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2014.06.20
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カテゴリ: アート
図書館で「Jブンガク」という本を借りたのだが、日本文学がアットランダムに面白くレポートされています。

ロバート・キャンベルさんが、「Jブンガク」の楽しみを「はじめに」で述べているので、その一部を紹介します。

<はじめに>より
 日本文化と言えば誰もが思い浮かべがちな「わびさび」に対抗すべく、鮮やかなアクションシーンを並べたり、淡白な古典的「料理」志向と異なる近代的フード・フェティッシュを覗いてみたりと、見慣れない角度からお馴染みの日本的伝統と革新とを章立てのなかで照らし出してみた。
 取り上げるラインナップもなかなか個性的で、誰もが知る天下の名作もあれば、「ん?」と首を傾けてしまうような、ふつうの文学講座ではお目にかかれない、あるいは学校の授業では学ばない隠れた傑作を次々に打ち出していった。
 とにかく、この国の言語文化をふだんとは少し違う角度から見直し、魅力を再発見してもらおう、そういった気持ちを番組とテクストにこめてプランを立てたのである。
(中略)
 では「ブンガク」とは?簡単にいうとこれも日本語そのもので「文学」を意味する。表記を漢字から片仮名にギアチェンジすることで、新しいテリトリーが視界に入ってきそうで、日常のなかで光を隠してきた小さな宝物に行き当たるのかもしれないと、そのようなことを考えつつ「片仮名」に変換した。そのじつ、日本語で言うところの「日本文学」も英語に直そうとすると"Japanese Literature"以外に表現のしようがないことに気づかされた。日本語のなかであれば、漢字も片仮名ももちろんOKだし、ローマ字が混入しても一向にかまわない。自在と言えば自在な言語である。このように、気づけばJブンガクのなかにW―つまりワールドの要素もいっぱい詰まっている。

 Jから出かけてWに渡り、気が向いたときにJに戻ってくる。そんなブンガクの日々を送るのも、最高に愉しいことではないだろうか。


それではまずオーソドックスに、日本的伝統を代表する作品として『枕草子』から、とっかかります。
(橋本治の桃尻語訳もすごいが、表紙のイラストがすごい!)
清少納言


<21章『枕草子』>p97~99より
 『枕草子』には今回の「うれしきもの」のように「~もの」を集めたり、あるいはおなじみの「春はあけぼの」のように「~は〇〇」というものを集めた章段がたくさんあり、それらは「類聚章段」と呼ばれている。

 本章段では「うれしいもの」を次々と挙げていくが、これは清少納言とその周囲の人々、すなわち中宮定子とお付きの女房たちが形成するサロンの中で皆が思わず「こういうのってうれしいよね。あ、そうそう、それも・・・」と共感しあう、そんな雰囲気を反映していると言われる。

 清少納言は和歌や漢詩文などに秀でた高い教養の持ち主で、その鋭い観察眼と高い文章力で書かれた本書は、当時の宮中の様子を物語る記録としても重要な価値を持っている。

 The Pillow Book contains many list-like collections,based on particular topics or themes,such as the famous section starating with "as for springtime,the dawn" and the section introduced here about "happy things."Such a roster of"happy things"may in fact reflect the atmosphere of the salon assembled by Empress Teishi and her ladies-in-waiting,an environment in which participant chatted away about the things that bring happiness in everyday life. As such,The Pillow Book is a precious record of court life at the time, written with sharp observations and literary force by a woman highly educated in both Japanese and Chinese poetry.

 遠き所はさらなり、同じ都のうちながらも隔たりて、身にやむごとなく思ふ人のなやむを聞きて、いかにいかにとおぼつかなき事を嘆くに、おこたりたるよし消息聞くもいとうれし。

Then there's the pleasing moment when you've heard that someone who matters a lot to you and who's far from you ― perhaps in some distant place,or even simply eleswhere in the capital― has been taken ill,and you're worrying and wringing your hands over the uncertainty,when news arrives that the illness has taken a turn for the bettter.


川上弘美の出世作「蛇を踏む」を初めて読むのだが・・・
独特な怖さがありますね♪

<36章「蛇を踏む」>p165~167より
 仕事に行く途中で、蛇を踏んだ。「踏まれたらおしまいですね」。蛇は言って、50歳くらいの女性になった。帰ると部屋が片付いていて、蛇の女が座っている。わたしはあなたのお母さんよ、と言う彼女が作ったごはんを食べ、蛇は蛇に戻って寝た。こうしてヒワ子は蛇と暮らしはじめた。勤め先である数珠屋の主人は「追い出しなさいよ」と言うけれど、聞けば彼も奥さんについてきた蛇と、もう20年ばかり暮らしているそうだ。知り合いには蛇を妻にした住職がいて、世話女房だと褒めている。

 若い女性の日常と非現実とがなだらかに連続する、不思議な空気の漂うせかい。蛇を何かの、たとえば規格化された<女らしさ>の寓意と読むのか、それともただ心地よい幻想に身をひたすのか。いろんな愉しみかたを与えてくれる、川上弘美の出世作である。

Hiwako steps on a snake on her way to work."I'm done for if you step on me,"says the snake, then turns into a 50-year-old woman.When Hiwako returns home, she finds that the snake-woman has tidied up and made dinner, "I'm your mother,"the snake-woman explanes, then turnes back into a snke and goes to sleep.The man Hiwako works for at a Buddhist prayer bead store tells her to get rid of the snake, but he and his wife go on living with their own snake-woman for about twenty years. Does the snake symbolized model femininity or is this just a pleasurable fantasy? There are many ways to appreciate the book that made this author famous.

 女に肩を叩かれた。振り向くと女は頬ずりをしかけてくる。女の頬はひやっこかった。愛玩動物を抱きしめているときのような、または大きなものにすっぽりと覆われているような、満ちた気持ちになった。女は頬ずりをしながら私に両腕を巻き付ける。巻かれた腕もひやっこく、女の指先は少し蛇に戻っているようでもある。蛇に戻っていたとしても、気味は悪くない。むしろ蛇であった方が心丈夫なのである。

She tapped me on the shoulder. when I turned around to face her,she rubbed her sheek up against mine.Her cheek was cool. As sense of fullness came over me,like when you squeezed a pet tight or else get snugly wrapped up in something big.Nuzzling my cheek,she coiled her arms around me.They were cool too,and her fingers seemed to be turning serpentine agein.It didn't worry me when she turned back into a snake.I actually felt more secure with her that way.



【Jブンガク】
J

ロバート・キャンベル編、東京大学出版会、2010年刊

<内容紹介>より
NHK教育テレビ「Jブンガク」が単行本になって登場! 清少納言から川上弘美まで、読んでおきたい日本の名作50編を厳選。時代背景やあらすじをおさえつつ、作品のワンシーンを原文と英訳で読みくらべる。英語的発想を学び、日本文学のおもしろさに出会いなおす。まったく新しい文学案内。

<読む前の大使寸評>
米語はあいかわらず、好きになれないが・・・
ロバート・キャンベルさんの文章とパーソナリティがええで♪ということで借りたわけです。

キャンベルさんは、1957年、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学東アジア言語文化学科修了、現在は東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は江戸時代から明治期の日本漢詩文。
…バリバリの言語学の権威という側面を持つ人なんですね。お見それしました♪
rakuten Jブンガク






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Last updated  2014.06.20 18:19:13
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