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2021.03.24
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カテゴリ: アート
図書館で『インド待ち』という本を、手にしたのです。
おお周防監督のインド旅行記か・・・面白そうである。
周防さんの「『Shall weダンス?』アメリカを行く」という本が面白かったので、この本も折り紙つきでんがな♪





周防正行著、集英社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
周防監督「インドの魂」を探る!歌と踊りとアクションがぎっしりの「マサラムービー」。インド映画の元気の秘密を求めて大娯楽映画のメッカを行く書き下ろし旅の記録。

<読む前の大使寸評>
周防さんのインドの旅とは如何なるものか、興味深いのです。
周防さんの「『Shall weダンス?』アメリカを行く」という本が面白かったので、いわば折り紙つきでんがな♪

rakuten インド待ち

『ムトゥ 踊るマハラジャ』


インドでの映画作りが語られているので、見てみましょう。
p267~269
<旅の終りに旅の始まり>
 午前十時半、ようやくバスは大通りに停車した。どうやら撮影許可がなかなかおりず、「インド待ち」となったので市内観光をかねて走り回ったようだ。クーラーの効いたバスを降りると、ちょうど歩道が木陰になっていて、そんなに暑さは感じなかった。

 午前十一時、ようやく近くのバザールに移動して撮影が始まった。まずは、商店街の歩道を歩いた。歩道にはお店の商品が溢れ出て、品物を選んでいるお客さんもいる。道行く人ともばんばんすれ違う。カメラは後ろから手持ちで僕を追いかける。僕はインドにやって来た理由を喋った。これがオープニングになる予定だ。淡々と、いわゆる文化人っぽく(ウー嫌いだ文化人)、ドキュメンタリー番組によくある誠実さを感じさせる調子で喋っておいた。もっとも、バラエティ番組のノリで喋って下さいと言われても無理だったと思うから、わりに正直な姿勢だ。

「去年、日本では、ここ南インドの映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』が大ヒットしました。映画に主演したラジニカーントは南インドを代表する大スターです。日本の観客は、笑いあり、涙あり、アクションあり、ラブストーリーあり、そして突然歌い、踊り出すインド映画の破天荒な魅力に拍手喝采を送りました。実を言えばインドは自国で作られる映画がハリウッド映画よりも人気があるという世界でも珍しい国です。
 インドの人はどんな風に映画を楽しみ、どんな風に映画を作っているのか、その秘密を探りたい、というのが今回の旅の目的です。」

 カットはかからず、再び最初から僕は喋り始め、高岡さんも回しっぱなしでついてくる。そうやって続けることで硬さもとれて自然な雰囲気で喋ることができるようになるのではないかという狙いだろう。一度目に言い忘れたことや言い回しのおかしかったところに修正を加えて喋った。ありがたいのはカメラが、背後にあったので、その存在を気にしなくてよかったことだ。お陰で緊張しなくてすんだ。三回目でOKが出た。

 次に僕がとうもろこしを満載したリヤカーの横を歩くカットを正面から撮り、続いて僕の見た目風に、手持ちで歩いて撮った。おして、同じ喋りを正面からの手持ちトラックバック。困るのは独白の処理だ。歩きながらこんな説明的な事を一人で喋ることは日常的にはありえない。当然この独り言はテレビの前に座っている視聴者に向けられているのだから、カメラを見るべきなのだ。でもそれができない。恥かしい。従ってキョロキョロする。

 誰に言ってるか曖昧になるから、何となく喋り方もぎこちなくなる。おまけに、「今回の旅の目的です」の後に「映画はいつでも国境を越えます。去年インド映画は日本にやって来ました。では果して日本映画がインドに来ることはあるんでしょうか」と付け加えることになったから更に落ち着かない。


『インド待ち』1





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Last updated  2021.03.24 00:02:12
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