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2014.03.11
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カテゴリ: 気になる本
図書館で借りた「ワーキングプア 日本を蝕む病」という本は2007年初版だから、7年前のドキュメンタリーである。
7年経った今、果たしてその病理は改善されただろうか?と思ったわけです。
「ワーキングプア」という言葉が生まれた7年前と比較して、格差は是正されてきただろうか?



ワーキング

日本放送協会、ポプラ社、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
マンガ喫茶を住処とする若者、衰退する地方都市、睡眠時間四時間のシングルマザー、死ぬまで働かざるをえない老人、貧しさを受け継ぐ子どもたち…。明日は我が身の“ワーキングプア”とは。
【目次】
1 「貧困」の闇が広がる日本/2 ホームレス化する若者/3 崩壊寸前の地方/4 夢を奪われた女性/5 グローバル化の波にさらわれる中小企業/6 死ぬまで働かざるをえない老人/7 荒廃を背負う子ども/8 現実に向き合う時

<読む前の大使寸評>
富める者を優先して経済を牽引しようとするアベノミクスであるが、一方で格差は広がる経済政策である。
「ワーキングプア」という言葉が生まれた7年前と比較して、格差は是正されてきただろうか?

rakuten ワーキングプア 日本を蝕む病


大使が、田舎に帰省したときマンガ喫茶のお世話になるのは・・・
もちろんマンガも読むが主にネットへの読み書きのためである。
だけど、都会では最安値の宿泊という別の機能が見られるようです。

<マンガ喫茶を住居として> p26~28より
 都内の駅周辺を歩くと、「1時間380円」「3時間パック980円」といった看板が目につく。増殖を続けるマンガ喫茶やネットカフェの看板だ。昼間は学生や束の間の休息をとるサラリーマンで賑わうが、夜になると風景は一変する。一晩で千~千四百円程度の低料金を目当てにマンガ喫茶を寝床代わりにする人々で埋め尽くされるのだ。その中で、やむにやまれぬ事情でマンガ喫茶を泊まり歩く人はどのくらいいるのだろうか。

 2月から4月にかけて都内のマンガ喫茶を泊まり歩いた。テーブルにマンガを積み上げて黙々と読んでいる人や、最終電車を逃して始発までの時間潰しをする人に混じって、リクライニングソファに身を沈め、死んだように眠っている人たちがいた。足下にはきまって大きめのバッグ。年齢は20代から40代まで様々だった。
 アパートを引き払い、カプセルホテルやマンガ喫茶を泊まり歩いているという30歳の男性が、とりわけホームレス一歩手前の若者が多く集まるというマンガ喫茶を教えてくれた。蒲田にあるということだった。

 JRと東急線がつながる蒲田駅の周辺は、居酒屋や風俗店が集まり深夜になっても人の流れがとぎれることがない。駅近くの雑居ビルの中にその店はあった。夜10時から朝7時までの9時間のナイトパックで880円。個室はなく、すべてオープンスペースで設備も古かったが、他の店と比べて500円ほど安いのが特徴だった。
 店内は八つほどのスペースに分かれている。その奥の方、合わせて30ほどあるソファはほとんど埋まっていた。マンガを読んでいる人は誰もいない。ソファに顔を押しつけるようにしている人。口を開けたままの人。みんなピクリとも動かず眠りこけていた。

 毎日泊まり続けているうちに、一般客と宿泊目的の客の区別が明確につくようになった。宿泊目的の客は定位置が決まっているのか、毎日ほぼ同じ場所にいた。フリードリンクの飲み物を確保するとあとはひたすら眠る。朝6時から7時のあいだに携帯電話のアラームが次々に鳴り、大きめのリュックやボストンバッグを持ってのそのそと出て行く。服も2着程度を着回しているのかほとんど変わらない。髪の毛は脂でてかてかと光っていた。
 1週間ほどマンガ喫茶暮らしを続けると首や腰が痛くなってくる。完全に横になれず、不自然な姿勢で眠るから。店内は煌々と電気がついたままで深い眠りはとりようがない。マンガを選びに来る客や店員がすぐそばを歩き回るため、気持ちも休まらない。

 知り合った31歳の男性は、この店に泊まりながら運送会社の派遣社員をしていた。給料が安いために家賃を払えなくなり、アパートを引き払って半年近くになるという。
「最初は好きなマンガも読めるし、ドリンクは飲み放題だし、マンガ喫茶暮らしもいいかなって思ってたんですよね。でも、だんだん体がきつくなってきて、仕事にいくのがおっくうになって休んでしまうことがあったり・・・。収入は余計に減るし悪循環ですよ」
 マンガ喫茶を仮の宿に生活する若者たち。その誰もが疲れきっていた。


農家の状況を見てみましょう。

<補助金打ち切りでさらなる苦境に> p75~77より
 2年目、コメ作りの赤字はさらに大きくなっていた。副業をしなければ生活が維持できない。それで3年前に始めたのが「手作りの漬物店」だった。
 田んぼの隅にある畑に季節ごとに植えた野菜を使って、化学調味料一切なし、添加物一切なしの漬け物を売り始めたのだ。野菜作りからパック詰めまで、夫婦二人三脚の漬け物屋が始まった。

 観光地、角館にある武家屋敷で二人は漬け物を売り始めた。店番も夫婦で交代で務めた。
 笑顔の夫婦が「お茶っこ、飲んでけ!」と勧める漬け物屋は、武家屋敷の名物にもなっていった。夫婦は、忙しくて、倒れそうな辛い時でも、笑顔で店に立っていた。人気の秘密は、漬け物が安くて美味しいことに加えて、夫婦の人柄だった。お茶を飲んで二人と話をするのが楽しいから、と毎月のように通っている常連さんが何人もいた。

 「農家は、もうダメだ。やっていけねえもの。食べていけねえよ、この先。会社員が一番いいと思う。給料もらって、なあ。働いて給料もらえるのは、一番いいべ」

 小さな田んぼ1枚とはいえ、1年間、懸命に働いても赤字にしかならないというのは、本来はおかしい。働いても「月給が安い」なんて、愚痴を言っている都会の会社員は、信じられないかもしれないが、「給料をもらえるだけマシ」なのである。

 零細農家は面積が小さければ小さいほど、赤字の割合が高くなる。ところが、秋田県の農家は、ほとんどが、谷藤さんと同じ程度、1ヘクタール前後の面積しか持っていない。 今、多くの農家は、さらなる苦境に立たされている。農家のコスト面での合理化を進め、規模拡大で経営強化を図ろうという国が、零細農家は、今後は「法人化」しなければ補助金を打ち切るという厳しい改革に踏み切ったからだ。
 谷藤さんも、同じ集落の農家たちと同じように補助金を受けて、ようやくコメ作りを続けてきた一人だった。ますます米価が下がり、補助金まで打ち切られると、家計を維持するためには「コメを作らないほうがマシ」になることは間違いない。
 谷藤さんは、それでも「農家であることは、やめられない」と言う。
 夫婦は、小さな田んぼを耕し、片隅の畑で漬け物を作り、「田を守る」ことに誇りを持って生き続けている。角館を訪れた時には、武家屋敷通りで、二人のいつもの笑顔に出会い続けたい。


「ワーキングプア」という言葉が現れたあたりを紹介します。

<岐路に立たされている日本> p19~21より
 クローズアップ現代『仕事をください』という番組を通じて、もうひとつ大きな出会いがあった。「ワーキングプア」という言葉だった。解説をお願いした放送大学教授の宮本みちこさんが繰り返し使っていた言葉だった。

 「日本の低所得者を『貧困』というには、あまりにも遠い響きがあります。飢えて、生活保護を受給して、ようやく命をつないでいる人たちも確かに増えていますが、今問題なのは、どれだけ働いても豊かになれず、働いても報われない人たちが大勢生まれ、泥流のように川底に滞留している深刻な状況です。働いても、生活保護水準以下の暮らしを強いられている人たち、『ワーキングプア』が大量に生まれていることは、身近で深刻な問題です」

 それから1年、NHKでは、ワーキングプアの取材を全国各地で進めてきた。そして、驚くほど日本社会が構造的に変化を遂げているという現実を、地域に暮らす人の営みを通じて、発信し続けてきた。
 政府は格差社会の問題に目を向け、教育などあらゆる分野で改革を進め、格差を解消し、「再チャレンジ」できる世の中にしようと対策を進めている。その一方で、現実の社会では、格差は「親」から「子」へと連鎖を始め、急速に広がりを見せているようにも思える。
 とどまることがなく広がる貧困の闇。最近では、貧困が引き金となったと思われる事件が増加している。貧困が日本社会のモラルや秩序を壊し始めたのだろうか。

 今、日本は「日本人に生まれて、よかった」と思える国のかたちをなしているのだろうか。日本国憲法では、第25条で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、すなわち生存権を国民に保証している。その権利を担保するために、生活保護の制度がある。ギリギリの生活費を国が支給する制度だ。しかし今、その最低ラインに届かない生活をしているワーキングプアが数多くいる。







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Last updated  2014.03.11 00:09:51
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