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2003.07.24

バッハの教会カンタータ－ BWV6（エマオのキリスト）

(3)

テーマ：好きなクラシック(2290)

カテゴリ： Classic Music

近頃、水害、多発する犯罪、収まらないイラク戦争等の暗いニュースばかりですので、現実から逃避する訳でも無いのですがしっとりとしたクラシックの名曲、原点に戻ってバッハの宗教曲を聴くことにしました。

バッハの教会カンタータは、ライプチッヒ時代の初期（1723～1727）に多くが作曲されています。聖トーマス教会カントールとして、又音楽学校校長として、市内主要教会の教会音楽の責任を担ったバッハは、年間60曲程の必要数を満たす為に精力的な創作を続け、5年間に総数にして300曲のカンタータを完成させました。

1730年以降は教会との軋轢がおきてしまい、創作意欲は減退し、既作の再演でその職責を果たした様です。バッハは自己顕示欲が強くオルガン演奏、オルガン楽器の修復、作曲と全てに実力があったのですが、幼少時の貧しい生活の為大学教育が受けられなかったのです。市の当局者は、教育の無いものは実力が劣ると判断するのですから軋轢も当然でした。

彼は、その後旧態依然たる作曲家と見なされ、寂しく1750年に無くなり、100年後のメンデルスゾーンによる受難曲再演に至るまで殆ど忘れ去られることとなりました。そうした状況の中で楽譜の紛失が起こって現在では教会カンタータ200曲が残されるだけとなったのです。

教会カンタータの基本的構成は、冒頭に大きな合唱曲（コラールを用いることが多い）を置き、独唱によるアリアとレスタティーボを何曲か続け、単純なコラール（賛美歌）合唱によって締めくくる、と言うのが通常です。

昨日はBWV6を数度聴いて見ました。

ルカ福音書の記述に合わせて作曲されたもので1725年最盛期の新作です。
主題は“復活したイエスがエマオで弟子達の前に現れる”で、レンブラントの絵画でも有名となった「エマオのキリスト」物語です。夕暮れのエマオ村にイエスが現れ、磔刑の傷跡を弟子達に見せて復活したことを示し、先を急ごうとしますので、弟子達が引き留めると言うものです。
小規模なカンタータですが、詩情豊かなメロディが唄われる良い曲でした。

CDはドイツ・アルヒーフ版で早世してしまったカール・リヒター指揮のミュンヘン・バッハ管弦楽団と合唱団でした。

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