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2017.01.15
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カテゴリ: 歴史
図書館で『遥かなる海上の道』という本を手にしたのです。




海上

小田静夫著、 青春出版社、2002年刊

<「MARC」データベース>より
最新の考古学データに基づき、日本列島をとりまく黒潮圏、特に、琉球列島、南九州、伊豆諸島、小笠原諸島で活躍した先史日本人の実像と現代日本人のルーツを検証する。海流によって育まれた幻の文化圏の秘められた実像を追う。

<読む前の大使寸評>
中華文明の痕跡を嫌う大使は、なにかにつけて「海上の道」説に惹かれるわけでおます。

amazon 遥かなる海上の道


『海上の道』の成り立ちを見てみましょう。
p47~50
■柳田国男の直感 より
 日本民族学の祖とも呼ばれる柳田国男の著書『海上の道』は、1961年の最晩年に出版された。この単行本は、柳田が1950~60年の過去10年間に発表した論文を集めたものだが、民俗学の名著として現在まで読み継がれている。

 巻頭論文の「海上の道」で、柳田は、日本文化の起源としての海上移住について詳細に論述し、あわせて海上移住者が定住後、どのような生活を展開していくかに視点を設定して、その過程を追及していった。

 この『海上の道』構想の端緒をなしたのは、先にもふれたように柳田の学生時代の夏、愛知県渥美半島伊良湖崎でのココヤシの実の発見の思い出にあるといわれている。
 その思い出を聞いた友人の島崎藤村はあの有名な「ヤシの実」を作詞し、一方、柳田は後にこの時のひと夏の体験を最晩年まで暖めて、柳田民俗学の総決算、遺書とまで讃えられるこの本に結実させたのである。

 柳田の沖縄研究旅行は、1920年暮から翌年はじめの40日間、ただ1回という短期間のものだった。しかし、柳田のこの取材旅行にかける意気込みは凄まじいもので、事前に沖縄関係の全ての書物に目を通すという周到な準備をした旅であった。現地では豊富な沖縄研究の知識を得ようと時間を惜しむ程の行動力を見せたのである。地元で対応した研究者たちは、この柳田の精力的な行動と旺盛な知識欲に驚かされたという。そして、このことが契機になって、やがてウチナーンチュ自身による「沖縄研究」が開始されたともいわれている。

 精力的な取材・研究の結果生まれた『海上の道』で、柳田が展開した日本人の祖先についての説はおおむね以下のようなものである。

 中国の殷の王国では貨幣の一つに子安貝(宝貝)を多用していた。その産地は沖縄・宮古島のサンゴ礁の海にあった。

 殷人たちは子安貝採取のために多数宮古島までやってきていた。彼らは当然稲作技術を知っていたので、やがて殷人たちは貝採取から稲作技術に転向し、宮古島から沖縄本島へ更に北上して九州本土に上陸した。稲作文化を基調にした日本人の祖先はこのように誕生したのではないか…。

■『海上の道』再考
 果たして今日の考古学的研究の成果から、この柳田国男が提唱した稲作文化の南方からの渡来説は成り立つのであろうか。

 柳田が稲作技術をもって九州本土に上陸したと述べた時代は、縄文時代晩期~弥生時代初期の2000年前頃とされている。この頃は、九州本土と琉球列島との間で多くの文物が交流した時期であることは確かである。

 沖縄本島の遺跡から、九州の弥生人が使用していた弥生土器、ガラス玉、青銅器などが発見されている。更に沖縄・奄美諸島からオオツタノハ、ゴホウラ、イモガイを利用した南海産大型貝製腕輪の貝殻貯蔵遺構が見つかっており、九州本土、瀬戸内地域に運ばれた貝の交易ルートが「貝の道」となって確立する時期でもあった。

 今のところ柳田が拠り所とした稲作栽培については、この時期の琉球列島の遺跡からは確認されていない。しかし、イモ畑跡やアワ・ヒエなどの種子が沖縄本島の遺跡から検出されており、イモ類や雑穀類の栽培は確実なことから、もしかしたら陸稲栽培の可能性は残されている。

 その証拠に、生物遺伝学の発達によって、近年、熱帯ジャポニカ種が大陸から琉球列島経由で北上するルートが推定されている。
 柳田が提示した日本人の南方渡来ルートについて、今後の研究によっては、また新たな展開が期待できるかも知れない。


フンフン 稲作伝来については、南方由来の陸稲説の可能性がまだ残っているようですね♪・・・とにかく殷人の痕跡が薄まることに大使は満悦でおます。





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Last updated  2017.01.15 06:11:59
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