参加の意向を表明。希望の党から公認を拒否された民進の候補予定者らがさらに加わるとみられ、立憲民主党からの出馬は50人を超える公算が大きくなった。---それしかないだろうと思っていたかたちになったようです。大いに支持します。票を入れるかどうかは、今の時点ではまだなんともいえませんが、多分小選挙区か比例区かどちらか1票は投じるだろうと思います。これに対して、小池率いる希望の党は敵意むき出しで、いろいろな情報を総合すると、希望の党に来ない議員や候補者に対して、公然非公然の圧力をかけているのだそうです。つまり、無所属で出るなら希望の党から対立候補を出さないけれど、立憲民主党から出るなら対立候補を出す、とか、希望の党になびきつつある連合を通じて圧力をかけるとか、そういったことです。どうも、野党が分裂すると自民党を利する、という考えもあるようですが、私はそれは違うのではないか、という気がします。直近の都議選では、周知のとおり都民ファーストが大勝しました。彼らが票を奪ったのは、もっぱら自民・民進・維新からです。この3党の票は大きく減らしています。この中で、表面的に見ると、もっとも壊滅的に減らしたのは維新の党であり、民進党もそれに次いで減らしており(この両党の得票率は前回の半減をはるかに下回る)、それに比べると自民党の得票率は、減ってはいるものの半減までは行っていません。ただし、民進と維新はそもそも不戦敗状態です。つまり候補を立てられなくて、そもそも選挙を戦うことすら出来なかった選挙区が多かったのです。前回2013年の都議選は、旧民主党44人、みんなの党20人が立候補しているのに対して、2017年の民進党は23人しか立候補していません。維新も同様に34人から4人に減っています。候補者を立てた選挙区も、総じて得票は減っていますが、外見的な得票率ほど壊滅的に減ったわけでもありません。それに対して、自民党は前回59人、今回60人と候補者数はほぼ変わらないのに、得票を大きく減らしました。つまり、都民ファースト(希望の党)はもっぱら自民党の票を食った、ということです。民進の票も食ったでしょうが、自民党の票をより多く食っていると思われます。そのため、今回の都議選では、自民党が一人しか候補を立てていないのに、共産党と最後の議席をめぐって一騎打ちとなり、自民党が負けた、という例が何箇所も起こりました。共産党は都民ファーストにはまったく票を奪われず(得票率は微増しています)、自民党だけが票を奪われたため、そういうことが起こったのです。この都議選の結果から類推すれば、自民対立憲民主(あるいは共産でも社民でも)の一騎打ちよりも、自民対立憲民主対希望の3すくみの方が、むしろ立憲民主党にとっては善戦が期待できるのではないか、と思います。あとは、立憲民主党が民進党の票をどれだけ取れるか、というところですが、早速行われた朝日の世論調査では、比例区での投票先として、1週間前は民進党が8%、今回は立憲民主党が7%だそうです。誤差程度の微減にとどまっているということは、民進党票の大半は立憲民主党に向かいそうな気配です。この状況で、私が期待したいのは、社民党の対応です。組織として合流するかどうかはともかく、比例区では社民党と立憲民主党と統一名簿は出来ないかな、と思うのです。共産党は無理でしょうし、統一しても間違って「共産党」と書く人が続出しそうだから、得策でもなさそうです。が、社民党は、少なからず票を投じてきた私がこう書くのもなんですが、九州ブロック以外は比例区でも当選者が出せそうにありません。しかし、社民党の票が立憲民主党に上乗せされた場合は、獲得議席の増につながる可能性は高いのです。議席を奪う対象が共産党、というブロックも1つか2つは出てくるかもしれませんが、それでも7~8議席は自民、希望、維新から議席を奪うことが期待できそうです。仮に効果がかなったとしても、もともと九州ブロック以外は社民党の議席はないのだから、マイナスにはなりません。相手が左右混在の民進党ならともかく、リベラル派主体の立憲民主党への合流は、それほどの拒絶感はないにでは、と思うのですが、どうでしょう。社民党(受け入れる立憲民主党も)の大英断を期待するところです。
2017.10.05
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この土日は2日とも練習があったのですが、土曜は練習の前に、日曜は練習の後に、鳥の写真を撮りに行ってきました。まず、土曜日の朝、葛西臨海公園です。東なぎさの杭の上に何かが止まっているのですが、まだ西なぎさが閉鎖されている時間だったので、近寄れません。最大望遠で撮影しましたが、こんなに小さい。さて、 何の鳥でしょう。250mmの望遠レンズにテレコンをつけて、350mm相当にして、それでもファインダーを見ただけでは(双眼鏡でも)はっきりとはわかりませんでした。あとで写真を等倍に拡大したら、ミサゴでした。英名オスプレイ、例の出来損ない飛行機の語源です。トビが飛んでいます。この日はトビが多くて、「何か猛禽が飛んでいる」と思うと、先ほどのミサゴ以外は全部トンビでした。カワセミ。9月初めから、常に同じ場所にいます。カワセミは人気者だから、その周囲には常に10人以上のカメラマンが群がっていました。カワセミ。カワセミが飛んだ。まだ今年生まれの若い個体なので、狩りは下手で、なかなか魚を捕らえられません。ハクセキレイ。これも逆光気味で色や模様がよく見えず、「スズメではない何か」としか分からないまま写真を撮ったのですが、あとで画像補正すると、エゾビタキでした。同じくエゾビタキ。名前はエゾですが、実際はもっと北の千島、サハリンから春と秋に渡りの途中で立ち寄る鳥です。エゾビタキ。何の変哲もないただのカラス、ではありません。都会の街中で普通に見かけるカラスはハシブトガラス。これはハシボソガラスです。珍しい鳥というわけではなく、農村などではハシボソガラスのほうが普通ですが、都会で見ることは稀です。ハシブトガラスは、「カーカー」と澄んだ声で鳴きますが、ハシボソガラスが、「ガーガー」と濁った声です。ただし、カラスはご存知のとおり、頭が良くて器用な鳥で、モノマネも上手いので、「本性」を隠した鳴き方もできてしまいます。だから、鳴き声のみでは判断できません。決定的なのは、頭とくちばしのシルエット。ハシブトガラスは、名前のとおり嘴が太く、おでこが出っ張っているのに対して、ハシボソガラスは嘴がやや細く、頭の形もスマートです。これが、街中で普通に見られるハシブトガラス。比べれば、頭の形の違いは一目瞭然。東なぎさにて、再びミサゴを発見。続いて翌日10月1日、この日は朝から練習で、そのあと、練習場所からあまり離れていない明治神宮と代々木公園をちょっと歩きました。(ついでに、練習の「復習」もしたけど)あまり珍しい鳥には遭遇できませんでしたが。ヤマガラヤマガラ。シジュウカラの仲間で、シジュウカラは我が家の近辺でも見かける、ありふれた鳥ですが、ヤマガラは都会ではかなり大きな公園にしかいません。でも、ヤマガラの方が人を恐れないのか、間近で撮影できるチャンスは、ヤマガラの方が多いように思います。
2017.10.03
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「希望」の選別に民進・連合内から反発の声10月の総選挙に向けて、小池東京都知事が率いる希望の党は、30日も民進党との間で、候補者の調整を進めている。しかし、選別を受ける民進党内や支持団体の連合から、反発の声が上がっている。希望の党の若狭前衆議院議員と民進党の玄葉元外相は、30日も候補者調整をめぐる協議を続けていて、2日にも、1次公認の候補者を発表する方向。一方で、希望の党の小池代表は、憲法改正や安全保障で政策が合わない民進党前議員の排除を明言している。こうした中、排除される可能性のある民進党の枝野代表代行が無所属での出馬を検討し、考え方の近い議員らとの新党結成も視野に入れていることがわかった。また、民進党を支持する連合からも、「希望者を全員受け入れなければ、支援を考え直す」と、希望の党への反発の声が広がっている。一方、小池氏は午後、大阪府の松井知事、愛知県の大村知事と会談し、総選挙での連携について協議する見通し。---先の投稿で、「希望の党」の側は合流する議員を選別する、と言っています。~具体的にどのような姿勢の人を受け入れる、とは記事には明示されていませんが、文脈から考えれば、憲法改「正」に賛成しろ、集団的自衛権を認める安保法に賛成しろ、そうでない人は受け入れないぞ、ということです。それは、私にとってはどう考えても「我々の理想の社会」に向かう政策とは思えないものです。と書きましたが、この選別の動きが本格化しており、それに対して民進党や支持母体の連合内で反発が強まっているそうです。でも、政党って本来そういうものでしょう。「自主憲法制定!中国と戦争しろ、朝鮮人は日本からたたき出せ!」という主張の持ち主が、その主張を公言したまま「社民党から出馬します」「共産党から出馬します」といっても、立候補はさせないでしょう。政党とは、本質的には政治に関する主義主張を同じくする人たちが集まってつくる集団です。もちろん、複数の人間が集まる以上は、その主義主張にはどうしたって幅がありますが、それでも、ある程度は共通の目指す方向があります。自民党だって、かなりリベラルよりから保守強硬まで幅があるにしても、基本的には「保守」という枠がある。もちろん公明党や社民党、共産党は言うに及ばず、です。政党とはそういうものです。民進党(旧民主党)だけが、安倍と変わらない保守強硬から社民党から移った左派まで、あまりに「何でもあり」に過ぎたのです。それに、そもそも歴史を紐解けば、旧民主党は旧社会党、さきがけ、日本新党から移ってきた議員が作った政党です。その際、私の記憶が正しければ、やはり旧党からの議員の移籍を一部排除していたはずです。具体的に言えば、まさしく「三権の長」であった村山元首相(社会党)や、さきがけの武村元蔵相は旧民主党から排除されました。他にも民主党側から明示的に排除されたのかどうかは記憶にありませんが、自社さ政権で閣僚や重要ポストについていた人で、民主党に行った人は、自身が民主党の結党者であった菅直人と鳩山由紀夫は別にすると、ほとんどいなかったように記憶しています。先の投稿の引用にも書きましたが、私は希望の党の憲法観、安全保障観には反対です。まだ希望の党の憲法改「正」や安全保障についての政策は明示されていないので、予想される政策に対しては反対、という意味ですが。したがって、私が希望の党に票を入れることは絶対にありません。ただ、主張への賛否は別にして、小池がイデオロギー的に相容れない議員は受け入れないのは、当然のことでしょう。というか、いくらなんでも、辻元清美や阿部知子と中山恭子が同じ党って、グロテスクにもほどがあります。まあ、辻元と松原仁が同じ党だったこと自体、既に充分グロテスクでしたが。むしろ、私はこれまでリベラルな主張をしていたのに、「改憲賛成、安保法賛成」と言って希望の党に行く人がいたら、そちらの方がよっぽどがっかりします。さすがに、辻元はその辺りは毅然としており、希望の党に行かないことを明言しています。他にも、希望の党に行かない、あるいは行けない議員、立候補予定者は少なからずいるようです。彼らがすべきことは、希望の党に文句を言うことではなく(事実上の解党を決めた自党の執行部に対しては、選挙資金の問題を含めて文句を言うべきでしょうが)無所属なり新党結成なりで、間近に迫った選挙を戦うことでしょう。もちろん、その際には是非、社民、共産と共闘してほしいと願うものです。というか、それなしで小選挙区で勝つことはあり得ないでしょう。
2017.10.01
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