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2019.01.13
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カテゴリ: アート
図書館で『美の変革者ピカソ(ナショナルジオグラフィック2018年5月号)』という雑誌を、手にしたのです。
2018年のナショジオの鳥シリーズを追っかけているのだが・・・
5月号は鳥の誕生あたりが載っていて興味深いのでおます。





雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、2018年刊

<商品の説明>より
●ピカソはなぜ天才か?:
20世紀で最も影響力のある芸術家の一人といわれるピカソ。多くの女性たちや芸術家仲間に触発され、作風を絶えず変化させながら、神童から巨匠へと上りつめた。死後45年たった今も、世界中の人々を引きつけてやまない彼の才能と創作の源泉を探っていく。
●米国で生きるムスリムたち:
誤解や中傷を受け、時に恐怖を感じながらも、たくましく生きる米国のムスリム(イスラム教徒)たち。その数は345万人と推定されている。なかには移民も多く、ルーツはおよそ75カ国にも及び、文化や言語もさまざまだ。彼らの多彩な社会が、全米に広がりつつある。
●恐竜から鳥へ:
新たな化石の発見と遺伝子解析技術の発達で、恐竜がいかにして鳥になったか、解明されようとしている。

<読む前の大使寸評>
2018年のナショジオの鳥シリーズを追っかけているのだが・・・
5月号は鳥の誕生あたりが載っていて興味深いのでおます。

amazon 美の変革者ピカソ(ナショナルジオグラフィック2018年5月号)


5月号の目玉特集でもあるピカソを、見てみましょう。
p36~38
<黒服を着た2人のスタッフが、1枚の絵画を運んできた。パブロ・ピカソの「座るジャクリーヌ」だ。:クローディア・カルブ>
 その日の朝、私は米国ニューヨーク市のロックフェラー・センターにある世界屈指の競売会社クリスティーズにいた。夜に開催される現代アートの競売が目当てだった。

 1954年10月に南仏で描かれた「座るジャクリーヌ」は、ピカソの愛人で、後に妻となるジャクリーヌ・ロックをモデルにした幾何学的な肖像画だ。当時、彼女は27歳。72歳のピカソは、わずか1日でこの絵を描き上げた。

 力強い筆使い、厚く塗られた絵の具、大胆なフォルム、ずれた目、逆さまの鼻・・・金色の光がジャクリーヌの体を包み、思わず目がくぎづけになる。
 夜になり、クリスティーズの競売人エイドリアン・マイヤーは、1200万ドル(約13億円)から入札を始めた。電話で指示を出す匿名の顧客2人の一騎打ちだ。

 背筋をぴんと伸ばしたマイヤーは、まるで獲物を見据えるジャガーのように、値段をつり上げる代理人を交互に見つめる。ついに一方が負けを認めた。マイヤーはハンマーをたたき、3250万ドル(約36億円)で落札されたことを宣言した。

 大変な額だが、驚きには値しない。ピカソの作品は、死後半世紀近くたっても見る人を魅了し、誘惑し、当惑させ、挑発している。

 彼は人の顔を破壊し、遠近法を排除して、画家として出発した当初から、私たちが頭に描く世界観を根底から打ち砕いてきた。創作意欲は実に旺盛で、青の時代、バラ色の時代、アフリカ彫刻の時代、キュビズムの時代、シュルレアリスムの時代と作風を目まぐるしく変えながら、彫刻、素描、版画、陶芸、絵画と、幅広い作品を数多く生み出した。物理学者のアルベルト・アインシュタインが宇宙に重力波があると予言したように、ピカソは誰よりも早く、目に見えない世界の動きをとらえていた。

 ピカソの作品管理に携わっている息子クロード・ピカソは、スイスのジュネーブにある自宅の居間で長椅子に座りながら、父親の影響力についてじっと考えをめぐらせた。「父は私たちが慣れきったものを一つ残らず破壊し、すべての人に新しい視点を与えたのです」

 赤ん坊はいかにして天才へと成長を遂げるのか。たった一人の人間が、世界中の人々の視点を一変させることなどできるのだろうか。ピカソは破天荒な男だった。生と死が交錯する闘牛とサーカスが大好きで、羽目も外すが寡黙でもあり、女好きで傲慢だった。

 神童として世に出てから晩年に至るまで、まるでキャンバスにしっかりと塗り付けられた絵の具のように、ピカソは偉大な芸術家になることが運命づけられていたようだ。実際、彼にはあらゆる要素がそろっていた。創造への情熱や好奇心、意志の強さを育んでくれる家族がいて、刺激を与えてくれる芸術仲間にも恵まれていた。

 そして、時代も彼に味方した。科学や文学、音楽の新しい発想が創造意欲をかき立て、誕生してまもないマスメディアによって押し上げられた。しかも91歳という長寿だ。彼は並外れた人生を、とても長く生きたのだ。

■あふれる才能の源泉
 パブロ・ピカソは1881年10月25日、スペイン南部の都市マラガに生まれた。ぐったりとして動かなかったため死産だと思われたが、叔父のサルバドールに葉巻の煙を吹きかけられて息をふきかえしたという。彼が子ども時代を過ごしたマラガは、太陽の光が降り注ぐ地中海に面した街で、今も活気に満ちている。

 ピカソが洗礼を受けたサンティアゴ教会から聞こえてくるのは、聖歌隊が歌うミュージカル「ラ・マンチャの男」の「見果てぬ夢」だ。彼が屋外で初めてスケッチしたメルセド広場のカフェは、大勢の観光客でにぎわい、メニューには、12ユーロ(約1500円)のピカソ・バーガーがある。そして、若きピカソにたばことフラメンコを教えたロマの人々が、通りを闊歩している。


『美の変革者ピカソ(ナショナルジオグラフィック2018年5月号)』1





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Last updated  2019.01.13 00:02:51
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