海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2003.07.23
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テーマ: 本日の1冊(3684)
カテゴリ: Books
近年、サミット会議でも、世界貿易機構(WTO)会議でもグローバル化反対のデモが過激になって来て、厳重な警戒体制の下で開催せざるを得なくなってきました。

欧米の世界支配に反対すると言うのが、デモの趣旨になっている様ですが、デモの主催者は欧米の人達なのです。
グローバル化の実験を自国内で実施しますので、その強者論理システム(弱肉強食)の問題点がよく分かるのだと思います。強国に住む市民と言っても、マジョリティはシステムによって動かされる被害者なのですから。

現在世界に流布しているグローバル化の問題点について下記の書籍で次の様に解説しています。
普通、新書版ですと3時間程で読了してしまうのですが、この本は力作なのか、1週間経っても読み切っておりません!


多文化世界-岩波新書(青木 保著)

色々な歴史の曲折がありますが、殆どの非西欧世界は、ヨーロッパの直接の植民地になるか否かは別にしても、西欧化の影響を非常に強く受けました。日本に端的に見られる様に、多かれ少なかれ自分たちの国の発展のモデルとして「西欧化」を捉え、そのモデルを目指して自分たちの世界を構築する、或いは社会を展開すると言う形で国や社会を創り出そうとしました。
1990年代から一般的によく言われる様になったグローバル化の動きは、非西欧社会にとっては、こうした変化の延長上に捉えるべきでしょう。
ある意味ではグローバル化は、欧・米的な価値や尺度で世界を見つめよう、経済であろうが、政治・技術・文化、何であろうが、欧・米的な価値基準で統一しようとする動きです。それを欧・米の強力な国や産業が世界に押しつけると言う側面もありますが、同時に世界の他の国や社会は、それを受容することによって逆に積極的にそのシステムを利用し、自分たちの発展を図っているのです。

世界を同じシステムにしようとするグローバル化の流れの中で明らかになって来たことは、「文化の多様性」の認識でした。グローバル化による一元化・画一化によって生ずる、人間と社会の個性の喪失、創造性の抑圧、個人の埋没を防がなくてはなりません。政治的・経済的・宗教的な全体主義が世界を覆い、私達の生きる社会を乾燥した無機質なものにしてしまうことがあってはならないと考えます。

1960年代にも、近代人の疎外が叫ばれ「マルクス主義か実存主義か」等の論争があり、その時代には没主体性を懸念した実存主義が破れたのですが、マルクス主義の崩壊と共に、実存主義が復権しつつあるのでしょうか。
個人が社会が特性を発揮し、生き生きと存在を謳歌するには、やはり「文化の多様性」を尊重する必要があるようです。






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Last updated  2005.07.12 14:01:28
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カーク船長4761 @ Re[1]:米国を懐かしんでスコーンを食する(05/01) maki5417さんへ イギリス発祥なのかも知…
maki5417 @ Re:米国を懐かしんでスコーンを食する(05/01) 英国が起源かと思っていました。
通りすがり@ Re:桜ヶ丘公園のキンランとギンラン(04/25) 掲載画像はギンランではなくササバギンラ…
maki5417 @ Re:ツツジ・花水木の美しい季節(04/27) こちらもハナミズキが咲き始めました。 ア…
オジン0523 @ Re:花のある生活(04/21) 奥様との思いでいいですね。 我が家でも家…

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