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2011.11.27
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ベトナムとブラジルの森林破壊を進め、遺伝子組み換え大豆による狂豆病を蔓延させたモンサント社とは何か?
モンサント社を裁けないアメリカとは何か?

TPPという隠れ蓑の裏から、日本の食・環境を狙うモンサント社の手口を モンサント、ブラジルの遺伝子組み換え大豆「開国」の手口 に見てみます。

1998~2005年、モンサントによる憲法骨抜き

 ブラジルはかつて世界最大の非遺伝子組み換え大豆の輸出国だった。遺伝子組み換え大豆の耕作は禁止されていた。しかし、現在ブラジルでは75%ほどの大豆が遺伝子組み換えとなってしまった。

 遺伝子組み換え大豆の栽培はルラ前大統領の前のフェルナンド・エンヒキ・カルドーゾ(FHC)政権時代の1998年にアルゼンチンから遺伝子組み換え大豆の種子が国境沿いのマトグロッソドスル州に非合法に持ち込まれることで始まった。

 持ち込まれた遺伝子組み換え大豆はいわば密輸品であり、FHC政権は持ち込まれた大豆を即時に処分し、持ち込んだ関係者の処罰をする義務があるにも関わらず、実際には遺伝子組み換え大豆の耕作実態をつかむ調査すら十分には行わなかった。そのためにどれだけ広範囲に遺伝子組み換え大豆が持ち込まれたのか正確につかむことができない。

 地方では大土地所有者の力は強く、マトグロッソドスル州では特にその傾向が強い。行政の力は時に弱く、地方の権力者の協力を得てしまえば、非合法行為もなかなか処罰されない傾向がある。こうして大土地所有者への密輸という方法を通じて、モンサントはブラジルを遺伝子組み換え大豆生産国に強引に変えて、それを既成事実化してしまったのだ。

<政治をめぐる攻防ー憲法を無視する法案>
 同時にモンサントが試みたのは強力なロビー活動を通じての法律の変更だ。1998年、モンサントは除草剤Roundupに耐性のある種子Roundup Ready大豆の バイオ食料国家技術委員会(CTNBio) による承認を勝ち取った。

 しかし、これに対して、Greenpeaceブラジルと消費者保護協会(IDEC)はモンサントとブラジル政府を相手に訴訟を起こし、この承認の取り消しを求めた。この訴訟はGreenpeaceらの側の勝利となり、1998年から2003年まで、遺伝子組み換え大豆の栽培はモラトリアム(停止処分)となった。

 2002年、大統領選挙で労働者党のルラは「環境と生活の質」をテーマに掲げ、非合法の遺伝子組み換え大豆の耕作の停止を公約した。大統領選でのルラの勝利で、環境問題、農業問題に取り組む広範な人びとから、遺伝子組み換え作物の栽培禁止の継続の期待が高まった。しかし、議会で影響力を強く持つ大土地所有者、アグリビジネスの利益代表者に対して、ルラ政権は妥協を重ねた。
 (中略)
 遺伝子組み換え大豆を連邦政府が承認する決定を行った後、ブラジルで2番目の大豆生産量を誇るパラナ州政府が、遺伝子組み換え大豆の州内栽培、輸送、船積みを禁止する法律を制定した。それに対して、リオグランジドスル州政府は最高裁に、パラナ州政府を訴え、パラナ州政府の遺伝子組み換えを禁止する権限は否定されてしまった。

<一国の主権が、憲法が骨抜きに> 
 モンサントのまったくの非合法な行為がブラジルの地方寡占勢力と結びつくことで、なし崩し的に承認され、その後のバイオセキュリティ法の成立過程で憲法が次々に骨抜きになっていく様がはっきり見える。
(中略)
 2005年3月、ルラ大統領が署名し、成立したバイオセキュリティ法では、遺伝子組み換え作物を栽培したり、商業化したい企業は、バイオ食料国家技術委員会に請求を出せばよく、委員会が承認の評価をすればバイオ食料国家審議会が最終判断を行うというものとなり、最終的に憲法で規定された環境や人間の健康に与える影響調査の義務も不要とされてしまった。この法の下では保健省と環境省は以前持っていた遺伝子組み換え種の自由化に対してそれぞれの領域で調査を行い、影響を評価する権限も失われた。



2010年、Soja Livre(自由な大豆)計画に希望を見る。日本は果たして?

<ブラジル社会の反応とブラジルにおける遺伝子組み換え食品表示規定>
 2003年12月の調査によるとブラジル社会は92%が遺伝子組み換え食品の表示は必要と考え、74%は遺伝子組み換え食品を食べたくないと考え、73%が遺伝子組み換え作物の自由化に反対であるとなっており、遺伝子組み換え技術に対しては強い反対がある。

 遺伝子組み換え問題は98年以来、ブラジル社会での大きな論争点であり、前述の通り、大統領選での大きな争点にもなった。遺伝子組み換え大豆のモノカルチャーの拡大は環境問題のみではなく、農地改革や地方の人権問題にも密接に関わるため、広範な社会運動団体やNGOが取り組んでいる。土地なし地方労働者(農園労働者)運動(MST)は遺伝子組み換え大豆問題を大きくとりあげ、非合法に植えられている遺伝子組み換え大豆畑の大豆を破壊する直接行動にも訴えている。

 2004年3月26日、遺伝子組み換え食品の表示規定を定めた政令が有効になり、1%を超える遺伝子組み換えの原料を含む人あるいは家畜用の食品には遺伝子組み換えの表示をすることが義務づけられた。これは日本の表示基準よりもはるかに厳しいものだ。しかし、ブラジル政府はこの政令の完全な実施をする具体策を示していない。

<広がる不安-大豆モノカルチャーの拡大、除草剤被害、そして狂豆病>
 遺伝子組み換え大豆の生産が本格的に始まり、おりしも、気候変動問題でバイオ燃料の採用を先進国が決めたため、バイオ燃料の原料としての大豆の需要が伸びている。現在(2010/11)では75%程度が遺伝子組み換えとなっているとされるが、さまざまな問題が持ち上がっている。

 大豆増産のための農地開拓の矛先は森林の破壊であったり、先住民族や小農民の土地からの追い出しであったり、さまざまだ。また、大規模な大豆農場は軽飛行機で除草剤を撒き、大型コンバインで収穫するため、広大な土地で生まれる雇用はわずかだ。モノカルチャーは自然と同時に社会を破壊する。追い出された先住民族と小農民は日雇い労働者として劣悪な労働条件で働くか、都市スラムへと流れ込むか、選択は限られてしまう。

 さらに追い打ちをかけるのが、遺伝子組み換え大豆の導入と同時に増加したモンサントの猛毒除草剤(その起源はベトナム戦争時の枯れ葉剤だろう)の使用である。除草剤に汚染された水を飲む周辺住民からベトナム戦争の時にたくさん生み出された先天性欠損症などの健康被害が続発している。
 また、遺伝子組み換え大豆に狂豆病と名付けられた、狂牛病と同様に治癒不可能な病気が広がっているという。

<大豆生産農家からも非遺伝子組み換え大豆を求める動き>
 遺伝子組み換え大豆は遺伝子組み換え種子と除草剤を売る遺伝子組み換え企業には利益を与えるが農家にとっては除草剤の負担や種子のロイヤルティの支払いなど負荷が大きい。Roundup Ready大豆の除草剤が結局効果を発揮しないという大きな問題も発生している。しかも、消費者が求めるのは、非遺伝子組み換え大豆であり、遺伝子組み換え大豆を一度選択した農家も非遺伝子組み換え大豆を要望するようになってきている。

 しかし、大豆種子の流通を独占するようになったモンサントは非遺伝子組み換え大豆の供給を制限し始めて、農家から不満が高まっている。この声に押されるようにブラジル政府はSoja Livre(自由な大豆)計画を2010年に発表した。これは遺伝子組み換えでない大豆の栽培を後押しするもの。

 ヨーロッパから遺伝子組み換えでない大豆をブラジルに求める市場の要求は実はかなり高い。決して、ブラジルは遺伝子組み換え大豆にそまったわけではなく、非遺伝子組み換えに活路を求める農家も存在している。

<結語>
 昨年の大統領選挙と同時に行われた総選挙では大土地所有層、アグリビジネスの利益代表者は相次いで落選した。ブラジルの民主化はルラの着任時よりもさらに進んでいる。

 この遺伝子組み換えの「開国」はブラジルの民主化の進みきらない過程の中で、モンサントと寡占大土地所有者の連携によってぎりぎりのところで生み出されたクーデタのようなものといえよう。実際に検証すれば、この過程は法的プロセスとしても整合性を持たず、抜け駆け的な動きの連続でしかない。
 正当に真正面から国会審議で検討され、しかるべき公聴会などで市民の参加も得て議論されていれば、現在のような形で遺伝子組み換えが合法化されることはありえなかったであろう。

 ルラ政権はブラジル政権として始めて反貧困に積極に取り組んだ政権であり、評価されるべき部分も少なくないが、モンサントと大土地所有者に対しての妥協は後世に残る汚点となったといわざるをえない。
 そして、その結果、モンサントの開発した大量の猛毒グリフォサートがブラジルの大地にまかれ、環境を汚染し、社会的にも先住民族や小農民に大きな苦しみを生み出すことになってしまった。この解決はさらに長い時間を必要とするだろう。

<日本は果たしてこの「開国」要求に対して、どう対応すべきだろうか?>
 日本の農林水産省は12月24日から遺伝子組み換え大豆栽培の承認を前提としたパブリックコメントを始めている。これに対して、アジア太平洋資料センター(PARC)が市民からコメントを集めるオンラインキャンペーンを開始している。多くの方にご注目をよびかけたい。
http://act.parc-jp.org/cyber/gmo_pubcom/index_html
印鑰 智哉


日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありませんとのことで、取り扱い注意です。

農水省から11/25~12/24期限で 遺伝子組換えセイヨウナタネ及びトウモロコシの第一種使用等に関する審査結果についての意見・情報の募集について とパブリック・コメントを募集しているが、これは大変なので注目しています。
審査結果 が出ているが、TPP前の駆け込み審査では?といらぬ疑心暗鬼におちいるのです。

12・7 「もう、だまされない!未来を奪う、原発・TPP」市民集会ご案内

遺伝子組み換え食品コラム・目次
「遺伝子組み換え食品最前線」
花はどこへいった





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Last updated  2011.11.27 10:11:56
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