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2015.09.16
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図書館で予約していた『街場の戦争論』という本を約3ヶ月待ってゲットしたのです。
当地の図書館では、売れ筋の小説ならいざ知らず、堅い内容の本なら3ヶ月ほど待てば借りられるというわけですね♪

折りしも、政権与党は安保法案を参院特別委で16日に採決する方針だそうです。
えらいこっちゃ、アメリカの戦争に加担するニッポンになるのか?



内田

内田樹著、ミシマ社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
改憲、特定秘密保護法、集団的自衛権、グローバリズム、就職活動…。「みんながいつも同じ枠組みで賛否を論じていること」を別の視座から見ると、まったく別の景色が見えてくる!現代の窒息感を解放する全国民必読の快著。

<読む前の大使寸評>
内田先生なら、集団的自衛権をどう論じるか?
とにかく、国会でも安保法案で時間稼ぎ審議中でもあり、全国民必読の本というのもうなずけるのです。

<図書館予約:(6/01予約、9/06受取)>
rakuten 街場の戦争論


この本は読みどころが多いので(その2)として紹介します。
戦争法規とか、日本人の失ったものあたりを見てみましょう。

<戦争は犯罪ではない> よりp24~27
 国際法というものがあります。戦争犯罪は軍法に基き、軍事法廷で裁かれる。そういうルールになっています。でも、それはあくまで「たてまえ」です。戦勝国は「戦争犯罪」をかなり恣意的に敗戦国に適用し、無限に処罰し続けることができる。
 極東軍事裁判では、弁護人に立ったベン・ブルース・ブレイクニーは裁判の管轄権についてきわめて論理的かつラディカルな批判をしたことで知られています。彼はこう述べました。

 「戦争は犯罪ではない。戦争法規があることが戦争の合法性を示す証拠である。戦争の開始、通告、戦闘の方法、終結を決める法規はもし戦争自体が非合法ならまったく無意味である。国際法は、国家利益追求の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはない。歴史を振り返ってみても、戦争の計画、遂行が法廷において犯罪として裁かれた例はない。国家の行為である戦争の個人的責任を問うことは法律的に誤りである。なぜならば、国際法は国家に対して適用されるものであって、個人に対してではないからである。戦争での殺人は罪にならない。それは殺人罪ではない。戦争が合法的だからである。」

 そして、さらにこう続けました。

 「われわれは、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?」

 もちろん、彼らは殺人罪では訴追されることはありません。「それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである」。

 僕はこのとき裁かれたA級戦犯たちにはさまざまなレベルでの政治責任があると思いますけれど、それでもブレイクニーのこの弁護のロジックは話の筋目が通っていると思います。しかし、極東軍事裁判の判事たちはこのロジックを退けました。そして、原爆を落として勝った側はいかなる罪にも問われないが、戦争を計画し実施して負けた側には戦争犯罪を適用しました。

 僕ももいいい年ですから、そういうことで青筋立てて怒ったりしません。「世の中というのは、そういうものだ」と思います。戦争を始めた人たちだって「世の中そういうものだ」とわかっていて戦争を始めたのですから、大日本帝国戦争指導部にはこのダブルスタンダードについて文句を言う権利はない。

 権利があるとしたら、それは「日本が戦争に勝って、アメリカの戦争指導者たちを軍事法廷で裁くときに、私なら決してアメリカの戦争指導者たちを戦時国際法以外の罪状で告発することはしなかったであろう」という仮定法的な命題を説得力のある証拠に基いて立証し得た人だけです。残念ながら、そのような可能性を持っていた人は戦犯たちの中にはひとりもいなかった。
(中略)

 日本は戦争に負けることで多くのものを失いました。それはどのようなものか。「そんな話はもう止めよう」と言って済まされるものではありません。僕たちの国は敗戦であまりにも多くのものを失った。それを回復しなければ、この国は蘇生しない。そして、僕たちが敗戦で失った最大のものは「私たちは何を失ったのか?」を正面から問うだけの知力です。あまりにもひどい負け方をしてしまったので、そのような問いを立てる気力さえ敗戦国民にはなかった。

 その気力の欠如が戦後70年続いた結果、この国の知性は土台から腐蝕してきている。僕にはそのように思えるのです。ですから、僕たちはあらためて、あの戦争で日本人は何を失ったのかという痛々しい問いを自分に向けなければならないと思います。


内田先生が、独自外交や鳩山下ろしの事例を語っています。

<従属国民マインドの完成> よりp103~104
 アメリカの許可を得ずに日本が展開した外交の最後の企ては、1972年に田中角栄と周恩来の間で取り交わされた「日中共同声明」だったと僕は思います。田中角栄が電撃的に「日中共同声明」を発表したとき、キッシンジャーは「田中を決して許さない」と激怒したと伝えられています。そして、その直後、アメリカの上院で開示された情報で田中が没落するというロッキード事件が起こります。

 僕たちが知るかぎり、戦後アメリカに逆らって独自外交を展開しようとした総理大臣が長期政権を保った事例はありません。民主党政権の鳩山由紀夫がそうでした。オリバー・ストーンは先の講演の中で、「日本には大儀や理想を語る政治家がひとりもいない」と言ったあとに前言撤回して、「いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ」と付言しました。鳩山にしても小沢一郎にしても、民主党政権のときに明確に対米自立を口にした政治家たちはたちまちのうちに引きずりおろされました。

 ただし、オリバー・ストーンが「オバマにやめさせられた」というのは間違いだと思います。だって、アメリカ大統領にはそんな内政干渉じみた直接行動をとる必要がないからです。「この政策はアメリカの国益に反するのではないか」と忖度して、「鳩山をおろせ」と活発に世論形成してくれる政治家や官僚やジャーナリストが日本国内には掃いて捨てるほどいるのですから。

 鳩山首相は「外国の軍隊が占拠している土地を日本に返してほしい」という当然の希望を述べただけです。でも、「そういうことを言って日米同盟関係の信頼を傷つけたことによって日本の国益を損なった」というロジックが連日メディアを賑わしました。アメリカの国益を損なう人間は日本の国益を損なう売国奴だという奇妙なロジックに対して誰も「変だ」と言わないことが「変だ」と僕は思います。


街場の戦争論1 byドングリ





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Last updated  2015.09.16 15:10:21
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