亡くなったのはプラハのブロフカの病院に18日の水曜日から入院していた95歳の男性で、普段は老人ホームに暮らしていたようだが、いくつもの持病を抱え、ひんぱんに入退院を繰り返していたという。その中でも一番重かったのが心臓の病気で、ペースメーカーを入れていたらしい。今回コロナウイルスの感染が発覚してブロフカに入院したわけだが、集中治療室での治療に体が耐えられないだろうという判断で、隔離された病棟の一般の病室に入院していたようだ。
一番の問題は、老人ホームに入っていたこの方が、どういう経路で感染したかということになる。老人ホームにしても、この方がしばしば入院していたという長期療養者向けの入院病院にしても、高齢者や持病もちの人が集まるところだけに、しっかり対応しないと大変なことになりそうである。厚生大臣はすでに調査が始まっていて、老人ホームのほうは問題なさそうだと語っていた。いずれにしてもお年寄りの間でこの感染が広がらないことを願っておく。
ちなみにイタリアから旅行できていて感染が発覚して入院した二人の留学生のうち、一人は検査で陰性が続いて完治したことが認められた。この人、確かエクアドルかどこかの出身なのだけど、これからどうするのだろうか。イタリアの留学先には戻れないだろうし、南米の国の中にはチェコ以上に強硬な鎖国政策を取っているところもあるというし、乗り継ぎするだろうアメリカ行きの便は全面運休だし、帰国するのも難しそうだ。もう一人のアメリカ人はかなり前に症状は完全に治まったというニュースはあったが、完治には至っていない。こちらも退院後どうするのかが心配である。
話を戻そう。入院している人のうち、重症化して集中治療室に入れられている人の数は12人。検査で発覚した感染者のかずの1パーセントほどか。今後も検査数が増えて感染者の数も増えていくことを考えるとこの数字は下がっていくことだろう。このレベルで収まっているということは、チェコの医療システムの優秀さを示しているといってかまわないのだろう。バビシュ首相の突然の無理な要求にも大抵は対応しているし。
そんな医療関係者が、断固として拒否しているのが、誰でも彼でも検査するという対策で、チェコ各地に増えた検査のための検体を採取する特別室(大抵は病院の普通の入り口とは離れたところに設置されたコンテナやテント)に来た人に対して、受付はするけれども熱があるなどの感染を疑うに十分な根拠のない人に関しては、そのままお帰りを願っているという。その一方で、開業医や保健所から依頼のあった患者予備軍に関しては、必ず検査をしているようである。
一時は、誰でも彼でも検査するという対策を声高に叫んでいたような気がするバビシュ首相も、現場や厚生省内部の専門家たちの説得を受けたのか、最近はそこまで強硬な主張はしていないけど、現場の主張と微妙に齟齬があるような気がする。チェコテレビでも病院関係者に、誰でも検査を受けられるのかという質問をしつこく繰り返しているが、これも不安に駆られて安心のために検査を受けたいと考える人が増えつつあることを反映しているのだろう。
いずれにしても、われわれ外国人にできるのは、政府の決定を守って外出を控えることと、医療機関に負担をかけないように、無駄な検査を求めないことぐらいである。とにかく対策の第一線でがんばっている医療関係者、警察、軍、消防署の方々から、犠牲者が出ないことを祈るしかない。バビシュ首相は、待ちに待った中国から緊急輸入した医療用品が届いたことが自慢なのか、最高品質の医療用マスクを着用して記者会見に臨んでいたけれども、そんなのは政治家ではなくて現場で苦労している人たちに回すべきだろうに。
2020年3月23日9時。
タグ: コロナウイルス
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