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2013.08.31
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと 
・「空気」の構造―日本人はなぜ決められないのか

さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
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美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと より
美味しい

<食を通じて学校教育にも影響:隈研吾(建築家)>
20世紀後半のアメリカ西海岸は、「革命」の大産地であった。「美味しい革命」は、そのひとつである。20世紀工業化社会は食の領域においても、人間を大いに抑圧した。大量生産、平準化の原理によって、ファストフードが世界を制覇し、家庭での食事も、農薬、遺伝子操作にまみれた食品群によって、貧相で不健康なものとなった。特に、アメリカの食文化は壊滅的な状況だった。
 主人公アリス・ウォータースはこの状況に異を唱え、小さな革命を起こした。1971年、カリフォルニアのバークリーに小さな実験的レストランをオープンした。有機野菜など地元産の食材を使ったシンプルな料理。はじめは小さな革命でも、大きな意味、大きな射程があれば、小さな革命はあっという間に世界に広がり、世界を実際に変えてしまう。それが20世紀後半のメディアのシステムであった。アリスの革命も、そのような性質をもつ革命だった。彼女はカリフォルニア・クィジーヌ(料理)の母と呼ばれ、彼女がはじめた「シェ・パニース」は、アメリカの20世紀後半のレストランビジネスのベンチマークとなった。革命は成就し、彼女は成功を手に入れた。
 問題はその後である。20世紀後半、アメリカの革命は、社会を変える以前に、ビジネスの爆発的成功という形をとった。現代の革命の悲しい宿命である。
 ビジネスの成功のあとに、何を社会に残せるのだろうか。お金だけが残る悲しい革命が山ほどあった。アリスの真のすごさは、彼女がビジネスの成功に全くこだわらずに、食を通じて、アメリカの教育を変えようとしたことである。クリントン夫妻が称賛し、学校教育にも、アリスの思想は影響を与えつつある。
 もうひとつ、アリスが残したのは、レシピかもしれない。そのレシピのディテールが満載されていることで、この本は革命のあとの日常でも、読まれ続けるであろう。
    ◇

『美味しい革命』トーマス・マクナミー著、早川書房、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
1960年代、カリフォルニア州バークレー。既成の体制に対する異議申し立てが街頭、キャンパスを席捲していた時代に、アリス・ウォータースはフランスの豊かな食文化・食生活に惚れ込み、ついにレストランをオープンするまでになった。地元の旬の食材を使ったすばらしい料理と温かい同志的、仲間的な雰囲気。しかし一人の女性がえがいた夢がたどった道は、平坦でもなめらかでもなかった。素人だけで始めた小さな店が、全米ナンバーワンに輝く「奇跡のレストラン」となるまでのストーリーを通じて、アリス・ウォータースの哲学と料理のヒント、そしてその類まれな人格の秘密をさぐる半世記。


<読む前の大使寸評>
ジャンクフードばかり食べているアメリカ人が、なにを今さらという気がするが、それよりもこの本が刊行されたバックグラウンドに興味をおぼえるわけです。
アリス・ウォータースが始めた「シェ・パニース」革命は「奇跡のレストラン」として成功したようだが・・・
アメリカ人の食生活に革命がもたらされたわけではないようです。(笑)
体に良いか悪いかは本能的に判るような気がするのだが・・・食文化が破壊されたようなアメリカでは、そうではないようですね。
その点、地産地消を続けてきた日本料理が健康的であったことが救われます。
(最近はアメリカ的なファーストフードに押されているけど)

rakuten 美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと



「空気」の構造―日本人はなぜ決められないのか より
空気

<タコツボ組織を変えるとき:原真人(本社編集委員)>
仲間内の暗黙の合意をこわすような発言をすれば「空気を読め」とたしなめられる。日本社会のそんな特質を初めて「空気」という言葉でとらえたのは評論家・山本七平の『「空気」の研究』だった。
 あれから40年近くたって、空気はあいかわらず私たちの社会を支配しているらしい。
 大震災や原発問題で迷走する政府。消費増税でなかなか決められない政治。いずれも根本原因はそこにある、と本書は指摘する。
 空気を読んで組織内の調和を保ち、やる気や忠誠心を維持する。それは日本社会の強みでもあったが、空気そのものが絶対権威となって論理的な主張や反論を抑えこんでしまう愚も繰り返されてきた。
 タコツボ組織の集合体である日本企業でもそれは同じだ。タコツボ内の空気をこわさぬよう終身雇用や長期安定取引が大事にされ、強すぎるリーダーは嫌われる。そこでタコツボそのものを破壊するような大変革などできない。
 本書は、今こそ組織の存続ばかりを考える同質な閉じた企業社会を開放せよ、デフレの一因でもある日本的雇用を捨て人本主義を卒業せよ、ふつうの資本主義に戻れ、と提言する。その主張には当然、反対論もあるだろう。
 ただ著者は単純な市場至上主義だけでそう言っているわけではない。グローバル経済の荒波にもまれる日本企業は、ただでさえ空気を共有できる正社員を減らし、タコツボに入れない非正社員を増やさざるをえなくなっている。これでは内部者と外部者の格差がますます広がってしまう。そう危ぶむからなのだ。
 著者はネット言論界を中心に、世の空気に水を差す論争を仕掛けてきた「闘論家」である。けっして空気にしばられることのなかった著者が、なぜ今こういう本を書こうと思ったのかが興味深い。論争だけではなかなか変えられない日本社会に、少しいらだちを募らせたのだろうか。
    ◇

『「空気」の構造』池田信夫著、白水社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
社員は優秀なのに経営者が無能!?日本の政治と企業の「失敗の本質」をさぐる。丸山眞男、山本七平の営為を踏まえ、「日本」を語るための新たな地平を模索する渾身の書き下ろし。
【目次】
序章 「空気」が原発を止めた/第1章 日本人論の系譜/第2章 「空気」の支配/第3章 日本人の「古層」/第4章 武士のエートス/第5章 日本軍の「失敗の本質」/第6章 日本的経営の神話/第7章 平和のテクノロジー/第8章 日本型デモクラシーの終わり

<読む前の大使寸評>
評者が池田氏を「闘論家」と呼ぶとおり、池田氏はネット空間でも論敵の多い有名人であり、大使は嫌いな人ではあるが・・・
この本の題材、内容は、なかなかのものではないだろうか。

rakuten 「空気」の構造―日本人はなぜ決められないのか

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Last updated  2013.08.31 00:07:17
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