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2018.01.11
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『狼が来るぞ!』という本を、手にしたのです。
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。



おおかみ

四方田犬彦著、講談社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
もうすぐ恐るべき新世紀がやってくる。猫かぶりの読者よ、こころせよ。「SPA!」名物コラムから精選107篇。1995‐1999の喧嘩、生き死に、オバケのつまった、世紀末きわめつけのこの1冊。

<読む前の大使寸評>
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。

amazon 狼が来るぞ!


四方田さんは漢族の覇権志向がお嫌いのようです。そのあたりを見てみましょう。
p100~102
<発展する大東亜共栄圏>
 今この原稿を書いているのは3月10日である。明後日から中国の共産党政権による実弾演習が、南シナ海と東シナ海で行なわれる。この号が店頭に並ぶのは19日だ。そのとき事態がどこまで進展してしまうのか、今は見当がつかないが、いずれにせよ23日に開催される台湾での総統選挙をめぐって大陸側が徹底した妨害工作を続けることは間違いのないところだろう。

 だが、はたしてそれが威嚇にとどまるという保証はどこにもない。共産党政権が成立して以来、この国は朝鮮、インド、ヴェトナムといった隣国との紛争を解決するために、半世紀の間になんと6回にわたって軍事力に訴えてきた。これは異常な多さだが、政治的主張をつねに武力という形でしか表現できない幼稚な国家の体質を示している。

 国内が市場経済によってうわつき、社会主義など誰も信じなくなった現在の大陸において、国家が自分の威信を回復し、国民に統合を呼びかけるために、もっともてっとり早い方法は何か。いわずとしれた戦争である。世界最大の規模の陸軍と、第2位の空軍をもつ中国人民解放軍のなかには、一部にかなり急進的な動きがあり、さながら2.26事件の直前のような雰囲気が流れているとも聞いた。

 たとえ現実に武力衝突が生じなかったとしても、今回の台湾領海スレスレのミサイル実験は、海峡の封鎖も目的としている。対外貿易に完全に依存した構造をもつ台湾経済は大きな損害を受けるだろう。いや、それ以上に、住民の心理的威嚇にはさらに大きなものがあるだろう。

 共産党政権はつねに主張いている。これは国内の問題であって、外国からの批判は内政干渉だと。だが、はたしてそうだろうか。台湾はかつて清国が見捨てた島であり、その後の歴史的経過を見れば、単純に中国の領土と見なせない、独立した文化と社会を築き上げている。山中と海洋に八つの少数民族をもち、彼らは漢族の中華意識とはまったく無縁の生活を続けている。大陸側がこうした事実を考慮したことがあったろうか。

 最近になって、ぼくはあるグロテスクな歴史的事実に気がついた。それは大日本帝国が戦時中に唱えた二つの理念が、皮肉なことに抗日闘争を通して成立した東アジアの二つの国家によって、みごとに実現されているということだ。端的にいって、天皇崇拝と大東亜共栄圏のことだ。北朝鮮で金日成が死んだとき、彼を神と崇める朝鮮人たちは天を仰ぎ、地に伏せて慟哭した。ぼくが知らされたのは、「大君の栄えある御代」にあることの幸福に酔い痴れていっる民衆の姿だった。

 もうひとつの理念である大東亜共栄圏については、実は中華人民共和国こそが、その成功した理念のあり方ではないかと、ぼくはにらんでいる。かつて日本が満州を、南洋諸島を、インドネシアを軍事的に占拠し、表向きは五族共和を謳いながらも日本による支配を目論んだことと、中国がチベット族やウイグル族の広大な領土に軍事的侵略を行い、事実上は漢族の領地としてしまったことの間に、どれだけの違いがあるのだろう。

 現にチベットでは創氏改名に似たことが行なわれ、アムネスティの報告によれば、無数の虐殺が繰り返されてきた。またウイグル地区では度重なる核実験がなされている。ファシズムと共産主義というイデオロギーの違いは、このさいどうでもいい。北朝鮮と中国は戦前戦中の日本の輝かしい後継者なのである。

 一方で、現総統である李登輝はアジアに民主政治の規範を打ち立てた功績によって、ノーベル平和賞の候補に挙げられている。賞など制度的なものかもしれないが、同じく候補として挙げられているのが、民主化運動推進したために十数年にわたって北京で獄に繋がれている魏京生であることは、意味深である。

 もし国民選挙がスムーズに実施されれば、おそらく李登輝は台湾民衆の圧倒的な支持のもとに、総裁の座を維持することだろう。そして中国は、89年の天安門事件のときに続いて、国際的な非難を受けるだけだろう。(96.3.27)


ウーム 四方田さんによれば、「大東亜共栄圏は既に漢族によって実現されていた」のか。





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Last updated  2018.01.11 03:06:38
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