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2018年07月28日

二日目其の二、あるいはチェコ語の発音は難しい〈LŠSS2018〉(七月廿四日)




 こういうクラスがあることは去年、一昨年とオロモウツのサマースクールに参加した知人から聞いていた。これまで発音を主に学ぶようなクラスには出たことがなく、師匠の授業で変な発音をすると注意されることはあったけれども、そこまできれいな発音が求められたわけではないので、自分の発音がどの程度いいのか悪いのか確信が持てていなかった。だからこういう授業があるというのも、今回長きのまどろみを越えて久しぶりにサマースクールに出ることにした理由の一つである。

 授業では最初にそれぞれ簡単な自己紹介をするように求められた。発音という観点から言えば、医学生向けの英語の先生もしているという台湾の歯医者さんの発音は、英語の影響を残した感じで、日本の方の発音はさすがチェコに長年住んでいるだけあって、日本人的な部分は残っているけれども、チェコ語で話すことに慣れた感じの発音だった。自分の発音は、日本人の弱点RとL、BとV、HとChあたりが自分でもどちらを発音しているかわからなくなるという始末だった。発音を意識しないで話しているときは、問題なく発音できている(ような気がする)のだが、意識するとつづりが気になって自分でもどの音を発音しているのかわからなくなる。
 耳で問題なく聞き分けられれば、それを再現するだけだから言いのだろうが、聴いた瞬間には聞き分けられてもそれを覚えていられない、もしくは時間を置くと再現できないため、正しい発音をするためにはつづりを知っておく必要があるのだ。もちろん、それに加えて発音のルールも知っていなければならないのはもちろんである。これは一部の例外を除けば、日本人がチェコ語を勉強するときの共通した弱点である。発音の間違いを減らそうと思ったら、つづりを覚えなければならないから、文法的な間違いも減るという一石二鳥的なところもあるのだけど。

 発音のルールは……。知ってはいても、わかってはいても、実際に使うとなるとと言う問題がある。語末の有声子音の無声化とか、やっと覚えてできるようになったと思ったら、今度は語尾が付くとまた有声に戻るというのだから、外国人に対する嫌がらせかよと思ってしまう。いや、そうなる理由はわかるんだけどね、無意識に使えるようになるまでにはまだまだ道は長いのである。
 先生に指摘されたことの多くはすでにわかっていたことで、わかっちゃいるけど間違えるんだということばかりだった。ある程度チェコ語ができるようになると、細かい発音の違いなんか、いちいち指摘してくれる人もいなくなるから、重点的に訓練できるのは非常にありがたい。理論的な部分はすでにわかっているので、説明なんかいらないからもっと練習させてくださいと言いたくなった。
 一つの単語に、RとL、BとV、HとChのうちの片方しか出てこなければ、問題はない。知っているつづりとルールにあわせて発音するだけでいい。問題は両方出てくるときで、最悪なのは連続しているときである。「republika」なんかつづりは完璧に覚えているけど、最初がRだというのを意識しすぎると、二つ目もRに近い音で発音してしまうし、その逆になることもある。「stavba」とか「vb」の連続がつらすぎる。今までは適当で済ませてきたけど、これを機に「vb」の発音の練習、発音しやすい口の動かし方を探して見ようか。この辺はチェコ人の説明は日本人にはあわないので自分なりの道を探す必要がある。

 先生の話で、新しいというか、意外というか、受け入れがたいと思ったのは有声子音で終わる前置詞の後ろに母音で始まる言葉が来たときの発音で、例えば「v Olomouci」の「v」は無声で発音するのが正しいというのだ。前置詞は後に来る名詞とつなげて読むというルールがあるのだから、「v」は有声にするのが正しいはずである。先生は、モラビアでは「v Olomouci」の「v」を有声で発音することが多いということだったから、無声化するのはプラハを中心にしたボヘミアなのだろう。チェハーチェクにはなりたくないので、ここは何と言われようとも有声で発音し続けることにする。こちらが身に着けたいのは、多くのチェコ人が習慣的にしている発音ではなく、正しいとされる発音なのである。

 二週目も自分の都合のいい時間を選んでこの発音の練習を受けられるという話だったのだが、張り出された予定表のこちらの都合のいい時間はすでに希望者で埋まっていた。さてどうしようか。
2018年7月27日23時40分。









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