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2018.09.21
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カテゴリ: 歴史
図書館で『歴史・小説・人生』という本を、手にしたのです。
腰巻を見ると、「浅田次郎はじめての対談集」とのことで・・・
これは期待できそうでおます。






浅田次郎著、河出書房、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
中国・新選組・見栄っ張り東京人。自作・男気・愛国心…。浅田次郎はじめての対談集。名匠・浅田次郎のこれまでの人生、小説、そして歴史と世の中の動きを、大きく細かく掘り下げる、魅力のエッセンス。ファン待望の一冊ついに登場。

<読む前の大使寸評>
腰巻を見ると、「浅田次郎はじめての対談集」とのことで・・・
これは期待できそうでおます。

amazon 歴史・小説・人生



渋谷由里さんとの対談で語られている張作霖を、見てみましょう。
(渋谷由里:1968年生まれ、中国近代史、富山大学助教授)
p46~50
<英雄視されない張作霖>
浅田: 僕は、瀋陽出身のガイドさんから聞いたんですが、民間では、いまだに張作霖という人はとても人気があるというんですね。

渋谷: あるでしょうね。

浅田: つまり東北王と言ったら張作霖で、自分たちの主君は張作霖だというイメージがお年寄りの間にはあるそうですね。

渋谷: そうですね。やはり任侠の世界で名を成してあそこまでいったということに対する憧れはかなりあるんじゃないですか。

浅田: そのとき、その人のおっしゃったことがとても耳に残っていてね。書くんだったら、そういう角度で書くべきだろうなと思ったんです。少なくとも彼の周辺の人々に対しては非常に人気があるというね。

渋谷: そうですね。

浅田: 結局、張作霖という人物は日本ですごく有名だったけれども、日本にとっては最終的には悪役でなければならなかったから、あとからいろんな伝説が付いちゃったということもあるんですよね。

渋谷: ありますね。

浅田: だから、ことさら無知文盲であるというふうに喧伝された。いちばん怪しいのは、日露戦争のときの命乞いの話ですね。

渋谷: あの説はもう、私は自分の本では一刀両断にしました。

浅田: 捕まって銃殺される寸前で、日本軍が命を助けたということになっているんですね。それも非常にタイミングよく。つまり、張作霖というのはそのぐらい日本に恩義を被っている人間だという図式が、あまりもあからさまな伝説になっていて、どうも僕にはあれは信じられない。都合よすぎると思うんだ。だから、小説の中でも、あれは採用したくないんです。ほとんどの日本人は、たぶんその伝説を信じてたでしょうね。有名な話だったしね。

渋谷: そうですね、当時は有名な話でした。

<清朝の本当のすごさ>
浅田: 僕は今回の作品(『中原の虹』)で、張作霖のことを、『蒼穹の昴』で西太后を見たのと同じ視線で見ているんです。やっぱりあの当時の満州といったら、どうしようもないところだったと思うんですね。

渋谷: ほんとにそうだと思います。

浅田: まるっきり無法地帯で、自分の命は自分で守れ、というような発想から馬賊が始まったんだろうけれども、それが何十年間も続いている場所で、一応、張作霖は満州を統一して、ある時期には中華皇帝に最も近かった人ですね。だからそうとうの人物だと思うんですよ。

渋谷: 私もそう思います。

浅田: 歴史はあとからつくられる部分っていうのもずいぶんあって、西太后の場合なんかもそれが多いとは思うんだけれども、外国人、イギリス人やフランス人が自分たちのやっていることを正当化するために、前にはこんな悪いやつがいたんだというような形で歴史をつくるっていうのもかなりあると思うんでね。

渋谷: そうです。あと西太后など宮中の人の場合は、直に接する人が少ないですから、そえもあって憶測と想像がかなりありますね。

浅田: ただ、結果論から言えば、例えば清国という国だって、アヘン戦争では潰れなかったにしても、そのあとのアロー号事件あたりでもう潰れていなきゃおかしい王朝を、李鴻章と西太后のタッグでそのあと50年ぐらいもたせているわけだから、そうとうな政治手腕はあったと思うんですよ。

 そう考えると、張作霖という人間もただものではなかろうという、その角度からひたすら書いてみようと思ったんですね。

渋谷: 清朝というのは、非常に文書行政が整った王朝でありまして、皇帝は、地方官から上がってきた上奏文の主だったものも相当数見なければいけないんです。だから、決して怠け者では務まりません。カン豊帝という、西太后の夫は、そこが面倒くさかったみたいで、特に病気がちになってからは文書の多くに西太后が目を通して返事を書いていますし同治期はもちろん、光緒期もやはりそうですね。

 今でも宮中トウ案と呼ばれている歴史的文書が残っていまして、公開されているんです。西太后のものはまず指示が非常に的確ですね。処理案件によって、どういうふうに決裁するかということを赤い字でコメントしていくんですが、筆跡もとてもきれいです。よくあれだけの膨大な文書にそれだけのきちんとした判断を逐一下せたなと思うぐらいです。

浅田: 清朝が何百年か続いた中で、これといった暗愚な皇帝はいないと思うんですよ。

渋谷: 特に、康煕、ヨウ正、乾隆、これは名帝ですね。

浅田: 名帝が三代続くっていうことも世界にまず例を見ない。僕は歴代の君主で、決定的に暗愚な人が出なかった王朝としては、すごいと思う。

渋谷: そうですね。先生もご存じだと思いますが、漢族と違いまして、長男が絶対的に相続しなければいけないという社会ではないんです。満州族には部族制社会の名残がありまして、実力があって人望がある人でないと率いることができない。ですから、皇太子を決めないんですね。競わして、最後まで誰が指名されるか、皇帝が死んでみないとわからないんです。

浅田: 故宮の乾清宮にある「正大光明」の額、あそこの後ろに手紙を入れとくんですよね。皇帝が死ぬ前に。

ウーム 西太后の治世、日本の侵略、蒋介石と毛沢東の対立という積み重ねで、やっと旧王朝が倒れたわけで・・・
共産党王朝のお手並み拝見という時代が到来しましたね。


『歴史・小説・人生』4 :陳舜臣さんとの対談
『歴史・小説・人生』3 :宮部みゆきさんとの対談
『歴史・小説・人生』2
『歴史・小説・人生』1 :『蒼穹の昴』





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Last updated  2018.09.21 08:44:02
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