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2019.02.13
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カテゴリ: アート
図書館に予約していた『天子蒙塵(1)』という本を、待つこと10日ほどでゲットしたのです。
浅田次郎さんの『天子蒙塵(もうじん)』(講談社)の最新作が刊行され、全4巻が完結したそうだが、2016年刊の第1巻にやっとお目にかかったわけでおます。



【天子蒙塵(1)】


浅田次郎著、講談社、2016年刊

<商品の説明>より
1924年、クーデターにより紫禁城を追われた溥儀とその家族。生家に逃げ込むもさらなる危険が迫り、皇帝は極秘に脱出する。
「宣統陛下におかせられましては、喫緊のご事情により東巷民交の日本大使館に避難あそばされました」
ラストエンペラーの立場を利用しようとさまざまな思惑が渦巻くなか、日本の庇護下におかれ北京から天津へ。梁文秀と春児はそれぞれに溥儀らを助けるが──。
王朝再興を夢見る溥儀。

<読む前の大使寸評>
浅田次郎さんの『天子蒙塵(もうじん)』(講談社)の最新作が刊行され、全4巻が完結したそうだが、2016年刊の第1巻にやっとお目にかかったわけでおます。

<図書館予約:(1/24予約、2/02受取)>

amazon 天子蒙塵(1)

張学良

『天子蒙塵』では張学良の出番が増えてくるのだが・・・
この本を読み進めると、春児や溥儀が描かれた『蒼穹の昴』、『中原の虹』、『マンチュリアン・リポート』などと繋がった長篇小説だとわかるわけです。

これらの全貌を概観するために、2016年の浅田治郎独占インタビューを再読してみましょう。


2016年 『天子蒙塵』浅田治郎独占インタビュー より

小林: 『蒼穹の昴』は清朝(1644~1912年)末期の物語。第9代皇帝妃・西太后が権力を握る宮廷が舞台でした。続く『珍妃の井戸』は1900年に起こった義和団の乱を扱い、『中原の虹』では清朝滅亡前後を背景にして馬賊・張作霖その周辺を描き、『マンチュリアン・リポート』は1928年の張作霖爆殺事件が軸になっています。そして、待望の新作『天子蒙塵』に続くわけですね。

浅田: 今回は溥儀と張学良という2人の若き王に焦点を当てています。この2人を通して、あの時代を描いてみよう、と。

小林: どのような気持ちで新作に臨まれたのでしょうか。

浅田: このシリーズは数十年にわたる私のライフワークであり、生活そのもの。新しいものを書き始めるからといって、特別な気構えはないんです。ただ粛々と書いていると言ったらいいでしょうか。

小林: またここへ戻ってきたという感じですか。

浅田: このシリーズを書いているときこそが私には日常で、心はむしろ休まっています。

小林: 溥儀と張学良については、どのような人物とお考えですか?

浅田: いずれの人生も、アラビアンナイトの物語に加えても遜色のないような数奇な運命に彩られています。溥儀は3回即位して3回退位した歴史上ただ一人の王です。一方、父親の死を受け、27歳で満洲における全権力を継いだ張学良も、時代に翻弄された王ですね。そんなドラマティックな人生を描いています。

小林: 「天子蒙塵」という言葉を初めて聞く人も多いと思いますが、どのような理由でタイトルにされたのでしょう。

浅田: 紀元前、春秋時代の最古の史料『春秋左氏伝』に出てくる言葉です。「天子塵を于外(うがい)に蒙る」。天子、つまり王がほこりまみれになって逃げるという、大変な異常事態を表しています。実は『蒼穹の昴』を書いたときに、すでにこの蒙塵のイメージが頭の片隅にあったのですが、今回、溥儀は紫禁城を追われ、張学良も自分の領地を追い出されて、まさに蒙塵するんです。

小林: 冒頭のシーンも蒙塵と呼べるものですね。イタリア船のコンテ・ロッソ号で、アラビア海を行く張学良の姿が描かれています。

浅田: 居場所を奪われた張学良は、船でイタリアへ向かうわけですが、あのシーンは取材旅行で訪れたヴェネツィアでひらめきました。「海洋博物館」に行った際に目にとまったのが、豪華客船コンテ・ヴェルデ号の模型です。コンテ・ロッソ号ではなかったけれど、同型艦の精密な模型があった。

小林: 取材旅行のときは、船が実際に着岸した場所にも行きましたが、冒頭のシーンの源泉になったのは模型のほうだったんですね(笑)。 

浅田: 船着き場では、イメージできなかった。でも旅の最後に寄った「海洋博物館」で模型を見た瞬間に、私は小さな張学良になってコンテ・ロッソ号のデッキに転げ込んだんです。一瞬で物語のすべてが出来た気がしました。やっぱり小説の神様は降りてきてくれたんだな、と……。しかし、娯楽小説とはいえ、想像だけでは書けません。大切なのは、それまでにどれだけ資料を読み、かつ分析しているかです。イメージが降りてきたとき、それを正確にストーリーと結びつけるには、それだけの用意がないといけないんです。

小林: 浅田さんはこのシリーズを書き始めた頃から、張学良を非常に強く意識されていたんですよね。

浅田: 当時はまだご存命中でしたしね。

小林: 彼は1901年生まれで、2001年に亡くなっています。

浅田: 晩年はハワイに住んでいらしたんです。あの頃、私は年に一度くらいハワイへ行っていたから、散歩に出てくるんじゃないかと、彼が住んでいたあたりをウロウロしたりした(笑)。結局会えなかったけれど。

小林: 溥儀に関してはいかがですか。

浅田:

小林: 今回は溥儀について、側妃の文繍(ウンシュウ)が語るという設定になっています。彼女は歴史上初めて、そして唯一中華皇帝と離婚をした皇妃で、その視点で溥儀を描くというのも新鮮ですね。

浅田: この離婚劇を書きたかったんです。にっちもさっちも行かなくなった溥儀から逃れ、自由を求める文繍。では家族とは何なのか、自由とは何だろうと私も深く考えました。そして読者の皆さんには、運命に逆らおうとする人間たちの姿からも、何かを感じ取っていただきたい。

小林: 『天子蒙塵』は10月発売の第一巻に続いて、12月には第二巻が刊行されます。どのような展開になるのでしょうか。

浅田: まだまだ続きます、ということだけは言っておきましょう(笑)。『蒼穹の昴』以降、私もこのシリーズとともにいくらか成長しておりますので、より良いものになっていくだろう、と。はっきり申し上げたいのは、『蒼穹の昴』で立ちどまってしまった読者は不幸だということです。あれは壮大な物語の玄関に過ぎないのですからね(笑)。

ウーム 文繍さんは女真族の末裔であり、浅田さんの思い入れも深いようです。それから・・・浅田さんの漢族嫌いのスタンスが感じられるのが、ええでぇ♪

『天子蒙塵(1)』1
この本も 満州あれこれR6 に収めておくものとします。





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Last updated  2019.02.13 08:01:33
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