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2021年05月09日
シエレバッハの謎(五月六日)
二つ目のコピーした記事は、「大日本山林会報」の184号(1898年4月)に掲載された「「ベーメン」國「シエレバッハ」市樂器製造用木材」という記事である。シエレバッハが現在のチェコのどの町に当たるのかは調べたけれどもわからなかったというのは、以前も書いたとおりである。わからなかったのも当然である。入手した記事のコピーを見たら町の名前は「シエレバッハ」ではなく、「シェンバッハ」になっていた。表紙に刷られた目次のほうでは、「ン」の活字がつぶれて二つの画がつながっているため「レ」のように見えるから、誤植というべきか、データ化の際の間違いと見るか微妙なところである。
記事の内容は、この町で楽器製造に使用する木材の種類や産地について書かれたあまり興味深いとは言えないものだが、「ウンガルン」「ボスニーン」「ヘルツヲウイナ」などの地名が出てきて、それぞれ、ハンガリー、ボスニア、ヘルツェゴビナのことだろうかなどと考えるのはなかなか楽しい。独立前のボヘミアを、「ベーメン国」と国扱いしているのも、何か理由がありそうだけど、よくはわからない。
もちろん、ここで重要なのは記事の内容よりも、「シェンバッハ」がボヘミアのどの町なのか頑張って確定することである。いろいろ検索などした結果、「シェンバッハ」は現在なら「シェーンバッハ」と延ばして書くことの多い地名で、ドイツ語の「Schönbach」に相当するであろうことがわかった。チェコ語のウィキペディアで検索するとオーストリアやドイツにある町も出てくるが、いくつかのボヘミアの町のドイツ名として使われていたことがわかった。いずれも西ボヘミアか北ボヘミアのドイツとの国境近くの町である。
一応列挙しておくと、西ボヘミアのヘプの近くの村クラースナー、同じくヘプの近くの町ルビ、北ボヘミアのモストの近くの町メジボジー、リベレツの近くのズディスラバ、それにホモウトフの近くにあった廃村ポトチナーが、以前ドイツ語でシェーンバッハと呼ばれていたようだ。ドイツ語地名とチェコ語地名には何らかの関連性、類似性があると思っていたので、これだけばらばらのチェコ語の地名がドイツ語ではすべて同じ地名で呼ばれていたというのは驚きである。
次になすべきことは、これらの町の中に、楽器製造がさかんな、もしくは盛んだったところはないか確認することである。またまたチェコ語版のウィキペディアのそれぞれの町のページで確認したところ、このなかではルビのところにだけ楽器製造について書かれていた。それによると、19世紀末の時点で、この町には4000人近くの人が住んでおり、そのうちの三分の一が楽器製造にかかわる仕事をしていたという。また特にバイオリンの生産で知られていたらしい。
ルビの町のHP をみるとバイオリンがあしらわれたデザインになっている。それに、この町にはバイオリン作者の像や、楽器、楽器製造に関する博物館などもあるようである。ということは、この日本にまで伝えられた楽器生産の町シェンバッハは、現在の西ボヘミアのドイツとの国境の町ルビだと考えて間違いなさそうである。このようにちゃんとした結果が出ると、コピーを送ってもらってよかったと思うことができる。ただし、今でもこのまちで楽器が製造されているのかどうかはわからなかった。
ところで、このルビについての記事は雑誌の「如是我聞録」という部分に掲載されている。「是の如く我聞けり」だから、人から聞いた話をまとめたということだろうか。情報源がどんな人だったのかも気になるが、これはもう調べようのないことである。
ちなみに、日本のヤフーで「シェーンバッハ」で検索すると砂防会館に入っている施設が最初に出てくる。会議室の貸し出しをしているところのようで、「シェーンバッハ・サボー」というのが正式名称らしいが、「サボー」というのは何だろう。一瞬、ハンガリーの名字のひとつかと、「シェーンバッハ」はドイツ語だし、思ったのだが、何のことはない砂防をカタカナ表記しだだけだった。
2021年5月7日18時30分。
タグ: 国会図書館
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2021年05月08日
「教育報知」(五月五日)
今回国会図書館から届いたコピーのうち、原本の雑誌の刊行が一番古いのは、「教育報知」の第二十八号である。この号は明治十九年(1886年)六月一日付で発行されている。念のためにコピーした表紙の記載によれば、毎月三回、一日、十一日、廿一日に発行されていたようである。国会図書館オンラインでその二十八号の 目次 を確認したところ、雑報として「?ヘ育報知墺國ボヘミア小學?ヘ育博覽會に出づ」という記事が出ていることを発見したのである。
以前も書いたけれども、これを見て「教育報知」が、ボヘミアで行われた初等教育に関する博覧会に取材班を送り込んだという内容の記事だと思ったのだ。ページも13〜14と、2ページにまたがるので、そんなに短くはなく、ある程度の分量が有るのではないかと期待し、ボヘミアのどこで行われたのかとか、当時のボヘミアの様子なんかも書かれているに違いないと思い込んでいた。
それが、届いたコピーを見てみれば、B4サイズの一ページが三段組になっているのの一番下の段の最後の、見出しを含めて六行と、次のページの上段の1行目だけが、該当する記事だった。こんなの前の記事を削ったり、改行を調整したりして1ページ目に押し込むのが編集者の仕事だろうと、中身を読む前の時点で憤慨してしまった。この時点で、詳しいことが書かれいるはずはないと、内容に関してもあまり期待できないことが明らかになった。雑報なんだから期待するほうが間違いだといわれればそのとおりなのだけどね。
ちょっと落ち着く時間を取って確認した中身は以下の通り。せっかくなので引用しながら話を進める。変体仮名の活字が使われているけれども、普通のひらがなに翻字しておく。漢字も一部新人に改めてある。
このたび墺地利國「ボヘミア」に於きて小學?ヘ育博覽會開設につきては同会へ出陳のため近刊の教育報知贈付の義東京教育博物館よりの照会により先月同館までその二三号をさし出したり
つまり、オーストリアのボヘミアで行われる教育博覧会に出たのは、雑誌の編集部ではなく、雑誌そのものだったのである。いや、この時点では、東京の教育博物館の依頼で雑誌を提供したことしかわからない。「二三号」というのが、二十三号なのか、二つか三つの号なのかはわからないけれども、いずれにしても、たいした数ではない。その後、教育博物館が博覧会に向けて送付したのか、この頃あったのかは知らないが大使館を通じて送ることになっていたのだろう。実際に展示されたという記事でないのは残念である。教育博物館は、現在の国立科学博物館の前身とされる施設のひとつである。
この小学教育博覧会についてはチェコ側で調べたほうがいいのかもしれないが、何せチェコスロバキア独立以前の話だし、当時博覧会のために集められたものがチェコに残っているのか、オーストラリアに引き取られたのかよくわからない、いや、それでもどこで行われたかがわかれば調べようもありそうだけど、それもわからないからお手上げである。一度、チェコの国立博物館の蔵書に「教育報知」がないかどうか調べてみようか。
思ふにこのことは弊社のみには限らさりしならん。
うちの雑誌だけではないだろうと付け加えて記事が終わるのだけど、当時どのぐらいの教育に関する雑誌が定期的に刊行されていたのだろうか。
雑誌「教育報知」に関しては詳しい事はわからないのだが、国会図書館オンラインで確認できる限りでは、創刊されたのは明治十八年(1885年)四月のことで、四月と五月は一号ずつ刊行され、六月からは毎月二号ずつの刊行になり、十九年の三月から毎月三号刊行されるようになっている。国会図書館で確認できる一番新しい号は、明治三十七年(1904年)四月に出た六百五十六号である。また月に一度の刊行に戻ったようだ、
雑誌の版元は、雑誌と同じ名称の教育報知社、住所は東京府本郷区となっているから、東京で国内外の教育関係の情報を集めて、編集していたのだろう。雑誌には学術とか論説などの部分も設置されていて、教育に関する学説などの紹介もなされている。コメンスキーも登場しないかななんてことは考えてみたけど、六百冊以上も目次を確認していくのも面倒である。
2021年5月6日24時30分。
2021年05月07日
届いた(五月四日)
先月の七日に国会図書館オンラインで発注した雑誌記事のコピーがようやく到着した。申し込みから到着まで一ヶ月弱という期間には特に文句もない。ただ、四月十三日には、発送準備完了で、遅くとも翌日に発送するというメールが来ていたのに、それから三週間以上も時間がかかったのには納得のいかないものがある。日本の郵便局のページだと航空便なら一週間ぐらいで届くことになっているのだが、現在の世界中で厳しい感染症対策がとられ、飛行機の便数自体が減っている現状では、このぐらい時間がかかるのもしかたがないのだろうか。
正直な話、こちらが名前、住所などの登録を間違えたのかもしれないとまで考えたのだが、登録者情報を見ても、漢字の表記だけで、アルファベットを登録したかわからなかったしさ。それで、そろそろ問い合わせのメールを送ろうかと思っていたら、無事に到着した。実際の発送はいつだったのか確認したかったのだが、封筒の全面の消印は、「YAMASHIROKIZU」とあるだけで日付は入っていなかった。
封筒が予想よりも大きかったのは、複写依頼をした雑誌のうちの一つ「教育報知」がB4版だったからで、半分に折って小さめの封筒で送ってくれてもよかったのにと思わなくもない。複写された資料以外にもインボイスの書類とか、料金支払いのための説明書とかあれこれ入っていて、全部で念のためにキッチンの秤で計ってみたら、102グラムになった。日本の郵便局の料金表によれば、100グラムまでは送料400円で、100グラムを越えたら、670円となっているから、恐らく紙一枚、もしくは封筒のサイズのせいで上のカテゴリーになったと言えそうだ。
複写物とインボイスという必要な書類以外にも、何枚も、支払いの方法を説明する紙、クレジットカード払い用の、使っている人がそれほどいるとも思えないファックス用の申請書などが入っていたのだ。こんなのネット上に挙げておいてダウンロードする形にすればいいと思うのだけど。紙の無駄も防げるし。今にして思えば、表紙が目次になっているのともかく、全ての雑誌の表紙の複写を求めたのも失敗だったかもしれない。インターネット公開していないものでも、表紙と奥付だけは公開してくれないものだろうか。著作権上もそんなに問題にはならないと思うのだけど。
インボイスの請求金額だけを見たときに、ちょっと驚いた。一番上に1260円、その下に5260円とあって、たかだか10枚ほどのコピーに、合計7500円も支払うのかと思ってしまったのである。よく見たら、5260円というのは銀行振り込みで支払う場合の金額で、振り込み手数料として4000円が追加されるということのようだった。1260円はクレジットカードで払う場合である。
その内容を見ると、半分以上が郵送料の670円、残りのさらに半分以上が梱包手数料で350円。複写自体への支払いは、1枚24円で10枚の計240円ということになっている。これは少量ずつ注文するよりも、一度に何枚もまとめて複写を依頼したほうがいいようだ。最初から想定していたことではあるけれども、ここまでだとは思っていなかった。次は100枚ぐらいまとめて注文してみようか。何枚までまとめて郵送してくれるのかはわからないけど。
支払いのほうは、銀行の手数料なんか払いたくないので、クレジットカード一択である。ただその手続きがよくわからない。ファックスできない場合には郵送でもいいし、最悪の場合にはファックス用の書類に記入したものをメールで送ってもいいようである。それで記入したら、別の紙にメールで自分の名前とインボイスの番号を送ることでもカードで払えるようになるというようなことが書いてあった。
不親切極まりない説明に、国会図書館もお役所仕事という点では他と変わらないのかと思いそうになったが、国会図書館では複写、発送と集金の業務を外部団体に委託しているようなのである。銀行振り込みの際の振込口座が、日本キリスト教奉仕団という組織の名義になっている。この組織は障害者の自立支援をしている団体のようだけど、旧態依然の書類をわかりやすく作り変えるぐらいのことはしてもいいだろうに。
届いた複写の内容は、期待はずれだったものもあるけれども、これからひとつずつ纏めていくことにする。
2021年4月5日11時。
2021年05月06日
ハンドボール男子ヨーロッパ選手権予選(五月三日)
運動不足がたたったのか、一日中椅子に座っているのがよくないのか、腰痛が出た。体を前に倒したり、起したりする際に腰にひどい痛みが走り、PCの前に座っているのにも支障が出るようになった。それで、カイロを腰に当てて温めていたのだけど、すぐには快復せず、三日ほどPCの使用を制限することにした。以前のように何日も余裕を持って書き進めていれば、更新も継続できたのだろうけど、自転車操業中ではそれも叶わず、お休みということになってしまった。
さて、ハンドボールの男子代表は、先週の水曜日からウクライナ、フェロー諸島、ブルノと移動して、中一日で三試合行ったのだが、最初のウクライナでの試合に、28−26で勝利した。この結果と木曜日の他のグループの結果から、チェコ代表の勝ちぬけが決定したらしい。残り二試合で連敗してグループ3位になったとしても、他のグループの3位チームとの比較で、上位にくることが決まったからだと言うのだけど、よくわからなかった。この時点では、チェコだけでなくウクライナも勝ち点5で並んでいたのに、ウクライナの勝ち抜けは決まっていなかったのである。
金曜日に行われたフェロー諸島での試合は、相手がここまで全敗だったこともあって、チェコが勝つのは間違いないと油断していたら、26−27で負けてしまった。前半開始直後を除いてずっとリードする展開だったのに、最後の最後で逆転されてしまったようだ。出場した選手を見ると、そこまでメンバーを落としたようには見えないので、ウクライナからの移動の疲れとか、勝ち抜け決定で気が緩んだとか言うことかもしれない。試合は見られなかったのでなんともいえないのだけど。
昨日の日曜日に行われた最終戦を前に、チェコは予選勝ちぬけが決定し、ウクライナはチェコに勝たないと勝ちぬけが決まらないという状況だった。どういうことかと確認したところ、各グループの3位チームの全獲得勝ち点ではなく、勝ち抜けた上位2チームとの対戦で獲得した勝ち点が問題になるようである。つまり、チェコはウクライナとの試合に負けて3位になっても、1位のロシア、2位のウクライナから獲得した勝ち点が3で、3位チームの中では最上になることが決まっているのに対して、ウクライナは、チェコに負けた場合には1、引き分けた場合には2となり、他のグループの結果如何では予選敗退の可能性もあったようだ。
試合開始直後は、チェコのディフェンスが機能せず、長身選手の多いウクライナにロングシュートを軽々と決められてリードを許したのだが、その後、ほぼ守備専門で出場したソラークを中心にブロックが決まるようになると、コーチ兼任のキーパーのガリアのセーブも増え、チェコが逆転して、前半は14−11と3点リードで終了した。後半も常に3点以上のリードを保っており、最終的には27−22と5点差で勝つことができた。
全体的には、安心してみていられる試合で、ドゥクラのクリーマとか、怪我明けでちょっとしか出なかったカルビナーのパツルとか、若手選手の活躍が目立ち、今後のチェコ代表に期待を持たせる結果となった。ちょっと残念というか、もったいないと思ったのは、これも若手でありながらすでに国外でプレーするピロフで、明らかにシュートを打つべきところで、パスをして、パスミスになったり、カットされたりする場面が多かった。
ピロフは、大砲カシュパーレクが欠場していた今回の予選では、唯一の左利きのセンタープレーヤーということで、出場時間も長かったのだけど、せっかくいいシュートを持っていながら、もったいないことである。相手に、最初からシュートはないと見切られているようにも見えた。パツルやクリーマよりも若いようなので、経験不足なのかな。今後の成長に期待しよう。
せっかくチェコ代表が出場を決めたのだけど、ヨーロッパ選手権はチェコテレビでは放送できないのが残念である。かといって有料放送に手を出すほど見なければならないと強迫観念に囚われているわけでもないしなあ。とりあえずはグループステージを勝ち抜けることを期待しておこう。その前に、12月に女子代表の世界選手権があるのか。こちらはチェコテレビで見られるはず。
ところで、負けてしまったウクライナだが、他のグループの3位チームも成績が振るわなかったおかげで、勝ちぬけが決まった。全部で8つのグループの3位チームのうち、上位2チームとの対戦で、勝ち点を取れなかったチームが4つ、勝ち点2を得たチームが3つあり、ウクライナは勝ち点1で4位となり、ぎりぎりで勝ち抜けることができたようだ。
2021年5月4日21時。
2021年05月03日
2021年05月02日
規制緩和の動き(四月廿九日)
チェコでは感染者数が増え、ワクチン接種も進んでいるおかげで、感染状況は一時期に比べると大幅に改善され、規制緩和の動きか進んでいる。平日の新規感染者数は2500人ぐらい、一週間だと1万5千人ぐらいとなっている。これを人口10万人当たりにすると、一週間で150人ぐらいという数字になるが、現時点ではこの一週間の新規感染者の数値が、人口10万人当たり100人以下というのを規制を解除して小売店などの営業を再開させるための条件になるようだ。そして全国一律ではなく、地方単位での規制の緩和解除も計画されている。
とまれ、来週の月曜日5月3日から許可されるのは、なぜか去年も規制緩和の最初の部分に含まれていた理髪店と美容院などの美容関係のサービスである。ただし、利用客に対しては検査を受けて陰性の証明を提示することが求められるという。この手の店は顧客管理をしているはずだから、感染者が出たときの追跡がしやすいと考えているのかもしれないし、個人経営の店が多いから、優先的に営業再開を許可したのかもしれない。
学校も授業が再開される見込みなのだが、さすがチェコで子供たち用の簡易調査キットが足りないと言う声が各地から上がっている。現在は月曜と木曜の週二回の検査が行われているが、それを一回にしてもたいした違いはあるまいという意見もある。また、先日授業が再開された際に、親が検査を拒否した子供の登校を認めたことをとがめられて校長が解任されたなんてニュースもあった。特殊な教育法を取っていることで知られる「シュタイナー学校」でのできごとだったようだ。
子供たちのスポーツも規制が緩和されて、20人以下のグループであれば集団で練習してもかまわなくなるのだったか。ただし、これは感染状況が改善されて一週間の新規感染者数が、人口10万人当たり100人以下になった地方だけかもしれない。室内でのスポーツは依然として対象外となっているが、本来は屋内のスポーツでも、子供たちは屋外で練習することもあるから、どうしようもないというわけではないようだ。
その一方で、5月1日から厚生省とサッカー協会の共同プロジェクトとして、観客を入れての試合開催が再開されることになった。これは、スタジアムのキャパシティの10分の1を上限にして、入場に際しては、陰性の検査結果か、ワクチン接種済みであること、もしくは最近90日以内に感染したことを証明する書類の提示を義務付けるというものである。財政基盤が最もしっかりしているサッカーを使って、観客を入れて試合を開催するための実験という意味があるようだ。
当然、入場者は身分証明書の提示も求められることになろう。これが定着すれば、フーリガン対策の切り札といわれながら、悪質ファン集団の反発が大きく導入が進まないチケットの記名販売につなげられそうである。サッカー協会としても得るところはあるのである。現在でもスタジアムによっては、近くの建物のバルコニーとか、駐車場とか、中に入らなくても試合が見られる場所があって、そこにかなりの数の人が集まって観戦しているから、ちゃんと入場させて、十分に間隔を取って座らせたほうが感染症対策としてはましだという判断もあるのかもしれない。
スポーツ界では、サッカーも含めて、子供たちからスポーツする機会を奪うなだったか、子供たちにスポーツを返せだったか、とにかく子供たちのスポーツを再開を求めたキャンペーンをやっているのだから、観客を入れることよりも子供たちのスポーツの全面再開に力を入れてほしかったと思う。
とまれ、感染状況がいいのは、一時は最悪の状況にあって、オクレス閉鎖も実施されたカルロビ・バリ地方やフラデツ・クラーロベー地方、プラハなどボヘミアの地方が多く、これらの地方では博物館や美術館も屋外展示に関しては、営業の再開が許可されることになっている。さて、モラビアのオロモウツ地方の数字が改善されて、規制緩和が大きく進むのはいつになるのだろうか。最近の問題は、ワクチン接種の予約が可能になった場合に、申し込むべきかどうかである。
2021年4月30日24時。
2021年05月01日
買い物日記(四月廿八日)
電器屋のダタルトで洗濯用のネットが販売されているのを見つけたので、かねてから必要だと思っていたUSBの延長コードともども購入することにした。洗濯ネットは二層式を使っていた日本にいたころは特に必要だとは思わなかったのだが、こちらのドラム式の洗濯機で洗濯をすると、靴下やTシャツなんかに穴が開きやすいことに気づいて使い始めた。洗濯ネット自体も傷むので、しばしば新しい物を買う必要があるのだが、現在の規制でも営業を続けている店の中でどこで販売しているかわからなかった。それが、ダタルトのネットショップで発見できたので買うことにしたのである。
USBの延長ケーブルは、うちのの実家用で、テレビの裏側にあるUSBポートに、USBのメモリーやらハードディスクやらを抜き差しする際の面倒を解消するためのものである。本棚とかテレビ台とかが一体化して、一繋がりに壁の一面を占めている棚のテレビの置き場に設置されているため、裏側に抜き差しするには、いちいちテレビを動かさないとならないのである。この手の棚セットは、以前はどこの家庭でも居間に置かれていたらしい。
ネット上で買い物する際に、うまくまとめて処理できなかったので、別々に注文して別々に支払い、別々に受け取り可能の連絡が来た。今思えば一つ目の連絡のSMSをちゃんと見なかったのがいけないのだが、いつものようにシャントフカの店舗に注文を入れたつもりで、取りに行ったら、担当のお兄ちゃんが困ったような顔をして、洗濯ネットはこの店への注文になっているけど、USBの延長ケーブルは、ガレリエ・モリツの店舗への注文だよと教えてくれた。自分ではどちらもシャントフカの店に注文したつもりだったのだが、届いたSMSを見たら、モリツと書かれていた。何故だ?
どの道、コービーも買いに行く予定だったので、コドーに行くついでに寄れるからたいした手間ではない。久しぶりにシャントフカの二階に上がって歩道橋を使って旧市街に入ることにする。子供物の服や靴は販売してもいいことになっているはずなのだが、シャントフカでは靴屋も服屋も、子供物がありそうなところも含めて営業している店は非常に少なかった。ピエトロ・フィリッピの店舗はすでに撤収作業がほぼ終わっていた。
ガレリエ・モリツに行く途中で、遠めに郵便局の隣のバチャのビルを見たら、店がなくなっているように見えた。シャントフカの店は営業はしていなかったけど、存続してたから、オロモウツの店を一店に集約するのかななどと考えながら、モリツに入って二階に上がったら再びびっくり。CCCの店舗があったところにバチャが入っていたのである。こちらは子供物の靴を集めているのか、営業を開始していた。
ケーブルの受け取りは問題なく済んだのだが、モリツに入っていたお店の中にも一つ二つ閉店してしまったところがあるのが気になる。感染症対策による営業禁止と補助の遅れ、不足が原因となった店舗の閉鎖は着実に増えている印象である。大規模チェーン店の店舗が一つ減るぐらいなら、よくあることでもあるので、仕方がないと思えなくもないけど、個人営業の店が消えていくのは、入ったことのない店であっても、気のめいる話である。
コドーでは、借り店舗では、レギュラーの商品以外の、特別な豆の販売はしないといっていたのだが、いつの間にか始めていて、インドネシアのスマトラの豆が、期間限定で販売されていた。残りが少ないと買えないのだけど、今回は十分に残っていたので手に入れることができた。インドネシアのコーヒーと言うと、ロブスター種のジャワとか、日本のキーコーヒーが販売しているトラジャとかを思い出すけど、スマトラ産のコーヒーってあったかなあ。マンデリンとかいうコーヒーもインドネシアだったかなあ。
シャントフカから、モリツを経て、コドーへというルートで久しぶりに比較的長い距離歩いたせいか、左足のふくらはぎに攣りそうな痛みを感じる。毎日職場に出ていた頃には、このぐらい歩いても何の問題もなかったのに、運動不足が続いているせいで体力もかなり低下してしまっている。スポーツ界が強く主張する、アマチュアの、特に子供たちのスポーツ再開の必要性を身を以て実感してしまった。
2021年4月29日23時30分。
2021年04月30日
このごろチェコで見ないもの(四月廿七日)
何となくチャンネルをチェコテレビ3に合わせたら、おそらく視聴者参加型の番組が放送されていた。司会者が二人いて、素人が出てきてその間で得意な芸を披露するという形のようだった。この手の番組はこれまで手を変え品を変え制作されており、何という番組かは覚えていないのだが、このとき見た素人芸が、牛乳の1リットル一気飲みと言うものだった。
問題は、ってこともないけど、その牛乳の入っているものが、日本でよく見かけた底が正方形の直方体の上部に三角の屋根がついているような形の紙パックでも、こちらでよく牛乳に使われる底が長方形の直方体の牛乳パックでもなく、ビニールパックだったことだ。最近はとんと見かけなくなったが、こちらに来たばかりのころは、スーパーの牛乳売り場にこの手のビニールの袋にパックされた牛乳が積み上げられていたものだ。最初に見たときには驚きのあまり呆然としたのを覚えている。
レトルトパウチのような形を変えるとは言っても破れにくいものではなく、つめで引っかけば穴が開くようなビニールだったので、取り出しの際に誤って破ってしまって、売り場の床がこぼれた牛乳でべとべとしていることもよくあった。自分では買ったことはないけれども、少なくとも容器の分だけコストが下がるわけだから、値段も普通の牛乳よりも安かったにちがいない。当時は今以上に安いものを求める人が多かったのだ。
このビニールパック入り牛乳は、いつの間にか、こちらに来てかなり早い時期に、見かけなくなっていたのだが、チェコのスーパーマーケットの大半が外資系になり、流石に見るからに安物と言う商品は売れなくなったのかもしれない。いや、EU加盟の際に衛生上の理由で禁止されたと考えたほうがいいかもしれない。チェコの消費者の志向が質を重視するものに変わったというのは一部正しいが、今でもできるだけ安いものを買おうとする人は一定以上いるので、安価なビニールパック入りの牛乳にもある程度の需要はあるはずである。
最近見なくなったといえば、その牛乳一気飲みが披露されたような視聴者が登場して自分にできる芸を見せて、場合によっては商品がもらえるという番組もなくなったような気がする。これは、「スーパースター」のような、オーディション番組がはびこり始めた影響かもしれない。歌が中心の「スーパースター」以外にも、ダンスやら何やらいろいろな芸を披露して優勝したら大金がもらえるというタイプの番組は、一回二回で終わるだろうと思っていたら、毎年のように繰り返されている。全く興味はないけど。
食品関係で見なくなったものとしては、1コルナのロフリークがある。こちらに来たばかりのころは、どこのスーパーマーケットもロフリーク1本の値段を1コルナ前後に抑えることに腐心していた。チェコの朝食には欠かせないロフリークも、できるだけ安い店を探す人が多かったのである。安いロフリークに引かれて買い物に来た人たちが他の商品も買うことを期待してロフリークの価格を低く維持していたのだと考えられる。チェコで一番安いパンであるロフリークの値段が集客を左右していたのである。
それが、流石に1コルナでは販売し続けられなくなったのか、少しずつ値段が上がるようになって、今の値段がどのぐらいかは知らないが、以前のように価格を抑える努力をしているようには見えないし、広告の真ん中にロフリークの値段が書かれるようなこともなくなった。チェコの人たちもロフリークの値段だけで買い物に行く先を決める愚かさに気づいたものと見える。自分でもチェコに来たばかりのころは、典型的なチェコのパンだというので、毎日のように朝食に食べていたのだが、最近は全く食べなくなった。
最後にもう一つ、見かけなくなったものとして蝿をあげておこう。蝿が全くいなくなったというのではない。飲み屋やレストランで、屋内はそこまで多くなかったと思うけれども、屋外のザフラートカの席でビールを飲んでいると、ビールに蝿が寄ってきて大変だった。口をつけていないときはジョッキの上に手や物を置いて蝿が張り込めないようにしておかないと、蝿入りのビールを飲むことになりかねなかった。もちろん、どの店でもというわけではないけれども、そんな店が多かった。
それが、衛生環境の改善の結果か、殺虫剤をぶちまけたおかげか、屋外の席にいても蝿にたかられることはほぼなくなった。たくさんの変化のなかで、これだけはもろ手を挙げてよかったと言える。昔はよかったとぼやいてばかりいる懐古趣味の老人にはなりたくはないけれども、今の世の中で悪いほうに向かっているように思われることは少なくない。よくなっていることもあるから、トータルにすれば、善悪相殺ってことになりそうだけど、人の世の営みというのは早々は変わらないということかな。
2021年4月28日24時30分
2021年04月29日
エクストラリガ・プレイオフ(四月廿六日)
水曜日から来年のハンドボールの男子ヨーロッパ選手権に向けた予選の三連戦が行われるのだが、状況はあまり芳しくない。一月のフェロー諸島との連戦が延期されたせいで、今回水曜日にウクライナで、金曜日にフェロー諸島で、日曜日にはチェコで試合が開催されるため長距離移動を余儀なくされるのである。対戦相手で勝ち抜けを直接争うウクライナは、ウクライナからチェコに一度移動するだけでチェコとの二連戦が住んでしまうわけだから、日程上の、移動距離の不利は明らかである。
問題はそれだけではなく、ドイツリーグが感染症対策のために延期になった試合を、この代表の試合が行われるために本来はリーグ戦が行われないことになっていた期間に入れる決定をしたせいで、ババークやムルクバなど、チームの主力の中に多いドイツのチームでプレーしている選手たちが、代表に参加できるかどうかが怪しくなってしまった。一人、二人ならこれまでも欠場する事はあったけど、数が増えるとチェコ代表としては苦しくなる。欠場者が少ないことを祈るしかない。
前監督のクベシュとフィリップが示したように、チェコリーグの選手たちも使い方によっては十分な戦力になるのは確かだけど、中心選手として勝敗の責を負わせるには早すぎる。おまけにチェコ国内のエクストラリガは、現在レギュラーシーズンを終えてプレイオフがたけなわである。例年以上に接戦が多く、代表に呼ばれるレベルの選手は、それぞれのチームの中心選手として奮闘しているから、負担も大きくなっている。
ハンドボールのエクストラリガは、全14チームで、上位8チームがプレイオフに進出する。準々決勝では、1位と8位、2位と7位、3位と6位、4位と5位という組み合わせで対戦する。例年は上位チームが3連勝で進出を決めることが多く、予定されていたテレビ中継がなくなって不満を感じることが多かったと思うのだが、今年は、準々決勝で3−0で準決勝進出が決まったのは3位のドゥクラとイチーンの対戦だけだった。2位のプルゼニュと7位のコプシブニツェ、4位のロボシツェと5位のフリーデク・ミーステクの対戦は、それぞれ3−1で上位チームが勝ちぬけた。
驚きだったのは、1位のカルビナーが8位のズブジーに大苦戦をしたことで、唯一5試合目までもつれ込んだ。カルビナーが最初の試合で、37−30と圧倒したときには、このまま3連勝でおしまいだろうと思ったのだが、二戦目以降大接戦が続いた。一試合目に続いてカルビナーで行われた二試合目では、後半終了時点で26−26の引き分け、7メートルスロー合戦に持ち込まれた。5人ずつ終わった時点でも28−28の引き分け、7人目で29−30となってズブジーが勝利した。
ズブジーで行われた三試合目と四試合目も大接戦となった。三戦目は一時カルビナーが、13−7と6点差をつけたものの、そこからズブジーが前半終了間際に5連続得点をあげ、後半開始早々に13−13と追いついた。その後は一進一退の攻防が続き、25−25で試合終了。7メートルスロー合戦にも連れ込んだ。カルビナーが4人連続で決めたのに対して、ズブジーは4人目、5人目が決められずに、29−28でカルビナーの勝利となった。四試合目は7メートルスロー合戦にはならなかったが、23−24でズブジーの勝ち。カルビナーでの五試合目が行われることになった。
最終戦は、流石にカルビナーが地力を発揮して、前半開始直後以外は終始リードを保って試合を進め、最後は29−24と5点差で勝利した。これで準決勝進出を決めたのだが、1位でプレイオフに進出したチームが最後に勝ち抜けを決めたということになる。三試合目の7メートルスロー合戦で負けていたら敗退していた可能性もあるのだから、本当にぎりぎりだったのである。
この苦戦の疲れが出たのか、ロボシツェとの準決勝の初戦も、29−30と1点差で負けてしまう。二戦目は31−28で勝ったものの、またまた予想外の大苦戦だった。三試合目でようやくカルビナーが強さを発揮して、33−23という大差で勝ったところで、代表のための休止期間に入った。カルビナーからはソラーク、ボイテフ・パツルなんかが代表に呼ばれることが予想されるのだが、接戦の連続で出場時間が長くなっているのが心配である。
もう一つの準決勝のプルゼニュとドゥクラの対戦は、プルゼニュが二連勝した。一試合目は31−23と大勝、二試合目は32−31と一点差だった。このまま三連勝で決まるかと思っていたら、ドゥクラが頑張って、三試合目は27−29でドゥクラの勝利。こちらも四試合目が行われることになった。そういえばドゥクラというチームは、以前のプレーオフでも、一試合目はボロ負けでも、二試合目以降は対策を立てて接戦に持ち込んだり、勝利したりすることが多かったような記憶もある。
とにかく、プレーオフで活躍する選手たちが代表でも活躍して、ウクライナとフェロー諸島相手に三連勝することを期待しよう。ドゥクラのクリーマとか、ロボシツェのトルコフスキーとかも期待できるんじゃないかと思う。
2021年4月27日24時。
2021年04月28日
ゼマン大統領予想通り(四月廿五日)
2014年のズリーン地方で起こった弾薬倉庫の爆発事件に関して、ロシア軍の情報機関であるGRUの関与が明らかにされて以来、沈黙を保っていたゼマン大統領だが、民放のプリマが毎週日曜日に放送している政治番組で自ら見解を発表しインタビューに応じた。以前は、大統領選挙で協力したソウクプ氏の率いるバランドフテレビに、「大統領との一週間」という番組があって、そこであれこれ物議を醸す発言をすることが多かったのだが、どうもこの二人の関係が悪化したようで、最近大統領のお気に入りのテレビ局はプリマになっている。
今回も、例によってあれこれ問題になることを発言したのだが、一番問題にされているのは、ブルビェティツェの爆発事件に関して、二つの方向で捜査が続いていると発言したことである。一つは当然ロシアのGRUが関与したというもので、もう一つは倉庫の従業員が爆発物の取り扱いに失敗したというものである。ただ、この二つ目は、警察関係者によれば、すでに2015年の時点で、ありえないとして捜査の対象からはずされたという。
ゼマン大統領が改めて、この除外された可能性をことさらに取り上げて発言したのは、ロシアを擁護する意図があると見て問題あるまい。党内のゼマン派の支持によって党首の座を維持したハマーチェク氏ですら、この見解には賛同していないが、オカムラ党と共産党は、もろ手を挙げて賛成の声を上げている。オカムラ党が、選挙のスローガンにしていた「チェコはチェコ人の手に」のチェコ人の中にはロシア人も入りそうである。
全体的な評価としては、政府与党側は、穏当なもので、政府の方針と大きく外れてはいなかったと、本当かよといいたくなるようなコメントをしている人がいた。野党の中でも反ゼマンの海賊党や市民民主党などは、大統領が自国の防諜機関の報告を信用せずに、ロシアよりの発言をするのはどういうことだと批判している。実際、ロシアの政府系のネット上の情報サイトなどでは、チェコの大統領がロシアの主張を認めたというニュースになっていたようだ。
ゼマン大統領は、この件について、決定的な物証はなく、全てが状況証拠でしかない状態でロシアを批判するのはよくないなんてことも言ったのかな。スパイやら秘密工作員やらの仕事に物証が残っているなんて期待できないだろう。あるとすれば、ロシア国内のエージェントに対する命令の文書だろうけど、軍事機密で閲覧できるわけがないし、すでに廃棄処分になっている可能性も高い。そもそも文書化されたかどうかも怪しいか。
流石は、ゼマン大統領、期待を裏ぎらないと言うとことである。裏切らないといえば、大統領の職権についても憲法に記されていることを否定するような発言を繰り返したらしい。あちこちからこのままでは立憲国家としての本質が崩れてしまうなんて声も上がっているのだが、現時点では大統領の罷免のためのリコール運動をするなんてところまではきていない。大統領をリコールできるのかというのもよくわからないけどさ。
それで、バビシュ政権を退陣に追い込みたがっている海賊党は、市民民主党が主張する下院で政府の信任決議をするのではなく、国会の解散を議決で決めようと言い出した。信任案の否決で内閣総辞職に追い込んだ場合、大統領の存在が大きくなりすぎるというのである。つまり、信任なしでバビシュ内閣に選挙まで政府を運営させるのも、暫定内閣を組織させるのも、ゼマン大統領の決断一つになってしまうのが問題だという。下院の解散が決まってもゼマン大統領が臨時選挙はやらないといえば、結果は同じになるような気もするんだけど。
どうも。同じ反バビシュ、反ゼマンでも、海賊党と市民民主党は同属嫌悪でお互いにいがみ合っているらしい。それで、協力するよりも、少しでも相手とは違うアイデアを出して出し抜こうというすることのほうが多く、これもまたバビシュ政権が何とか生き延びてきた原因の一つになっている。秋の総選挙で、ANOが負けてバビシュ首相が退陣したとしても、将来はばら色というわけには行かないのである。
考えてみれば、チェコスロバキア独立以前の時代から、スラブの旗頭としてロシアを担ごうとする汎ロシア主義と、オーストリア=ハンガリー帝国内でチェコの地位を上げようという考え方とで割れていたチェコ民族だから、一世紀以上の年月を経ても変わらないと考えるのがいいのかもしれない。ソ連にあれだけの目に遭わされていながら、なおロシアを信じる人たちがいるのは意外ではあるけどさ。
2021年4月26日22時