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2016.09.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『海を渡ったモンゴロイド』という本を手にしたのです。

たまたま、中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』を読んだあとなので・・・
渡来人が日本文化に与えた痕跡を、この本で読んでみたいと思ったのです♪



モンゴロイド

後藤明著、講談社、2003年刊

<「BOOK」データベース>より
紀元前に千キロ単位を航海し、太平洋の島々に移住した人々とは。そして、彼らと我々の驚くべき関係とは。遺伝子、言語、遺跡、そして神話に残された痕跡を縦横に読み解き、広大な大洋を渡った「海人」の実相に肉薄する。
【目次】
序章 ボエッジ・オブ・リディスカバリー/第1章 海人の民族学ーアジアの海浜にて/第2章 海人の黎明ースンダランドからオセアニアへ/第3章 海人の始動ーオーストロネシア系海人の登場/第4章 海人の展開ー未知の海域へ/第5章 海人の精華ーポリネシア人のからだとこころ/第6章 海人の戦略ー移住の戦略と航海術/第7章 海人の小宇宙ーシンボルとしてのカヌー/第8章 海人日本へ、そしてアメリカへ/終章ー海人論から学ぶもの/補章 比較言語学と歴史言語学

<読む前の大使寸評>
たまたま、中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』を読んだあとなので・・・
渡来人が日本文化に与えた痕跡を、この本で読んでみたいと思ったのです♪

rakuten 海を渡ったモンゴロイド


「オーストロネシアの源境」が言語学的に興味深いので、見てみましょう。
p72~75
<オーストロネシア語の広がり>
 世界には五千から一万の言語があり、それらは語族というグループにまとめられる。たとえば、英語、ドイツ語、スペイン語などのヨーロッパの言語と、インド古代のサンスクリット語、現在のヒンディー語、パキスタンのウルドゥー語、イランのペルシャ語などはすべて、インド=ヨーロッパ語族としてまとめられる。

 このような大語族に匹敵するのが、オーストロネシア語族である。オーストロネシア語族には600から1200の言語が含まれると言われ、約2億7千万人の話者が存在する。その中でも話者人口の多いのが、インドネシア公用語、マレー語、ジャワ語などである。さらに、フィリピンの公用語であるタガログ語、あるいは話者の数ではタガログ語をしのぐとも言われるセブアノ語などである。

 一方、ベトナムのチャム語や、先に触れたミャンマーのモーケン族など、少数民族化した民族の間でもオーストロネシア語が話されている。アミ、ヤミ、タイヤル、パイワンなど台湾の先住民の言語も同じ語族である。そしてオセアニアの島嶼部、すなわちニューギニアの海岸部からメラネシア、ミクロネシア、ポリネシアにかけて話されている言語のほとんどがオーストロネシア語である。

 さらに驚くべきことに、アフリカのマダガスカル島にもオーストロネシア語を話す民族がいる。これを西端とし、ポリネシアのイースター島を東端とする広い海域にオーストロネシア語を話す民族が広がっているのである。
(中略)

 さらにこの系統樹の意味するところは、たとえば、台湾先住民語とフィリピン緒語の違いに比べたら、オセアニア語の中のハワイ語、マオリ語、タヒチ語などに至っては、その違いは方言に毛が生えたほどで、たいした違いではない、ということである。

 たとえばイギリスのキャプテン・クックが18世紀後半に初めてハワイに来たとき、ハワイ語はタヒチ語とよく似ており、タヒチ語の「豚」や「ヤムイモ」という言葉が通じた、と驚いている記録がある。

 さらに特徴的な点がある。ニューギニア島では、北部や東部の海岸部のみにオーストロネシア語が分布し、内陸の大多数の民族は系統の異なるパプア語を話しているのである。すなわち、オーストロネシア民族の移動経路は海岸部であり、内陸には入って行かなかったのである。また、オーストラリア大陸には到達していない。逆に、東部インドネシアの一部やメラネイアの西部には、パプア語ないし非オーストロネシア語が分布する。たとえば、第1章でふれたマレ島のある北マルク地方がそうである。

 だが一方で、メラネシアの東部からポリネシアやミクロネシアの多くの地域、すなわちリモート・オセアニアの未居住の島々にオーストロネシア語は分布を広げていった。すなわち、オーストロネシア民族が、これらの地球上の最後に残された地域を開拓したのである。


この章では中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』で読んだ内容とかぶるので、興味は倍加するのです。
p78~81
<言語学的証拠>
 オーストロネシア語の系統分類がなされるにつれて、各段階の祖語復元の作業が進展してきた。中でも第5章で紹介するポリネシア祖語の研究が一番進んでいる。しかし最近、他の言語の研究も進展し、おおもとのオーストロネシア祖語研究もかなり進んできた。祖語の復元の方法については補章にゆずるが、オーストロネシアの源境(ホームランド)は、次のように考えられてきた。

 オーストロネシア祖語には、熱帯性の作物や植物に関する語彙が数多く存在しているので、その源境は赤道周辺の熱帯地域であると考えられる。いち早くその源境を推測したオランダの言語学者ヘンドリック・ケルンは、さらに海や航海に関する語彙から、それは海岸部であろうとした。また「南」を意味するselatanという語彙は、マラッカ海峡周辺の言語では原義が「海峡」を意味するところから、南に海峡が存在する所であろうと考えた。
(中略)

 現在、もっとも有力な学説は先に見たハワイ大学のブラスト説である。彼はオーストロネシア語の最初の分岐は、台湾先住民語(以下台湾語)とマレー・ポリネシア語派の間に起こり、オーストロネシアの源境は台湾付近であると考える。

 かなり広く育成する作物や植物名称だけでは確定的なことは言えない。しかしブラストは一つの証拠として、台湾語と北部フィリピン語に存在する「松」を意味する語彙は、亜熱帯にしか存在しないことを重視する。また同じように限定的な分布をする「地震」を意味する語彙、そして台湾では「冬」を意味する語彙が、フィリピン方面では「北風」を意味することなどに注目している。

 そこで彼は、ケルンの推測はおおむね正しいが、源境は熱帯ではなく亜熱帯で、地震などの起こる地殻の不安定な所、また季節風の存在する場所であるとする。結論として、総じて台湾がもっともその要件を備えている、と主張している。

 ブラストは紀元前4000年ごろとされる台湾の原初オーストロネシア文化の特徴を、言語学の証拠から次のように要約している。
(1)米と雑穀の耕作、(2)杭上の木造家屋、(3)豚、犬、水牛、そしておそらく鶏、(4)おそらく腰機による機織り、(5)弓矢の使用、(6)土器の製作、そして(7)錫を含む何らかの金属の知識。

 これらの中で作物は熱帯地域に至るに従って、熱帯気候に適したヤムイモ、タロイモなどの根菜、およびバナナ、パンの実のような樹木作物に転換した。一方、フィリピン以南では航海技術関係の語彙の発達が著しい。そしてオセアニアに至ってラピタ文化の段階になると、水牛、機織り、金属などの要素は欠落していった。 

<中国南部と台湾の新石器文化>
 次に、オーストロネシアの源境に関するもっとも有力な候補地である。中国南部と台湾の考古学の状況を見よう。

 中国の考古学というと、華々しい黄河文明の遺跡発掘を思い出す。しかし広大な中国大陸の自然環境は多様である。中国はもともと、異なった民族が共存する一大曼荼羅であった。そして最近では、黄河文明に匹敵する古さを持つと言われる揚子江文明の調査も盛んである。ジャポニカ型の米は黄河ではなく、揚子江流域で栽培されていた。この意味で、われわれ日本人にとってより重要な地域は揚子江なのである。

 この揚子江の低湿地に紀元前6000年ごろ発達した河拇渡文化では、稲作のほかに、多様な陸上および水生の動物が狩猟されていたことがわかっている。この河拇渡および類縁の馬家浜文化には、農民というより、水人的な生活が窺われる。

(追って記入予定)





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Last updated  2016.09.22 23:39:06
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