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2013.11.15
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カテゴリ: 経済
 北京大学教授がインタビューで「改革を阻む特権階級、民にも不正広がり安定成長できない」と説いているので、紹介します。
 中国では、この程度までの政府批判は許されているようですね。
張さん

(北京大学教授へのインタビューを11/7デジタル朝日から転記しました…無料で見せるのが木鐸というものでは?)




Q:3中全会は改革に踏み出せるでしょうか。昨秋、中国共産党トップに選ばれた習氏率いる新体制が、本格的に政策を打ち出す会議です。
A:李克強首相の発言から、経済分野では市場の力をとりこみ、さらに対外開放し、金融などでも民間への規制緩和を進めるのではないか、と期待されています。国有企業の株式の一部を民間へ放出するとの見方もあります。

Q:サービス分野を中心に、さらなる開放をすすめる上海自由貿易区の構想が動き始めました。
A:青写真を示すことと、実行することは違います。私たちは会議後に注目しなければなりません。胡錦濤・前政権の10年は、経済を市場化する動きが後退しました。改革は単なるスローガンになっていた。産業政策や景気の過熱防止の名を借りて、政府が経済に関与する権限を強めました。過剰な生産をやめさせることを理由にして、国有企業に中小の民間企業を買収させたりもした。

 とくに2008年のリーマン・ショック以降は、公共事業や国有企業に投資をさせて景気が回復した成果を、『中国モデル』と呼んで誇る声まで出てきた。しかし、政府の権限の大きさが腐敗にもつながり、庶民の不満も強まっている。安定した成長を続けるために、経済でも政治でも、政府の関与を減らす改革ができるかどうかがポイントです。

Q:張さんは、国有企業の改革を重視していますね。なぜですか。
A:理由は、大きく言ってふたつあります。ひとつは、経済活動の効率を落としているからです。石油や電力、通信、銀行など多くの国有企業が、営業収入で世界のトップ100に名を連ねています。しかし、国有企業は中国の工業部門(大・中規模企業)の資産の4割強を占めているにもかかわらず、利潤で言えば3割弱しかありません。雇用については2割しか提供していない。しかも、とくに石油事業などの国有企業は、職員の子弟かコネがないと有名大学からでも入りにくい。雇用への貢献度も低いのです。

Q:もうひとつは。
A:公的な出資を受けていない民間企業まで道徳心を低下させ、社会に規律の欠如を招いていることです。特別待遇の国有企業をみていると、不公平な競争環境でルールを守って商売するのがばからしくなる。それで客をだましたり、政府や国有企業に賄賂をおくったりしてもうける不正が横行している。これは非常に深刻です。元鉄道相が巨額の収賄で死刑判決を受けましたが、こうした社会の構図が生んだものです。

Q:しかし、共産党にとって、国有企業は資金や人事などをふくむ執政の基盤ではありませんか。大手国有石油会社の前会長らへの取り調べも、「腐敗退治」と言いながら、本音では「政敵」を退治した、との見方もあります。新政権は国有企業の改革に切り込めるのでしょうか。
A:国有企業は、限られた特権層が独占・寡占状態に守られた市場で国の資産を使い、個人の財産を増やす道具になっています。彼らが抵抗勢力となって改革を阻んでいるのですが、庶民は強い不満を抱いている。その構造を変えていかなければ、中国共産党は今後の経済成長も庶民からの支持も得られないでしょう。旧ソ連と比べて共産党政権が安定しているのは、民間や市場の力を取り入れて経済成長を続けてきたからです。そうでなければ、すでに崩壊していたと思いますよ。

     ■     ■
Q:中国の民営企業家の立場は、不安定ですね。湖南省で不動産開発を営む曽成傑氏が7月、違法にお金を集めた罪で死刑になりました。判決の確定から1カ月後のことでした。この罪では、毎年のように民営企業家が死刑判決を受けています。
A:国有銀行は、リスクがあるとして民間企業にはお金を貸し渋る。かといって、民間は基本的に銀行を設立したり自分でお金を集めたりすることが認められていない。だから起きる事件なのです。生命や財産の安全が守られていなければ、民間企業の発展が難しいのは当然です。

Q:巨額の収賄などで失脚した薄熙来・元重慶市共産党委員会書記が、「マフィア撲滅」に名を借りて実業家から没収した財産も、戻っていないそうです。
A:裁判所の判断も待たず、政府が没収した資産を売り払ってしまう。コネのある相手に安く売ることが横行しているのです。中国では法律はたくさんできたのですが、法治がない。私有財産が守られることは市場経済の健全な発展の基盤です。それがあってこそ、企業家たちは安心して長期的に投資し、研究や開発にいそしみ、創造力を発揮できるわけです。法治がないから、実業家は手段を選ばず短期的に稼いで外国に送金したり、本人が海外に移り住んだりしてしまう。これでは長期的な視野にたった民間企業はうまれにくい。
     ■     ■
Q:最近、中国の実業界で論争が起きていると聞きます。伝統的には「在商言商」(商売人は商売だけを語るという考え方)でしたが、曽氏の死刑などもあって、司法や政治の問題にも発言すべきだと考える人たちが現れています。
A:ビジネスに大きな権限をもつ政府を企業家が批判するのはリスクです。しかし、法治が機能するように社会を変えていかなければ、お金を稼げる空間も狭まっていく。そのことに気づき始めたということです。ひとりで言えば捕まるが、千人なら全員捕まえるわけにもいかない。社会的責任感から声を上げる人が増えるのは、良いことだと思います。

Q:張さんも経済学者にもかかわらず、憲政(憲法に基づいた立憲政治)や司法の独立など政治改革についてずっと発言していますね。
A:大学は、官界や実業界に比べれば発言は自由です。ビジネスに必要な信用は、政治のあり方で決まります。胡政権の10年は、経済だけでなく、司法の独立など政治の改革も後退しました。一方で、人々は財産をもつようになりました。企業の発展はまねだけでなく、創造が必要な段階になってきた。政府の権力行使が法律に基づいて制限されなければ、経済成長は続けられませんよ。

     ■     ■
Q:中国共産党は今春、司法の独立や特権資産階級、公民(市民)の権利、公民社会、普遍的価値、報道の自由、共産党の歴史の過ちといった七つの言葉を語ってはならない、と大学などに通達したそうですが。
A:奇妙な話です。中国は過去30年、政治体制の改革は大きく進みませんでしたが、法治は進めてきたはずです。世界貿易機関(WTO)への加盟も、法律が機能する社会になることが前提でした。中国のいまの体制で受け入れられない部分があったとしても、憲政や法治、民主に向かうことは政治の使命です。法治がないところで選挙をしても暴政になるだけだから、いきなり選挙は難しくても、法治から始めてゆっくりと民主化へという考えが、知識層には一般的だと思います。

 憲政、法治、民主といった普遍的な価値をめぐる意見の衝突の多くは、理念より利益の衝突から生じています。失うものがある人は反対する。逆に、こんなことも起きています。大学で『中国の夢』という言葉をからめた研究が増えています。

Q:習政権のスローガンですね。
A:そうです。自分の研究テーマを『中国の夢』と関連づければ予算がつく、と。これはスローガンを信じるかどうかよりも、研究費がほしいからでしょう。人々の行動は信念よりも利潤、功利的なのです。

Q:李首相は、経済分野では、政府の許認可権限を削ったり、規制を減らしたりして市場での競争を促す改革をする、と言っています。一方で、習政権は市民社会や言論への締めつけを強めています。政治改革を置き去りにしたままで、市場競争を拡大できるのでしょうか。
A:経済は自由化する『右』の道、政治は保守的な『左』の道を歩むことが、21世紀の中国で持続可能とは思えません。政府の権力を大きくし、人々の自由を制限するなかで、企業は安心して経済活動ができるでしょうか。ただ、最高リーダーの考えはなかなか分からないものです。戦略的な配慮が何かあるのかもしれない。我々が得られる情報が限られている以上、本当にそういう分裂した道を選ぶのかどうか、まだ判断できないのではないか、と思います。
   ◇
張維迎(チャンウェイイン):59年生まれ。陝西省・西北大卒、英オックスフォード大経済学博士。中国トップクラスのビジネススクール、北京大光華管理学院の前院長。

<取材を終えて>
 市場経済が貧富の差をうんだという「左派」は、市場や民の力を信じる張さんを「右派」と批判する。だが、「政府からは批判はないよ」と気にしない。長年の共産党員だが、党員かどうかは発言に無関係、とも。「みんなが同じ話をしていては社会の発展はない。独自の見解を述べるのが使命」と言い切る姿は迫力がある。(編集委員=吉岡桂子)

つい最近、日本国籍の中国人学者が、中国入国後に拘束されているが・・・・
日本に在住の中国人学者がこのような発言をしたら、たぶんただでは済まないんじゃないかな?


この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップ に収めておきます。





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Last updated  2013.11.15 15:45:25
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