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2014.06.01
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カテゴリ: 気になる本
「職人―伝えたい日本の魂」という本を図書館で借りて読んでいるところです。
一般的に職人技といえば、伝統工芸として細々と生きているという感がありますね。
でも、今でもその職人気質がじゅうぶん通用するものもあると思うわけです。


「よこたたてぐ」の横田利宏さんが、伝統技術の伝承について語っています。
コスト重視で大量生産するとなると、中国に敵うわけないわけで、ではどういうふうに差別化するかという読み方になるわけです。(大使の場合)


<伝統技術は時代の要請があれば、いつでも復活できる> よりp107~109
 武生市平和町の「よこたたてぐ」の2代目横田利宏さんのご自宅は築50年とのこと。しかし「古く古く直していく」手が施されているため、その外観は一見江戸期のものかと見まがうものだ。時代を経て、さまざまな使い手によって育ってきた物の価値を見い出し評価するという横田さんの「古い物は新しい物より新しい」という概念からは、物をたいせつにするという素朴な慈愛が感じられる。

●:日本は古い時代からの伝統技術がいまなおいきいきと伝えられている珍しい国だと思いますが、これからも続いていくものとお考えですか。
横田:いつも思うんですが、必要性があれば残るし復活もする。あんまり執拗に残そうということをしなくても、そのときそのときの時代が要請すれば、残り復活するもんだと思います。僕らの仕事でいえば、若いときからでなくて、30代、40代になてからでも、復活しようとしてやればそれなりに到達できることですから、あんまり残さないかんと強く考える必要はないかなと思います。

 ただ、建具なら建具を作るということでは誰か一人ががんばればできるんですが、作るために必用な素材や道具となると、何人かがまとまらないとできないことが多いですね。たとえば自分一人で、道具としての刃物から作ろう、そのために材料の鉄を作ろう、玉鋼を作ろうとなると、それはたいへんなことになってしまいます。たとえそれができたとしても、とても手に負えない高価なものになってしまうでしょう。
 ですから、自分がやっている仕事についてはそんなに危機感はないけれども、もっと前の段階、材料や道具のことでは不安がありますね。そこまでとなると一人や二人でできるもんじゃないですから。

 木工にしても金工にしても漆にしても、物を復活させるのは、その気になれば充分できることです。しかしそれには道具がなければならない。我々の場合は、道具がなければ木一本削ることもできないわけです。手は道具を持っているだけにすぎないんです。木工では道具が形を決め、できあがりを決めるものなんです。

●:この近くには何軒か建具屋さんがありますが、みんな伝統技術を伝えている古い建具屋さんですか。
横田:もともと武生を含めた丹南地方には伝統産業が多いですね。やっぱり韓国文化の入口だったんでしょうか。武生に日野川という川が流れていますが、古くは新羅川と呼ばれていた時代があったようです。古代に渡来の工人の作った物を都へ送ったのかもしれませんが、武生の木工が産業として確立したのはきわめて新しいんです。福井の戦災とか震災があって、そういう需要があって伸びたんです。市場があれば伝統産業でもなんでもすぐに復活しますが、市場がなければどんなものも消え去ってしまうんですね。

●:仕事は全工程を一人でやる場合と、工程を分担する場合と、その分担が業として成立して分業となる場合がありますね。本格的な分業は近代から始まったわけですが、伝統技術と分担、分業のあり方についてどう思われますか。

横田:今は仕事がものすごく細分化されています。多くが分業となっています。物がたくさん売れた時代が長かったものですから、何の仕事でも細分化して分担作業で進めていったんです。木工はまだ分担が少ないほうです。漆ですともう十何職種かに分かれてしまっています。それで非常に物も均一化し値段も安くなったんです。そうして市場をとらえることができたんですね。

 物が売れていた時代では、問屋が競って仕事を流してくるような状態だからよかったんですが、売れなくなるとたくさんの人たちの仕事がなくなっちゃうわけです。下職の人たちの仕事が切れると、1年や2年は待っているけれども、もうここ何年も切れているわけですから次々に辞めていくわけです。そうして途中途中の下職人がどんどん少なくなっていきますから全体の仕事が進まなくなってしまう。仕事を細分化してしまったために、今そういう問題が起きています。まだ木工はそこまではいっていませんけれども。

 木工の仕事は、指物、挽物、くり物、木彫と大別され、そのなかにもいろいろな職種があります。
 昔は我々の仕事は指物屋といってなんでもしたわけです。建具もやればお茶道具もやる。風呂桶もやる。便所の漏斗だって作る。みんな指物です。板と板と組み合わせたり、板と桟と、あるいは桟と桟とを組み合わせるのが指物屋的な仕事なんですが、そういう人たちがなんでもしたんです。しかしいまは、建具とか家具とかいろんな分野に分かれていますし、それに硬い木、柔らかい木で道具が違うものですから、そういうことでも仕事が細分化されています。漆のほうでは工程の分業化、木工では職種の細分化でしょうか。



武生の町並み保存に関する資料です。

地域・伝統・風習 より
武生
武生の町並み

横田:日本人は統一されすぎると気持ち悪く、少しはずれたものに美しさを感じるんだと思います。今の家づくりも全て同じで気持ち悪い。様々な時代の建築があってまち全体として美しくなるのだと思います。

小川:街並み調査をやっているんですが武生の旧町内には伝統的町屋が47%残っているという結果が出ました。
武生は町家が全域に広がり、平均的レベルが高いんです。それをいかさない手はないと思います。

高嶋:新しいものをつくるのか伝統を延ばすのか。武生はこれからどう受け継ぐべきでしょうか。

横田:町家とか古くていい物が残っていくには、みんなでこれはいいねえとほめることが必要なんではないでしょうか。住んでいる人には良さがわからないものです。みんなが「いいなあ」というと「それじゃあきれいにしようかな」と思うし、残っていくんだと思う。大学や設計事務所、都会の人や外国人が一軒一軒ほめてあげることそしてその方向性を示してあげることが大切なのではないでしょうか。





職人

エス・ビー・ビー編、三交社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
経済事情、歴史的・風土的な事情を背景に、それぞれの職人たちはどのように伝統技術を保持展開しているのだろうかーそれが本書の職人たちへのインタビューの基本的なモチーフである。ほかにエッセーとして、日本を代表する建築家・黒川紀章、民俗情報工学研究家の井戸理恵子、作家の菅田正昭が寄稿している。
【目次】
火箸風鈴/たたら吹き・村下/大工/建具/油団/漆器/打刃物/和紙/京瓦/京型彫り/京扇子扇骨加工/菓子型彫刻/無双絵羽織/益子焼/漆

<大使寸評>
たたら吹き、漆器、打刃物、和紙あたりが、大使の関心のツボであるが・・・
カネが全てのこのご時世に、それらに従事する職人さんのノウハウ、心意気が知りたいわけです。

rakuten 職人―伝えたい日本の魂


職人―伝えたい日本の魂(その1)





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Last updated  2014.06.01 23:59:50
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