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2015.06.25
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カテゴリ: 歴史
図書館で予約していた『イチョウ 奇跡の2億年史』を手にしたが・・・
予想していた以上に分厚い本であった。

とにかく、一つの樹種で、なぜこれだけ分厚い本になるのか?

葉っぱフェチの大使は、当然として樹木に関心があるのだが、一つの樹種で、これだけ分厚い本を見たのは初めてなんで・・・
著者のこだわりも含めて、興味深いのです♪


【イチョウ 奇跡の2億年史】
イチョウ

ピーター・クレイン著、河出書房新社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
長崎の出島が悠久の命をつないだ!ヒトの役に立ち、敬われてきたからこそ、この愛すべき樹木がたどったあまりに数奇な運命!2億年近く生き延びたあとに絶滅寸前になったイチョウは、人間の手で東アジアから息を吹き返した。その壮大な歴史を、科学と文化から描く名著。

<読む前の大使寸評>
人類の過去の記憶、過去のDNAに寄り添うようなイチョウがええなぁ♪

葉っぱフェチの大使は、当然として樹木に関心があるのだが、一つの樹種で、これだけ分厚い本を見たのは初めてなんで・・・
著者のこだわりも含めて、興味深いのです♪

<図書館予約:(12/03予約、6/21受取)>

rakuten イチョウ 奇跡の2億年史


「表紙カバーのコピー文章」に、惹かれるのです。

<表紙カバーのコピー>より
 私たちの祖先が原生類人猿の祖先から分岐した700万年~500万年前ごろにはおそらく、イチョウはすでに衰退していた。ヒトの出現期には、ほとんど絶滅寸前になっていた。

 地球の支配権をヒトが握ることは、イチョウの息の根を止めることになるはずだった。ところが、イチョウはほかの樹種とは異なり、ヒトとともに栄えた。

 さまざまな利用価値をヒトに提供できたのと、何よりも、ヒトから崇められる存在になったことが大きかった。こうしたことのおかげでイチョウは執行猶予を得た。

 18世紀には日本の長崎、出島に居留を許されていたオランダ人を通じて、ヨーロッパに伝えられるようになった。
(本書1章より) 

公孫樹ソウル、徳寿宮のイチョウ

導入部の説明が、まるでSF小説を読むようにワクワクするのです。

<長大な時間>よりp19~21
 イチョウは植物としてはかなりの変わり者で、現生する近縁種が存在しない。かつてはマツやイチイ、ヒノキの親戚だと思われていたが、現在はそうでないことがわかっている。まず、19世紀初期の植物分類で針葉樹とは異なることが明らかにされた。その後、この樹木の生殖に関する科学的証拠、とりわけ1896年の日本での大発見がもたらされると、イチョウは現生植物の系統関係において孤立した位置にあることがはっきりした。

 そして20世紀、植物の世界に進化の概念が入ってくると、イチョウは進化のカギを握る種としてさらに科学的に注目されるようになった。ダーウィンの言葉を借りれば、イチョウは「植物界のカモノハシ」なのである。

 古植物学者たちは、地質時代をさかのぼってイチョウの系統を探りはじめた。イチョウはこんにち、植物の「生きた化石」の代表となっている・・・・時が置き去りにした樹木として、遠い過去の風景を身近な現代の風景へとつなぐ「架け橋」の樹木として。

 イチョウは地球上に出現してからこのかた、ほとんどの時間をヒトがまだ出現していない世界、こんにちとはまったく違う世界で、とうの昔に絶滅した動植物とともに暮らしていた。イチョウとその仲間の樹木は、私たちの祖先が爬虫類から哺乳類へと変わっていくのをずっと見ていた。イチョウ葉の化石はすべての大陸で見つかっている。大昔の超大陸が大西洋で隔てられる前から、南半球の大陸が南極大陸と分離する前から、イチョウの歴史ははじまっていた。
(中略)

 地球の支配権をヒトが握ることは、イチョウの息の根を止めることになるはずだった。ところが、イチョウはほかの多くの樹種とは異なり、ヒトとともに栄えた。さまざまな利用価値をヒトに提供できたからでもあるのだが、何よりも、ヒトから崇められる存在になったことが大きかった。実際、イチョウは多くの国や地域で敬意を注がれる対象となっている。こうしたことのおかげでイチョウは執行猶予を得た。種子は珍味となり、植物油や薬として使われた。

 特徴のある薬と長寿を誇るこの木は、仏教や道教、儒教において象徴的な存在となった。イチョウは中国から朝鮮を経て日本へと伝わり、日本古来の神道とも結びついた。中国、韓国、日本のイチョウの巨木は、たいてい仏教寺院か神社の境内に立っている。


世界各地で、神性を帯びた樹木が登場しています。

<樹木とヒト>よりp26~27
 樹木は大切なシンボルとして、人類の文化と固く結びついてきた。旧約聖書の創世記でも、神は陸地の上に、美しく鮮やかな実をつけるさまざまな樹木を育成させ、エデンの園の中央に「生命の樹」を配したとある。アダムとイブが誘惑に負けて食べたのも「知恵の木の実」だ。古代スカンディナビア人は、世界はイグドラシルという大樹に支配されていると考えていた。

 ヨーロッパにかぎらず、樹木に対する信仰は世界のあちこちで見られる。ヒンドゥー教では各種のイチジクと並んでクリシュナボダイジュとインドボダイジュが崇められてきた。仏陀は特別なインドボダイジュの下で悟りを開いたという。チチュウカイイチジクは古代エジプトの「生命の樹」である。イチジク属の五つの種はブラジルに連れてこられた黒人奴隷に端を発する民間信仰カンドンブレで大切にされ、礼拝所で奉られている。

 樹木は社会文化史にも深いかかわりがある。アフリカから強制移住させられた人々は、バオバブの種子を新世界にもちこんだ。ブラジルという国名は、かつてこのあたりの多雨林によく生えていたパウブラジル(ペルナンブコ)という木に由来する。この木からとれる赤色染料は、初期のポルトガル商人を引きつけた。

 聖書に何度も出てくるレバノンシーダーはレバノン人の民族の象徴であり、レバノン国旗の絵柄になっている。アメリカ、サウスカロライナ州のパルメットヤシも同じような意味合いをもっている。

 バルバドスの国名は「あごひげを生やしたイチジク」という意味の樹木名、ベアーデッドフィグからきているし、中国でもイチョウを正式な国樹にしようと努力が重ねられている。

 歴史的に重要な人物や出来事と、樹木が結びつくこともある。イギリスのボスコベル・ハウスにあるロイヤル・オークと呼ばれるオウシュウナラ(オーク)は、ピューリタン革命期のウースターの戦いで敗走した国王チャールズ二世が身を隠したとされる樹木の子孫だ。シャーウッドの森にあるオークの大木はロビン・フッド伝説にちなんだもので、毎年50万人の見物客を集めている。




<イチョウの魅力>よりp39~40
 シンボルとしてのイチョウ(ギンコー)は学術界のみならず商業界でもよく使われている。ギンコー・カフェはオーストラリアのメルボルンからドイツのフランクフルトまで、世界中のたくさんの場所にある。おしゃれなギンコー・スパやギンコー・レストランも、世界中のどこかにある。イチョウを模したデザインは、あらゆるタイプの広告に使われる。マーケティング担当者もブランド開発者も、ギンコーという言葉の響きと独特の形をした葉に、「現代的であると同時に時代を超越している」「エキゾチックだが身近」というイメージを、そしてなにより「エレガント」というイメージを重ね合わせる。

 シカゴ郊外のオークパークには建築家のフランク・ロイド・ライトがかつて住んでいた家と仕事場があり、その庭に立派なイチョウの木が立っている。この木はライトがこの土地を買ったときにはまだ若木だったはずだから、家を増築するのに邪魔だと思えば深く考えず撤去することもできただろう。だが彼はそうせず、イチョウの木を囲むように建物を拡張した。ライトは何度か日本を訪れている。日本で目にしていたであろうイチョウに、彼は特別な思いを抱いていたに違いない。こんにちでは、毎年数万人の観光客が20世紀の偉大な建築家の「聖地」を訪れて、そのイチョウの木陰を通り、ギンコー・ブックショップで入場券を買う。
(中略)

 イチョウとフランク・ロイド・ライトの組み合わせは意外でも何でもない。アーツ・アンド・クラフツ運動は、イチョウの葉をモチーフにした当時の製品にとりわけ強く影を落としている。優美でシャープな曲線美をもつイチョウの葉の形は、「機械への抵抗」という美学にぴったり適合した。イチョウはアールヌーボー運動でもモチーフになった。ナンシーとプラハにあるアールヌーボー様式の建物には、イチョウの小枝と葉のみごとなレンダリングがほどこされている。


ギンコー

【本日のお酒。今、国内のウィスキー関連では一番ホットなシリーズではないでしょうか。ご存知イチローズ・モルトの新製品。これはブレンデッド・モルトになります。"Ginkgo"は銀杏の意。よく見るスペルだと思ったら、私の住む市の市木であるため、街路樹に多く使われており、"Ginkgo biloba"と学名を書いた札がくくりつけられているのを見ていたのでした】







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Last updated  2015.06.25 04:40:11
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