大切なのは感染者を出さないことではなく、全国的に無軌道な感染が広がることを防ぐことで、それは十分以上に達成できているので、チェコ政府は規制解除のテンポを挙げることはあっても緩める考えはないようだ。今週の月曜日からはイベントの制限人数が500人以下に緩和され、劇場や映画館などに課されていた販売する座席の間隔を開けるという制限も撤廃された。ただしほとんどの劇場は営業を再開せずに秋のシーズンの準備を進めている。
個性的な俳優たちが所属することで知られるプラハのデイビツェ劇場は、制限のせいで数が少なくなった座席の販売にオークション形式を持ち込んでいた。実際にどのぐらいの金額で落札されたのかは知らないが、この劇場、まだ規制が厳しかったころに、所属するイバン・トロヤンとサッカーのボヘミアンズ1905の縁から、オンラインでサッカーチーム対劇団という試合を実施して入場券を販売して、確か医療関係者に寄付するなんてイベントもやっていた。どんな試合だったのかは見ていないので知らないが、この劇団のことだから一筋縄ではいかないのは当然である。
さらに、ドイツ、オーストリアとの国境も完全に開放し、規制なしに出入国できるようになったのは週末だっただろうか。ただし、ドイツ側ではいまだに出入国の制限が続いているので、チェコを出国するのは自由でも、ドイツに入国する際には、ドイツ国内の雇用証明や非感染を示す検査結果を提示するなどの必要があるので、スロバキアの国境とは違って完全に自由に出入りできるようになったわけではない。実際にはそれは建前でほぼ自由に出入りできているという情報もあるが、原則として出国は禁止というのがドイツの態度である。
それに対して、オーストリアは、当初6月15日からと言っていたのを、前倒ししてチェコ側と同時に実施した。同時にオーストリア、スロバキア、ハンガリーの三国の国境も相互に開放して武漢風邪流行以前の状態に戻したので、チェコを加えた四カ国の間は、自由に国境を越えて出入りできるようになった。ミニシェンゲン圏の成立である。
レギオジェットから届いたメールによれば、プラハとウィーンを結ぶ便は、6月12日から運行を再開し、7月からはプラハとブダペストを結ぶ便の運航を開始する予定だという。また、夏のバカンスシーズンには、クロアチアへの直行便の運行を計画していて、すでに切符の販売を始めている。これは、チェコなどのミニシェンゲン圏の国が、スロベニア、クロアチアとも、国境の規制を撤廃して移動の自由を認めるように交渉を進めていることを反映している。
他にもチェコ政府では、武漢風邪の流行の状況にもとづいて、信号のように三つのカテゴリーに分けて渡航制限を撤廃したり緩和したりする計画を立てている。チェコが規制を撤廃しても、相手国が撤廃するとは限らないのだが、夏のバカンスシーズンを前に、できるだけ多くの国との間で、出入国の制限を相互に撤廃したいと考えているようだ。これは武漢風邪の流行で壊滅的な状況に陥ってしまった旅行業を支援するためには欠かせないのだろう。
少し前まで、確か政府系の機関が中心になって、今年の夏は国内でバカンスを的なキャンペーンをやっていたが、国内と外国からの旅行者を比較すると、落とす金額が大違いで、特にプラハのような外国人向けのぼったくり価格が横行しているところでは、外国からの観光客なしにはやっていけないのである。日本からの観光客はというと、現時点ではビザなしの観光目的での入国はできないはずである。信号の三色分類もヨーロッパに関してしか発表されていないのでいつから許可されるのか、見通しは立たない。
今後もよほどの全国的な流行が再発しない限り、規制を撤廃して武漢風邪流行以前の状態に戻そうという動きは止まらないだろうから、日本からの観光目的の入国が可能になる日も近いとは思う。ただ、これを機に中国への直行便を廃止して、中国と距離をとる方向に政策変更しないかなと期待したいのだけど、無理だろうなあ。今回はイタリア経由だったけど、次の感染症は中国から直行で入ってきかねない。
2020年6月9日24時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
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