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2014.01.04
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カテゴリ: 気になる本
<朝日デジタルの書評から33>
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・紅白歌合戦と日本人
・英国一家、日本を食べる 

今回は2作とも日本を対象としています。
さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
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紅白歌合戦と日本人 より
紅白

<安住の地求める大晦日の儀式:保阪正康(ノンフィクション作家) >
 本書の初めに、「私たち日本人が60年以上にわたって『紅白』を見続けてきたのは、そこに〈安住の地〉を見出してきたから」との一節がある。この〈安住の地〉が本書の中でなんども用いられる。末尾にもしめくくりの語として使われている。

 この語には多様な意味が仮託されている。共同体、ナショナリズム、あるいは歴史という語をあてはめてもいい。1951年に始まった紅白はそれ以前に伏線があったこと(占領期のGHQの思惑にどう抗するか)などが語られ、紅白誕生の秘話なども明かされる。この歌番組の戦後史を辿ることで、著者は三つの試みを行っている。日本社会の故郷喪失と再生、戦後歌謡史の歩み、歌詞を通しての日本人の心情分析。紅組司会が宮田輝という男性アナウンサーになったとき、中村メイコという司会者が「等身大の主婦」であったとき、歌手が紅白出場を断らなくなったとき、過疎化する農村を意識しての紅白の村まつり化、人生応援歌で人びとを励ます紅白への変化など、この番組は時代の中でその役割を変えていく。

 著者の調査は緻密、分析は具体的で、著者自身の心情も窺うことができるので説得力を持っている。巧みに戦後日本の正直な姿が語られていて驚かされる。たとえばしだいに軽くなっていく演歌に対して、77年の紅白で、ちあきなおみが歌った「夜へ急ぐ人」に司会の山川静夫が「何とも気持ちの悪い歌ですねえ」と感想を洩らした。この発言にこだわる著者の目は紅白の本質に迫っている。

 このような分析は、永六輔、阿久悠の歌詞の紹介、フォークソングの語り口などにもあらわれていて、紅白歌合戦はまさに〈安住の地〉を求める日本人の大晦日の儀式であり、保守基盤の確認だった。
 2012年の美輪明宏の「ヨイトマケの唄」の記述は感動的である。
    ◇

『紅白歌合戦と日本人』 太田省一著、筑摩選書、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
 今なお、40%台の視聴率を誇る、紅白歌合戦。「紅白」の歩みは、私たち日本人の歩みでもあった。美空ひばり、坂本九、山口百恵、都はるみ、SMAP、美輪明宏…。大晦日の夜、時代を彩る歌手が一堂に会し、その年のヒット曲を、懐かしの歌を、心に残る名曲を歌い上げる。
 時代とともにそのあり方を変えながら、国民的テレビ番組であり続ける「紅白」に、私たち日本人は何を求めてきたのか。今日に至るまでの「紅白」の歴史をたどり直し、日本人の心の軌跡を描き出す渾身作!

<読む前の大使寸評>
評者の保阪正康さんがこの本を選んだとは、目のつけどころがええでぇ♪ 
歴史に強い評者が、著者の時代を見る眼に感応したのではないか。

今年の紅白では、女性のトリは大使好みの高橋真梨子であったが・・・
なんか見直したぜ、紅白が成熟してきたのかな~♪

rakuten 紅白歌合戦と日本人



英国一家、日本を食べる より
日本食

<和食たたえる新鮮な描写:斎藤環(精神科医)>
 私たちは「外人の眼から見た日本」ものが大好きだ。イザヤ・ベンダサンからポール・ボネに至るまで、この手の本の人気は常に高い。批判にせよ称賛にせよ、彼らの言葉はいつでも私たちの自己愛をくすぐってくれる。誰よりも日本を理解している私、という自己愛を。

 しかし意外にも、“外人視点”から我が国の食文化に焦点を絞って書かれた本はこれまでほとんどなかった。著者は英国のフードジャーナリストだが、本書は単なる調査報告書ではない。妻子3人を引き連れての100日間の来日珍道中ものでもある。
 東京から北海道へ、京都から大阪へ、そして沖縄へ。B級グルメから超高級の懐石料理まで、一家はひたすら食べまくる。いくつかの食材を除けば、和食は彼らの心を完全にとらえたようだ。

 考えてみれば、日本が真に世界に誇りうる文化として、現在「日本食」以上のものはない。味覚の鈍感な(そう思われている)イギリス人が、日本の豊穣な食文化に圧倒されてひれ伏す姿が見たい、という向きにとっても本書は満足感を与えてくれるだろう。
 しかし、意外と言っては失礼だが、著者の和食の描写にははっとさせられる点も多い。例えば大阪の餃子入りうどんのだし汁を絶賛する彼の描写は、「もぎたての豆のように甘く」だ。新しい語彙は私たちの味覚を豊かにしてくれる。本書にはそういう楽しみもある。

 それにつけても残念なことは、著者が絶賛してやまない健康的な沖縄料理や、伝統的な和食文化の一部が失われつつあるという指摘だ。和食までも「逝きし世の面影」にさせないことは、著者から私たちへの宿題だろう。

    ◇

『英国一家、日本を食べる』 マイケル・ブース著、亜紀書房 、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
市場の食堂から隠れた超名店まで、ニッポンの味を無心に求めてー東京、横浜、札幌、京都、大阪、広島、福岡、沖縄を縦横に食べ歩いた100日間。

<読む前の大使寸評>
フランス人ならいざ知らず、味覚音痴と評されるイギリス人が100日間も食べ歩いたとは、ええ根性してるで♪

rakuten 英国一家、日本を食べる


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Last updated  2014.01.04 00:09:10
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