9時ごろに出発して、10時半ごろにはタイヤ交換を任せているお店に着く予定だったのだが、あれこれあって、一時間近く遅れてしまった。予想外の渋滞にはまってしまったのである。チェコの誇る高速道路のプラハとブルノを結ぶD1は、改修工事が行なわれている関係もあって、ひんぱんに渋滞している(とは言え日本ほどではないと思うけど)印象があるけど、モラビアの田舎だと交通事故でもない限り渋滞になることはない。以前大雪の中立ち往生したバスの後で30分ぐらい待たされたことがあるけれども、それ以外は渋滞と呼べるものにはまったことはない。
オロモウツから南モラビアに向かうルートでは、プシェロフの北側が工事中で、いつものルートを走ることができない。市内を通らず迂回するためのバイパスとして高速道路の延伸工事が行われているのだが、町の北側ではインターチェンジの工事で、鉄道の線路を越える跨線橋などの関係もあってややこしいことになっている。いつもよりは時間がかかったとは言え、ここはゆっくりでも車が流れていたから問題はないのだ。
問題は、プシェロフを出た後、高速道路に入って現時点で終点のオトロコビツェで発生した。まず、ズリーンからオトロコビツェに向かう車が多かったせいか、高速を下りたところの信号がなかなか青にならず、我々の前にいた車の中には強引にUターンして高速に戻るものもあった。数分待たされてオトロコビツェに向かう道路に降りたときには、我々の後ろに車が何だいも並んでいた。
降りてちょっと行ったところで路面の改修工事をしていて、二車線が一車線になっていたため、ジップ方式で合流するというのを初めて体験した。オトロコビツェとズリーンの間は、鉄道だけでなく、チェコでも珍しくなったとローリーバスが走っているのだが、いつもと違う車線を走っているせいでバスから電線に伸びている二本のポールの電線との接続部分が外れてしまう瞬間を目にしてしまった。
外れたのは一本だけだったのだが、運行のためには二本接続していないとならないらしく、運転手が降りてきて、まずもう一本も外して屋根に収容していた。その後、工事区間を通り過ぎた後、本来の車線に戻ったら、また降りてきて、ポールを電線に接続させていた。この渋滞でよかったのは、このシーンを見られたことだけである。
工事区間を過ぎても車の流れは一向に速くならず。いや逆に進まなくなった。高速の出口から、普段は遅くとも5分以内で到着するオトロコビツェの南側の交差点に50分近くかけて到着したときに、渋滞の根本的な原因を発見した。二車線の道路が一箇所一車線になっているぐらいで渋滞するほどチェコの土曜の交通量は多くないのだ。
問題は、左折する車が入る車線が工事で通行止めになっていたことだった。そのため、真ん中の直進する車線に、直進と左折の車が並ぶことになり、右折の車線は車の数が少ないこともあって問題なく流れていたのだが、直進の車線がまったく進んでいなかった。それは、車線の変更をしたあとも、信号のタイミングをそのまま、直進が青の場合、左折は赤になり、左折が青の場合は、直進が赤になるという設定を変えなかったせいで、どちらかが青になっても最初の1、2台しか交差点を越えていけなかったのだ。直進と左折の車が交互に並んでいる感じだったしさ。
我々の車が交差点の近くにたどり着いてあと3台ぐらいで渋滞を抜けられそうになったときに、後からパトカーが反対車線を走ってきて、警官が降りた。渋滞が高速道路の奥のほうまで伸びたせいか、信号を無視して警官が交通を制御することにしたようだ。とにかく、我々の車線にいた車を排除するために、「ここを空けないと大変なんだ」とかなんとか、他の方向に向かう車の運転手に大きな声で叫んでいた。
その後は、いつものチェコの土曜日で、大した問題もなく目的地まで到着した。納得いかないのは、ラジオでチェスキー・ロズフラスを聞いていたのに、情報が流れなかったことだ。チェスキー・ロズフラスでは、「ゼレナー・ブルナ」という交通情報を頻繁に流していて、渋滞や迂回路の情報が手に入るのだけど、この日のオトロコビツェの渋滞に関しては全く情報が入らなかった。情報が流れていたら、終点のひとつ前の出口で降りていたはずなのだけどなあ。
実は、オトロコビツェで工事のために交通規制が行われているのは知っていた。知っていたのだけど、週末のチェコの車の量を考えたら、大したことにはなるまいと油断していたのである。まさか、あんな渋滞しろといわんばかりの対応をしているとは思いもしなかった。油断大敵である。
2019年10月20日22時。
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