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フランスでは、Charucuterieシャルキュトリーという一大食文化のジャンルがある。シャルキュトリーとは、豚肉加工品を主としたソーセージやハムの類やさまざまなテリーヌ類、もちろん鴨やガチョウ、ウサギや家禽類とそれらの内臓類も含めて、我々日本人には想像もつかないようなものが多々ある食肉加工品のとてもディープな世界だ。今日のこのリエットもなかなか日本人には無い発想のシャルキュトリーひとつだ。何が違うかというと肉を脂で煮るという調理法。この肉の脂煮という技法はリエットの仲間として他にもコンフィやリヨンやリヨーといった日本ではあまり知られていなくて逆にフランス人なら知らぬ者は無い料理のひとつなのだが、、、。そもそも冷蔵庫や冷凍庫ができる前は食品の保存法は、塩漬けと干物と燻製くらいしかなかったわけで、塩漬けして干物にした肉の典型が生ハムでありパンチェッタ(燻製にかけるとベーコン)などが伝統的今も残っている。また塩漬けや干物や燻製にはフレッッシュなものには無いうまみの熟成や独特の食感があるから、冷凍や冷蔵の保存法ができてからも、ひとつの重要な食文化として廃れずに残っているのだ。そうした保存食のひとつとしてコンフィやこのリエットがある。塩漬けの豚肉やガチョウ肉またはウサギなどの肉ををラードでゆっくり80℃以下くらいの低温で煮込んで行く。完全に煮崩して肉をペースト状にしたら脂ごとかき混ぜながら冷まして滑らかなペースト状に固めてしまい、リエットの表面にラードを流して固めて空気から遮断して保存食とするわけだ。昔は豚が良く肥えた秋口に家族でつぶしてハムや腸詰やこのようなリエットを作って夏までの保存食にしたわけだ。当然、塩分はかなりきついものだったが、私が作るリエットは保存用ではなくレストラン用に作るので食感重視で柔らか目に仕上げてある。バゲットに塗って食べると赤ワインでも白ワインでもはたまたビールでも止まらない旨さだ。
Sep 29, 2005

かなり久しぶりに作ったテリーヌ。黒豚の肉を挽いてファルスを作り、豚肉と同じ位の量のフォアグラを混ぜて焼き上げてある。フォアグラは小さめの角切りにして混ぜてある。フォアグラ100%のテリーヌ、黒豚100%のテリーヌ、どちらもシンプルである意味迫力のある味わいなのだが、このように半々に混ぜてみるとある種相乗効果があって、実に美味しいものとなる。また、混ぜ方もこのようにモザイク風に混ぜるのと、真ん中にフォアグラの塊を入れたときと微妙にニュアンスが違うから面白い。今回のこのテリーヌは一切れ切って食べて見ると、我ながら上出来でとても美味しかった。
Sep 23, 2005

フランス料理では、サラダというと大まかに2種類あって、まずSalade Simple(サラッド・サンプル)これは単一の野菜やその他の素材を使ったサラダで、まあ和え物のようなものだからそれこそ無数にパターンがある。もうひとつは、Salade Compse(サラッド・コンポゼ)これは複数の野菜や素材の組み合わせで、まあミックスサラダといったところでニース風サラダやシーザー風サラダなどがクラッシックとして有名。30年ほど前のいわゆるヌーヴェル・キュイジーヌの時代にヘルシー指向もあってサラダ仕立ての前菜が、すっかり前菜の定番となっている。 日本ではサラダというとレタス類を中心にきゅうりやらトマトやらセロリそれからゆで卵などを彩りよく並べてなんとかドレッシングをかけて食べる感じものというイメージがあるが、サラダはあの盛り付けを全部崩してよく混ぜて食べるのが本当で、ニース風サラダなどはあのゆで卵を良くつぶして卵の黄身や一緒に入れたアンチョビが野菜に絡んで美味しいのだ。ドレッシングというのもフランスではあまり使わずに、塩コショウとオリーヴオイルとワインヴィネガーを好みでかけて、よくメランジェ(よく混ぜる)して食べるわけだ。この時に味が一番左右されるのがオリーヴオイル。オイルだけは、極上のものを使ったほうがいい。 まあ、いずれにしても日本では葉物野菜がないとサラダは成立しないものと思われている節がある。つまりキャベツの千切りやちぎったレタスが無いとね、、、という感じか、、。ところが、この2ヶ月ほどうちの畑では葉物野菜がまったく取れなかったので、葉物サラダを一切やめていた。ラタトゥイユやトマトだけのサラダなどでなんとか乗り切っていたのだ。普通に売っている野菜があまりに美味しくないので葉物野菜を買ってきてまでサラダを作れなかった。ところが一昨日やっとルッコラと水菜が取れたのでグリーンサラダがとうとう復活したのです、というお話でした。
Sep 22, 2005

この料理は、言わば牛ヒレ肉のロッシーニ風をパイ包みにしたもの。合わせたワインは、ドメーヌ・ジョルジュ・リニエのグランクリュ、クロ・ドゥ・ラ・ロッシュの86年。作り手のリニエ氏はこのモレサンドニ村の中ではトップクラスの名人。ブルゴーニュはやはり作り手が良くないと話にならない。で、そのようなワインにはやはり飛び切りのご馳走ということになる。下から、きのこ、牛ヒレ、フォアグラ、きのこと重ねてパイで包んで焼き上げてある。上手に火を通すのはものすごく難しい料理だ。お馴染みのお客様でなければできないなぁー、、。a href="http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/019cce68.187a675f/?url=http://www.rakuten.co.jp/wss/368895/408068/621245/#620766" target="_blank">
Sep 20, 2005

米茄子は普通皮が結構固いので食べ残すことが多いが、茄子は新鮮ならあまり皮は固くない。もぎたての茄子なら塩だけつけて丸かじり出来るほどだ。 今回の料理は、米茄子をオリーヴ油でソテーしオーブンで火を通す。ホタテは新鮮なものを半生程度にさっとソテーする。自家製のドライトマトはマリネしたオイルごと軽く温める。ホタテに塗った黒いソースは煮詰めたバルサミコにガルム(イタリアの魚醤)を使ってある。
Sep 11, 2005

フォアグラに無花果です。この無花果は自宅の庭の木から毎年今頃数日に数個づつ取れるもの。フォアグラのソテーにローストした無花果とフレッシュの無花果を添えてある。
Sep 9, 2005

エスカルゴは、フランス全土をはじめスペインやイタリア、ギリシャあたりでは喜んで食べられる食材。色々な食べ方があるが、一番有名なのはEscargots a la bourgugnonneブルゴーニュ風カタツムリだろう。ソースに使うのはbeurre a la bouruguignonneブルギニョンバター、室温に戻して柔らかくしたバターにエシャロットとパセリの微塵切りと卸しニンニク、塩コショウを混ぜる。私の場合隠し味にアンチョビとハーブのタイムを入れる。ブランデー(特にブルゴーニュ産のブドウ粕ブランデーのマール!)などを入れたり、変わったところではサクランボウのブランデーのキルシュを入れたりする人もいる。本来はカタツムリの殻に詰めてオーブンで焼くのだが、殻付きのエスカルゴはなれないと食べずらいので、ココット焼きにすることが多いのだが米茄子やじゃが芋あるいは冬瓜などにエスカルゴとブルギニョンバターを詰めて焼くこともある。器も食べられて美味しいというわけだ。
Sep 7, 2005

私が長年愛用するカッパ橋の鍔屋特注の刃渡り約40cmの牛刀で生ハムを切る。厚さは1ミリ以下だ。このくらいに切れるようになるまでかれこれ20年くらい生ハムを切り続けているが、包丁使いというのは何年やっても難しいものだ。生ハムは塊のままではただの食材に過ぎないのだが、よく切れるナイフでこのようにスライスして始めて料理になる。自家製のドライトマトを添え、極上のオリーヴオイルをかけてある。
Sep 4, 2005

フレンチのメニューで秋刀魚が出てくるのはあまりないかもしれない。ヨーロッパには秋刀魚はいないので秋刀魚の料理は無いが、鰯、鯵、鯖、鰊などはフランス人も大好きな魚だ。だって、青魚は美味しいですからね!!秋刀魚と言うと丸ごと焼いて大根おろしを添えて食べるのが一般的ですが、三枚におろして塩とハーブで軽く〆てから皮目をカリッとソテーして自家製のドライトマトをのせる。黒っぽいソースはバルサミコとガルム(イタリアの魚醤)を合わせたソース。実は、わたしの秋刀魚料理はとても美味しい。
Sep 2, 2005

この画像は、牛ヒレ肉のロッシーニ風。牛ヒレ肉の真ん中辺りのトルヌードという部分をステーキにした上にフォアグラのソテーをのせて、本来はトリュフがたっぷり入ったソースペリグーをかけるのだが、、、この場合はまだトリュフの季節でないので赤ワインとポルトのソースを使ってある。 さて、昨日の日記での「ビロードの手袋をはめた鉄の爪」と言うロマネコンティの味わいに対する表現は、出典は明らかでないがフランス人の言った言葉だ。そのロマネコンティの先代の醸造長アンドレ・ノブレ氏が、ロマネの酒蔵で古酒をテイスティングするときに、両手でグラスを包んで暖めながら「キャレッセ(愛撫してあげてください)」とつぶやきつつ、「雨上がりの森に入って拾った、枯れた落ち葉の香りのようだ」などと、とても詩的な表現をしたらしい。また他にも熟成した赤ワインをほめる言葉に腐葉土(極端な場合肥溜め)濡れ犬、汗ばんだ乙女、etc..とか我々日本人からするととても美味しそうとは思えないような表現が結構ある。昔ベルサイユ宮殿には、ご存知の方も多いかもしれないがトイレがなかった。近代になって下水道が出来るまではパリの街はおそらく当時世界一の悪臭に溢れていたといわれている。だから香水が発達したのだろう、、。やはり香りや匂いに対する感覚がかなり私たちとは異なると思う。最後に文豪アレクサンドル・デュマの名言。ブルゴーニュの最高級白ワインモンラッシュ(高いものは軽く30万円を超える)に対して、「脱帽し、膝まづいて飲むべし」と言ったそうだ。
Sep 1, 2005
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