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2016.07.05
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カテゴリ: 歴史
図書館で『日本滞在日記』という本を手にしたのです。
ロシアの全権大使が見た鎖国時のニッポンが興味を惹くわけだが・・・
この本が1994年まで非公開であったこともまた、謎の多いロシアである。



レザーノフ

ニコライ・ペトロヴィチ・レザーノフ著、岩波書店、2000年刊

<「BOOK」データベース>より
 1804年9月、長い航海の末長崎に到着したロシアの全権大使レザーノフ。通商を求めて交渉するが、日本側の対応にいらだちを募らせるー半年余りの日本滞在中の日記。
 本書は長年出版が禁じられ、1994年に初めて公刊された。開国への胎動のうかがえる日本社会や、日露交流史を考える上で、興味ぶかい数多くの事実に満ちている。

<読む前の大使寸評>
ロシアの全権大使が見た鎖国時のニッポンが興味を惹くわけだが・・・
この本が1994年まで非公開であったこともまた、謎の多いロシアである。

rakuten 日本滞在日記


レザーノフへの指令書を「付録」に見てみましょう。
p375~383
付録1 日本への外交使節団のためのルミャンチェフからレザーノフへの指令書 より
1.日本に接近したら、危険な場合を除き、決して長崎以外の港には近寄ってはならない。安全な状態で長崎港に入港できるはずである。検使船がやってきて、どこから来たのか、誰からの使いであるかなど質問されることになろう。この時は、将軍への国書を持参した使節が、ロシア帝国の首都からやって来たと答えること。碇泊する場所に案内してもらいたいこと、奉行に到着を知らせてもらいたいこと、そして彼から今後どうすべきか指示をもらいたいと聞くように。

2.港のしかるべき施設に案内されないときは、たくさんの部下や通訳を伴った高官が船に乗ってあなたを訪問するだろう。

3.日本の役人たちを迎える場所に絨毯を敷き、その上に彼らを座らせること。彼らは必ずあなたに対して、いろいろな質問をしてくるはずである。その時あなたの答えや質疑のようすを一言ももらさず書き留めるように。どこから来たのか、どこの生まれで、どんな国家で、どんな目的を持ち、何を持参してきたかを聞いてくるはずだ。

4.この時次のように答えること。ロシア帝国から日本の将軍へ国書と献上品を持参した使節である。航海に必要な物だけを積んである。すべてはあなたに委任され、我が皇帝から日本の将軍閣下への国書と献上品は、しかるべき厳粛な儀式のなかで、将軍と謁見したときに渡す。
(中略)

18.最も重要な任務は、日本と通商を結ぶことである。このために彼らの習慣と折り合いをつけながらそのための手段を探し出し、道を切り開かなくてはならない。
 最近の事件、バタヴィアの東インド会社の崩壊は、あなたに有利になるはずだ。つまり唯一のライバルが消滅し、貿易の自由化の可能性が生まれたことになるからだ。
 なおロシア船の長崎入港を許可した詔書(信牌のこと)を今回持参することになるが、この権利を今回の一艘だけにとどまることなく、ほかの多くの船にも適応できるよう交渉すること。
 さらに日本人たちに貿易が直接両国にとって多大な利益をもたらすことを説明し、我々のところから、彼らが毛皮商品、象やせいうちなどの骨、魚、皮革製品、羅紗などを得ることができ、我々はこれと交換に彼から米や、銅の延板、絹などを受け取ることになるだろう。

 タフな交渉に耐えられるよう、こと細かな指令書になっていますね。割と穏当な指令ではあるが、当時のロシアの外務官僚のレベルがわかる史料ではないでしょうか。
・・・若しかして、このあたりの外交交渉の手の内が、国家機密だったのかも知れないが、そんな柔なロシアではないのかも?

『日本滞在日記』1
『日本滞在日記』2






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Last updated  2016.07.05 07:12:11
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