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2021年01月28日

日本代表終戦(正月廿五日)




 もう一つ運がよかったのは、月曜日の試合でスキーなどのウィンタースポーツの大会が行われていなかったことだ。でなければ、午後3時半からハンドボールのアジアの国の試合が中継されるわけがない。ただ、今大会で日本チームが予想外の健闘を見せているのは確かで、そのヨーロッパのハンドボールとは一線を画したプレーぶりは一定以上の評価を受けているようだ。チェコテレビの解説者も楽しそうに解説していた。

 多少日本のほうが優勢だろうけど、互角の戦いになるのではないかと予想された試合は、開始直後から日本代表が、スピードとコンビネーションでバーレーンを圧倒した。守備も堅くキーパーも当たっていたこともあって、19−12と7点リードして前半を終えた。後半、バーレーンが立て直したというよりは、日本がメンバーを落としたりして点差を詰められたけれども、29−25で完勝。できれば、相手が立ち直れないぐらいの点差を付けて勝っておいたほうがよかったのだけど、大会に入って6試合目で、中心選手には疲れもたまっていて無理はさせられなかったのだろう。


 この大会で女性が審判を務めるのは、この日本の試合が最初ではなく、別の試合でも見かけた記憶がある。そのときには特に気にならなかったというか、普通に取り立てて目立つことなく無難に笛を吹いていたような気がする。しかし、この試合では正直、いまいちだった。男性審判でも予選なんかだとバルカンの笛なんかで、この二人よりもひどい審判はしばしば見かけるものだが、この大会で見られた中では最悪だったと言える。
 バーレーンの選手たちは、判定が日本びいきだとして再三にわたって抗議をしていたけれども、アジアレベルでアラブの笛になれているからであって、特に日本に有利になるような判定というわけではなかった。問題は、判定が安定していなかったことで、特にエリア内ディフェンスやチャージングの判定が不安定で、解説者も何度か何でこんな判定になったのかわからないとぼやいていた。結局どちらもチームも不満を抱いていたけど、アジアで長年にわたってアラブの笛に耐えてきた日本側に有利に働いたと見てよさそうだ。

 今大会の日本代表を見て思ったのは、80年代、90年代の「世界で戦える」代表とは違って、本当に、デンマークなどの世界の最高レベルは無理にしても、第二グループの国とはある程度戦える強さを身に着けつつあるということで、負けるにしても手も足も出ない絶望的な敗戦はしなくなっている。弱点は、ポストプレーヤーの決定力の低さと、主力と控えの得点力の差の大きさだろうか。あの体力的に厳しいスタイルでは、先発メンバーが60分通して出場し続けるというのは無理だろうしなあ。
 イーハがいなくなった後、カシュパーレクという大砲が覚醒する前のチェコ代表と印象が似ているという印象も持った。上背がない分をスピードとコンビネーション、タイミングのずらしでカバーして何とか得点に結びつけるところも、ペトロフスキーが成長するまでは、ポストにパスがきれいに通ってもなかなか得点に結びつかなかったところもよく似ている。体力がある間は、ディフェンスから離れた位置でコンビネーションを始めて、深みのある攻撃ができるのに、疲れてくるとディフェンスラインのそばでボールを回すようになって点が取れなくなるところも同じである。

 違いは、チェコのほうが主力となるセンターの選手の枚数が多くて、ある程度選手を代えても得点力を維持できていたところと、日本の主力のセンタープレーヤーが上背のなさをジャンプ力で補っているところだろうか。高く、そして滞空時間の長いジャンプでキーパーのタイミングを外す日本選手のロングシュートは見ていてぞっとするほど美しかった。
 クロアチア戦の前半の前半、主力抜きのデンマークとの前半、それにバーレーンとの試合を見て、ラグビー同様、また日本代表の応援と結果の追っかけを始めようかなあなんてことを考えてしまった。今の日本代表のハンドボール、見ていて面白いし、以前のようにヨーロッパの強豪には何をやっても歯が立たないという絶望も感じさせられなくなったし。一番大きいのは、無駄に期待をあおるマスコミの報道を目にしなくなったことかもしれない。
2021年1月26日23時30分










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