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2015.09.03
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カテゴリ: 歴史
図書館で『日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)』という本をみつけたのだが・・・・
おお、『日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上)』を読んでいるので、これを読めば本書は完結するわけだ♪
ということで、借りたのです。

「世論とメディアによる戦意高揚」という内容の本を、NHKの出版社から出しているわけだが・・・
皮肉というか、出るべくして出たのかも。


【日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)】
戦争

日本放送協会編、日本放送出版協会、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
高揚を創出した戦争報道の知られざる側面、開戦を決断したリーダーたちの驚くべき実態。新資料が明かす「なぜ」への回答とは。新たな角度から太平洋戦争までの道のりに光をあてた「メディアと民衆」と「指導者」を収載。井上寿一、ジョン・ダワー、佐藤卓己、半藤一利ほかによる最新の「読み解き」も収載。
【目次】
第3章 メディアと民衆ー“世論”と“国益”のための報道(“熱狂”はこうして作られた/世論とメディアによる戦意高揚/横並び報道と被害者意識/ラジオが導いた戦争への道のり)/第4章 指導者ー“非決定”が導いた戦争(開戦・リーダーたちの迷走/“非決定”という恐るべき「制度」/アメリカの誤算/1941年、開戦までのアメリカ)/日米開戦史を再考する/対談 太平洋戦争開戦前の「日本と日本人」(半藤一利・松平定知)

<読む前の大使寸評>
「世論とメディアによる戦意高揚」という内容の本を、NHKの出版社から出しているわけだが・・・
皮肉というか、出るべくして出たのかも。

rakuten 日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)


『日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)』を更に読み進めています。
日本の仏印進駐が、アメリカの覚悟を固めたと言われるが・・・
大使としては、日本のこのような(愚かな)政策決定メカニズムを知りたいのです。
p105~109
<決意なき進駐を黙認>
「具体的措置ニ関シテハ別ニ之ヲ定ム」
 要綱の最後に記されたこの一文が、実質的には何も決めず準備だけをする様子見、先送りの決定だったことを象徴している。
 「 何で妥協したかというと、文字で妥協したわけです。作文で、名人がだいぶ出てきていましたからね。頭の良いのがたくさんおりますから、なかなか面白い文字でもって妥協している 。それで国策がわかったような顔で、陸軍は自分の了解にしたがってどんどんやる。海軍は海軍の了解でやっているという、そういう現象なんです」(富岡定俊・軍令部作戦課長談話速記録)

 この国策は御前会議で裁可され、南北進駐に向けての「準備」が始まった。1941年7月上旬、陸軍は北進準備のための動員を開始した。関東軍特種演習、通称「関特演」である。
 総勢16個師団、85万人の大兵力が集結を始めた。鉄道省は普通列車7本から8本を運休し、臨時軍需列車を増発して物資を輸送っした。さらに商工省、通信省は様々な物資を朝鮮に送るため、90万トン分の船舶を民間から徴用した。

 任務は秘密とされ、兵士の見送りも許されなかった。「準備」がどこまでを指すかは、軍の判断に任されていた。方針の曖昧さをいいことに、陸軍は「準備」の内容を最大限に解釈した。この大動員が単なる「準備」で済むのか。陸軍はソ連との戦争を始める気ではないのか。周囲には疑念が生まれ、政府に緊張が走った。

 海軍省では、軍務課長の石川信吾が、関東軍の大規模動員についての報告を受けた。陸軍の暴走を危惧した石川は、陸軍省軍務課長・佐藤賢了のもとに乗り込み、ソ連への進駐を思いとどまるよう強く訴えた。

 様子見のために曖昧なまま放置した首脳陣の方針が、現場の拡大解釈を許す結果につながった。陸軍の動静に危機感を抱いた海軍は、南進の「準備」に焦り出した。

 近衛首相ら首脳陣は、陸軍の進駐準備を止める代わりに、陸軍の関心を南に向けようと画策する。そのため、今度は海軍の南方準備に同意してしまう。
「近衛さんは(海軍が推す南の)仏印をやらないと、北の方に(陸軍が侵攻を)やりゃせんかという心配があったから認めた。南ならすぐには戦にならないという考えだった」(鈴木貞一証言)
(中略)

 首脳陣としては、事前交渉でフランス側の合意を得た少数部隊の派遣に過ぎず、石油のあるオランダ領や、アメリカ・イギリスが神経を尖らせるイギリス領には手を出すつもりはない、北方と同様に様子見のつもりで了承した行動だった。

「アメリカも東洋方面で、自ら事を構えることはしないだろうと。とにかくヨーロッパの戦争のほうに向いているんですよね。ですから、まさかそこまでは来んだろうという考え方は非常にあったわけですよ」(柴勝男証言)

「南部仏印の進駐っていうことが、大東亜戦争の決起になるというほど、僕は不明にして考えなかった。経済やアメリカの圧迫、アメリカの決意をあそこでやらすほどの情勢判断をようしなくって(進駐を)やったですね」(土居明夫証言)

 情報畑出身の土居は、個人的には軍の中枢層を中心とした楽観的な見立てに疑問を抱いていたが、組織全体でその懸念が共有されることはなく、結局土居自身も南部仏印進駐直前に更迭されてしまった。
「自分たちとしては抑制的に動いているつもりであると、本当はここ(蘭印)まで行きたいんだけど、手前で止めているんですからね。ある意味で、烏合の衆が寄り集まって、綱引きをしているうちに、いつの間にかへんなところに行ってしまったという感じでしょうか」

<漂流する日本首脳部>
 フランス側の合意を得ているとはいえ、日本の仏印への進駐はアメリカの態度を決定的に硬化させた。それまでの部分的な輸出制限から、石油は一滴なりとも売らないとする対日全面禁輸へと一気に踏み込んだ。

 すでにアメリカの反日世論は高まっていた。アメリカ政府内では対日強硬派が力を拡大し、日米交渉での時間稼ぎを考えていたハル国務長官らを圧迫していた。そうしたなかでの強硬措置をルーズベルト大統領も追認、制裁解除の条件には中国と仏印からの撤兵が掲げられた。

日本の首脳部が方針を曖昧にし、意見を一本化できず、選択肢を残そうとしたことが全面禁輸という最悪の結果を引き起こしたことになる。前面禁輸に対する覚悟などまったくしていなかった軍の中枢でも、たちまち混乱が広がった。

ウーム、首脳部のインテリジェンスが貧困だったということですか。



<南部仏印進駐の過程>
話は前後しますが、準備することを決め、その準備が北と南で始まります。北はギリギリのところで止まりますが、南は「武力衝突ではない」ということで、いわば予定どおりに南部仏印に入っていきます。この時点で、すぐに戦争にはならないかもしれないけれど、アメリカの経済制裁や石油禁輸に関して、日本は楽観的かつうかつに軽く考えてしまう。
森山:南部仏印に軍事的な本拠地を置きたいという要求は、41年の当初から存在しています。そのときから、松岡が「やる、やる」といいながら陸海軍を煙に巻き、なんとか抑えていたという状況です。それが5月6月ぐらいになって「やはり南部仏印へ進駐したほうがいいのではないか」という議論が出てくる。

 それはひとつには、日本軍は北部仏印に進駐しているわけですが、仏印があまり日本に好意的ではないことがわかってきた。約束はしたけれど売ってくれないという状況になってくる。また1941年は、米がたいへん不作な年で、日本国内で米が不足する、どうしようという話になるんですね。

 となれば、仏印から米を買わなければいけない。それも当初はたくさん輸出してくれることになっていたのですが、「売らない」といい出すんです。そうなあると、兵力を増強する形で南部の中心を押さえ、威圧していうことを聞かせたいという思いが顕在化します。
 さらに、蘭印も日本に対して戦略物資の売り惜しみを始めた。蘭印が売った物資が、シベリア鉄道を経由してドイツに渡ることを警戒したのです。南部仏印に兵を進めることで蘭印を威圧し、戦略物資の入手を容易にしたい。結果は正反対になったのですが、そのような思惑で南部仏印進駐が決定されたのです。

 それと同時に、対外的には、「仏印までは、イギリスもアメリカも容認するだろう」という読みがありました。「蘭印やシンガポールではなく仏印ぐらいまでなら、自分たちは抑制的に動いているつもり」なんですね(笑)。本当はその先まで行きたいが、その手前で止めているんだからというような認識があったあのです。

 ただし、南部仏印に進駐したらアメリカが石油を禁輸するのかどうかは、イギリスやアメリカの当事者でもわかりませんでした。これは政治の世界ですから、結果責任は問われなければいけませんが、当時そう判断できた人は、現場にはほとんどいなかったと思います。

暫定方針は決めたといいながら、仏印進駐を止めて引き返すような決定を下すのは、当時の流れではトップでも難しいものだったのでしょうか
森山:いえ、みんなけっこう優柔不断で、ぎりぎりの段階まで「危なそうだからやめようか」といっているのですが(笑)。問題は、「危険だ」「やめよう」といいながら、それをもう一度政策として決定することが煩雑で困難なため、やめることをやめてしまったのですね。

 もし権力が集中していれば、「やっぱりやめにしよう」とパッパッと決まるわけですが、まさに「両論併記」のような形で政策運営をしている状況でそれを覆すとなると、またそれも決まらないかもしれないと。結局、南部仏印進駐を中止する機会は、そこで失われることになります。

この時点までの特徴は、強力な指導者や主体がひとつの方向へ引っ張っていくというスタイルではありませんね
森山:そうですね。 ある意味、烏合の衆が寄り集まって綱引きをしながら、いつの間にか変なところに行ってしまっていると。「船頭多くして船山に登る」というような状況だったわけです。


『日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上)』を再掲しておきます。

【日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上)】
戦争

日本放送協会編、日本放送出版協会、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
新たに見つかった膨大な証言・資料から浮かび上がる太平洋戦争へと至った「本当の」道のりとは。大きな反響を呼んだ「外交」と「陸軍」を収載。第一線の研究者による解説も充実。

<読む前の大使寸評>
責任をとらないとは今でも官僚のサガであるが、当時の状況を見てみましょう。

rakuten 日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上)
日本人はなぜ戦争へと向かったのか(上) byドングリ


日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)1 byドングリ





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Last updated  2015.09.03 08:18:06
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