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2018.01.11
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カテゴリ: 中国
図書館で『狼が来るぞ!』という本を、手にしたのです。
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。



おおかみ

四方田犬彦著、平凡社、1999年刊

<「BOOK」データベース>より
もうすぐ恐るべき新世紀がやってくる。猫かぶりの読者よ、こころせよ。「SPA!」名物コラムから精選107篇。1995‐1999の喧嘩、生き死に、オバケのつまった、世紀末きわめつけのこの1冊。

<読む前の大使寸評>
この本は「SPA!」名物コラムから精選とのことで・・・四方田さんは右の論客という側面もあるようです。

amazon 狼が来るぞ!


世界のチャイナタウン事情が述べられているので、見てみましょう。
p23~25
<ジャカルタの中国人>
 インドネシアはひどいことになってしまった。スハルト大統領の退陣をめぐって大きな暴動が起こったのが5月14日。何百人という人間が死亡し、鎮圧のために派遣された軍隊が発砲した。死者の数字ははっきりとわからない。スハルトは総選挙のあとに引退うるといってお茶を濁そうとしたが、国会議事堂の屋根に登った学生たちは即時退陣を要求した。物価は信じられない速度であがり、いたるところで商店が襲撃された。

 そして、20日。反政府派は百万人集会とデモを計画していたのだが、流血を避けたいイスラム勢力が直前になって中止をいいだした。が、翌日、与党までもが辞任を要求し、スハルトは第一の側近にその座を渡して辞任した。

 ぼくはジャカルタに、2年前に友だちを訪ねていったことがあった。彼は建国50周年の大オペラを演出した人物で、独立の英雄スカルノに対しては親密な懐かしさをもって語ったが、けっしてスハルトのことはよくいわなかった。

 ジャカルタの街角には黄色い標識や掲示が多いねとぼくがいうと、「あれはスハルトの与党の色なんだ。鉄道もTVも映画館も建設会社も、すべてスハルトの一族が握っている。だから黄色ばかりになるんだ」と、吐き棄てるようにいった。もっと正確にいうと、ぼくが会ったアーティストのなかで大統領のことをよくいう人間は、一人もいなかった。ある作曲家は次々と曲が禁止になり、別の批評家は会おうといった矢先に連行されてしまった。

 市の中心を少し外れたところにある人形劇博物館に行ったときのことだ。時間が過ぎていたので中に入れないでいると、一人の少年が現れて巧みに職員と話をつけ、ぼくを入れてくれた。礼をいうと、さっそく金を要求してきた。それなりに筋が通っていたので少し渡すと、

 「自分は中国系のインドネシア人なのだ。そのことを外国人であるあんたは知っておいてくれ」
 と突然に喋りだした。中国系には特別に重い出国税がかけられていて、事実上庶民は海外に脱出できない仕組みになっているという。

 チャナタウンは世界中にあるが、ひとつひとつを見ていると、その都市が民族的マイノリティに対してどのような態度をとり、当事者たちが生き延びるためにどのような苦労をしているかが、よくわかる。たとえばパリやNYのチャイナタウンは今でも移民をどんどん受け容れてゆく活気に満ちた場所だが、横浜はチャイナタウンを生活臭のないテーマパーク風のレストラン街に仕立てあげた。

 ソウルはもっとひどい。日本以上に単一民族幻想に凝り固まった韓国人たちは、チャイナタウンそのものを消滅させてしまった。

 ジャカルタではまだ存続が許可されているだけソウルよりましだが、ここでは世界でただひとつ、いっさいの漢字表記が禁止されている。それどころか、漢字の記されている薬や雑貨を国外からもちこむと、厳重に処罰されることになる。スハルト政権は表向きはかくも中国人を締めつけ、その裏で甘い利権を得てきたのだ。

 14日の暴動で真っ先にチャイナタウンが焼き打ちにあったと知らされて、ぼくは1923年に東京の大地震のさいに大勢の朝鮮人が虐殺されたことを、ただちに思い出した。と同時に、博物館の側でブラブラしていたあの少年はどうしているかなあと考えた。どの時代にも集団的な熱狂に駆られた貧しい群衆は、その捌け口をマイノリティの迫害に見つけるものなのだ。

 インドネシアは巨大な国家である。人口は2億近くあり、石器時代さながらの少数民族から西新宿なみの高層ビル街まで、なんでも揃っている。40年前にはバンドン会議を開催して、「第三世界」の連帯の先頭を切っていた国だ。だが、この国がチモール独立運動をめぐって大規模な虐殺を行い、女性政治犯に対して恐るべき性拷問を行なってきたことは、日本ではまったく知られていない。学生たちは一応勝利したが、経済の立て直しを含め、これからが大変だ。(98.6.3)

ウン ソウルには中華料理屋は点在しているが、チャイナタウンは無かったなあ。
地勢的に中国の圧力が高い韓半島で不思議にも映るが、この反発力には感心するわけでおます。
ところで、神戸では生活臭のただよう南京町が健在であるが・・・国際都市でもある神戸の寛容さが表れているのかも。

『狼が来るぞ!』1





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Last updated  2018.01.11 08:03:20
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