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2016.09.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『グローバル化と食品企業行動』という本を手にしたのです。

大使思うに、食糧戦略といえば伝統的にアメリカの十八番であるが、TPPに見られるようにニッポンの不得意とするところである。これではアカンというわけで・・・
こんな専門的な本を借りたわけでおます。



グローバル

斎藤修著、農林統計出版、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
第1部 グローバル化と国際分業の新展開(オープン・リージョナリズムと国際分業の新展開/食品産業の産業内貿易の理論と現実/食品企業の海外立地選択行動:新経済地理学からの接近/フードシステムの成長とアジア経済ーアジア国際産業連関表による分析/わが国フードシステムをめぐる経済環境ー地域貿易協定の展開と交易条件)/第2部 食品企業の海外展開とその戦略(食料品開発輸入の転換期ー中国産冷凍野菜を事例に/中国における日系食品企業のパートナーシップ形成/アジアにおける日系流通企業の展開と課題/グローバル化時代の食文化と日本食の海外進出/日系食品企業のASEAN(GMS)への直接投資とその戦略ータイ国への直接投資を中心として ほか)

<読む前の大使寸評>
大使思うに、食糧戦略といえば伝統的にアメリカの十八番であるが、TPPに見られるようにニッポンの不得意とするところである。これではアカンというわけで・・・
こんな専門的な本を借りたわけでおます。

rakuten グローバル化と食品企業行動


中国野菜といえば、その低価格と安全性が気になる商品(開発輸入食糧品)であるが・・・
第6章 食糧品開発輸入の転換期(菊池昌哉)で、その動向を見てみましょう。
p83~91
<1. 課題の設定>
 1960年代末以降、日本の商社や食品企業がタイ国や中国等を中心に東アジア諸国に資金や技術を投入し、日本向けの農産物や食材の供給体制を確立してきた。

 日本企業は進出先国において、原料や製品の生産設備の細部にまで深く関与し生産された商品を一定の価格水準で継続的に大量発注することによって日本企業優位の取引関係を構築し、食品・食材の安定調達を図ってきた。これらの取り組みが食料品の開発輸入であり、日本独自の食糧の輸入形態として位置づけられてきた。

 国際貿易投資研究所「ITI財別国際貿易マトリックス(2009年版)」によると、2008年度の東アジア域内からの日本の輸入額は159.5億ドル(30.2%)に達しており、ASEAN諸国(177.8億ドル)に次いで2番目の貿易規模となっている。とりわけ、日本の中国からの食料品の輸入額は圧倒的な割合を占め、日本が東アジア域内から調達する食料品のおよそ半分(71億ドル)に達し、東アジア域内貿易の中でもASEAN域内での相互取引に次いで2番目の貿易規模となっている。これらの点からも、日本の中国からの食料輸入は東アジア域内貿易において重要な位置を占めるとともに、日本の中国への食料輸入依存度の高さを窺い知ることができる。

 ところが、2000年代末以降、中国の日本への食料品の輸出割合は急速に低下している。中華人民共和国商務部対外貿易司の「中国進出口月度統計報告農産品」によると、2001年から2010年にかけての10年間に、中国は食料品の輸出額を159.8億ドルから488.8億ドルに大きく増加させたが、その一方で日本向けの輸出シェアは35.8%から18.1%へと半減している。つまり、食糧の輸出先としての日本の存在感が相対的に低下しているのである。こうした変化は食料調達のバイイングパワーの低下につながることから、日本企業優位の下で進められてきた食料品の開発輸入に変化をもたらしていると考えられる。

 もしそうだとすれば、これまで中国をはじめとする東アジアで実施してきた日本の食糧開発輸入そのものが大きな転換期を迎えている可能性があり、多くの食糧を輸入に依存しているわが国にとって看過できない問題である。
(中略)

<2. 日本向け輸出シェアの低下とその要因>
 わが国に輸入されている食料品の多くは、世界基準のような規格の普遍性を持った食料品と、日本独自の細かなレシピに基いて生産されたいわば日本仕様の食料品が輸入されている。前者は、大豆、小麦、鶏肉などの素材原料が主であり、加工度が低く似姿にも同じような特徴がある。このため、輸出国は生産した商品を日本以外の複数の国へ販売することが可能である。一方、後者の食料品は日本側が指定する独自の加工基準や安全基準を満たしたものであり、全体的に加工の程度が高く、味付けまで行われていることがある。このため、日本以外の国に転売することの難しい商品である。

 したがって、開発輸入による日本向け食料品の場合、生産国の企業は工場内の敷地や稼働率に限界があること、販路の狭さや高度な生産基準等を勘案すると他の国よりも魅力的な価格条件でなければ生産に応じないのが一般的である。

 では、日本向けの輸出シェアの低下は日本の買い付け価格が相対的に低下しているために起きたのであろうか。「中国海関統計年鑑」に記載され輸出実績のある農産品11品目を対象に、日本向けの輸出動向を見ると、2000年と2011年を比較して輸出数量と輸出シェアがともに大きく減少しているのは、その他の豆、ほうれん草、ミックス野菜の3品目である。

 これらの品目は、2000年当時、輸出量が1万トンを越え、なおかつ日本向けが総輸出量の80%を超えていた品目である。すなわち、残留農薬問題が発生する以前には、輸出の中心的な品目であった。同品目は現在米国向けの輸出が増加しており、最大の輸出先は日本ではなく米国に変わっている。
(中略)

<4. 安全管理面に見る日本企業と現地企業の不一致の要因>
 野菜の加工工程の外部化は人件費の高騰や第一次関連産業の従業者の不足など、中国社会の構造変化が主たる要因となっているが、その運用形式が凍菜協に代表されるような日本側の要求に対応したものになっていないのは、中国の冷凍野菜製造企業の安全管理能力が向上していることに加えて、日本企業と中国の企業との間で冷凍野菜取引をめぐる主体間関係が変化しているからである。
(中略)

 中国企業がグローバル展開に向けて大きく舵を切ったのは、2002年に日本で発生した残留農薬事件の影響が大きかったものと考えられる。この問題が発生する以前には日本市場は中国にとって最大の販売先であり、およそ80%ものシェアを占めていた。残留農薬問題が発生したことによって、日本政府がポジティブリスト制度を導入し、モニタリング検査の検査項目を大幅に拡大し、検疫所の監視員も増員するなど、それに加えて中国政府も輸出先国で残留農薬違反を起こした場合、冷凍野菜製造企業に対して輸出禁止や罰金等の厳格な措置を講じたため、現地の製造企業の間で先行きへの不安が高まり、リスク回避の面から積極的に脱日本向け輸出に着手せざるを得ない状況が生まれたのである。

 またわずかな期間内に輸出先の多角化に成功したのは、中国の冷凍野菜製造企業が世界で最も厳格な基準を品質、規格、安全性に掲げている日本との間で他品目の商品を長年にわたって取引していたことが、他国への輸出先の転換を容易に成し遂げることになったのである。

 これに対して、日本企業は調達コストおよび他品目の原料を大量に生産可能な中国の気象条件、さらには安全性への対応能力などの面から調達先を中国以外の国へ本格的にシフトさせることができていない。このため、大手開発輸入業者といえども安全管理対策以外の価格交渉の面でも値上がりした商品を購入するか、あるいは管理レベルのより低いコストの安い工場から調達するかの選択を迫られている。こうした状況は日本向けの輸出シェアが高かった当時には想像できなかった現象であり、こうした点からも取引の主導権が中国側に移行していることがうかがえる。


ところで・・・
韓国のトウガラシ産地の危機がネットに出ています。韓国も辛いぜ。

中国産の流入で危機に瀕する韓国のトウガラシ産地
 実はトウガラシはかつて日本でも盛んに栽培されていた。昭和30年代には生産量が7千トンにも達し、輸出もしていたほどだったのだ。しかし円高による輸出難と、手間がかかりすぎ人件費が賄えないという理由で生産は減少。今ではほとんどを中国とベトナムからの輸入に頼っている。韓国は今、日本から数十年遅れでこうした状況になりつつある。言葉を換えれば、ようやく日韓が課題を共有できる状況になったのだ。

 「イムシルは昔からトウガラシの町として有名だが、今回の視察で新宿のトウガラシの工夫に本当に感銘を受けた。将来、トウガラシを通じた交流を活発にして、共同で良いものが開発できるようにしたい」シン・ミン郡守は視察後こう語り、成田さんと固い握手を交わした。廉価な中国産という共通の壁を前に、日韓の産地が手をとりあう日が来るのかもしれない。






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Last updated  2016.09.17 01:53:19
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