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2020.12.01
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カテゴリ: 気になる本
ワシとライオンを合体したキメラであるグリフィンが魅力的であるが・・・アリスの絵本の中で、ジョン・テニエルがそのグリフィンを描いているので気になっていたのです。





荻原規子著、徳間書店、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
「ナルニア国物語」のライオン王アスランは、なぜあれほど、特別な感じがするのか。『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』が伝える、現代の人間とはまったく異なる生き方とは…。子どもの本の中だけでなく、古典や神話においても重要な役割をになっている、幻獣やさまざまな動物たち。「勾玉」三部作、「RDG」シリーズなどで知られる、日本のファンタジーの旗手荻原規子が、幼いころから愛した“動物物語”をふり返りつつ、ファンタジーとは何か、物語が人の心にもたらすものは何かを掘り下げてゆく、珠玉のエッセイ。ファンタジーや児童文学、神話や古典の読書案内としても楽しめます。
【目次】
クマ/馬/ライオン/猫/ユニコーン/イノシシ/ニシキヘビ/グリフィン/ウサギ/カエル/マメイヌ/ヒヨコ/ネズミ/スズメ/犬/白鳥/狐/虎/ドラゴン/ダイモン 

<読む前の大使寸評>
ワシとライオンの合体したキメラであるグリフィンが魅力的であるが・・・アリスの絵本の中で、ジョン・テニエルがそのグリフィンを描いているので気になっていたのです。

rakuten グリフィンとお茶を

ジョン・テニエルの描くグリフィン

この本のタイトルにも出ているグリフィンを、見てみましょう。
p77~82
<8 グリフィン>
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズは、その高齢、その精力的な多作、その作品のユニークさで、イギリス児童文学の女王とまで言われる人だが、まったくそのとおりだと思う。

 国内で一番有名な作品は、『魔法使いハウルと火の悪魔』だろう。これを原作としたスタジオジブリのアニメーション映画『ハウルの動く城』とはひと味ちがう、よくひねりのきいた物語であり、ダイアナの特色が光ると思っているのが、1998年の『ダークホルムの闇の君』だ。

 グリフィンが活躍する。
 グリフィンとは、頭から胸がワシで、猛禽の翼と猛禽のかぎ爪を持ち、胴の半ばから後ろはライオンという幻獣だ。

 この幻獣はどちらかというと、ヨーロッパの紋章の世界にいる。鳥の王であるワシ、けものの王であるライオンが、王家の徴として尊ばれたので、合体したグリフィン(フランス語ではグリフォン)もあがめられた。ワシの部分は金色でライオンの部分は白く、その翼で旋回して秘宝を守護していると言われている。

 『ダークホルムの闇の君』のとびきりのユニークさは、主人公ダークの子どもとしてのグリフィンが5頭も出てくるところだ。なんと、人間+グリフィン一家のホームドラマなのである。

 それというのも、魔術師ダークの才能は、キメラの生き物を創り出すことに突出しているからだ。ダークの経営する農場には、翼のあるブタ、ペガサス、悪態をつくアヒル、人なつこい牝牛、肉食の羊など、彼が創った生き物たちが暮らしているが、人語がわかるものが多い。なかでも5頭のグリフィンは、ワシとライオンの細胞にダークと妻マーラの細胞を混ぜた渾身の作品であり、ダークもマーラも自分の子どもとして扱い、娘のショーナと息子のブレイドと同じように育てていた。

 この、見た目も人のよい農夫そのもので、農場の動物みんなに慕われ、動物の世話がもっとも幸せなひとときであるダークが、魔法世界の「闇の君」に選抜されてしまったことから、とんでもない騒動が始まるのだった。

 ダークの住む世界は、読者の多くが、ゲームの流行でステロタイプをよく知るようになったことを逆手に取った、たいそう皮肉な設定でできている。

 当たり前に魔法が存在し、ヨーロッパ中世仕様のファンタジーそのものの景観を持つが、ここに異世界からチェズニー氏という事業家が現れ、世界全体を異世界の観光客に提供するテーマパークにしてしまうのだった。

 毎年百組を超える「巡礼団」が異世界から観光に訪れ、提供されるアドベンチャーを楽しんで帰る。アトラクションのための「悪の軍団」や「魔の教団」を演じなければならない人々は、国土も荒廃して疲弊しきっている。けれども、強大な魔物の後ろ盾を持つチェズニー氏には逆らえず、ついには世界存続の危機を憂える事態になっているのだ。

 退治される悪の軍団のラスボスが「闇の君」であり、その白羽の矢が、今年はダークに立ってしまったのだった。

 冷酷非情を絵に描いたようなチェズニー氏が、今年の事業説明に訪れ、お人よしのダークにはどうすることもできない。父親の陥ったピンチを救おうと、十五歳のキットを筆頭とするグリフィンの子どもたちが結束するが、チェズニー氏が金貨百枚の罰金を追加しただけという、ひどい失敗に終わってしまう。
(中略)

 ここはまだ物語の序盤なのだが、グリフィンの息子に、父親としてまじめに向き合うダークの態度を読んでいると、ダークがこの世界で信頼に値する人間だということが、読者にもしみてくる。「血が見たい気分」になったキットを前にたじろぎもせず、自分の子としてさとすダークなのだ。

 キットと話すうち、彼が最近不機嫌ですぐ牙をむくのは、思春期になったからだけでなく、父の遺伝で魔法の才があることに気づいたせいだと判明する。グリフィンの身では、学校へ行って教育を受けることもできないからだ。





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Last updated  2020.12.01 06:30:17
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