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2013.10.03
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カテゴリ: 経済
中国、一人っ子違反2700億円 利権の温床に などというニュースに接すると、悲しむべきか、喜ぶべきか悩むのが、大使のような低レベルの反中論者なんでしょうね。
図書館で「資本主義以後の世界」という本を借りたが、中谷巌さんの論説を読んで、そんな感情的な反中、反米を正そうではないかと思ったわけです。

この本から、中華帝国とか、日本人の国民性あたりを紹介します。

<歴代の中華帝国は膨張・収縮を繰り返してきた> よりp164~165
 野蛮な国は相手にしないという誇り高い中華意識もまた強く存在していたのである。もっとも当時の隋には、とても日本に攻め入ることができるような状況にはならなかったという現実もあったようだ。とくに、強国・高句麗との対立が続いており、日本に兵力を割くことは不可能だったのである。
 眼を現代中国に戻してみよう。中国は軍事力を拡大してきた。その目的は何なのか。これは中国指導者層にもはっきり答えられない問いである。西洋・日本に蹂躙されたアヘン戦争以来の歴史から来るトラウマが相当強いことはすでに述べた。しかし、中国共産党にとって最も重要なことは、中国経済が8%程度の成長を実現していくことであって、それが実現できないと共産党の存立基盤は危うくなると信じられている。8%程度の成長を実現していくために、中国にとって最も重要なのは、国際協調であり、中国製品が世界に輸出でき、必要な資源を輸入できるという自由貿易体制である。中国が軍事力を拡大し、世界に敵対するような行動に出るならば、中国は世界で孤立し、中国経済はたちまち窮地に陥ることだろう。そのことをよく知っていたのが、改革開放路線を推進したトウ小平であった。そして、トウ小平の思惑どおり、中国は国際協調を目指すことによって世界に受け入れられ、経済大国の地位を築いたと言える。
 もちろん、中国の軍事的な存在感を強調しようという勢力は存在する。しかし、そのことによって、中国が世界、とくにアメリカと対立するということは百害あって一利なしである。そのことは中国共産党の指導者が熟知しているはずである。
 日本はどうすればよいのか。「親米・反中」イデオロギーで突っ走るのは百害あって一利なしである。中国との関係改善に絶えず心を砕く。もちろん、それはへりくだることなどではない。中国人も「日本なんか」と虚勢を張っているが、日本の穏やかな文化、安心・安全な社会、高度な技術、礼儀正しい立ち居振る舞いなど、高度な文化力には一目置いているフシがある。中国といたずらに敵対するのではなく、中国が国際社会で大人の振る舞いができるように、日本はさまざまなチャンネルを通じて仕向けていく。このような地道な努力こそが求められているのだと思う。


2012年時点の中谷さんは次のように説いているが、利に敏い中国人は既に投機に走っているようです(笑)

<投機的な資本流入を拒む中国の経済政策> よりp179~181 
 しっかりと確認しておかなければならないのは、資本とりわけグローバル資本に対して、中国政府がどのような態度をとってきたかという点である。
 アメリカは従前から人民元の切り上げ、為替自由化、資本取引の自由化を中国政府に要求し続けてきたが、安全保障の観点からアメリカの言うことを聞かざるをえない立場の日本とは違い、中国政府は言を左右しつつ、それには基本的に応じなかった。人民元はたしかに少しずつ切り上げられてきたが、日本のように大幅な為替調整を受け入れるようなことはしなかったし、人民元の国際的な取引についいても厳密に管理する姿勢を崩していない。
 アメリカ政府も人民元の自由化については、日本に対する場合のように強硬な態度を取り続けるわけにはいかない。なぜなら、中国が米国債を大量に保有しているからである。いずれにしても、中国は常に、「資本が国境の壁を軽々と飛び越えて自由に行き来できるような体制」を正義と考えるグローバル資本主義に対して明確に距離を置いてきたのである。
 そもそも、欧米を中心に「グローバルで自由な金融市場をつくろう」というアイデアが出たとき、中国共産党は「いや、西洋にはしたたかな魂胆があるはずだ」として、中国の国益(輸出促進)を優先した。アヘン戦争以来、西洋列強や日本に蹂躙された歴史的トラウマは依然として中国支配層には強く、商品貿易の自由化を促進するWTOには参加したものの、資本自由化にはあくまでも消極的であった。リーマン・ショックが起こると、中国共産党の「経済を不安定化させる資本自由化には慎重でなければならない」という確信はさらに強まったと思われる。したがって、いまや、共産党幹部の間には、「人民元の自由化、外国資本の流出入を自由化しないという共産党の従来の政策は正しかった」という思いが強いのだ。実際、第1章で述べたバルト3国のケースを思い起こすまでもなく、世界的に資本移動を自由化していた国々では、リーマン・ショックによるダメージは巨大なものであった。それはレバレッジの利いた金融取引が膨大な不良債権を生み、金融機関の経営を圧迫し、金融の機能不全を生み、さらには大恐慌の危険さえ生み出すというきわめて深刻な影響を世界経済に与えている。

(中略)
 実際、現在世界で進行中の金融危機に対して、世界が頼りにしているのは、グローバル資本主義に強く抵抗し、資本自由化に慎重な中国なのである。このことをわれわれは忘れるべきではないだろう。



<資本主義の精神とはあまりにも異質だった日本人の美意識> よりp205~207
 日本史の特徴を一言で言えば、抜群の社会的安定性にあった、ということに尽きるだろう。平安時代の350年、江戸時代の260年にわたる平和が国民性に与えた影響はきわめて大きいだろう。人と人のつながり、燐近所との付き合い、長期にわたる信頼関係構築の重要性など、民族間、国家間の戦争に明け暮れていた諸外国とは著しく異なる文化をつくってきたのが日本という国であった。

 征服したり征服されたりする社会では、たとえば中国人のように「今日のうちに稼げるものは目いっぱい稼いでおこう」という瞬時決着型の発想が生まれる。あるいは「人を見たら盗人と思え」「騙されるくらいなら騙す人間になれ」「人の裏をかけ」「隙があれば逃すな」といった思考が常識になるだろう。ところが平和が続き、安定的な人間関係が状態となっていた日本人は「たとえ今日は損をしても、5年先、10年先には戻ってくる」「騙すより騙されるくらいがよい」「後ろから人を切りつけるような卑怯なまねは絶対にいけない」といって、目先の利益より長期的な人間関係のほうを大事にする。
 現代でも、ビジネス・スクールの戦略論などを見ると、「ニッチな場所はどこか」「そのとき自分はどのポジションを占めたらよいか」といった具合に、どうやって相手の隙を突くかということが主たるテーマとなっているが、日本人にはそういう発想がきわめて希薄だ。むしろ、近江商人の「三方よし」の理念が賞賛されてきた。つまり、商取引というのは当事者である売り手と買い手の幸福だけではなく、取引が行われる場である社会全体のことも考慮に入れなければならないと考える。売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」でなければならないという思想である。
 そうした発想はもちろん必要である。現代の企業活動でも、自然環境や社会インフラを利用しなければなにもできないわけだから、経営精神の基本に社会的な“恩返し”の思いは欠かせない。しかし「三方よし」の価値観や相手を裏切らないといった美意識は、前章で見たような資本主義発展の精神とはかなり異質である。

 そんな日本人が、幕末になって、力でもって相手を打ち負かし相手の富を奪うことをモットーとする「力と闘争の文明観」を持った欧米列強と直接対決することになったとき、当時の日本人は心底「こんな連中と付き合うのは実にかなわん」と思ったに相違ない。
 しかし、西洋列強の虎視眈々とした姿勢を目の当りにして、幕末の志士、維新の志士たちは、日本という国家の独立を守るために、それまでの長期的信頼を重視した「和を以って貴しとする文明観」から少なくとも部分的には「力と闘争の文明観」に転換せざるをえなかった。さもなければ、他のアジア・アフリカ諸国のように植民地化されることは必至の情勢だった。中国のような大国ですら、アヘン戦争を経て簡単に列強に食い荒らされえたりしたのである。もはや悠長なことは言っていられない。


中谷さんは自由貿易の弊害を説いているが、昨今はわりと普遍的な論調となってきたようですね♪

<TPPでは、日本は救えない> よりp339~341
 2011年秋、野田首相は日本がTPP(環太平洋経済連携協定)の協議に参加することを表明した。TPP参加に賛成する人たちの意見を聞いていると、現代社会が大きな歴史的転換期に直面していることに全く気がついていないか、無関心であることを痛感させられる。「日本は貿易立国だから、自由貿易こそ日本経済の活性化の決め手になる」「日本がこれに参加しないと乗り遅れ、世界から孤立する」「わずか1、2%の農業のために、日本の農業を犠牲にするのは愚かである」といった内容がほとんどである。

 まず、自由貿易についてだが、本書で詳しく見てきたように、自由貿易が真に公正なかたちで実行されたのは歴史的に見てそれほど多くはなかった。イギリスの奴隷貿易や東インド会社から清王朝へのアヘンの密輸、アメリカのプランテーション経営によって産出された綿花などの原材料の大英帝国への廉価販売、先進国による石油など資源・原材料の供給支配など、多くは帝国主義的な権力・軍事力の行使による半ば強制的な貿易こそ、貿易の中味の大半を占めていた。

(以下、文字数制限により省略、全文は フリーページ 参照)




【資本主義以後の世界】
資本主義

中谷巌著、徳間書店、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
壊に向かう世界経済、500年に一度の大変動に我々は何をなすべきか?ユーロ危機、財政破綻、貧困の蔓延、原発事故…「西洋からアジアへ」。迫り来る大転換に向けて日本の進むべき道を示す。

<大使寸評>
アメリカを熟知している中谷さんの反グローバリズム、反TPPであるだけに説得力がありますね。
それから「三方よし」という経済規範を生んだ日本の特殊性を、騙し騙されの中華と対比して説いているが…これはもう、文明の衝突なんでしょう。

rakuten 資本主義以後の世界


以前読んだ中谷さんの本です。
「資本主義はなぜ自壊したのか」1
「資本主義はなぜ自壊したのか」2





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Last updated  2013.10.03 13:39:47 コメントを書く
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