海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2003.09.27
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テーマ: 本日の1冊(3684)
カテゴリ: Books
絵画の本と言いますと、描き方入門書であったり、名画解説書であったり、なかなか気軽に読める本は少ないのです。
ムードのある淡い色彩の水彩画で知られている安野光雅氏の新刊が9月に発売となりました。口語体で書かれ、平易な文章の随想文の様ですので何の苦もなくすらすらと読めますので2時間程で読了となりました。


「私は子供の頃から絵を見るのが好きでした。絵でさえあれば、何でも良かったのです。今の様な絵本は無く、駄菓子屋で売っている絵草紙のようなものしかありませんでした。」という書き出しから始まり、良い絵がどの様に生まれ、画家達はどう生きたのか、プロとアマの違い、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにも触れつつ絵の豊かな世界へと案内してくれます。
又自らのスケッチ体験を元に、これから絵を描いて見ようとする人への具体的手ほどきもして呉れています。章別には次の様になっています。
1. 絵を見る
2. 絵を描く
3. 絵に生きる
4. 絵を素直に
5. 抽象画を見る眼
6. 絵を始める人に
7. 絵のある人生
最後に「私は軽々に“絵描きになれ”と人に勧めることは出来ません。でも、それで生活しようと思わないですむなら、大賛成です。絵を描くことは人生を充実させるのですから・・。今頃になって“絵と一緒に生きていて良かったな”と思っています。」と締めくくっています。

あまりに平易に読めましたので、何故かと思いつつ「あとがき」を読みますと、どうも口述筆記を基にして本が出来た様に述懐しています。
「初め、口述をとられました。正直に言えば、老練な刑事に囲まれ、タバコを勧めたり、子供や女のことを聞いて見たりして後、“全部吐いたら楽になるよ”と言う、良くある手口に乗って、其処まで言わなくとも良かったか、と思う自白調書を取られたようなものです。思うにこの刑事の1人は珍しく絵を深く愛する人でした。“自白は恥多きもの”なのに、それを軽減して頂き、無罪放免に漕ぎ着けられたのは、この人達のお陰です。」

話し言葉は散漫になりがちですが、考えることが少なく、理解出来ると言う利点があります。この本もそうした書籍の一つかも知れません。

安野光雅氏は工業高校卒業で徳山市で小学校教員、師範学校卒業後東京三鷹市で小学校教員、それから画家に転身した人なので、所謂オーソドックスな美大卒業の画家には無いアマチュア画家に通じる庶民性が感じられました。






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Last updated  2005.02.09 17:50:23
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カーク船長4761 @ Re[1]:米国を懐かしんでスコーンを食する(05/01) maki5417さんへ イギリス発祥なのかも知…
maki5417 @ Re:米国を懐かしんでスコーンを食する(05/01) 英国が起源かと思っていました。
通りすがり@ Re:桜ヶ丘公園のキンランとギンラン(04/25) 掲載画像はギンランではなくササバギンラ…
maki5417 @ Re:ツツジ・花水木の美しい季節(04/27) こちらもハナミズキが咲き始めました。 ア…
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