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2014.10.13
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カテゴリ: 気になる本
小堀遠州といえば、日本庭園のトップデザイナーというのが大使の認識であったが茶道への関わりも大きいようです。

その辺りを『小堀遠州 綺麗さびの極み』という本で見てみました。


<小堀遠州の茶の湯> よりp25~27
 小堀遠州は幼名を作助といい、近江国(滋賀県)小堀村の土豪、小堀新介の長男として生まれた。豊臣秀長、徳川家康に仕え、1万2千石余の大名となった父・新介のあとを継ぎ、数寄大名小堀遠江守政一が誕生する。いうまでもなく、通称遠州は遠江守の略称である。
 遠州は伏見奉行をはじめ多くの幕府奉行職を歴任した。遠州の履歴の中でことに重要なことは、建築造園にすぐれた才能をあらわし、作事奉行をしばしば務めたことだ。
 慶長18年(1613)の内裏造営、寛永4年(1627)の仙洞御所、女院御所造営など、禁中関係の造営に深くかかわり、こうした交渉を通じて王朝文化をよく摂取すると同時に、遠州好みとさえ呼ばれる寛永時代のデザイン感覚をリードする立場を得た。
 将軍をはじめ大名、公家衆、僧侶、町衆、牢人と遠州の茶友は幅広く、まさに寛永文化を代表する数寄大名であったといってよい。

 いつのころからいわれたことか、明らかではないが、
   織理届、綺麗キツハハ遠江、於姫宋和ニムサシ宋旦
 という狂歌がある。
 師匠の織部が理論派であったのに対し、弟子の遠州は「綺麗キツハ」であったという。キツハは「ぎっぱ」で立派という意味であろう。美しく見栄えするのが遠州の茶、お姫さま好み(公家好み)の金森宋和、むさくるしいまでにわびた千宋旦という狂歌である。

 きれいぎっぱは遠州好みを指して「きれいさび」という感覚によく通じるであろう。
 まさにきれいという語こそ、人々が遠州の好みを思いうかべるときの言葉だったのである。遠州好みの周辺に明代の赤絵や祥端などの請来陶磁器の美しさもふくめて考えてよいだろう。

 その点、遠州のなかには新唐物趣味ともいえるハイカラなところがあった。そして、遠州の茶座敷である数寄の書院や、桂離宮の書院などを「綺麗座敷」と呼んだように、「綺麗」という感覚がこの時代の好尚であって、遠州個人の好みにこたえた一般性を持っていたことがうかがわれる。

 『利休茶杓の削り様』という伝書がある。これによれば、茶杓は用心深く削ってはいけない、ずかずかと思いきって切れとある。ずかずかと削れば左右対称にはならず、不均衡になろう。竹の中心線にたいしてゆがんだ茶杓になるが、それでよいというよりも、むしろそれでなければいけない、と記されている。
 この史料は利休の伝書ではないが、古風な茶杓の削り方を書いた史料である。ところが遠州の茶杓をみると、きれいに左右の均衡がとれているものが多い。平衡感覚にすぐれ、かぶいていない。
 織部の大ぶりで豪快なデフォルメを好むカブキの美にかわり、洗練された華奢な美を楽しむ遠州の時代が到来した。


対談<磯崎新×小堀宋実>の一部を紹介します。
遠州は江戸のアートディレクターとも評されるので、建築家の磯崎さんとも時を超えて感応できるのでは。

<小堀遠州の建築術> よりp54~56
小堀:遠州は、ものごとを「総合する」ことに非常に長けた人だったと思います。

磯崎:大きな意味でいう「アートディレクター」なんですよね。映画でいえば、監督も美術もやっている(笑)。

小堀:そうですね(笑)。お道具の例を挙げますと、たとえば友人の江月和尚に頼んで銘になる漢詩をつけてもらう遠州は歌を書く。そして、裂(きれ)は長崎あたりから入ってきた珍しいものをつける。さらに、箱をつけ、箱書きをし・・・。そういうふうにして、ひとつの道具をどんどん大きくして、完成させるのです。

 お茶会にしても、ひとつの空間に留まることなく、小間から鎖の間へ、そして書院へと移動して、さまざまな世界を見せていく。建築もやはり同じ考え方で造っていったんじゃないでしょうか。

磯崎:なるほど、桂離宮の庭がそうですね。最初は昔の王朝風のを持ってきていて、それから茶席風のものが東側に、で、片方で武家風の切り石の庭があって、この三つの性格が組み合わさったのが、桂の庭なんだと僕は捉えています。これらが、遠州の場合には最初から自然に一体化されている。

 彼の手法は、時間芸術と、鑑賞するひとつひとつのものを結び付けているような感じですね。最初から最後までが、そういう濃密な時間を完成させるために組み立てられていく。ひとつのオブジェクトをどんどん複雑に重ねていくような、鎖のようにつなげていくような、こういう手法は、お茶の歴史のなかでは遠州が最初なんですか?

小堀:そうだと思います。物事をそういう風に捉えたのは、遠州が最初だったのではないでしょうか。ようやく、それだけ落ち着いた時代になったこともありますが。
 もうひとつ、遠州の面白いところは、茶道具の好みを見るとわかるんですけれども、左右均衡といったものは基本にあるのですが、自然にはずれてしまったとか、ゆがんでしまったとか、そういう要素も大事にするんですね。

 「ひずみ高麗」という茶碗が有名ですが、織部のように、無理矢理曲げたというのではなく、窯のなかで自然にゆがんでしまったものだという。たくさんある中で、たまたまゆがんでしまったものを、ちゃんと取っておいて自分で使う。「不足の美」を、自分で使うことでカバーし、独特のものにしていく。ただ、それを将軍や大名に差し上げたり、これがいいですよとは絶対にいわない。

磯崎:丸山真男先生らは、日本には、「作為」と「自然」という両極端の思想があるとおっしゃる。「作為」というのは意図的にデザインを組み立てる。
 「自然」というのは、自然に物事がだんだん出来上がっていくように作っていくと。

 どちらかというと「作為」は中国的で、「自然」は日本独特の感性かもしれない。お話を伺っていますと、織部というのはいかにも「作為」ですよね。それはそれで面白さがある。
 それに対して、今おっしゃられた遠州の、少し変形したものを自然にしてしまうという、これは「自然」なのだというふうに見ることができますね。

小堀:両方なんですね。遠州には、両極端なものを両方してしまうところがある。

磯崎:「遠州好み」といわれている庭石の打ち方とか組み方を観ても、かなりフォーマルな部分は常にあるんですね。あるんだけれども、その中に違った要素が、ずれた部分や曲がった部分が、入りこんでいる。とりわけ、直角ではなくて斜に構えたといったところがよく観られます。
 一見自然に見えながら、中に隠れた複雑さが潜んでいる組み立てなんです。非常に複雑に洗練されている。

小堀:まっすぐが好きかと思うと丸も好きだし、左右均等かというと、わざと均等にしていない。何でもできたんでしょうね。




小堀

小堀宗実著、新潮社、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
茶人として茶の湯を総合芸術に高め、作庭家として日本の庭の新しいスタイルを確立し、作事奉行として禁裏・幕府の建造物を担当。まさに、八面六臂の活躍を果たした小堀遠州。彼の愛した“綺麗さび”の世界とは何か?この万能の達人の全貌に迫る。

<読む前の大使寸評>
13世茶道家元でもある著者と、建築家の磯崎新さんの対談も載っていて、カラー写真も多くて・・・
「とんぼの本」シリーズなので、魅力的なビジュアル本になっています。

rakuten 小堀遠州 綺麗さびの極み


ところで、ネットで「 桂離宮HP 」を観たところ・・・
観覧申込み方法が改新されて、ネットでも申込みができるようになっていました。
で、近々、申込みする予定です。





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Last updated  2014.10.13 00:28:35
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