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2018年01月11日

チェコのトランプ1(正月八日)





 チェコではバビシュ内閣が、一応成立して本年度の予算も成立したのだが、これからもっとも大事な審議を控えている。内閣がいまのままで継続できるかどうかがかかっている信任投票である。予定では明後日、十日に行われることになっている。この日程は、十二日と十三日に大統領選挙が行われることを考えるとなかなか微妙である。
 現時点で、信任が可決されることはないだろうと予想されている。共産党が支持するかもしれないと言っている以外は、オカムラ党も含めて全ての党が反対票を投じると表明している。それで否決された場合に、さらにゼマン大統領が大統領選挙で負けた場合にどうなるのかというのが気になる。選挙で負けてすぐ任期が終わるというわけではないようだが、退任が決まっているのに大統領の権限である組閣命令を出すことに対して、反論がでそうな気がする。


 これで、下院選挙の前から、犯罪者をチェコの首相に据えるわけにはいかないと、ANOとの協力を拒否してきた政党が、信任投票に賛成の票を投じる可能性はなくなった。共産党も今のままでは一回目の投票では、反対に回りそうである。当初の予想では、二回目の組閣の試みの段階で、オカムラ党が、再選挙に持ち込むわけにはいかないとかなんとか理由を付けて、バビシュ内閣信任に賛成するのではないかと、最低でも投票を棄権してANOと共産党で過半数になるように協力するのではないかと予想していたのだが、わからなくなってきた。

 バビシュ氏は、一回目の組閣が失敗に終わるのはすでに織り込み済みのようで、二回目の組閣も失敗したら、三回目の組閣はしないで、九月に行われる地方議会選挙と同日で下院の総選挙をやるとか言いだした。二回目の組閣の信任投票は二月中にと言っていたような気がするから、それから半年信任無しの内閣として仕事をするというわけである。いいのか? っていいみたいである。前回2013年の下院選挙の時も、ルスノク氏の暫定内閣が信任を得ないまま何ヶ月か存在していたようだし。
 問題になっているのは、信任無しの内閣どうこうよりも、憲法で定められている三回目の組閣を行わないということ自体のようである。ANOは下院の議長を確保しているから、バビシュ氏が望めば、三回目の組閣の命令もバビシュ氏に降りるはずである。それを行使しないというのは、惨敗を喫して立ち直りの兆しも見えない社会民主党に、プレッシャーをかけるためだという話もある。
 社会民主党内に、旧ゼマン派の国会議員がどのぐらい残っているのかは、わからないけれども、党員の中にはゼマン大統領支持者が結構残っているような気がする。二月に行われるらしい党大会で誰が党首になるのかも楽しみである。ザオラーレーク氏は選挙の敗戦の責任を取ってなのか党首選には出ないと言っているし、現時点の暫定党首であるホバネツ氏も出なそうなことを言っている。この結果もバビシュ氏の二回目の組閣の信任投票に影響を与えるかもしれない。

 バビシュ氏の「コウノトリの巣」以外にも、いくつものEU助成プロジェクトがチェコでは通ったもののEUでは通らず、助成金の申請を取り下げるような扱いになっているとか、EUではなくチェコ政府の助成金に切り替えるとかいうようなことを、ニュースで言っていた点も気になる。この辺りEUが新規の加盟国に助成金の上限を割り当てるに際して、何年までという期限を付けている弊害のようにも思われる。
 かつて、さまざまな助成金の申請が始まったころは、手続きを慎重に進めていたのか、手慣れていなかったのかで、なかなか助成金の申請と配分が進まず、それを効率化するために地方に専門の役所を設立したら汚職が発生するなどして、チェコのEUの助成金の獲得は予定からはるかに遅れていた。それをEUからの指摘もあったのか、新しい政権が誕生するたびに、EUの助成金をできるだけたくさん獲得するというのが目標になり、期限が近づくにつれて審査も乱暴なものになっていったのではなかろうか。なんてことを考えてしまう。これからあと何年あるのか覚えていないけれども、それ、本当に必要なのかと言いたくなるようなプロジェクトに助成金が出されることになるのだろうなあ。

 余計なことをつらつらと書いていたら、本題に入れなくなってしまった。ということで、続きはまた明日。
2018年1月8日22時。









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