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2015.06.21
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カテゴリ: 歴史
図書館で『朝鮮通信使の旅日記』を手にしたが・・・
平凡社・東洋文庫『海游録』のリベンジをしようと思ったわけです。

『海游録』の訳文が読みにくいので、大使は往生したのであるが、この本はそんな読みにくさはないし、懇切な解説となっていて、ええでぇ♪


【朝鮮通信使の旅日記】
朝鮮

辛基秀著、PHP研究所、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
江戸時代260年を通じて、朝鮮から12回もの外交使節団が訪れていた。「朝鮮通信使」と呼ばれた彼らは総勢450人。漢城(ソウル)から江戸まで国書を携え、約1年の長旅をした。楽隊や文人、曲馬師をも含むエキゾチックなその行列は、当時の日本人にカルチャーショックを与え、各地でさまざまな事件や文化の渦を巻き起こした。現代に伝わる唐人踊りや人形からは、民衆の驚きと朝鮮ブームの熱気が溢れ出す。通信使ゆかりの町を絵図や写真とともに訪ね、日韓両国の友好と文化交流の歴史を探る。
【目次】
江戸時代の善隣外交は、こんなに盛大だった/漢城(ソウル)/釜山(プサン)/対馬/相ノ島・下関/上関/下蒲刈/鞆の浦/牛窓/室津/兵庫/大坂/京都/朝鮮人街道と彦根/大垣/名古屋/静岡/箱根から江戸へ/江戸-祭と音楽/江戸-絵画/日光

<読む前の大使寸評>
平凡社・東洋文庫『海游録』の訳文が読みにくいので、大使は往生したのであるが、この本はそんな読みにくさはないし、懇切な解説となっていて、ええでぇ♪

rakuten 朝鮮通信使の旅日記


京大名誉教授の上田正昭さんが、冒頭で朝鮮通信使の意義を述べています。

<通信使の意義:上田正昭>よりp5~7
 こうした「通信」「通商」のなかで朝鮮通信使がとりわけ注目されているのには、いくつかの理由がある。まず第一に忘れてならないのは、大義名分なき豊臣秀吉らによる文禄・慶長の役(壬申・丁酉の倭乱)の戦後処理と国交回復をめざす努力の成果として、朝鮮王朝からの使節の来日が実現していることである。

 徳川幕府の要請にこたえて使節を派遣した朝鮮王朝側が、その第3回(1642)までを回答兼刷還使と称して、捕虜として連行抑留された人びとを取り返すことを任務としたこともみのがせない。刷還使といわずに信使あるいは通信使を名乗るようになってからも、その第6回(1655)まで捕虜刷還の交渉は続いている。

 第二に注目されるのは、その使節団の質と量である。朝鮮通信使の一行はおよそ400名から500名におよぶ大文化使節団であって、政治家・軍人ばかりでなく、学者・医者・画家のほか歌舞・音曲の名手なども参加していた。江戸滞在中の曲馬上演は、将軍家光の求めで行われたのがそのおこりだが、第7回(1682)からは「曲馬上演」が恒例化した。なお「良医」の参加も第7回からであった。

 ちなみに使節団の人数については、第3回を300名とする説が多いけれども、近時の研究では460名以上であったことが確かめられており、最後の回(12回)は対馬どまりであったが、それでもその一行は336名であった。

 朝鮮通信使のメンバーは多彩であって、幕府・各藩大名とのまじわりばかりでなく、日本の学者・文人・僧侶・医者・画家などとの交流もさかんであった。筆談唱酬(詩文の贈答)も活発に行われている。

 徳川幕府と朝鮮王朝との間にくりひろげられた二百有余年の外交には、時期による内容の変化があって、これを一律に論ずるわけにはいかない。たとえば特別行事としての日光参詣は、寛永年間(第4回、第5回)と明暦元年(第6回)のみで、家康の日光山大権現廟に加えて、明暦度には家光の大ユウイン廟にも参詣した。そこには幕府側の意図があったが、そうした思惑をこえての善隣友好を、朝鮮王朝・徳川幕府の両者が莫大な経費を負担して実施したことを直視する必要がある。幕府が費やした額は100万両をこえる場合もあった。

 朝鮮通信使の時期区分については、第3回までを国交再開期、第8回までをあらたな通交関係の確立期、第11回までを恒例遵守の安定期として、第12回以後を衰退期とみなす説が妥当と考えられるが、通信使の来日が終わったのちも、対馬藩では朝鮮訳官使の来島を中心とする外交がつづく。

 朝鮮通信使を媒介とするまじわりのなかで、私がもっとも重視しているのは、日本の民衆が朝鮮通信使とじかにふれあった民衆のまじわり、すなわち民際外交の展開である。


宿泊先の紹介として、ドングリ国関内の兵庫津を見てみましょう。

<兵庫>よりp112~114
  京大坂に近い兵庫津は、瀬戸内航路の要津で、室町時代の朝鮮通信使も、往復ともこの港を利用していた。とくに日明貿易が始まると、兵庫津は対明貿易の中心港としてにぎわい、三代将軍・足利義満や六代将軍・義教は、明船見物のため再三、兵庫津を訪れていた。

 ところが、応仁の乱が始まると兵庫は荒廃。港の能力を破壊されてから対明貿易の中心は境に奪われ、昔の面影を失った。
 しかし、豊臣秀吉が境の商人を大坂に移すと、兵庫津は大坂の外港として勢いを取り戻した。江戸時代の朝鮮通信使の一大船団は、計12回のうち兵庫津に11回立ち寄り、10回宿泊している。

文禄・慶長の役後初めての朝鮮通信使は慶長12年(1607)の4月7日、兵庫津に入港、兵庫城で兵庫を預っている片桐真隆の丁重な接待を受けた。

 夜明けに室津を出航した一行は、網干、高砂、播磨、明石、須磨の瀬戸の浦々を回り、一幅の絵のようだと感じ入った。兵庫津の繁盛している様子は赤間関の比でなく、瀬戸内の第一級の外交都市であると称賛した。

 第二次(1617)の通信使は8月16日、順潮に乗って兵庫に着いたが「日はすでに暗く東風が激しいので下船して浜近くの民家に止泊した。兵庫の住民がきわめて多く、民家も6000~7000戸に達する」と正師の呉充謙は記している。

 通信使が船上での宿泊を中止して、深夜、民家へ移ることが可能なほど、兵庫の町人たちには実力があった。

 兵庫津は1000隻を超える朝鮮通信使船団の入港に備えて、宿舎の検分に訪れる尼崎藩並びに大坂町奉行所役人たち、接待・案内係の関係者役1万人で、人口は3万人にふくれ上がっていた。宿舎の修繕、料理人の送迎、緒道具の調達、船入りの浚渫、桟橋設営、番所の増設、接待にあたる肝煎、給仕の割り当てなど、港始まって以来の人出である。

 入港した通信使船団を、兵庫から大坂まで、帰国時には兵庫から明石までの曳船、送迎船派遣の義務があり、他に長州までの各港に通報する船など、送迎船を合計すると762隻、水夫など3762人、費用はしめて4万1424両。

 文禄・慶長の役後1回目の使節の副師・慶ソンは、日本の国情を探る超多忙な毎日の中、鋭い観察記録を残した。

(中略)

 兵庫津は、江戸初期から幕末まで武士が少ない「民」の都市であり、「官」の都市・尼崎とよく対比される。
 尼崎の人口が1万4000人前後であるのに対し、兵庫津は2万人前後で「民」のほうが遥かに多い。政治は尼崎が中心であったが、外交、経済、文化は兵庫津が中心であった。朝鮮通信使の大船団の入港は異文化との貴重なふれ合いの場であり、「民」中心の都市には進取の気象が溢れていた。






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Last updated  2015.06.21 08:39:45
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