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長年この仕事をしてきて、たいていの素材は知っているつもりなのだが、それでも時折ありふれた素材の中に思いがけない美味しさを発見することがある。最近とても気に入っているのが鱈。 鱈は、水分が多く淡白な味わいなので調理法が適切でないと、水分が多い=水っぽくてべチャべチャ、淡白=たいして味がない。ということになりがちな魚なのだ。そこでポイントとなるのが、やはり塩と火。 塩と火というのは、私の料理においてもいつも一番大切な要素だ。塩と火を制することが料理だとすら思っているくらいなのだが、鱈は特に塩と火がものをいう素材だと思う。 まず、生鱈は一塩をあてて余分な水分を抜いて旨味を凝縮しておく。そして澄ましバターと普通のバターを半々くらいで、バターが黒焦げにならないくらいの火加減でゆっくりと焼く。鱈の水分を追い出して、香ばしいバターを鱈の身に浸み込ませるように焼き上げるのだ。 冬の魚鱈の相棒は、冬の野菜キャベツ!キャベツは、やはりバターと少しの水分を加えてブレゼ(蒸し煮)する。この野菜の甘味(特にうちの自家菜園のキャベツは甘い!)と、バターが浸み込んだ鱈を合わせるともうソースはいらない。仕上げに極上の塩、フルール・ド・セルを少し振るだけで十分美味しい。セルフィーユの爽やかな香りもぜひ添えたい。 このところ、良く使っているのだが、「鱈ってこんなに美味しかったんだねぇ!」と、評判は良いようだ。
Jan 30, 2007

カリフラワーのポタージュです。フランス料理では、カリフラワーを使った料理をデュ・バリー風というのだが、、、Madame du Barryマダム・デュ・バリーというルイ15世の愛人の名にちなんでいるのだ。 ちょうど今、マリー・アントワネットの映画をやっているようだが、ちょうどあの時代に実在した人物にちなんだものだ。まあ、王様の愛人のデュ・バリーさんが、カリフラワー好きだったというだけのことなんですがね、、。 デュ・バリー風の料理のもっとも代表的なものはカリフラワーのグラタン。 カリフラワーは下茹でをして軽く塩コショウしてバターで色づけないように炒めておく。 バター、小麦粉で白いルーを作り牛乳でのばしてソース・ベシャメルを作りそこにバター、卵黄、パルメザンチーズ、グリエールチーズ、ナツメグをくわえてソース・モルネィを作る。 カリフラワーをこのソースで和えてグラタン皿に盛り上からソースとチーズとパン粉を振ってオーブンでグラタンに焼き上げる。 これが、グラタン・デュ・バリー。ちゃんと作ると結構美味しいのだが、やはりこの時代の料理はリッチで高カロリー!野菜料理なのにちっともヘルシーじゃない、、、。 画像のポタージュは、まず玉葱半分くらいを少しのバターで透き通るまで炒め、生のカリフラワーを1キロくらいと生米を1/4カップ弱入れて薄いチキンブイヨンをひたひたにして煮る。沸騰してから18分(この時間で米に火が通り、これがつなぎになる)煮たら、ミキサーにかけてシノワで漉す。仕上げは、少しの牛乳と香りつけにちょこっとバターを入れる。 米をつなぎに使うとカリフラワーの繊細な風味が生きて上品!野菜の微妙な風味を生かすため、乳製品はたくさん使わないのがコツ。しかも、ヘルシー!もちろん水は良いもの使ってくださいね!
Jan 28, 2007

ローストチキンである。このときめき鶏は、千葉市の若葉区で作られている鶏で地元だからまず鮮度が抜群に良いことと、多分餌が良いのだろうと思うが臭みがなくて実に美味しい鶏だ。焼いているのは、1キロサイズの雛鶏なのでとても柔らかい。 ローストチキンというとオーブンに入れて焼くのが普通だが、私の場合オーブンは使わない。なぜかというと、、、、 丸鶏は、まず内部に骨格(鶏がら)があって2枚の胸肉と2枚の腿肉が取り巻いている構造だから、オーブンで上下左右均一に加熱すると、火の通りの早い胸肉と逆に遅い腿肉に差がついてしまうことになる。 その結果、腿肉が焼けるまでオーブンに入れておくと、胸肉は焼けすぎてバサバサになってしまうのだ。よくデパートやスーパーで売っているローストチキンを買うとたいてい胸肉がバサバサなのはこういう事情による。 というわけで、美味しく焼き上げるためには、上の写真のように鍋の上で向きを変えながら胸にも腿にもしっとり柔らかく、過不足なく火を入れるのだ。たいへん原始的というか、単純なやりかただが、焼きたい場所にピンポイントで熱を入れていくのはかなりの熟練を要する技だ。 焼き上がりがこんな感じ。皮がパリッと香ばしく中はしっとり仕上っている。 焼き上げた鶏はしばらく温かいところで休ませて余熱で仕上げるのだが、そのとき胸肉を下にしてお尻のほうを上にした逆立ちの姿勢にしておくことが肝要。そうするうちに丸焼きにすることで内部の鶏がらなどからも出た美味しい肉汁が、重力の作用で胸肉に集まるので、胸肉がしっとり仕上がるのだ。 どうです?!ほんのりピンク色でしっとりと焼けているでしょ?この胸肉、噛み締めると鶏肉ってこんなに美味しかったのか!と、思うこと間違いなし!二人で一羽を食べていただく場合、、、 はじめに胸を焼き汁のソースで、楽しんでいただき、腿肉はそのあとサラダ仕立てでさっぱりと召し上がっていただく。こうすると口が変わって飽きることなく楽しめる。 時間がかかる料理なので、予約をしてください。 ご予約、お問い合わせはこちら。
Jan 27, 2007

ショーソンというのは、このように餃子型のようなパイのことで、丸く切ったパイ生地の中に何かを挟み二つ折りにして焼き上げるものだ。 今月のお勧めで、フォアグラとリンゴのショーソンをお出ししているのだが、この画像の中身はなんとトリュフとフォアグラ!! 年明けのトリュフは暮れのものより香りが強くてこのようにパイ包みにすると香りが閉じ込められてとても美味しく食べられる。中に入っているトリュフは、いわばソースがわりで甘い香りと滑らかな脂が、トリュフの香りの引き立て役になるのだ。 冬の王様トリュフの前では、フォアグラ殿下もひざまずくというわけ。今週だけ予約対応しています。詳しくはお問い合わせを、、。
Jan 22, 2007

鱈は食べてちょうど良いくらいに塩をしてある。鱈は水分が多いので軽く塩漬けにすると余分な水分が抜けるし旨味が凝縮するので美味しい。強く塩をすれば塩鱈干鱈の類の保存食品にもなる。ポルトガルやスペインあたりでは塩鱈の料理が今でもさかん。特にポルトガルでは、塩鱈は国民食といってもいいくらいで、代表的な塩鱈レシピだけでゆうに300種とも400種ともいわれるくらいだ。 この料理は軽く塩をした鱈をたっぷりのバターでゆっくりと焼き上げる。イメージとしては、鱈の水分を追い出した後にバターを浸み込ませる感じだ。こういうバター焼きには、鱈やサーモンのように身質が大振りで層状に身がはがれるようなつくりの魚が適している。じっくりゆっくりとバターを含ませて焼き上げると、塩分が適切ならソースがまったく必要ないほどバターが浸み込む。下に敷いた柔らかくブレゼしたキャベツの甘味が鱈の旨味や独特の香りと一体化して、ひとつの料理になる。仕上げに引き立ての胡椒とフルール・ド・セル、そしてセルフィーユのアクセントを添える。 うちの畑のキャベツは、このごろますます甘くなってきた。
Jan 18, 2007

焼き上がりの画像。これにソースを、、、。 定番のグランヴヌールソース、ブルーベリーで仕上げる甘酸っぱい味わい。これにはカシスも入っている。
Jan 14, 2007

Jan 11, 2007

今年の仕事始めは、6日でした。夜は親友の音楽家クリヤ・マコトとモスクワ在住の商社マン、アキがそれぞれ夫婦で来てくれて、楽しい新年のスタートとなった。 クリヤ・マコトって誰?という方はぜひ、ここをチェック 本当に素晴らしい音楽をやる男だ。友人の役得でいつも新しいアルバム等が出るとCDなどをプレゼントしてくれるのだが、今回のピアノトリオのアルバムは、今までの彼の作品の中でもダントツに美しい出来で、深夜一人で聴いているとなんだかほろっときてしまうほど、、。もう25年以上の付き合いだから10代のころの演奏から聴いているので、「ああ、マコトもこんな凄いところまで来たんだなぁ」と、感慨に浸ってしまう。パリで録音した前作も素晴らしい。 ぜひ聴いてみてもらいたい。ジャズにはあまりなじみがない方でもきっと楽しめると思う。 商社マンのアキは、マコトのウエストヴァージニア大学時代の同級生で、やはり二十歳のころからの付き合い。今までは中東やアフリカの仕事が多かったのだが、去年からモスクワ駐在になった。この冬は暖かくたかだか?マイナス20度くらいだそうだ。ロシア語の名刺をもらったのだが、複雑怪奇な言語ですね。ロシア語は、、。 こういう若いころからの付き合いで、仕事もまったく異分野でまったくお互い利害関係がないから何でも気楽に言いたいことを言い合える。まさに気のおけない仲間だ。新年のお祝いにシャトー・マルゴーのセカンドワインをあけて午前2時頃まで話し込んでしまった。 今日の画像は、そのときのエゾ鹿のローストバルサミコ風味。
Jan 9, 2007
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