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2019.03.23
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カテゴリ: 歴史
図書館で『江戸の想像力』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、思いのほか画像の多いのが楽しい本である。
この本のデータは1992年刊の文庫本のものだが、借りたのは1986年刊のハードカバーでした。






田中優子著、筑摩書房、1992年刊

<「BOOK」データベース>より
近世的なるものとは何だったのか―。平賀源内と上田秋成という同時代の異質な個性を軸にしながら、博物学・浮世絵・世界図・読本といったさまざまなジャンルの地殻変動を織り込んで、江戸18世紀の外国文化受容の屈折したありようとダイナミックな近世の〈運動〉を描いた傑作評論。1986年度芸術選奨文部大臣新人賞受賞作。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、思いのほか画像の多いのが楽しい本である。
この本のデータは1992年刊の文庫本のものだが、借りたのは1986年刊のハードカバーでした。

amazon 江戸の想像力

ゼーランディア城と鄭成功像


日本人がアジア各地との交易を進めた様が「はじめに」で述べられているので、見てみましょう。

<はじめに>
 1571年、ポルトガル国王ドン・セバスチャンは、日本人奴隷の取引禁止令を出した。禁止せねばならないほど、大量に日本人たちが奴隷として南アジア、アメリカ、メキシコに流出していたのだった。しかし日本人たちはポルトガル商人に対して奴隷でありつつ、同時に、朝鮮半島や東南アジアに対しては征服者の顔を向けていた。1597年、ポルトガル宣教師アッセンシオンはマニラの副総督にあてて、次のような警告を発していた。

「彼(秀吉)は今は朝鮮問題に忙殺されているが、来年はルソンにおもむくとのことだ。この目的を達するために、彼は琉球列島および台湾島の占領を計画し、同島をへて軍隊をカガヤンに送り、さらにマニラに殺到するそうである」

 そのころ日本は、弾丸用の鉛と火薬用の焔硝を中国・タイ・カンボジアから、黄金と生糸を中国から、大量の壷をフィリピンから、気違いのように買いあさっていた。

 1600年代、日本はカンボジアに二ヶ所、フィリピンに二ヶ所、ベトナムに二ヶ所、タイに一ヶ所の日本人町をもち、台湾、中国南部、マレーシア、シンガポール、インドネシアに日本人たちが居住していた。

 このころベトナムには中国人にまじって数百人の日本人が暮らしており、1651年にもまだ二百人以上の日本人がいたことが、記録されている。
 フィリピンの日本人は、1620年には三千人をかぞえていた。その半数はカトリック信者だったという。
 カンボジアにはこのころ、マレー人やベトナム人にまじって二百人以上の日本人が暮らしている。

 インドネシアのジャカルタにいる日本人たちは、オランダ東インド会社に雇われ、ボルネオ、スマトラ、テルナテなどの島々に派遣されて労働していたという。
 タイには1626年ころ、千四、五百人あまりの日本人が存在している。それ以外に、国王の近衛隊の中には、八百人以上の日本人傭兵がいたという。山田長政親子とこれらの日本人たちは王位継承問題に関与しすぎて、殺され、あるいは亡命せざるをえなくなった。
 このように日本近世は、アジアの海の激しい流動の中ではじまった。

 日本はアジア各地の商品を手に入れるためにヨーロッパを利用し、貿易の拠点となる台湾やタイの支配をめぐって、オランダ人たちとの衝突を繰り返していた。その中で、多くの日本人たちがその後長く記憶することになった事件に、ゼーランディア城の攻防がある。

 1624年、オランダ東インド会社に所属するオランダ人たちは、台湾南部を占領して城を築いた。これは主に日本貿易の中継地として使うものであった。日本貿易は彼らに大きな利益をもたらす。そしてそれを持続するためには、アジア諸国、たとえばフィリピンやインドネシアやタイや中国から、商品を日本に運んで行かねばならなかったのだ。ポルトガル人もオランダ人たちも、ヨーロッパと日本のかけ橋であるより、アジア諸国間で品物を動かし、それによって利を得る貿易商人であり、運送業者であった。その重要な戦略基地・台湾に築いた城を、彼らはゼーランディア城と呼んだ。

 1626年、二隻の日本船が台湾に寄港する。オランダ東インド会社は当然のことのように、彼ら日本人たちの運んで来た貿易品に課税する。ここはオランダの所有地だから、というわけだ。が、この時、この日本人乗組員たちは税金の支払いを拒否したのだった。そればかりでなく、中国大陸に貿易品を引きとりに行くから船を貸してくれ、とオランダに申し出る。が、今度はオランダがこれを断った。ことはここから起こる。

 翌1627年、これが幕府に通達される。当時のオランダ東インド会社長官ヌイツは江戸にかけつける。しかし将軍はその会見申し出を蹴る。次の年1628年、日本の朱印船二隻が、銃、槍、弓、矢などの武器を満載し、五百人近い乗組員を乗せて、日本から台湾へ向かう。ゼーランディア城の戦いの始まりだ。
(中略)

 近世的なものとは、人工するエネルギー、極端な文化的爛熟であるとともに、自然状態への激しい憧憬であった。新たな創造への衝動であるとともに、過去への熱い視線であった。「外部」=「異質なるもの」との出会いであると同時に、すべてのものが「相対的」であることの発見であった。しかしそれはどうやら日本だけの現象ではなかったようだ。
 日本の場合、それは中国文化の爛熟の中で起こったものだった。「影響」などという生やさしいものではない。日本の現象とは、アジアの中国文化圏の現象であり、展開であるのだった。確かに、境界線は18世紀の前後にあるのだろう。

 それは地球規模で見出される境界線でであるのだろう。それを容易に論理づけることはできないが、その準備のためのいくつかの試みを本書の中で少しでも示すことができれば、それだけで幸運なことだと思っている。


『江戸の想像力』2 :江南から日本列島への亡命者
『江戸の想像力』1 :中国文化、特に中国版画





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Last updated  2019.03.23 19:22:59
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