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あすからもう2月ですね。3日のディナーは貸し切り。6日のお昼は予約で満席です。このところ毎週末のように満席でお断りすることが多いので、ご予約はお早めにお願いします。個人的なことですが、8日は私の誕生日でとうとう50歳になります。 これは、私の作った生チョコです。Pave de chocolatパヴェ・ド・ショコラといって、パヴェというのは歩道の敷石のことで、牛ランプの肉を四角に切り出して焼いたステーキのことを指すこともあります。このチョコの場合は、一個につき10グラムくらいで一口サイズですが、牛肉の場合は200グラムくらいに切りますね。 毎年ヴァレンタインデーには、この生チョコを作ってなじみのお客様に頼まれて販売しているのですが、今年は少し多めに作ってご希望の方には販売しようかなと思っています。間もなくホームページで告知いたします。 自分で生チョコを作りたいという方には、うちのレシピを教えましょう。生チョコは材料さえそろえばそんなに難しくはないですよ。材料製菓用チョコレート400g(カカオ分が70%くらいのビターなもの)、生クリーム(35~38%)400cc、無塩バター80g、グラニュー糖100g、好みアルコール類(カルバドス、コニャック、コアントローやグランマルニエなどをどれか一種)少々、ココアパウダー(分量外)1、チョコレートは、塊のものなら適当に刻みステンレスかガラスのボールに入れて室温に置いておく。2、生クリームと無塩バターとグラニュー糖は鍋に入れて沸かし、バターと砂糖を完全に溶かしてから、1のチョコレートに加えて、3分ほど待つ。3、チョコレートが解けるのを待って、アワ立て器をボールの真ん中に入れて、はじめは小さく次第にチョコレートがなじんできたら、大きくかきまわしてチョコレートを完全になじませる。よく混ぜるのだが泡はあまりたてないように注意。4、つやがよく滑らかになったらアワ立て器をゴムべらに持ち替えて、好みのアルコールを少し加える。うちの店で使っているベルギーのカレボーのチョコやフランスのヴァローナなどのように飛びきりのチョコレートを使うならむしろアルコールは必要ないかもしれない。5、ケーキ用にシリコンペーパーを敷いたバットに流して冷蔵庫で3時間以上固める、適宜切り分け、ココアパウダーをまぶせば出来上がり。 まあ、こんな感じです。
Jan 31, 2010

これは、ホロホロ鳥のモモ肉の遠赤外線グリエ、ディジョンマスタード風味。肉はフライパンに皮目を上にしてのせて、遠赤外線グリラーで皮のほうからだけ火を通す。パリパリに焼けた皮がフタ代わりになって、身のほうはしっとりと蒸し焼きのようにに仕上がるよう火を通す。ソースは鶏のだし汁にホロホロ鳥の焼き汁を加えてディジョンマスタードとオリーヴオイルで仕上げる。オリーヴオイルはマスタードの作用で乳化するのでマイルドな風味になっている。今週来週あたりのお勧めでやってます。 こちらもお勧めメニュー。広島産の牡蠣は粉をつけてムニエールに、三陸産の帆立はテフロンのフライパンで脂を使わずにさっと火を通す。1/3に煮詰めたバルサミコに塩こしょうして、焦がしバターを合わせたソース。焦がしバターの甘みとバルサミコの酸味と甘みが合わさってシンプルだけどとても美味しい料理になる。家庭でも応用できるのではないだろうか。白身魚や鶏などにも合うだろう。 猫は暖かいところを探すのが実に得意ですね。最近彼は、このようにホットカーペットとカーペットカバーの間に入るのがお気に入り。「これで良し」みたいな満足げな顔しているように見えませんか?
Jan 28, 2010

この2種類が、さかもとこーひーから届いた。どちらも、とてもおいしいコーヒーです。詳しくは後ほど、、、。 まずは土曜日の夜のすごいワイン会の話。 15年以上のおつきあいの外科医のO先生は、ワインと美味しいものが大好き。今回も素晴らしいワイン会で、まずは88年のシャンパーニュ・ブラン・ドブランのサロン!これには、アミューズに三陸産生牡蠣とフォアグラのテリーヌの薄切りをたっぷりのせた自家菜園の有機野菜のサラダ。薄切りのフォアグラテリーヌは口解けがよいから、シャンパーニュの泡によく合う。しかも飲みごろのサロン!最初からみなさののテンションは一気に高まった。 続く白ワインは、90年のコルトン・シャルルマーニュ!もちろん、ブルゴーニュ・グランクリュ。料理は、オマールのヴァプールと帆立のソテーの海藻バターソース。殻つきのオマールの尻尾の身を蒸し器で2分45秒蒸し、三陸産の帆立貝柱は半生程度に軽くソテーして、沖縄のアオサと四国の青海苔に三陸の磯海苔と佐渡の若布などを合わせた海の香りたっぷりのバターがソース。 ブルゴーニュの白ワインを作るシャルドネ種のブドウは、石灰質の土壌を好む。その石灰質のもとになったのが、数千万年前から2億年前くらいの間の貝類や甲殻類の死骸が堆積したものだ。エベレストの頂上付近から貝の化石が出るくらいで、かつてはヨーロッパもほとんど海の底だった時代の名残が、石灰質土壌というわけ。 つまり何が言いたいかというと、数千万年とか2億年という時の流れが、石灰質の土壌を作り、その土壌が素晴らしい白ワインを育み、その土壌の大元となった甲殻類と貝類の料理が海藻という海の香りのソースで出会い、マリアージュするということだ。壮大なロマンでしょ? 続く皿は、ビーフのコンソメ・ドゥーブルのトリュフ風味。10リットルのコンソメを作るために肉類や鶏ガラや牛骨など合わせて20キロ以上の材料が、すべて出しを取るためだけに使われるというとてもぜいたくな料理。それにトリュフの薄切りがたっぷり入っている。実にゴージャスなスープ。みなさん、無言です。でも、お皿を下げるときに拍手いただきました。 赤ワインはこれまた凄い!90年のシャンベルタンと70年のシャトーモンローズ。ロマネコンティという化け物を別にすれば、間違いなくブルゴーニュで最高の赤ワインの一つと五大シャトーという大ブランドを別にすれば、やはり間違いなくボルドーの最高のワインの一つが開けられた。 合わせるメインは、エゾシカの背肉のローストにスペイン産のポルチーニ茸のソテーとフォアグラのソテーを添え、トリュフで真っ黒なソース・ペリグーを合わせる。シャンベルタンは、鹿や鳩などの鉄分を感じる肉によく合う数少ないブルゴーニュワインの一つだ。つまり、血の香りに反応するワインだ。とてもよい年の90年でまさに華やかに開き始めた段階でとても魅力的。 一方、モンローズは土系の香りを持つサンテステフ村のワインの中でも最も男性的で最も長熟なタイプ。70年ではまだ開ききっていない程の印象。ワイン自体の美味しさは、シャンベルタンなのだが、モンローズと料理のマリアージュがまた素晴らしい!みなさん、結構なボリュームを完食でした。 食後のコーヒーにグァテマラ・エルインフェルトを出したところ、皆さん絶賛!やはりこれだけのワインを楽しむような方はわかりますね!さかもとこーひーの魅力が、、、。どこで売っているんだという話になり、さかもとこーひーのホームページを教えておきました。 そして日曜日、私の弟子(といっても年は同じくらいなのだが)の福島県いわき市のイタリアンレストラン、ニンニク屋の蜂須賀氏が関係者や店のお客さんを連れて、観光バスをチャーターして総勢16名できてくれた。 左から蜂須賀氏、私サンク・オ・ピエchef中村、そしてたまたま休みで手伝いに来てくれたソムリエ高山氏。 自家製サーモンやハム。マグロのタルタル仕立て、目鯛と帆立のソテー、デュロック豚とフォアグラのロースト、そして、子羊のもも肉のローストなどなど、、、。 これが子羊の骨付きもも肉。参考のための胡椒挽きは、長さが20センチほどだからけっこう大きな肉なのが分かるだろう。これを下処理してから糸をかけて形を整えてから焼きに入る。 骨盤の一部と尾骨の一部がついているのでそれを外し、すね肉も外して骨を出し、出した骨をホイルで巻き、糸をかけて形を整えたところ。 外した骨や屑肉を鍋に入れニンニクやハーブなども入れてこの上に肉を乗せ250度という比較的高温のオーブンに入れる。5分オーブンに入れては、温かいところで10分ほど休ませるということを繰り返してゆっくり焼き上げる。 これからオーブンに入れるところ。そして、2時間余りたって、、、 焼きあがったところ。この後さらに1時間ほど休ませると、素晴らしいロゼに仕上がる。 切り分けるとこんな感じ。どうです?美味そうでしょう?よくアメリカンコミックに出てくる骨付きの肉の塊がありますね。あれはこの子羊のもも肉のことなのだ。欧米人にとっての大人数のご馳走といえば、子羊のもも肉のローストということになっている。もも肉なのでヒレ肉やロース肉ほどは柔らかくないのだが、上手に焼き上げるとうまみがあって実に美味しく、とくによいボルドーやコート・デュ・ローヌのグランヴァンには最高の料理といえるだろう。但し、どうやったらこんなに上手に焼けるんだろうというくらいに仕上げなきゃ駄目ですけどね! さて、嵐が去った後(笑)ソムリエの高山氏とさかもとこーひーをテイスティング。グァテマラ・エルインフェルトは、しばし沈黙の後、香りの複雑さ、繊細なニュアンスなどを語り合い、最後に高山が一言。「しかし、シェフの認めるコーヒー屋さんだけあって、褒め言葉という意味で、気違いじみたコーヒーですよね。これは今までのコーヒーというカテゴリーからは完全に違う次元の飲み物ですよ。こういうものをわかる顧客を持っているなんて凄いですね!」とのこと。確かにそう思います。 豆が届いたときにすぐに入れて味を見た私が思わずつぶやいたのは、「さかもとさん、またこんなの作っちゃっていったいどこまで行くつもりなんだろう、、、。」この豆を電話で注文した時に、坂本さん自身も久しぶりにしびれる素材にであって、ちょっと感動しましたよと言っていたのがよくわかる。私がフォアグラなんぞを食べても何とも思わないように、さかもとさんも仕事柄かなりのコーヒーを飲んでももう麻痺していると言ってました。もちろん分析能力は完璧なんですが、今さら感動するほどのことは少ないというわけです。 私もフォアグラを焼く香りだけで産地や品種が分かるくらいですが、食べても今さら感動はしません。慣れすぎちゃっているんです。とびきり新鮮な魚を触っているほうがよほど興奮します。フレンチが好きで料理人になり、コーヒーが好きでコーヒー屋になったのですが、知りすぎると悲しいことに商売の種からは距離を置くようになってしまいます。 でもいくら長年やっていても、常に向上心を失わずにやっているとたまにこういうとびきりの素材が手に入るんですよね。同じような世界観があるさかもとさんの気持ちがよくわかります。 さて、もう一方の豆、ハート・バレンタインはさすがチョコレートに特化したブレンドというだけあって、本当によくチョコレートに合います。チョコのポリフェノールに対応するしっかりしたボディーがあって、香りにもかすかにチョコレートフレーバーもあり、ちょうどポルト酒やマデラ酒などのフォーティファイドワインを合わせたように、スーーっとチョコの後味と調和しました。
Jan 25, 2010

メジマグロの頭。頭の中の肉やほほ肉は取り出してある。まあ、あとはぶつ切りにして出汁ぐらいなら取れるか、、、。 身のほうは卸す前に撮影し忘れました。半身で約4キロ余りのメジ。これが半身で100キロ近くなるのだからマグロはでかい魚ですね。だからこれはまだほんの子供。 ぱっと見大きめのカツオみたいだが、やはりカツオとは全く味が違う。カツオほど血なまぐさくなくて上品なのがマグロのいいところだと思う。 これはタルタル仕立てにして、召しあがっていいただきます。 マグロは軽く包丁でたたき、市場で見つけた超早生物の新玉ねぎのみじん切りとグリーンオリーヴとアンチョビにケーパーを混ぜてペーストにしたタプナードで味をつけてある。これがまた白ワインが止まらないおいしさ!今週末やってます。明日はまだ空席ありますが、日曜日のお昼は予約で一杯です。日曜夜は空いてます。 ご予約お待ちしております! サンク・オ・ピエホームページ
Jan 22, 2010

サンク・オ・ピエで一番人気の定番の前菜、養老渓谷産もち豚の自家製スモークハムと生ベーコンのサラダ仕立てとシェフ自慢の手作りスモークサーモンが合体!春先までこの三点盛りでやります。それから、、、 これは、広島産牡蠣のムニエールキャベツのブレゼ添え。この時期いよいよ牡蠣が美味しくなってきました。サンク・オ・ピエでは、生牡蠣には三陸産。加熱用には広島産と使い分けをしています。三陸の牡蠣は、さっぱりとしていて香りがよいので生食に向いてます。一方、広島産はぷっくりと肥って脂がのっているので焼いてもしっとりしていてうまいです。上手に火を通せばフォアグラにも負けないくらいですよ! ムニエールという料理は、小麦粉をまぶしてバター焼きにするわけですが、焼く時のバターは澄ましバターを使います。澄ましバターは、ブール・クラリフィエといって、ちゃんとしたフランス料理を作るためには絶対必要なもので、、、バターを湯煎にかけてゆっくりと溶かして分離させて、下に沈んだ水分と上に浮いたあくを取り除いて黄色の純粋な脂肪分だけにしたもの。バターは焼くと焦げますが、それは脂肪分以外の成分が焦げるためで、純粋なバターの脂肪分だけだと200度以上まで変質しない。しかも、とてもきれいな焼き色と香ばしい香りがつくので、魚や野菜を焼くには最高の脂になるというわけ。 それから、ムニエールという言葉は、meunierムニエつまり粉ひき屋さんの女性形のmeuniereムニエール。粉ひき娘という意味です。小麦粉にまみれて働く姿から、魚に小麦粉をまぶして焼く料理をそう呼ぶことにしたのだろう。 牡蠣は粉をまぶして澄ましバターでこんがり焼き、中はジューシーな状態に仕上げる。別の鍋でバターを香ばしく焦がし、自家製のポン酢をほんのひと垂らししてブール・ノワゼットのソースとする。ノワゼットとは、ハシバミの実、つまりヘーゼルナッツのことで、香ばしく炒ったナッツのような香りがするくらいにバターを焦がすことだ。 焦げたバターの香りとコク、牡蠣の旨味ととミネラル分、焦げた粉のメイラード反応(焼きおにぎりが美味しくなる原理)による香ばしさと旨味、、、いろいろな要素が重なり実に完成度が高い料理といえる。またこれらの要素のすべてが、洗練されたシャルドネ種やソーヴィニヨン・ブラン種の美味しい白ワインに抜群に合うのだ。これも春先まで、牡蠣が入ったときにはお勧めでやってます。美味しいですよ!
Jan 21, 2010

豚肉はコラーゲンが豊富。とくに末端の部分、耳や鼻ずら、頭肉や豚足それから尻尾など、、、。要はそういった部位を煮込んで、柔らかくしてその煮汁ごと固めればこういう煮凝り的料理になるというわけ。 フランスでは、Fromage de Teteフロマージュ・ド・テトと言って、仔牛や豚の頭を使ったテリーヌが有名。シャルキュトリー(肉加工品のお惣菜)の定番メニューで、スーパーでも売っているし、気楽なビストロやブラッスリーの定番メニューですね。Fromageというのは、普通はチーズという意味だが、もとはFormeつまり型からきているらしい。チーズも型に入れて固めるのが普通だし、もちろん煮凝りも型に入れて固めるからだろう。 本格的なフォロマージュ・ド・テトは、豚か仔牛の生首そのもので作る。頭蓋骨から皮ごと肉を外し、タンや脳みそも使って白ワインとブイヨンで柔らかく茹でる。肉や内臓を適当に切ってテリーヌ型に入れ、煮汁を煮詰めて型に入れる。殺菌のためにオーブンに入れて100℃に達するまで加熱し冷やし固めて出来上がりというわけです。 定番の食べ方は、ソース・グリビッシュと言って、オイル&ヴィネガーのフレンチドレッシングに固茹で卵のみじん切りやピクルスやパセリやケーパーなどのみじん切りを混ぜたソースを合わせる。タルタルソースのマヨネーズをドレッシングに変えたようなものだ。 とにかくコラーゲンの塊だから、結構コクがあってベタベタした感じなりがちなので、酸味と薬味でベタベタ感を和らげようというわけだろう。 私が今回作ったのは、豚の耳と尻尾の肉を使った。シンプルに水に少しの白ワインで煮込んで、塩胡椒で味をつける。仕上げにシャンパーニュで作ったワインヴィネガーを加えてしっかり酸味をつける。 しっかり酸味をつけることで、さっぱりとした味わいになる。薄切りにして、サラダに乗せて、フルール・ド・セルと胡椒を振り、ゆずオイルを少し回しかける。野菜と一緒に盛り込むことと、テリーヌ自体に酸味があることで結構さっぱり食べられるのだ。 ソース・グリビッシュも美味しいのだが、ちょいと重い。また厚切りにして出すのが普通なのだが、それもちょいと重いということでこの形になった。 とにかくコラーゲンの塊です!美肌には最高ですね!しばらくお勧めでやってます。 ホームページにもアップしてありますが、今日の時点で予約がなかったので、あすのランチはお休みします。(ちょいと行くところがありまして、、。)今日のランチは満席で、夜はまだ空いてます。あすの夜も通常営業。若干空席があります。そして月曜日は定休日です。
Jan 16, 2010

サンク・オ・ピエの人気ワイン、アメリカワシントン州のダックポンドセラー。お店では、カベルネ・ソービニヨンとメルローにシャルドネを使っているのだが、実は他にもピノ・ノワールも作っている。 ピノ・ノワールと言えば、もちろんブルゴーニュの赤ワインの主要品種。ロマネコンティもシャンベルタンもブルゴーニュの赤ワインはピノ・ノワール100%だ。ブルゴーニュは、歴史も長く狭い地域なので、もう格付けの評価がほぼ定まっており、今後たとえばロマネコンティに匹敵する新しい畑ができるなどということは考えられない。しかし世界では、ワインの聖地であるブルゴーニュに追い付け追い越せ!という気概で一生懸命ピノ・ノワールを栽培している人たちがいる。 そういうわけで、世界各地に何とか銀座?のごとく、カリホルニアのロマネコンティとかオーストラリアのシャンベルタンとか、いろいろあるのだが、そんな中で近年ワインのプロがこぞって注目している地域がアメリカオレゴン州だ。ワシントン州の隣ですね。 いまやオレゴン・ピノ・ノワールというジャンルがあるくらいで、あの有名高級ワイングラスメーカーのリーデルがオレゴン・ピノ・ノワールというグラスを作ったほどだ。ちなみにカリホルニアワインやオーストラリアワイン用というグラスはない。 そのオレゴンワインの輸入に携わる会社に頼まれて、私の友人のソムリエ高山が、ワシントン州やオレゴン州にワインの買い付けに行ったのは一昨年のことだった。 高山は、お台場や丸の内新丸ビルやその他有名店の数々でキャリアを積んできた優秀なソムリエで、私より一回り若いのだが、大事な友人の一人だ。 ワインの買い付けというのは、実にデリケートな仕事なんです。ものすごく美味しい優秀なワインの作り手というのは、たいてい小さなところが多く、手作り志向。生産量も少なく、気に入らないやつには売りたくないということが多い。ワインの醸造家というのも一種のアーティストなので、結構気難しい人も多いようだ。つまり、作り手に気に入られなければ、ワインは買えないか、または買えたとしても高い買い物になってしまうのだ。 こういう機微は、一種恋愛みたいなもので、恋愛のマニュアル本が実際は役に立たないのと一緒で、醸造家に気に入られるマニュアルなど当然ない。ではどうすればいいかというと、優秀なソムリエを連れていくのだ。 ソムリエというのは、基本的にほめ上手でなければならない。世界一のソムリエのタイトルを持つ田崎真也さんなど、一本¥500のワインでも延々何分間もほめ続けることができる。ワインのあら探しや品定めのみに走るソムリエは、一流とは言えません。但し、お世辞や美辞麗句だけを並べるのはもっと良くない。 ワインの作り手というのは、もちろんワインが大好きでやっているわけです。自分の手掛けたワインはわが子も同然。わけのわからないやつに引き渡すわけにはいきません。 買い付けに行って、まずは畑を案内してもらい、土に触れ、風を感じ、温度や湿度、日の当たりかたなど、畑はワインの母親ですから、「畑なんていいから早くワインの味を見せろ」なんていえば、一発で嫌われますね! テイスティングは、たいてい若いワインで価格も安いものからだんだんいいワインに移っていきます。そういう中で、そのワインメーカーの作風やワインの好みなどを正確に読み取って、的を得た表現でコメントすることが大事です。丹精込めたワインを真剣に味わい、正確に表現する。自分の作品を正当に評価されることほど作り手にとって嬉しいことはないのですから、、、。だから、ワインの買い付けには優秀なソムリエが必要なんです。 メーカーにとても気に入られると、普段はだれにも飲ませない秘蔵の自家用のストックなども飲ませてくれることがあります。彼らもワインが好きで作っているわけですから、一番おいしいところは出荷せずにとっておくというわけです。当然ですよね。 そういうわけで、冒頭の写真のワインは、高山がダックポンドセラーですっかり気に入られた結果貰ってきたプライベートリザーブの特別なピノ・ノワールです。もちろん、日本にはこの一本しかありません。先日、二人で飲みました。ブルゴーニュのトップクラスのワインとはやはりかなり感じが違うのですが、実に上品に仕上がっていて、オレゴンピノ・ノワールの可能性を感じる素晴らしいワインでした。つまり、うまかったです!!(笑)シャラン産の窒息鴨を焼いて一緒に食べました。
Jan 14, 2010

今月のさかもとこーひーです。 さかもとこーひーは、世界でもトップクラスの有機コーヒー豆を使用し、高い技術で自家焙煎しているスペシャリティーコーヒーのメーカーです。まだ、レストラン業界ではこれほどのコーヒーを使用している店はありません。サンク・オ・ピエの食後は、さかもとこーひーでお楽しみください。 こちらは、大根のエスカルゴ詰め、ブルゴーニュ風。大根の大きさは10センチ近くあります。風呂吹き大根のように米のとぎ汁で柔らかく茹でてあく抜きしてから、鶏のブイヨンで味をしみ込ませてある。くり抜いてエスカルゴとブルギニヨンバター(ニンニク、エシャロット、パセリなどで味をつけたバター)を詰めてパン粉を乗せて焼き上げる。別に軽くクリーム煮(フリカッセ)にしたエスカルゴも2個添えてある。お勧め前菜でやってます。今の大根は、味が濃くておいしいです。 三陸産の牡蠣を入れたリゾットにチーズをかけて焼いたものに広島産の牡蠣をムニエルにして添えてあります。牡蠣のリゾット仕立て。これもスペシャルメインでやってます。三陸の牡蠣は生ガキで出しているもの。香りがよいのでこれはリゾットに混ぜ込みます。仕上げに生姜のみじん切りを少し。これが不思議な味わいを醸し出す。広島の牡蠣は脂が乗ってコクがあるので、ムニエルに焼きます。とろっとしてまるでフォアグラみたいでおいしいですよ。 それから最後は、自家製スモークサーモンと温泉卵のシーザースサラダ。卵黄に少しニンニクとパルメザンチーズを混ぜ込み、ワインヴィネガーとオリーヴオイルで作ったドレッシングを使い、温泉卵とスモークサーモンの切り落としを合わせる。仕上げに卸したグリエールチーズ。これもスペシャル前菜でやってます。サーモンはサラダに混ぜるので、切り落としがおいしい。尻尾のほうや外側のスモーク香や塩気が強いところがちょうどよいのだ。だから、いつも数人前しか作らないです。ちょっとしょっぱいサーモンとマイルドな温泉卵にうちのおいしい有機野菜のサラダを合わせて食べる。うまいですよ!
Jan 12, 2010

サンク・オ・ピエの七草粥です。京都の有名料亭“瓢亭”の朝粥をまねたものです。白粥に七草を入れます。(これで普通は終わり)粥の上に思い切り鰹を利かせたお出汁に吸い物より少し濃いくらいの味をつけて片栗粉でとろみをつけたあんをかけます。これが瓢亭の朝粥ですね。お粥だけではちょいと物足りないので、オリーヴオイルで焼いたお餅に軽く塩味をつけてのせてあります。 1月7日は、昭和天皇の命日でもありますね。ちょっと不謹慎な言い方かもしれませんが、私は昭和天皇の大ファンです。昭和という時代も好きですし、大正時代から摂政の宮となって日本という国を率い、第二次大戦をはさんで激動の日本の歴史の中で常に中心人物でした。歴代の天皇の中でも最も大きな存在ではないでしょうか? 毎年、7日には必ず七草粥を作り昭和天皇を偲びながらいただいてます。あまりお粥が好きでないうちのマダムも今年の瓢亭風の粥は好評でした。
Jan 10, 2010

これは、ちょいとピンボケですが、、1月4日の新年会の一コマ。わが友クリヤマコトと一緒に演奏しているところです。ギターみたいに見えますが、これはベース。セミアコースティックのフレットレスベースです。最近のお気に入りの楽器。ベースはもちろん、サンク・オ・ピエ chef 中村雅信ですよ。長年の親友とはいえ、一流ミュージシャンと演奏するのは楽しいけど緊張します。あー、もっと練習しなくちゃ!と、いつも思うんですけど、なかなか時間がとれません。 さて、新年は5日から既に営業開始しました。まあ、毎年最初の週は静かなもので、、、肩慣らし的なんですが、来週12日から新年第一弾のスペシャルメニューをスタートします!Menu du Chef jan,feb Cinq au pied.1月2月のサンク・オ・ピエ・シェフお勧めコース1月12日より2月20頃までご予約限定、2名様よりお一人様、¥5,500MENULes Entrees au choix本日の前菜よりお好みで一皿Soupe aux choux brune gratinee自家菜園有機キャベツのグラタンスープSalmis de pigeonneau aux champignons parfume de truffeet petit risotte au foie grasフランス産若鳩のサルミ仕立て、キノコとトリュフの香りフォアグラを添えたプチリゾット添えDesserts du Chefシェフお任せデザート2pain2種類のパンさかもとこーひー又は紅茶 1月2月のサンク・オ・ピエ・シェフお勧めコース。前菜は、当日お好みでチョイス、スープは自家菜園の有機キャベツを3日間炒めてオニオングラタンのように仕立てたユニークなスープ。毎年作るので、常連さんなら知っている方も多いはず。旨味とコクのオニオングラタンにたいして、大地の滋味を噛みしめるような深い味わいのスープです。 そしてメインは、若鳩のサルミ。サルミという料理は、ジビエ系の鶏類に使われるクラシックな料理で、まあ、これほどワインが美味しく飲める料理もそうは無いだろうというくらいワインとの相性が良い料理です。鳩は、まずかなり生焼けの状態にローストします。少し休ませたら、さばいて肉を外し、ガラを粗くたたき切って出汁を取ります。キノコやトリュフを軽く炒め赤ワインやマデラ酒など加えて煮詰め、鳩のガラの出汁とあらかじめ取っておいた鶏の出汁を合わせてさらに煮詰めソースに仕上げる一歩手前になったら、先ほどの生焼けの鳩の肉をそのソース一歩手前の出汁の中で軽く煮込んで丁度よく火を通します。肉を取り出し、保温しておいて、ソースを仕上げ、もう一度肉をソースによくからめてから盛り付けます。キノコの風味を凝縮させたデュクセル風味のリゾットとフォアグラのソテーも添えます。 パッと見、シチューのような茶色のソースの煮込み料理に見えますが、肉を切ってみるとロゼ色で、ちょうどジューシーな仕上がり。さらにガラからも出汁を取ってあるので、鳩の旨味を一滴も無駄にしません。とっておきのブルゴーニュワインやポムロールやサンテミリオンのよく熟成したメルローワイン、スペインの古いリオハのワインなど、土の香りやキノコやトリュフのニュアンスがある赤ワインが最高に合いますね!もちろん若くて軽やかなワインでも悪くはありません。まあ、たいていの赤ワインなら美味しくなること間違いなしの料理ですよ!Foie gras Madness Cinq au pied. jan,febフォアグラマッドネスのコース、1月、2月1月12日より2月20頃までご予約限定、2名様よりお一人様¥9,800MENUFoie gras 60g froid et cepes marinee avec gelee au truffeフォアグラ60グラムの冷製、ポルチーニ茸のマリネとトリュフ風味のコンソメジュレPoisson du jour et foie gras 60g a la vapeur本日の白身魚とフォアグラ60グラムの蒸し物Confit de Noir de Bigorre et foie gras 80g chaud avec legumes hiverピレネー産ビゴール黒豚のコンフィとフォアグラ80グラムのソテー、自家菜園の冬野菜添えPetit avant dessert小さなアヴァンデセールTartelette Tatin au foie grasリンゴの小さなタルト・タタン、フォアグラ風味2pain2種類のパンさかもとこーひー又は紅茶 そして、フォアグラファンお待ちかねのフォアグラマッドネスコースです。最初の皿は、スペイン産ポルチーニのマリネの上に薄切りのフォアグラのテリーヌをたっぷり並べ、その上にトリュフの風味を利かせたビーフコンソメのジュレをかけたもの。いきなり豪華ですね!重みのあるしっかりしたシャンパ-ニュが良く合いそうですが、コンソメとの相性が良いシェリーのアモンチリヤードの辛口など合わせても面白いかもしれませんね! 二皿目は、白身魚とフォアグラの蒸し物。魚とフォアグラは蒸し器で蒸して火を通します。ふんわり柔らかい白身魚と蒸してとろけるような食感のフォアグラが絶妙な相性です。よく煮詰めたバルサミコがアクセントに、、、。特上のオリーヴオイルが全体をまとめます。もちろん塩もポイント!最近手に入れたイタリアのエミリオ・ロマーノ州のサレ・フィオーレというローマ法王に献上するための塩を使います。伝統的な塩田で作られたミネラル分が多く旨味や甘味があるとても穏やかな塩です。 メインは、ピレネー産のビゴール黒豚のバラ肉のコンフィとフォアグラのソテーに自家菜園の冬野菜を添えた皿。ビゴール黒豚は、人類最古の飼育種と言われ、ピレネー山脈一帯の野豚が原種で、スペイン側に降りて行ったものが飼いならされてイベリコ豚になり、フランス側のものがビゴールになったという豚。一時種豚が60頭位まで減少して絶滅の危機に瀕したのだが、近年のスローフード運動で注目を浴び、その類まれな肉質の良さと美味しさが認められて今では三ツ星レストランのメニューには欠かせないくらいの存在になっている。 そのビゴール黒豚のバラ肉をサレ・フィオーレで軽く塩漬けにして、80度くらいの低温のラードでゆっくりと煮込む。竹串がスーッと通るくらいに柔らかくなったら、冷ましたあと冷蔵庫で締めてから適宜カットしてこんがりと焼き上げる。脂が美味しいビゴール豚のコンフィはまるでフォアグラのソテーのよう!そこに80gのフォアグラのソテーを添えて、大根やキャベツなどの冬野菜を添えます。まあ、フォアグラファンで肉食系にはたまらない料理ですね!(笑) 小さなアヴァンデセール(小さなデザート)をはさんで、リンゴのタルト・タタンにこれもフォアグラ添え!リンゴとフォアグラの相性の良さは、既に知られているところですね。間違いない組み合わせです。 どちらのコースもご予約受付中です。来週12日から始めます。ご予約お待ちしております。ホームページからどうぞ。
Jan 7, 2010

くつろぐうちの寅。 こいつはくつろぎすぎです。 私も大みそか元旦、2日と寝ては飲み食っては寝てといった生活。昨日はフグ刺しを引いて食べ、ふぐちりと雑炊も堪能。タラバガニも久しぶりに美味しかった!うちの寅たちもまったり過ごしてました。 今日は午後から店に行って、暮れにできながった大掃除をしてきました。ガス台がプラックなので、一度温めると半日は触れないので、ちゃんと掃除するには朝一か休みの日しかないんです。 明日は、まだ市場が休みなので仕事は明後日から、、、。明日は友人のクリヤ・マコト達と新年会の予定です。楽しみ!!!
Jan 3, 2010

あけましておめでとうございます。 朝から、寅に襲われております。 本年もサンク・オ・ピエをよろしくお願いします。
Jan 1, 2010
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