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2014.09.28
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カテゴリ: アート
ナショナリズムできしむ日中であるが・・・

現代の王権を握る中国共産党の元では、中国文化の行く末に光明は見えてこないわけで、現状は芳しくないのだが(このへんに大使の断定が見られる)・・・
中国人から見る日本文化とは果たしてどんなものか?

中華意識に慣れてしまい、辺境の民に思いを馳せない中国人にあって、日本文化に造詣の深い彭丹さんは異例といえるのかもしれないが・・・
陶磁器をとおして彼女が説く日中の文化の違いを見てみましょう。

曜変曜変天目



中国

彭丹著、小学館、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
日本には、中国ではいつのまにか廃れてしまった「中国」があると、著者は説く。漢字、着物、端午の節句などの行事等々。しかしそれらの「中国」は、どこか姿を変えた不思議な「中国」なのだ。そして茶の湯に親しむなかで著者は、名物茶碗や国宝茶碗の多くが中国から渡来した唐物で、しかも中国には残されていないことに気づく。なぜ日本人は唐物を自らの“国宝”としたのか。なぜそれらの優品が中国には残っていないのか。中国と日本の間に横たわる広くて深い文化的差異の大海に漕ぎ出した、まったく新しい日中比較文化論の誕生である。

<読む前の大使寸評>
中国文化は、辺境の地ニッポンで花開いたが、発祥の地では消滅の危機にあるようです。なぜなのか?お茶しかり、漢字しかり、儒教的道徳しかり・・・etc

陶磁器をとおして彭丹さんが説く日中の文化の違いを見てみましょう。

<図書館予約:(9/19予約、、9/23受取)>

rakuten 中国と 茶碗と 日本と


中国のめぼしい陶磁器は官窯で作られたが、官窯とは何か?

<皇帝と官窯が陶磁を発展させた> よりp262~265
 明の景徳鎮御器廠、清の景徳鎮の御窯廠と、王朝が交代するたびに、新たな官窯が開かれる。中国陶磁史において官窯の存在は絶大なものであった。もし官窯がなかったならば、製陶技術は何千年も途絶えずに向上していくことは不可能であったろう。また、斬新な陶磁器が次々と生まれることもなかっただろう。もちろん、数々の名品が残されることもなかったのである。

 その理由として次の三点が挙げられる。
 第一に官窯需要者である皇帝の要求度が高い。
 皇帝は土でできたやきものに二つのことを求める。ひとつは芸術の美である。中国皇帝の中には、高い文化素養と審美眼を持つ文化人が多い。宋の徽宗は優れた画家であり、その絵は国の宝とされている。明の歴代皇帝は書道を愛し、永楽帝は全国から書の名家を招集した。清の康熙帝と乾隆帝に至っては、絵付け文様を描き、自ら磁器の制作に関わった。
 皇帝がやきものに求めたもうひとつのものは、王権の象徴である。農業社会の中国では土が治国の根本であり、土が万物を養育する。皇帝は農業を重んじ、土を尊ぶ。陶磁器は火による土の結晶である。火による金属の結晶である青銅器と同じく、中国の皇帝はそこに王権の象徴を求めたのである。それゆえ、磁器には、青銅器の形を模倣したカ・コ・爵・カ・尊・壺などの酒器が多い。装飾文様も雷文、バンチ文、キリュウ文、鳳文など、青銅器の文様を用いた。需要者である皇帝のこのような要求は、そのまま陶磁器の水準に反映される。日本の場合、陶磁器の主な需要者は天皇ではなくて茶人及び武家大名であった。織部焼は安土桃山時代の茶陶の最高水準を代表するものである。

 第二に、皇帝の高い要求に応ずるために、官窯の陶工は命をかけて磁器を造る。
 宋代の景徳鎮青白磁を、現代の日本で再現しようとしている日本人陶芸家のグループに加わり、景徳鎮窯遺跡の調査旅行に同行したときのことである。
 明・清時代の最盛期の景徳鎮からは想像できないほどの、現代景徳鎮の荒廃ぶりに、私は言葉を発することができなかった。陶芸家たちと町の磁器店を一軒一軒まわってみたが、目に留まる作品に行き当たらない。私は一人の陶芸家を尋ねた。「現代景徳鎮の磁器はいかがでしょう?」。
 彼はしばらく黙っていた。中国人の私にどのように言っていいか迷っていたのだろう。 でも、彼は言った。「アジがないんです」
 世界の人々に愛され、かずかずの名品を生み出した景徳鎮陶工の後継者たちであるのに。
 季節は厳冬のさなか。町をめぐる昌江は水が枯れて、細々と流れている。この川にはかつてどれほど豊かな水が溢れ、どれほど賑わっていたのだろう。東京の博物館や美術館で見た数々の景徳鎮窯の作は、すべてこの川を通じて運ばれたものである。だが、今日の江面に船ひとつ見えない。

 金を稼ぐために造られたものと、命をかけて造られたものとは、迫力が異なる。
 現代の陶工たちは、目先の利益しか目に入らず、濫造に走りがちである。しかし、先祖の陶工たちは、生きていくために監陶官の厳しい目をくぐらなければならなかった。だから精魂を込めて作品を造る。そこには、今の人たちのとうてい及ばない精神が潜み、霊気が籠もっていた。
 景徳鎮だけではない。すべての官窯は、このような皇帝と陶工の執念のせめぎあいによって栄えたのである。

 理由の第三は、官窯は政治権力の保護のもとで、最良の原料、優れた陶工、最高の技術を専用することができたこと。王朝によってそれぞれ製品は異なるが、唐五代の秘色青磁、北宋の汝窯青磁、南宋の官窯青磁、更に明官窯の豆彩、清官窯の五彩など、官窯の製品は、常にその時代を代表する最高の磁器であった。

 つまるところ、古代の中国と日本では、製陶の意義が大きく異なるのである。
 聖人の三皇五帝に起源する製陶は、古代中国では神聖な意味を持っていた。皇帝にとって陶磁器は王権の象徴であり、庶民にとっても陶磁器は身近な日常生活用具であった。それゆえ、皇帝も庶民も製陶に情熱を持ち、これに応える陶工は技術の革新に心血を注いだ。

 一方、古代日本人の日常生活では、土器も使用していたとはいえやはり木器が主役であった。中国人のように製陶を神聖化することもなく、自ら進んで製陶技術を向上させる動機もなかった。
 この意味で、技術の発展史である中国陶磁史と異なり、日本陶磁史は中国文化の借用史だった。
 日本の製陶は天皇よりも、茶人及び大名と大きく関わり、安土桃山時代の茶陶の流れが今日まで続く。


彭丹さんが、中華思想あるいは中華意識について述べています。


<おわりに> よりp283~286
 仙人を登場させない理由もここにあった。古代中国人にとっては現実的な存在である仙人も、日本人にとっては現実性に乏しい。仙人や仙界より、むしろ無常な人生、定められた運命のほうが日本人の心情に受け入れやすい。
 そこで、露伴は建文永楽の王位争奪という中国の歴史を借用し、『女仙外史』の「定数」観を借用し、日本史上の壬申の乱を映しながら、歴史人物の波瀾に満ちた生涯を描いた。 この意味で、『運命』という作品は、中国文化を借用した創造であった。

 日本文化は、日本語や『運命』のように、借用した中国文化から分岐して、独自の展開を成し遂げてきた。このような日本文化とは、果たしてどのようなものなのか?
 答えは一つではないと思うが、その一つは、日本文化は命名の文化であるということである。
 日本文化の多くは、外来文化の借用である。自らの内部から発祥した文化とは異なり、海の向こうからやってきたものだから、もとの姿が変えられ曖昧模糊になりがちである。しかし日本人は、曖昧模糊そのものを文化とする方法を創り上げたのである。すなわち、そこに新たな名前を付けることによって、それまでになかった意味と価値を新たに創り出し、文化という秩序の抽斗の中に次々と入れてきた。

 もう一つの答えは、日本文化は、中国文化と異質の創造方法を持つ文化である、ということである。
 中国文化は古いものを消去して、新しいものを生み出す破壊的革命的な創造性であるのに対して、日本文化は古いものを繰り返し使い、そのたびにすこしづつ新しい創造を加えていくという継承的改良的な創造法である。

 最後に、借用と創造の日本文化を生み出した、あるいはそのような文化の誕生を可能にした土壌は何か、ということについて考えてみたい。
 一つは中国に対する日本人の抜きがたい感興心である。その感興心は執拗なほど強く、中国を自国の文化や歴史のように扱い、それを日本人なりに解釈し消化してしまうのである。日本の作家の多くは中国を舞台に中国人を描き、中国文化をそのまま吸収して作品化することができる。また日本の読者は、中国と日本の歴史や文化が交錯する作品に違和感を持たず、そのまま受け入れることができる。

 陶磁器についても同じことがいえる。日本の茶人は中国の陶器や磁器を茶の湯に用いたが、そのような茶の湯がそのまま日本社会に浸透していく。のち、日本の陶工は中国を真似て日本磁器を造るが、そのような磁器も日本人に好まれ、日常用具として定着する。これは、中国と日本が共通の土台の上に成り立っている証でもある。

 二つは、東アジア文明圏の片隅にありながら、文明の中華と対等の立場を確保しようとする日本人の対抗意識である。この対抗意識があるからこそ、中国文化を取り入れながら、これに呑み込まれることなく、独自の文化を生み出してきたのである。

 三つは、遠きにありてという日本人の立場である。つまり、海を隔て、一定の距離を保ち、中国人と異なる視点から客観的に中国を見ることができる。だからこそ、幸田露伴は中国人には書けない歴史の感動を真に迫って伝える作品を創り上げたし、日本の茶人は中国陶磁、というより中国文化の持つ価値と可能性から茶の湯を創り上げることができたのである。
 一方、中国人自身は身近の文化や歴史を客観的に見ることができない。その真のありようを知ることができない。つまり、「不識ロ山真面目、只縁生在此山中」であり、ロ山の本当の姿がわからないのは自分がロ山の中にいるためである。


中国の脅威とか、突出する中国の軍拡の裏に何があるのか?・・・
被害者意識と自己中心主義、それから昨今の経済的な優越感があるのでしょうね。
(この本を読んでも、いっこうに中国文化を評価しない大使の偏狭さが自覚されるのであった)





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Last updated  2014.09.29 06:52:10
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