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2019.01.19
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カテゴリ: 中国
図書館で『極東の旅2』という本を、手にしたのです。
日清戦争当時の満州・朝鮮あたりをイザベラ バードが旅しているのだが、戦争中なので危険な目にもあっているようです。





イザベラ バード著、平凡社、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
『日本奥地紀行』の著者のアジアをめぐる記録を初めて集成。知られざるバードの実像と足跡が浮かび上がる。第2巻は旅の実際、キリスト教伝道活動、極東報告などの作品を収録。

<読む前の大使寸評>
日清戦争当時の満州・朝鮮あたりをイザベラ バードが旅しているのだが、戦争中なので危険な目にもあっているようです。

amazon 極東の旅2

二王廟


四川省の旅を、見てみましょう。
p19~29
<四川省西部の旅>
 1896年1月31日、屋形舟で宣昌を出発した私は、2月19日に四川省の万県に着きました。この都市は揚子江が鋭く曲がる所に位置し、背後は30マイルにわたって山地をなしています。町は丘陵地にも展開し、その上には寺院や宝塔も建っています
(中略)

 万[万県]からの5日間は成都に向かう幹道を通りましたが、その道は立派な造りで、補修も行き届き、敷石が施され、階段状の石畳の道をなして上り下りしながら孫家漕峠を越えていきました。花崗岩の立派な石段は五千段もありました。そして万の港からアヘン、煙草、紙を運ぶ苦力でいっぱいでした。この幹道には鎖石橋で別れを告げました。

 ここから先の道は、田の土手を通る幅の狭い泥道のようなものから大路に至るまでさまざまでした。前者は二台のカゴがゆとりをもって行き交えるほどの幅さえありませんでした。一方、北京から成都に至る官道である大路は幅が広く、舗装され、イトスギのすばらしい並木のために薄暗く、太古の昔が偲ばれました。

 石橋の多くはすばらしく、その造りはどこに出ても注目されるであろうものでした。このルートの最初の方は美しい山岳風景がずっと続き、植生はあふれんばかりに豊かでした。地層は主に灰色砂岩や石灰岩・礫岩からなっていました。石炭が豊富で、道端にさえも露出しており、子供たちが料理に使う石炭を毎日掘り出していました。その採掘場はきわめて原始的で、掘り出したものは担い籠で運ばれていました。燃える際に煙も灰もほとんど出ない石炭の塊は坑口の所でトン当たりわずか2シリング6ペンスに相当する価格でした。

 炭田は四川省の中部と北部の全域に分布しているようです。私の旅のルートに大きく重なっている嘉陵江では、広元から重慶まで500マイルにわたって30トン積みの舟が往来し、膨大な量の石炭が輸送されています。そして敷地が優に1エーカーはあろうかという石炭置場が数ヶ所にあり、8フィートもの高さに積み上げられ、大きな石炭の山になっていました。

 山岳部に入ると、山腹の至る所に口の部分が狭くなった馬蹄形のくぼ地があり、階段のようになっていました[棚田]。この上なく見事に耕作されていました。またくぼ地ごとに広くて形の美しい農家があり、一軒ずつヒマラヤスギやイトスギの[屋敷]森で囲まれています。官吏の所有になる田舎の豪邸も珍しくありませんでした。その大きさと堂々たるたたずまいは、わが国の一部の名家の豪邸に勝るとも劣らないものでした。

 田舎が開放的になっていきますと、守りを固めた避難所が高い岩山の上に現れたり、正面が色とりどりの磁器でできた大寺院や造り酒屋、製紙場や製粉所も現れるようになりました。町や大きな村はすべて独自の産業をもっています。絹織物業、麦わら帽子やその素材となる麦わらさなだの製造業、皮革業、製鉄業や製銅業、陶器や磁器の製造業、椅子製造業、染色業、偶像を彫ったりそれに金箔を施す産業、紅紙や紙銭の製造業などです。

 労働に対する報酬が保障されていることがあらゆるものに看て取れました。冬はありません。2月でさえケシやいろいろな青物野菜が豊かに育っているのです。ケシは8インチもの高さになっていました。ケシ畑は年々水田を蚕食してきており、今では最も広い面積を占めています。
(中略)

 この17日間の旅では、外国人に対する敵対心が顕著でした。町に入ろうとすると、それを合図に群衆が集まることがよくありました。文人に先導された連中はいつもこの上なく残念で、わめいたり囃し立てたり、泥などの飛び道具を投げつけたり、背後から棒で私をたたいたりしました。また「洋鬼子」とか「吃〇子[子供食い]」とか、「女をたたけ!」とか「女を殺せ!」とか言って、鬼のように罵声を浴びせました。梁[梁山]ではぞっとするような暴動が2時間にわたって続きました。まさに絶対絶命になったそのとき、官吏が多数の兵士を引き連れて救出にやってきました。そして翌朝には通りに兵士が配備されました。
(中略)

 最後の日には成都平原を突っ切りました。道はすばらしい山々に向かって次第に近づいてきました。山々は成都平原から一気にそそり立ち、その北側を壁のように画しているのです。この後私は二度この平原を越えましたが、すごいなあ、なぜだろうという気持ちはあとになるほど強くなりました。このすばらしい平原には400万人の人間が住み、都市や村は繁栄し、「豪壮な」農家が無数にあります。そのような豪邸は、各種のスギや竹、果樹で囲まれています。また、漆塗りや金箔の屋根のついた立派な橋や荘厳な廟、粉を挽いたり油を絞ったりする水車があり、おびただしい数の手押し車が行き交っています。

 無限の繁栄と富が存在します。二千年にもわたって旱魃と洪水を免れてきているのです。これらすべては一人の天才的土木技術者の不朽の事績の賜物なのです。その人物を祀る廟[二王廟]は、ミン江の臥龍江を眼下に収める高台の木立に囲まれてあります。その荘厳なことといったら中国随一です。人目につく場所では、<深淘灘低作堰>[河床を深く掘り、堤防は低くせよ]というこの人の格言の石刻や金文字の扁額を必ず目にします。


『極東の旅2』1





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Last updated  2019.01.19 08:19:11
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