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2013.02.06
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カテゴリ: 気になる本
<朝日デジタルの書評から6>

・・・・で、2/3のお奨めです。

・梅棹忠夫―「知の探検家」の思想と生涯
・尾関章の文理悠々

さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

梅棹忠夫―「知の探検家」の思想と生涯
梅棹

<「最後の弟子」が追う仕事と生涯:後藤正治(ノンフィクション作家)>
かつて梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』や『知的生産の技術』を熟読した一人である。前著の、西欧と日本を「第一地域」として括る押さえ方にはかすかな違和を覚えつつ、ともに知的な刺激に満ちた本だった。
 本書は、梅棹の仕事と生涯を追った評伝である。著者は、大学探検部や国立民族学博物館で梅棹に至近距離で接した「最後の弟子」。それ故でもあろう、梅棹の志向と思考に目線がよく届いている。
 梅棹の最後の著は『山をたのしむ』。少年期、京都の北山に親しんだ。「登山が生涯の原点」と記す。「学術探検」を掲げ、ポンペイ島へ、大興安嶺へ、モンゴルの草原へとフィールドを広げていく。細密画を見るようなスケッチが印象的だ。生来「歩き、見て、考えること」が好きな人だったのだろうと思う。
 生態学の泰斗・今西錦司に多大な影響を受けつつ、戦後、梅棹は人類学、民族学という新領域に関心を向ける。「二番せんじは、くそくらえ、だ」「未知のものと接したとき、つかんだときは、しびれるような喜びを感じる」という言葉を残している。
 行動のベクトルが常に新たに開拓することへと向かう。原稿の書き方や研究論文の方法についても、その志向は変わらない。パイオニアたらんとすることが梅棹の生涯を貫いてある原動力だった。
 65歳のとき、ウイルス性疾患で両眼の視力を失うがくじけない。以降、口述ワープロで全23巻の著作集の完成を果たす。「そこは漢字か、漢字やったらひらいといて」といいつつ作業を重ねたとある。サポートがあったからできたともいえようが、ピアノの練習まではじめたというエピソードには驚く。
 梅棹最大のパイオニアは光を失ってからの生き方であったかも知れない。評者の学生時代、居酒屋で席をともにしたことがある。にこやかな温顔が懐かしくよぎる。
    ◇

山本紀夫著、中央公論新社、2012年刊

<「BOOK」データベースより>
中学時代から山や森林に分け入り、白頭山や大興安嶺を踏査した探検家、モンゴル、ヒマラヤ、アフリカにフィールドを求め、「文明の生態史観」を提唱した民族学者、厖大な情報の活用を説き「知的生産の技術」を広めた「知のアジテーター」、そして国立民族学博物館を生んだ教育者・経営者―梅棹忠夫は、どの分野においても目的に向けて周到に準備し、全力で未知の問題を追求した。開拓者として生きたその思想と生涯。

<大使寸評>
梅棹さんと言えば、国立民族学博物館を生んだ人でもあり、大使も時として万博公園内のその博物館まで足を運んでいます。
それから・・・
「通訳もつれずにやってくる、厚顔の言語帝国主義者たちには、手をやいた」とまで言う梅棹さんであるが、そのあたりのことが「実戦・世界言語紀行」に載っています。
とにかく、今ではインターネットを通じてデファクトスタンダードとなった英語であるが・・・
最近の倣岸な英語(厳密には米語)に接することがなかった梅棹さんは幸せだったかも(笑)
rakuten 梅棹忠夫「知の探検家」の思想と生涯
「実戦・世界言語紀行」2 byドングリ


コラム「尾関章の文理悠々」の2月3日版がB787の事故をあつかっていたので紹介します。



尾関章の文理悠々
<B787のヒヤリ、ヒコーキの経験知:尾関章>
最新鋭機ボーイング787(B787)のトラブルが、あちらでもこちらでもだ。この機種名を朝日新聞の記事データベースに打ち込んで検索してみると、1月の一覧表には「出火」「燃料漏れ」「機内に煙」「焦げた臭い」「窓ガラスにひび」といった記事が並んでいる。飛行機の事故は乗客全員を生命の危機に陥れる。ニュースに触れるたびに背筋が「ヒヤリ」とした人は僕だけではないだろう。

 もちろん、そこにメディアの生理がもたらすトリックがないわけではない。たとえば、遠い外国で小さなトラブルがあったとき、ふつうなら日本の新聞に載らない。ところが、一度なにかが起こると、類似例が次から次に出てくる。今回も、米国ボストンでの出火騒ぎが報じられた後、朝日新聞の在米特派員電は米紙の報道として、テスト飛行時代から電気系統のトラブルが相次いでいたことを伝えている。

 とはいえ、火が出たり、煙が上がったり、焦げた臭いが漂ったりするという症状からみると、一連のトラブルには、根治が急がれる病理が隠れているのだろう。日米当局がこの機種を運航停止にしたのは理にかなっている。

 B787の一連のトラブルには「小さな事故」の域に達しているものもあろうが、それも含めての「ヒヤリ」である。ハインリッヒの法則から心すべきことは、そうした「ヒヤリ」を侮るな、ということだ。そこから、事故回避のヒントが得られる。そのことを改めて思い知らせてくれる本を今週は語ろうと思う。『飛行機物語――航空技術の歴史』(鈴木真二著、ちくま学芸文庫)。

 著者は、航空宇宙工学が専門の東大教授。ちなみに、この本は米国でライト兄弟が初の動力飛行をしてから100年の節目にあたる2003年に単行本として中央公論社から刊行されたものを、去年12月に文庫化した。

 文庫本巻末の一文にはB787の話が出てくる。日本の航空機関連産業がボーイング社との共同開発路線を選び、それを実らせた成果で、製造比率は「ボーイング社と同等の35%」に及ぶという。ただ、ボーイング社から「Made with Japan」と言われても「アフターサービスの情報は日本には届かず、エンジンをはじめとする付加価値の高い装備品に日本企業の参入は困難」と、Made in Japanでない悲哀にも触れている。

 だが、最大の読みどころは揚力の話かもしれない。僕にとっては読み返してもストンと胸に落ちず、難解を極める部分だが、そのことが航空技術の本質を物語っている。

 揚力のしくみをめぐっては、2000年代初めにちょっとした騒ぎがあった。米国の物理学者が、揚力が生まれるしくみとして広まっている通説に異を唱えた。その説は「気流が速くなると圧力が下がる」という「ベルヌーイの定理」を根拠にしており、翼の上の空気は翼下よりも速く流れるので圧力が低く、その圧力差で翼が下から上へもちあげられる、というものだ。

 ここで最大の驚きは、乗客500人を超える超大型機が空を行き交う時代に、飛行機がなぜ飛ぶかが大まじめに議論されている、ということである。著者は、この話題を本の冒頭に置き、さらに随所でかなりのページを割いて飛行の理論に踏み込んでいる。そこで痛感するのは、飛行機は理論があって飛んだのではないということだ。経験知の結晶が翼となって飛翔したのである。

 それは、次の記述でよくわかる。「ライト兄弟は、翼模型の風洞実験によって揚力や抵抗を計測し、人類初の動力飛行に成功した。1903年のことである。しかし、どうして揚力は発生するのか、という根本的な問題が解明できたわけではなかった」。風洞とは、人工の気流を起こす流体力学の実験装置だ。「人類初の動力飛行」は、その測定結果を踏まえている。だから、科学の成果に違いない。だが、理論の果実ではなかった。

 そもそも、飛行のしくみを解き明かすには、空気の粘り気――「粘性」を考えに入れなくてはならない。粘性のある流体については「ナヴィエ-ストークス方程式」が19世紀の中ごろにできあがっていた。ところが「それは現代の計算機による数値計算以外では一般的に解くことはできない難解な方程式」だった。ライト兄弟の快挙に至る時代に「この方程式が飛行機の開発に利用されることがなかったのも無理はない」のである。

<大使寸評>
図書館で「富国強兵の遺産」を借りて以来、飛行機づいている大使であるが・・・・
飛行機は理論があって飛んだのではないということだ。経験知の結晶が翼となって飛翔したのである。・・・・・
この当たり前のセリフが、すっとぼけていて面白い♪

流体力学を面白く語るコラムニスト尾関さんの語り口も、なかなかのもんやでぇ♪

B787 米の調査長期化8カ国で電池生産分業
富国強兵の遺産 byドングリ

********************************************************************
【引用書籍:飛行機物語――航空技術の歴史】
飛行機

鈴木真二著、文藝春秋、2013年刊

<「BOOK」データベースより>
400トンの金属のかたまりが時速1000キロで自由に空を飛ぶ!想像を絶する出来事だ。どのようにしたら重いものも飛べるのか。その謎を探る長い歴史の後、100年ほど前に、空を飛ぶ夢は飛行機に結晶した。本書では、揚力の探求の話題を手始めに、エンジンの原理と歴史、プロペラや翼の理論など、飛行機の要となる工学と技術を、ベルヌーイ、ケイリー卿、リリエンタール、ライト兄弟などのエピソードをまじえながら歴史的にひもとく。さまざまな分野の技術が飛行機に適用されていくさまは、技術者のロマンがひしひしと感じられる。後半では飛行機開発の社会的背景にも触れられる。工学一般に関心のある学生・技術者に格好の航空技術の入門書。

rakuten 飛行機物語: 航空技術の歴史



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Last updated  2013.02.06 16:45:53
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